キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

4月のブログの裏話

こんばんは、キタガワです。


皆さんお久しぶりです。もう冒頭の「こんばんは、キタガワです」を書くのも忘れてしまうくらい、今月は長い休みをいただきました。


先月の裏話でも明言していた通り、今月は記事の更新数をぐんと減らしました。具体的には先月、先々月の4分の1ですね。なので今月の総更新数は5です。


さて、恒例の裏話に移る前にまずは「今月はなぜ記事をこれほど書かなかったのか」という部分について書こうと思います。いつもはこの裏話だけで8000字くらい書いてるんですけど、今回は裏話をするそもそもの記事数が少ない分、ちょっと語らせてください。


はっきり書いてしまいますが、一番の理由は「ブログ運営にストレスを抱えていたから」ですね。


今までも『100記事更新』や『200記事更新』、そして今月の『底辺ブロガー』といった記事で全部暴露してるので詳しくはそっちを見ていただきたいんですが、ここ数ヵ月はブログが原因でとてつもなく病んでました。


ブログって良くも悪くも個人競技なんですよ。何もない白紙の状態から、全部自分で決めてやらないといけない。逆に言えばいつ辞めても自由ですし、ガンガン練習してもいいんです。


付け加えると、そういった努力的行為には何かしらの評価が付いて然るべきだと思うんです。特定のファンがついたり、寄稿の依頼を貰ったり、読者数が増えたり。


なので自分の中では「今は駄目でも続ければ芽が出るはず!」と無理矢理自分を奮い立たせながら、この数ヵ月間やってきたつもりです。文字量を増やして記事を厚くして、毎日更新して。休日には何時間もカフェで入り浸って書いて、バイト中もブログネタを探しながらメモ取ったり。


……でも僕はこの1年半で、所謂『評価』と呼ばれるものを一切受けませんでした。読者もいないし、ファンもいないし。というかそもそも読まれてないし。そんな状態ながらも「頑張るぞ!頑張るぞ!」と自分に言い聞かせてやってきました。


そしてある日、電池が切れました。もう全く先が見えなくなったんですよね。「意味ないんじゃないか」っていう。それこそクソみたいな文章で高評価貰ってる人とか見てると余計にそう思うようになりました。


そうなってくると、文章もまともに書けなくなってきまして。しかも『自分の本気度が下がってる→文章がつまらなくなってる』っていうのは自分が誰よりも気付いてるわけで、それが一番辛かったですね。書いた記事見直しても全然面白くないし、頑張ろうとしても「これ公開する価値ねえな」みたいな文章しか書けないわけですよ。もう駄目だなと。


なので一度ブログからは完全に距離を置く必要があったんですよね。令和になってもブログは続けたい。自分の意見をもっと発信したい。……そのために今出来ることは休むことしかないなと思いました。


二つ目の理由は『文章を音楽に全振りしたかった』です。……というかこれが大きな理由かもしれません。


先月、僕は某音楽サイトで優秀賞をいただきました。それは僕が新卒で会社を辞めてから、文章をひたすら書き続けてきたことのひとつのゴールだったんです。それこそこのブログも、元々は編集者に僕の文章をアピールするための手段のひとつにしか過ぎなかったわけで、僕のやりたいことは当初から一貫して『ブログで有名になる』ではなくて『音楽の文章で評価されること』でした。


あの受賞をきっかけに、僕の中で火が点いて。もっと音楽の文章と向き合う時間を取りたいと思うようになりました。


でも必然的に僕は活動上『ブログ』と『音楽の文章』の二足のわらじを履く必要がありました。ブログに力を注げば音楽の文章がおろそかになり、逆に音楽の文章に時間をかければブログが書けなくなる。そこで選んだのは『ブログを一旦辞めて、その時間を全部音楽の文章に充てる』という選択でした。


なので実際、ブログは休んでましたが音楽の文章はずーっと書き続けてたんですよ。具体的には今までは2日で書いてたものを1週間かけたりして、ひたすら質を高めてました。


結果的に書いた音楽記事は3つ。『wowakaさん訃報の記事』と『ビリーアイリッシュ全曲解説』です。あと実はもうひとつ書いたんですが、これは諸事情によりまだ言えません。来月か再来月には公表できればと思ってますが。……とにかくこの3つの記事にはかなりの時間を注ぎ込みました。


で、音楽の文章を書いてて思いましたね。「やっぱり僕は音楽が好きなんだなあ」と。ブログで成功することの数百倍は、音楽の文章書いて成功した方が幸せだろうなと思いました。


話は脱線しますが、最近いろんな人と音楽について語ることが多くなってきまして、そのときに毎回「キタガワって音楽馬鹿だよな」って言われるんですよ。多分人と話してて音楽の話題を出さないことは一回もないし、音楽の話なら何時間でも話せる。


極端な話「○○っていうバンドはどんな特徴があるの?」とか「○○のオススメポイントは?オススメの曲は?」って言われたとき、ほとんどのアーティストについては説明できる自信があるんです。


でもそれは同時に、他の人にとっては異常だなとも思うんです。前に僕が「週に10枚はアルバム借りるよ。月に5枚は新譜を買うよ」っていう話をしたとき、「ありえない!別に違法DLとかYouTubeで良くないすか?金の無駄ですよ」と言われたことがあって。一瞬「いやCDはPCに取り込むのが当たり前だろ!」と思ったんですけど、よくよく考えたら理にかなってるのはその人の方で、そりゃ音楽なんて飽和してるから流行りの曲やカラオケで歌える曲だけチェックしてれば、何の問題もないんです。


加えてそれは逆に言えば、僕はそれだけ音楽が好きってことでもあるなと。たまにライブに行って毎日音楽聴ければ全財産なくなってもいいし、飲み会行ったり彼女つくったりしなくても、音楽があってそれについて文章を書ければ幸せなんですよね。


……そんなことをいろいろ考えながら、今月は生活してました。


さて、話も長くなったので今月の裏話に進もうと思います。

 

 

映画『グリーン・ブック』

今年の海外アカデミー賞。かの『ボヘミアン・ラプソディー』を抑え、まさかの最優秀賞受賞作として選ばれた作品。


めちゃくちゃ面白かったです。基本的にはシリアスというか、心に訴えかけるメッセージ性を強く発する作品なんですが、そんな中に少しのユーモアとジョークを入れてて。もうぶったまげました。


言い方は悪いんですが、今の海外シーン(特にアメリカ)は黒人問題が大きなトレンドになってて。ブログでも前書いたんですけど、グラミー賞を受賞したチャイルディッシュ・ガンビーノが『This Is America』で「金を稼がないと。なぜなら黒人だから。これが今のアメリカだ」みたいな歌詞を書いて評価されたのもそうで。トランプが大統領になった辺りから、黒人が声をあげてアピールする機会がかなり増えた気がします。


そんな中でのグリーン・ブックです。この映画は『黒人をめちゃくちゃ嫌いな白人』と『世界的ミュージシャンの黒人演奏者』のふたりの旅を描く物語で、モロに黒人差別問題を描いてるんです。だから僕ら日本人からすると「こんなに差別されるのかよ」と驚く場面も多かったですね。


社会的メッセージとユーモアがガツンと入った名作でした。個人的には『ボヘミアン・ラプソディー』よりも好きかもしれないです。

 

ストロングゼロ6%

みんな大好きストロングゼロ。いわゆる『酔える酒』として有名ではあるんですが、あれ一回飲んだら分かるんですけど、めっちゃ不味いんですよね。アルコール感が強すぎるというか。


なので今回の6%のストロングゼロを見た瞬間に「記事にしなければ!」と思った部分はありますね。


あとはもうひとつ書こうと思った理由があって。以前『レモンサワーの素がウマい!』みたいな記事を書いたことがあるんですが、それが最近になってけっこう読まれてることがわかったんですよね。


あの記事自体はかなりふざけて書いてて、ブログ当初のキレッキレな文章表現が炸裂してた記事だったんです。なので『ストロングゼロ~』の記事は僕なりの「今、前みたいな文章書いたらどうなるかな」という実験的な部分もありました。


なので書き方や写真の構図、ボケ方に至るまで、そのバズった記事とほぼ同じように書いたつもりです。ここ数ヵ月は真面目に書いてたのをぶっ壊すつもりで笑い要素多めで書きました。


でもやっぱり違うんですよね。もうあんな感じの文章は書けねえなと思いました。当時は音楽の文章を音楽雑誌に投稿することも考えてなかった時期だったのでキレッキレなこと書けたんですけど、前述したように今の僕のモードは『音楽』なので、結果的には全然面白くない記事になりましたね。

 

wowakaさん訃報について

今でも信じられないです。本編で書いたことが全てではあるんですが、本編で書いてない話を少し。


僕はボカロP時代のwowakaさんについては、ほとんど知らないんです。有名な曲くらいしか。なので僕が本気でファンになったのはロックバンドのヒトリエからなんです。


本編でもチラッと書いてますが、ライブ後には何度かお話させてもらったこともあって。基本的にずっと笑ってた人なんですけど、毎回「ありがとー」と「また来てね」って言葉は絶対に言ってて。それが印象に残ってます。確か最後に会ったときも「また来てねー!」って言われた気がします。


なのでいつかはまたライブに行こうと思ってたんですが、叶わなくなってしまいました。


wowakaさんがいなかったら、間違いなく今の音楽シーンはないわけで。ヨルシカや米津玄師、バルーンや神山羊、いろんなアーティストが影響を受けたに違いないし、物凄い功労者だと思うんです。


本当に悲しかったのでなかなか筆が進まなくて、この文章に関してはかなりの時間をかけて書きました。ご冥福をお祈りします。

 

底辺ブロガーの引退

この辺りまで文章が書けない状態が続いてたんですが、ここに来て初めて一気に書き上げた記事です。「ネタを探して書く」っていうやり方よりは「思ってることを書く」の方がやりやすいなって部分もあったので、ネガティブにはなるだろうなと思いながらも書くことにしました。


内容が内容なので詳しくは書きませんが、このタイミングで記事を公開できたのは良かったと思ってます。それこそこのくらいの時期から「こんばんは、キタガワです」の一言を完全に忘れたりしてたのもあり、僕にとってブログに対しての、ある種のリハビリみたいな感覚でした。


内容はもちろんどす黒いんですが、この記事を書き終わった頃にはポジティブになりましたね。「よっしゃこれからもブログ書くぞ!」っていう。今思えばですが、長い休みを取ったのは良い選択だった気がします。「毎日更新が~」とか「ネタ出しが~」とか、そういった悩みがグルグルしてたので。一旦リセットして、フラットな気持ちでまたブログに向き合えたのが嬉しかったです。

 

ビリーアイリッシュ全曲解説

間違いなく一番時間かけた記事です。「もう全曲解説は一生しない」と心から決めましたね。


そもそものきっかけはビリーアイリッシュのニューアルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』の2曲目、『bad guy』を聴いてからですね。「なにこの曲!」と思ったのと同時に「そういえば全曲解説ってやったことねえな」と。


「じゃあやってみるか」と思って始めたんですが、まあ辛かったです。なんせ14曲もあるし、書くなら書くで同じ熱量で書かないといけないしで。もう後半に差し掛かったあたりで集中力は切れてました。なんとか終わらせましたけど。


最近のコーチェラライブ見たんですけど、今のビリーは物凄いですね。もう彼女の歌よりも歓声の方がデカいっていう。「キャー!」とかじゃなくて、「ギャアアアー!」みたいな。レオナルド・ディカプリオとかジャスティン・ビーバーに会ったレベルの歓声は驚きました。彼女まだ17歳ですよ?


そういった光景観てると、個人的には「サマソニで観れて良かったなあ」とも思ったりして。去年の8月ですか。最前列で見た覚えがあるんですけど、もう同じことは出来ないなと。絶対入場規制かかるだろうし。


当ブログでも何度か取り上げたことがあって、「次世代のスターを目撃するのは今しかない」みたいな記事を書いたんですよ。でも『11歳~20歳までの若者は全員ビリーを知ってる』とも言われる今の盛り上がりは正直予想以上で、めちゃくちゃ驚いてます。


彼女が20歳迎える頃には、完全なるポップ・アイコンにはなってるんでしょうね。間違いなく。

 

……さて、いかがだったでしょうか。4月の裏話。


今後のことについてですが、まずひとつの目標として先月以上にブログに力を入れようと思っています。


全盛期の『毎日更新』とまでは行きませんが、最低限先月の5記事は越えていければと。後は書くスピードを元に戻せれば最高なんですが、今はまだ戻らない様子なので、徐々に慣らしていければと思います。


それではまた、来月お会いしましょう。そのときには良い報告が出来れば一番良いですね。

ビリー・アイリッシュ『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』全曲解説

こんばんは、キタガワです。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190422224633j:plain

 

ビリー・アイリッシュのデビューアルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』が素晴らしい。


ここ数十年間で音楽シーンは、様々な変遷を遂げてきた。しかし今作は「こんなの聴いたことない!」と心から言える、極上のポップ・アルバムである。


聞けば今アルバムは全米、全英共にアルバムチャートで初登場1位を獲得。ツアーは全会場ソールドアウト。更には今の若者の間で彼女は、最前線のポップ・アイコンとして大人気だという。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190422224802j:plain


さて、音楽が飽和している現在において、一体何が若者の心を掴み、コアな音楽ファンを翻弄しているのだろうか。今回は全曲レビューでもって、ビリー・アイリッシュ初のアルバムである『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』の全貌を紐解いていこうと思う。尚、今回の記事では輸入盤・日本限定版に共通して収録している楽曲のみを取り上げる。

 

 

『!!!!!!!』

アルバムは13秒から成る『!!!!!!!』で幕を開ける。ビリーと周囲の人々が日常会話の後に大笑いして終わる意味深なトラックなのだが、このたった数十秒の間には様々な仕掛けが盛り込まれている。


この一連のトークは雑に訳すならば「最近歯列矯正器具を取ったから、このアルバムめっちゃ歌いやすいわ!」というようなことが語られている。


更にプロデューサー兼ビリーの実兄であるフィニアスは海外webサイトにて、「冒頭の何かを擦る音に関しては、ラッパーのリル・ウェインが流行らしたとされるライターの着火音をモチーフにしているのでは」と推察。そしておそらくこの音は、ビリーが実際に歯医者で経験した、排唾管の音なのではとも。


これらの事柄から察するに、ビリーはダークに徹したこのアルバムにおいて、少しばかりのユーモアをプラスしようと考えて『!!!!!!!』を入れたのではないだろうか。アルバム1曲目の『!!!!!!!』でもって、驚きに満ちたスタートを迎えるのだ。

 

『bad guy』

鼓膜の内側で、まるで耳元で囁くようにも聴こえる『bad guy』はゾクゾクするほど刺激的。再生ボタンを押した瞬間こそビリーらしからぬダンサブルなサウンドに驚かされるが、その実冒頭の音像は打ち込みのパーカッションとフィンガースナップ、ピアノ、そしてビリー自身の何重にも広げたコーラスというバラエティー豊かな作りで進行していく。


残り40秒を数える頃になると、更に音像を重ねたり吐息を交わらせてオリジナリティーを演出。昨今のライブではこの楽曲がオープナーを飾ることが多いのだが、観客とビリーが渾然一体となって盛り上がる様は圧巻。間違いなくこのアルバム内では最も激しい楽曲であり、かつ遊び心も満載のトラック。

 


Billie Eilish - bad guy

 

『xanny』

続く『xanny』は穏やかな語り口からスタートするバラード曲。耳元で囁くように聴こえる手法は前曲と同様だが、特筆すべきは声にエフェクトをこれでもかとかけている点。エフェクトがかった歌声が左右の耳元で重低音と共に押し寄せて来る様は、さながら一種の恐怖体験。喧騒の中では絶対に聴けない絶大な臨場感でもって、耳と心は瞬時に掌握されること請け合いだ。

 


xanny

 

『you should see me in a crown』

口内や顔中に蜘蛛を侍らせる過激な動画で一躍話題となった『you should see me in a crown』は、爆発的に鳴り響くサビ部分が印象的な楽曲。中でも「私を見たらみんな跪くの」と語った後の「……一人ずつね」とボソリと呟くビリーの一言は、周囲の音が一瞬消えた状態で語られるのだが、これがすこぶる良い。ホラーかつポップ。

 


Billie Eilish - you should see me in a crown (Official Video By Takashi Murakami)

 

『all the good girls go to hell』

続く『all the good girls go to hell』は、前作『Dont Smile at Me』収録曲を彷彿とさせる、若干アッパーなナンバー。


もちろん根底にはビリーの代名詞でもある重低音とダークなエッセンスもちりばめられているのだが、あまりにもダークな楽曲で埋め尽くされた今作においては、一種のスパイスにも感じられる。終盤では猫の鳴き真似をしたり、大袈裟に笑ったりするなど、17歳の少女らしい天真爛漫っぷりも垣間見える。

 


all the good girls go to hell

 

『wish you were gay』

『wish you were gay』は、彼女の過去の恋愛について赤裸々に語る楽曲だ。


一方的なメールの数々や、何度も孤独な夜を経験したビリーの心からの言葉こそが「あなたがゲイだったら思いを断ち切れるのに」という衝撃的なフレーズなのである。一見すると過激な表現にも思えるが、全編通して悲しき想いに囚われるこの楽曲を聴いているうちに、この言葉は深く、叙情的に響いてくるはず。

 


Billie Eilish - wish you were gay (Audio)

 

『when the party's over』

PVでは黒い涙がとめどもなく流れる『when the party's over』。この楽曲内ではダークな音は鳴りを潜め、ピアノを主旋律とする直接的なバラードだ。何度も言葉を切りつつかつての失恋を歌うビリー。先日カリフォルニア州で行われたフェス『コーチェラ』では、この楽曲をプレイしている瞬間、黄色い歓声が飛び交っていた会場がピタリと静まり返ったのが印象的だった。


ややもすれば盛り上がる雰囲気を壊しかねないこの楽曲をあえて選択したのは、やはりこの楽曲がビリーの恋愛観と、彼女の哲学を如実に表しているからなのだろう。自分に嘘を付きながら終わりつつある恋愛に身を委ねるビリーと、ステージ上で軽やかに歌い踊るビリー。そのふたつは相反する感情でありながらも、どちらも等身大のビリーそのものなのである。

 


Billie Eilish - when the party's over

 

『8』

ウクレレを爪弾く調べに乗せ、声を多大なエフェクトで加工しつつ歌うポップな冒頭に驚きつつも、エフェクトなしで歌い始める頃にはしっかりビリー節に。普段はピンボーカルとして存在感を放つビリーであるが、昨年のサマソニではドレイクの『Hotline Bling』をウクレレを弾きながら歌う場面も見受けられた。単独公演では同様のプレイが観られるかもしれない。

 


8

 

『my strange addiction』

冒頭で謎の人物が「駄目だ、ビリー。私は妻が死んでからダンスをしたことがないんだ」と語るシーンからも分かる通り、この楽曲は一貫してホラーテイストで進んでいく。


この楽曲内での会話、ストーリーはほぼフィクションであり、架空の人物の視点で展開していく。サウンドやリズムは至ってビリーらしいと言えるが、楽曲中では悲しみを孕んだ日常会話が繰り広げられる。それが一種のスパイスとなり、楽曲に彩りを加えている点も面白い。

 


Billie Eilish - my strange addiction (Lyrics)

 

『bury a friend』

この楽曲はビリーの心に内在するモンスターに向けて歌われており、「友人を埋葬する」という衝撃的なタイトルはズバリ、そのモンスターに対しての行動なのである。そのためサビ部分では「自分を終わらせたい」というフレーズが繰り返され、抽象的な破壊欲求が語られるのだ。


ラストではアルバムタイトルにもなっている「私たちが眠りにおちる時、どこへ行くの?」と語りかけて終わる。ビリーとモンスターがどうなったのかは知る由もないのだが、おそらくは悲しい結末を迎えるのだろう。極めてネガティブでミステリアスな楽曲である。

 


Billie Eilish - bury a friend

 

『ilomilo』

無機質に鳴るピアノが印象的なミドルナンバー。特徴的なタイトルに関しては2010年に発売された、同名のパズルゲームをモチーフにしたとされる。


この楽曲では、孤独感に満ち溢れたビリーの心情が歌われる。「あなたはどこに行ったの?」と静かに訴える様は一途な想いを感じさせる反面、ある種のホラーな雰囲気も孕んでいる。その霧に包まれたような語り口は、人によっては様々な解釈が出来るだろうと思う。

 


Billie Eilish - ilomilo (Lyrics)

 

『listen before i go』

この楽曲は直訳すると「私が行く前に聴く」という意味になる。終始一定のリズムでピアノが先導し、印象的なサビや展開はほとんどない。その穏やかな作りはさながら子守唄のようでもあり、様々な打ち込みサウンドが猛威を振るうこのアルバムの中では、最も静かに進行する楽曲と言える。


しかしながら『音数をいかに増やして臨場感を与えるか』がトレンドになりつつある今の音楽シーンにおいては、『listen before i go』における徹底的な引き算的サウンドは、今の時代と完全に逆行する代物だ。


ラストに「ごめんね」と呟いた後、次第に近付いて聴こえる救急車のサイレンの音で終わるのも刺激的。少しばかりの気だるさとミステリアスな雰囲気を纏いつつ、次曲へと進んでいく。

 


listen before i go

 

『i love you』

ここまでの解説でお分かりの通り、このアルバムはビリー自身のかつての恋愛事情や失恋経験に基づいて書かれた楽曲が大半を占める、多大なるメッセージ・アルバムである。世間的には「まだまだ若者」と呼ばれること多い17歳の少女は極めて直喩的に、かつ等身大で、過去(おそらく現在も)の交際を赤裸々に歌うのだ。


この楽曲は、今回のアルバムの中でも最もリアルに想いを吐き出しているのが印象的だ。曲の冒頭、ビリーは「私はずっと嘘をつかれていたの」と述べる。愛情が希薄になりつつある相手を心の底から相手を愛しているビリーは、心のどこかではこの恋愛がいずれ破綻するであろうことを予期している。


ギターを爪弾く調べに乗せて「あなたを愛してるわ」と歌うビリー。しかし先がないことも理解しているビリーは、言葉の後に「でも望んでもいないのよ」と付け足すのだ。一貫してスローテンポで進行し、起伏もほとんどないナンバーだからこそ、よりリアルに心情を伺い知ることができる楽曲とも言えるだろう。

 


i love you

 

『goodbye』

アルバムの最後を飾るこの曲は、今回のアルバムに収録されている楽曲のフレーズを、ひとつずつ繋ぎ合わせて作られた意欲作である。


オリジナルの歌詞は冒頭の「お願い、私を置いて行かないで」のみで、それ以降は順番も性質もバラバラな歌詞の羅列で形作られる。そのため逆に言えば、極めてメッセージ性の強い今作の中では、唯一意味を見出すことが不可能な曲でもある。しかしながら『goodbye』という曲名やマニマルな音像で突き進む雰囲気からして、おそらくは暗く悲しいイメージで作られたのだろうと思う。


コラージュの如く他方から貼り付けられた歌詞の羅列で何を感じ、何を求めるのかは人によって千差万別だろう。この楽曲がなぜラストを飾り、『goodbye』と名付けられたのか。そこには大きな意味が込められている気がしてならないが、その答えはビリーにしか分からない。いちリスナーである僕らが推察するのは、野暮というものだ。

 


goodbye

 

 

……さて、いかがだっただろうか。ビリー・アイリッシュ『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』全曲解説。


今の海外の音楽シーンを見ていると、「ビリーは今の若者と完全にリンクしているのだな」と思うことがある。例を挙げると彼女のたわいもない発言がSNSで取り沙汰される、その奇抜なファッションにスポットが当たる、ジャスティン・ビーバーとの初対面でパニックになり、緊張しながらも必死に言葉を捲し立てるといった部分においてだ。


今ビリーがスターダムを駆け上がっていることは世界各国で周知の事実だろうが、彼女の言動ひとつひとつは間違いなく「今の時代に生きる若者」のリアルな心情を切り取っている。


加えて今回の全曲解説によって、なぜビリーが若者の心を掴んで離さないのか、その理由の一端が垣間見えた気がする。


そう。ビリーの言葉には嘘がひとつもないのである。本来ならば「言わない方が美徳である」と言われている事柄であっても、はっきり口にして歌にする。十代の女子が抱えている悩みや不安、恋愛事情を、オブラートに包むことなく外に発信する。そんな姿は物怖じしない今の若者と似ていて、その点も多くの共感を得ているひとつの理由であると推測する。


ビリー・アイリッシュの時代は、ここから始まる。7月にマサチューセッツ州のフォックスボロで開催される予定の『Mad Decent Block Party Festival』では、早くも史上最年少にしてフェス内の最重要アーティストとして名を連ねているビリーだが、年齢はまだ17歳。彼女が一般的に『一流アーティスト』と呼ばれるほどの年齢になった頃には、きっと想像もできない地位を築く人物となっていることだろう。

ブログが書けない。底辺ブロガーが引退を考えた話

こんばんは、キタガワです。


ここ1ヶ月ほど、1年半続けたブログ更新をストップしていた。


理由はひとつ。ブログが全く書けなくなったからだ。


あれほど情熱を注いできたブログをここまで放棄するとは思ってもみなかったし、実際今でも文章を書けない状態が続いているというのが正直なところだ。


今回の記事は、いわば僕のリハビリ代わり。ブログが書けなくなった現状を打破すべく、ひたすらこの数ヵ月の在り方を書き殴っていきたい。今現在ブログ運営に悩んでいる人や暗中模索している人に、少しでも刺されば幸いである。

 

 

ブログが書けなくなる前の話

f:id:psychedelicrock0825:20190415235316j:plain

さて、今記事の核となる「なぜ引退を考えていたのか」という部分に至る前に、まずは僕自身のことについて語らねばなるまい。


当ブログ『キタガワのブログ』は、所謂『普通の生活』に支障をきたす僕が、生きるための最終手段として始めたものだ。


アルバイトでは陰口を叩かれ、人とのコミュニケーションもまともに取れない。誰にも相手にされずに鬱屈とした日々を送っていた僕が最後に行き着いた場所、それがブログだった。


人とは全く関われない自分だが、最近聴いたCDのここが良かったとか国の政治のここが気に食わないとか、総じて「何かしらの意見を広く発信したい」という欲求は異常に強かったからだ。


そうした思いから、2017年の11月に『キタガワのブログ』は誕生した。そこから1年近くは特定のジャンルに縛られない雑記ブログとして、日々様々な記事を執筆した。ライブの感想や映画のレビュー、果てはお笑い番組やエッセイに至るまで、ノンジャンルで書きまくった。


気付けば総記事数は200を超え、収益化も成功。初期に比べると閲覧者もそれなりに増えており(1年半で1日平均500人は少ないとは思うが)、そんな毎日に充実感を抱いていた。


そう。あの日が来るまでは。

 

ブログが書けなくなったきっかけ

f:id:psychedelicrock0825:20190415235344j:plain

ブログが書けなくなったのは、3ヶ月前程前からだろうか。その頃から僕のブログ(媒体ははてなブログ)の限界を感じることが多くなってきた。


まず読者数。僕のブログの読者数はこの記事執筆時点で、僅か14人しかいない。はてなブログは読者数が増えやすい媒体としても知られており、世間的には「ブログ1ヶ月目で読者数100人行きました」といったブロガーはごまんといる。


そんな中、1年半書き続けて読者数がたった14人しかいないという現状は、僕の心に風穴を開ける事象としては十分だった。いくら時間をかけて記事を書こうが、いくら毎日更新を張り切ってやろうが、見られていないのでは話にならない。コメントもはてなスターもほとんど来ない日々が続いた。


1日の平均アクセス数も、この記事執筆時点では約500人ほどだ。単純計算で月に15000人。もちろんブログ開始時点よりは格段に増えてはきているが、どうも伸びが悪い。1年半もやってきてこの数字では、ブロガーと語るのもおこがましい。ブロガーはブロガーでも、底辺ブロガーでしかない。


ちなみに収益の部分についてだが、こちらも酷い。ひと月あたり『地方都市のアルバイト2時間分』程度の収入しか得られておらず、月額のはてなブログPro費用とドットコム費用を考えると、大幅な赤字といったところだった。


とどのつまり、僕は他のブロガーと比較することで、次第に精神を病んでいったのだった。他の人は何百人も読者数を獲得し、閲覧数も増えて有名になっていく。中には「副業として月○万円もらった!」と呟く人すらおり、それに比べて自分はどうだと自問自答する日々が続いた。

 

引退を考えた3ヶ月間

f:id:psychedelicrock0825:20190415235414j:plain

そんなこんなでここ3ヶ月間は、ほぼ惰性でブログを続けていた。


新しいことにチャレンジもしてみた。普段書いている内容とは違う事柄を取り上げたり、書き方自体を変えてみたりもした。しかしどれも上手くはいかず、アクセス数は何故か先月を下回り続け、気付けば最低な数字を叩き出していた。


そんな日々が続き、次第に「どうせ読まれないしな」と思いながら執筆するようになった。どれだけ時間をかけようが無意味。自分の中でいかに手応えがあろうとも、検索エンジンに引っ掛からなければ駄目だ。


更には僕は、コミュニケーション付随を理由にブログを始めた人間である。そのためブログ仲間を作ることも、「きてきて!」とリプライを飛ばすことも、積極的にアピールすることも出来なかった。ただひたすらに誰にも見られない孤独なブログ運営を「もう少し続けたら何か起きるかも」と、僅かな光を期待しながら続けてきた。


バイトから帰宅したら執筆作業。休日は1日使ってネタ探しや執筆。でも誰にも読まれない。金にもならない。そもそも何のために生きているのか……。


そういったことを考え過ぎた結果、ある日を境に僕は電池がブツリと切れたかの如く、全く文章が書けなくなった。それこそ引退も考えたし、文章を書くこと自体嫌気が差していた。それがちょうど1ヶ月前の話。


そこから今までの期間は『充電期間』とし、ほとんど記事を執筆せず、穏やかな時間を過ごしていた。


しかし本当の恐怖は、その先にあったのだ。

 

“本当に何も書けない”という恐怖

f:id:psychedelicrock0825:20190415235434j:plain

『充電期間』を終えた後、ある程度快復した僕は再度ブログ活動を行うことにした。


休んでいた期間は30日。もしメンタルがやられていなければ、普通に考えて30もの記事が執筆できていたはず。この1ヶ月のことは取り返しがつかないが、とにかくこの30記事分を早く取り戻す必要があった。……そう思い書き始めたのだが、何かがおかしい。


ブログが書けない。


ブログが書けない。本当に書けない。今までどうやって書いていたのかさえ失念するほどに、この1ヶ月の間の溝は大きく、深いものになっていた。


書きたいことがないわけではない。休んでいた間、ノートにメモ書き程度にまとめていた事柄もある。頭が回らない中、ぐちゃぐちゃに書き殴ったネタもある。にも関わらず、どう書き進めていいのか皆目わからない。


僕は文章の書き方自体を、完全に忘れてしまっていたのだ。


1ヶ月前はどうしてた?ああそうだ。酒を飲んで書いていた。しかし酒を飲んでも何も浮かばない。


そもそもブログでの一人称は何だっただろう。出だしは?終わりの言葉は?タイトルはどう付けていた……?


……文章というのは書き続けていくうちに、その人にあったやり方を見出だすものだ。初めは3日に1回のペースでも、次第に早く書けるようになる。ネタ探しにも苦労しなくなる。だからこそ“そのやり方”をマスターしてしまえば毎日更新も苦ではなくなるし、モチベーションも上がる。


しかし今の僕は違う。言うなればブログ開設直後の、『何を書いていいのかわからないキタガワ』に逆戻りしていたのだった。

 

現在

f:id:psychedelicrock0825:20190415235454j:plain

かくして僕は、全盛期の輝きを完全に失った(輝きと言っても鈍く光る輝きだが)。今はそんな頭が回らない状態で、この記事を書いている。


こんなことなら少しでも書く練習をしておくべきだった。1ヶ月も休まずに、1週間で留めておけば良かった。様々なネガティブな感情が脳裏を掠めるが、もう仕方のないことだ。


ブログは辞める人が多いと聞く。その理由の大半が結果が出ない現状に辟易したり、「その時間を他の作業に充てた方がマシ」と考えるからだそうだ。


僕自身もそういった部分を知った上でこの道に足を踏み入れたつもりだし、簡単に富や名声が獲得できるとも思っていなかった。しかし1年半がむしゃらにやってきた結果、予想を遥かに超えて辛い現状が助走つけて殴ってきた点に関しては、自分自身驚いているところだ。


さて、今後の活動に関してだが、僕はブログを辞めるつもりは毛頭ない。限界まで突き詰めて活動し「もう無理だ」と諦めが付けば引退を考えるだろう。しかしそれまでは、泥を啜るような思いで頑張ろうと思う。


ただ以前のように毎日更新に精を出したり、言葉を選んで発言するといった行為には少し時間を貰いたい。僕はまだリハビリの途中のため、あと1~2ヶ月程は更新頻度も少なめ、かつ支離滅裂な文章が続くかもしれないがご了承願いたい。


この記事を読んでいる方々は、おそらくブログ関連のネガティブな検索により訪問して下さった方々であると推察する。どの範囲までを『底辺ブロガー』と定義するかは不明であるが、僕はこの記事をそんな『底辺ブロガー』に向けて書いた。


今は結果が出ていないかもしれない。生きるのが苦痛かもしれない。しかし必ず蒔いた種が芽吹くときが来る。絶対に来るはずなのだ。これほど辛い思いでも続けているのだから。その日までお互い頑張ろうではないか。


それでは。

『似非ファン』からwowakaさんへ。

こんばんは、キタガワです。

f:id:psychedelicrock0825:20190411210449j:plain


『あの時』から、もう数日経つ。『後悔先に立たず』という言葉があるが、僕は今でもその言葉を重く噛み締める日々を続けている。おそらく文章はめちゃくちゃになっているだろうが、自身の気持ちを整理するためにも書き進めたいと思う。


4月8日。突如公式ツイッターで発表されたヒトリエのwowaka(Vo.Gt)の訃報は、日本列島を駆け巡った。ヒトリエのライブに足を運ぶ現状のファンのみならず、ボカロP時代を知るリスナーたちの悲痛な叫びが、それぞれの140文字の中にぐしゃぐしゃに書き殴られていた。


本当に多くの人に愛されていたのだ。wowakaという人は。ハチ(現・米津玄師)と共にボカロ時代を牽引してきた第一人者であり、ヒトリエを結成してからも、唯一無二のサウンドでもってロックシーンを盛り上げてきた。にも関わらず31歳の若さでこの世を去るのは、あまりにも残酷ではないか。


それこそ『メンバーの諸事情』との理由でヒトリエのツアーが中止になった時点で、「何か嫌なことが起きている」という確信はあった。数ヵ月前、同事務所に所属するFear, and Loathing in Las VegasのKeiが亡くなった際の一報も、文言ひとつ取っても似通ったものだったからだ。


そこから数日間、沈黙の時間が続いた。ファンは皆「どうか杞憂であってくれ」と望んでいたと思う。結果としてその思いは叶わなかったが、未だ実感が湧かない。あるのは虚無感ただひとつだ。


僕が個人的に彼らのライブを観たのは3回。ファーストフルアルバム『WONDER and WONDER』リリースツアーと、セカンドミニアルバム『モノクロノ・エントランス』リリースツアー、そしてサーキットイベントだ。

 


ヒトリエ『センスレス・ワンダー』MV / HITORIE - Senseless Wonder


奇しくもその3回のライブは全て『センスレス・ワンダー』からの幕開けだったと記憶している。甲高く鳴り響くギターと性急なビートは観客のボルテージを上昇させ、一瞬にして灼熱のダンスフロアに変貌させていた。wowakaが歌い始めた途端に自然発生的に手拍子が鳴り、サビに突入する頃にはモッシュとダイブがあちらこちらで発生していた。僕はもみくちゃにされながら「ヒトリエのライブはこんなに激しいんだ」と心底驚いた。


1回目のライブに衝撃を受けた僕は、そこから当時自身の住んでいる地域でライブがあるたびに通うようになった。全身ヒトリエグッズで身を包んだ状態でライブに行き、その都度モッシュに参加した。思えばシャイで内向的な僕がモッシュをするのは、ヒトリエ以外にはほとんどなかったんじゃなかろうか。


ライブ終了後には寒空の中出待ちをし、実際に彼と話をしたこともあった。人付き合いが苦手で時折言葉に詰まる僕に対し、彼は全てを包み込むように接してくれたことが嬉しかった。結果としては3回目のサーキットイベントを最後に地元である島根県に戻ることになり、それが彼を観た最後の日となった。


ほぼ毎年ニューアルバムをリリースし、アルバムツアーを回っていたヒトリエ。僕はそんな彼らのライブを、もう何年間も観ていなかった。遠征費用が足りないとか時間がないとか、あれこれ理由を付けながら、前へ進み続ける姿を最後まで見ようともしなかったのだ。


僕は自分の愚かさを恥じた。CDを購入し、各紙のインタビューに目を通し、3回ほどライブを観て出待ちしただけの分際で「自分はヒトリエの熱心なファンである」と吹聴して回っていたのだから。


何がファンだ、と思った。彼が亡くなった後に改めてアルバムを聴き直してみたが、どのアルバムも血湧き肉踊る、最高のロックアルバムだ。そんな楽曲を手掛けた絶対的フロントマンの訃報は、僕の心に罪悪感と虚無感を与えてくれた。いくら悔やんでも悔やみ切れないが、時間は戻って来ない。


wowakaが10代後半の頃に構築したボーカロイドプロデューサーとしての一面を落とし込んだバンド、それがヒトリエだった。


今でこそ米津玄師や須田景凪といったかつてボーカロイドで楽曲を製作していたプロデューサーたちが、フロントマンとして表舞台に立つことも増えてきたが、その中でもいち早くバンドに着手したのはwowakaだと思う。


はっきり言って、彼の音楽はバンドシーンでは浮いていた。彼はヒトリエ結成当初から『人力ボカロ』を徹底して貫いていた人物だ。彼の製作したボカロ時代の楽曲に『ワールドエンド・ダンスホール』や『ローリンガール』があるが、これらはバンドでは実現不可能なほどに速く、異常なほど難易度が高かった。


もちろんヒトリエの楽曲は全てwowakaが手掛けたものであるため、必然的にヒトリエの楽曲も爆速BPMでもって展開する、高難度のものばかりだった。しかしそんな楽曲群は、イガラシ、シノダ、ゆーまおという同じネットシーンで活躍していた名プレイヤーを集めることにより、100%の完成度で機能していた。ヒトリエは4人でひとつ。その4人でなければ出せないサウンドがそこにあった。


wowaka亡き今、ヒトリエがどうなるかは分からない。メンバーが「今後のことについては考えがある」とツイッターで発言していたので、何かしらのアクションは起こすだろうと思う。


しかし悲しいかな、今後wowakaが楽曲を作り歌う可能性がゼロなのもまた、間違いない事実なのだ。


ここからは余談だが、wowakaが亡くなった後、実はすぐにブログを書く予定だった。だが書き始めると全く筆が進まない。僕は何を書こうとしているんだろうと、泣きそうになってくる。結果何日も置いて今公開しているわけだが、心底「本当に好きなアーティストが亡くなったとき、こんな気持ちになるんだな」と思った。


日頃音楽についての記事ばかり執筆しているが、僕の中では『好きな音楽』と『微妙な音楽』の線引きはしっかりしていると思っている。アルバムの楽曲を4分の1くらいしか聴かなかったり、1曲だけしか知らないアーティストもたくさんいる。そんな中ふと思ったのだ。「そういえばwowakaとヒトリエの曲は全部歌えるなあ」と。


何にせよ、僕は何年もライブに行っていなかった。言うなれば僕は、彼の心からのファンではないかもしれない。いわば似非ファンだ。でも彼は心から大好きなアーティストだった。


ご冥福をお祈り致します。どうか天国でも最高の音楽を鳴らし続けてください。これからもあなたの音楽、聴き続けます。本当にありがとうございました。

f:id:psychedelicrock0825:20190411211817j:plain

f:id:psychedelicrock0825:20190411211844p:plain

 

ストロングゼロの6%バージョンは本当にうまいのか?

こんばんは、キタガワです。


酒に飽きた。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190405221956j:plain


いや、飽きたと言えば嘘になる。「飲み尽くした」というのが正しいかもしれない。


バイト終わりにスーパーへ行き、酒を数本購入し帰路に着く……。そんな生活を毎日欠かさず行った結果、僕は粗方の酒を飲み尽くしてしまったことに気付いたのだ。


そのため必然的に、スーパーでどの酒を選んでも飲むのは2回目以上の計算だ。もちろん好きな酒も何種類かはあるため、満足度70%超えは固いだろう。しかしながら『新しい酒を飲みたい』という欲求は何よりも強く、日々既存の酒を飲むたびに『コレジャナイ感』を抱いていた。


もっと刺激が欲しい。未だ見ぬ味に出会いたい。そしてあわよくば、美味しい酒であってほしい……。そんな思いで、僕は今日もスーパーに立ち寄る。


そこでふと目に入ったとある酒に、僕は目を奪われた。それは日々酒に溺れる酒カスの僕ですら、見たことのない酒だった。


それこそが今回紹介する『ストロングゼロ・瞬間シリーズ』である。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190405222102j:plain


パッケージでまず目を引くのは『アルコール6%』の表記だろう。ストロングゼロといえば、ビールを遥かに凌駕する高いアルコール度数(9%)が当たり前。その圧倒的な破壊力から『全てを忘れさせてくれる合法的手段のひとつ』としても知られている。


はっきり言って、僕はストロングゼロがそこまで好きではない。酔えはするがアルコール感が強すぎて純粋に不味いし、翌日にも響くからだ。


しかしそんなストロングゼロも、アルコール度数6%となると話は別だ。唯一のネックだった高いアルコール度数が廃された今、この『瞬間シリーズ』なるストロングゼロは一体どんな味なのか確かめたくなった。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190405222133j:plain


……というわけで購入。


公式ホームページでいろいろと調べてみたところ、この『瞬間シリーズ』の特徴は主にふたつ。果汁感の追加と強炭酸だ。ちなみにこのふたつは従来のストロングゼロと比べ、1.2倍に及ぶという。


確かにこのふたつは、昨今のアルコール飲料では重要視されている部分だ。これらをまとめて、しかもそれをストロングゼロとして売り出そうと言うのだ。いくらなんでも良いとこ取りしすぎではないか?

 

f:id:psychedelicrock0825:20190405222226p:plain

疑問は尽きなかったが、とりあえず飲んでみる。


……うまかった。


まず強烈な炭酸水が喉を刺激する。それこそウィルキンソンをイッキ飲みした後のような、強い爽快感に驚く。喉を通過した瞬間にシュワシュワとした炭酸が襲い来る様は、アルコール飲料で経験することはまずないだろう。


加えてとてつもない果汁感についても触れておきたい。それこそ他社から発売されている『果汁○%!』といった商品よりも、明らかにフルーティーかつ喉ごし爽やかで、スルスルと飲める魅力に溢れている。


逆に言えば「これ飲んだらいつものストロングゼロ飲めねえわ」と思った。物足りなく感じるのは明白だし、最悪ストロングゼロ(9%)自体を嫌いになってしまう危険性もある。しかしこんな記事を書いている以上、比較対象として買わざるを得まい。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190405222312j:plain


買った


やはりと言うべきか、ストロングゼロ(9%)は不味かった。ここまで不味かっただろうか?いや違う。これは間違いなく『瞬間シリーズ』を飲んだからだ。それは理解しているのだが、どうしても『瞬間シリーズ』のサッパリ感が頭の片隅にチラつくので9%のストロングゼロが不味く感じるのだ。


中でも最も大きな違いは爽快感だ。9%の方は炭酸があまりに弱く、飲んでいる気すらしない。


深夜に夜食を食べようと思ったとして、カップラーメンを食べるのと2本のちくわを食べるのと、同じ『食』ではあるが意味合いは大きく異なる。何というか、それに似た感覚を覚えた次第だ。飲んではいるけど飲んでいない感じというか。


個人的な結論としては、6%の新たなストロングゼロに軍配が上がった。それこそ成人を迎えた大学生にも、仕事終わりのサラリーマンにも広くオススメ出来る最高の酒。僕はこれから箱買いする予定だ。


逆に従来の9%のストロングゼロは、完全に『すぐ酔いたい人向け』である。アルコール感も強いし、ただただ美味しくない。それなら6%のストロングゼロを、2本購入する方がよほど楽しく飲める。


以上でストロングゼロのニュータイプ、『瞬間シリーズ』のレビューは終了である。僕はストロングゼロを飲み過ぎたので泥のように眠りたいと思う。それでは。

映画『グリーンブック』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190402231507j:plain
昨年のアカデミー賞。『ボヘミアン・ラプソディー』や『アリー スター誕生』を退け、見事大賞を獲得したのは『グリーンブック』だった。


僕は結果を見て、大層驚いたのを覚えている。「大賞はグリーンブックです!」。審査員長のこの発言は、大きな歓声と共に迎え入れられた。しかし僕は釈然としない気持ちを抱えていた。


その理由が黒人問題。『グリーンブック』は黒人問題を真っ向から描く、極めてメッセージ性の高いストーリーが売りだ。実際映画を観ていても黒人が白人に迫害されるシーンや、住居や食べ物、服装に至るまでを頑なに否定されるシーンが多く描写されている。


要するに僕は『黒人問題を描いてたから大賞になったのでは?』と感じたのだ。それこそトランプ政権になってから、世界各国では黒人が声を挙げることが増えてきた。


音楽で言うところのチャイルディッシュ・ガンビーノが「黒人はこう思われている」と赤裸々に暴露した楽曲がグラミー賞を獲得したり、ケンドリック・ラマーが「黒人はセックスと金と殺人しか頭にないらしいぜ」と激を飛ばしたり。で、そういった楽曲が軒並み売れ、今ではそんなヒップホップが主流になったりもしている。


極端な話、今の時代は黒人問題を描けば何でもありな気がしてならなかった。だから僕は『グリーンブック』大賞の結果には納得がいかなかったし、逆に言えば「この映画は自分の目で観て判断するしかないな」と思った。


で、観た。めっちゃ面白かった。今年の映画の中では、間違いなく現状1位である。正直馬鹿にしていた部分が多かったため、この場をもって謝罪したい。本当に申し訳ありませんでした。


ストーリーの核となるのは2人の男たち。ひとりは白人で、黒人を酷く嫌う傍若無人で粗暴な性格。もうひとりは黒人で、物静かで感情を表に出さない。


黒人は世界的ミュージシャンであり、その運転手及び世話係を依頼されたのが白人だ。白人が依頼を受けた理由は金のため。そのため当初は黒人の世話係をやることに、酷くストレスを抱えている……。


しかし共に旅を続けるごとに、ふたりの関係性は少しずつ変わっていく。実際に黒人が差別されるのを目の当たりにし、過酷な運命を背負ってまでも我を通す黒人の姿に、次第に友人としての気持ちが強まっていくのだ。


ストーリーは王道中の王道。笑いあり葛藤あり、壮大な結末ありで進んでいく。まさに映画の教科書とも言うべき流れで、粗が一切見当たらない。


絶対に観賞後は「観てよかった!」と感じる映画である。個人的にはあと3回は観れる。

 


ストーリー★★★★★
コメディー★★★★☆
配役★★★☆☆
感動★★★★☆
『アメリカの今』度★★★★★

 

総合評価★★★★☆

 


【公式】『グリーンブック』3.1(金)公開/本予告

3月のブログの裏話

こんばんは、キタガワです。


最近文章ばっかり書いてるせいか、視力がガクンと落ちてます。


裸眼はひとつのポリシーだったので崩したくはないんですけど、いかんせん全然見えなくてですね。そろそろ眼鏡買った方がいい気がしてきました。


それでは毎月恒例のブログの裏話を書き殴っていきたいと思います。文字数やたらと長いです。気になった方はタイトルクリックで記事に飛べるので是非。ちなみに今月の記事数は19でした。

 

 

アカデミー賞

本文でも書きましたが、昨年は僕の人生で一番映画を観た月でした。なのでそれこそ大賞候補に選ばれた5つの映画は全部観てましたし、それ以外の映画に関してもだいたい知ってて。


だからこそ今回のアカデミー賞は楽しみにしてました。結果は本文で語り尽くしてるのでアレですけど、個人的には『孤狼の血』が面白すぎたので是非とも大賞を受賞してほしかったですね。間違いなく昨年度のベスト映画だったので。


孤狼の血が受賞して「孤狼の血面白そう!」って軽い気持ちで借りたカップルや親子が、冒頭の豚のアレを食わせるシーンや斬首シーンで卒倒する様を見たかったです。


まあピエール瀧さんの逮捕で悪い意味で注目されるようになったわけですけど……。瀧さんの記事書いてないのでここで語らせて貰いますが、映画には何の罪もないと思うんですよね。面白い作品でしたから。「販売自粛やら配信停止の措置を取るのはどうなの?」とは思いました。


大賞に選ばれたのは『万引き家族』。まあ妥当かなと。フランス映画っぽい感じもありつつ、日本の社会風刺も盛り込んでて良かったなと。ただひとつスローペース過ぎるのは気になりましたが。

 

プラチナトロフィーが取れるゲーム

久々のゲーム記事です。思い返せば真面目にゲームについて書いたことはほとんどないなと。でもそれこそ高校~大学時代にゲームは洒落にならんレベルでプレイしてたので、ここらで書いてみようかなと思いました。


トロフィーは一種のコレクター要素に過ぎないので、別に取ろうが取るまいがどうでもいいんですけど、何かたくさん取ってると格好いいじゃないですか。「おっ、こいつやり込んでるな!」と思われるし。僕は自己顕示欲がめっちゃ高い人間なので、一時期は自慢目的でトロフィー獲得に躍起になってた時期がありました。


この記事は、そういったゲーム廃人の時期が報われた気がして嬉しかったですね。まあアクセス数の伸びには繋がらなかったですけど、僅かなニッチな層に刺さればそれでいいかなとも思ってたので。総合的には満足してます。


ちなみにこの時期の更新数が少なかった理由は、これまたゲーム関係で。面白いゲームがあったんです。『ジャッジアイズ』っていうんですけど。ほらあのピエール瀧の……。販売自粛になった……。まさか逮捕シーン見た数週間後、本当に逮捕されるとは思わんでしょと。

 

映画『ALONE』

『砂漠で地雷を踏んだ状態で2日間生き延びる』という謎シチュエーションの戦争映画。


怖いもの見たさで鑑賞したんですが「まあそうなるわな」みたいなオチで、期待は超えなかったですね。でも例えば「途中で足が吹っ飛んでも動こうとする」っていう流れだったら興醒めだなと思いましたが、本当に最初から最後までそのままの体勢で90分やりきったのは称賛に値するなと。


でもやっぱり特異な環境で描こうとすると、どうしても難しくなるなと。しかも戦争映画なので余計に人物描写が希薄になったりもして。『カメ止め』とかもそうですけど、もう『これやったら売れる』みたいなのはやり尽くされてるわけで。だから少し捻った作品で勝負かける気持ちは良く分かります。


最初は★2にしようと思ったんですが、そういった腹積もりで作ったんだとしたら、★3くらいが妥当かなと思ってこの評価にしました。

 

BLACKPINKが売れた理由

最近友人がよくブラックピンクを聴いていて、自分自身は「そんなのあるんだ」くらいにしか思ってなかったんですけど、ふと衝動に駆られて書きました。僕が記事を書くときはだいたいこんな感じ。


それこそ下のWeezerやyonige、四星球みたいなロキノン系バンドは、CD聴きまくったりインタビュー見たりっていう知識が元々あるのですぐ書けるんですけど、ブラックピンクはそうじゃないので。書く前の事前調査にかなり時間をかけた印象があります。


この記事では『EDM+ブラックミュージック+ヒップホップ』を軸にして書いたんですが、およそ当たってるんじゃないかと。あとブラックピンク聴けば聴くほど思うのは、彼女たちの曲ってめちゃくちゃ変なんですよ。アイドルに今までなかったやり方。これで売ろうと思ったプロモーション担当、凄いなと。


これもずっと書いてますけど、今のアイドルって完全にノンジャンルですよね。メタルのBABYMETALやデスボのPasscode、今のモーニング娘。もキラッキラのEDMだったり。

 

音楽文受賞

今まで生きてきて一番嬉しかった出来事。1年半諦めずに続けてきて本当に良かったです。


よく友人らから「16記事も書いてるの凄いじゃん」と言われたりして。現状で投稿数はトップだとは思うんですけど、実は8記事くらいボツになってて。実質24記事くらい投稿してるんです。


その中には5000文字以上書いたものもありますし、何度も推敲を重ねたものもあって。それがボツになったり反応がなかったりすると落ち込んでしまったりもして、正直に言うとこの1年半は地獄の日々でした。


もっと突っ込んだ話をすると、多分投稿者の大半は実際に仕事をしたり、学生だったりするわけです。だから投稿数も少ない。極端な話「暇潰し」みたいな感覚で書いてるような雰囲気があって。文字数が極端に少なかったり、友人と話すような語り口してると特に。


片や僕は音楽ライターを本気で目指してて。実際問題、この夢を持ち続けてブログやら何やらやってるわけですから。落ち込むことばっかりでしたが、「本気度だけは負けねえ」という気持ちは誰よりも強いと自信を持ってる部分はあって。根拠もない自分の文章力だけを信じて活動してきました。


あと見比べてもらうと分かるんですが、音楽文に上げたサカナクションの文章とブログのサカナクションの文章は、表現を大きく変えてます。


何年かかるか分かりませんが、次は絶対に大賞狙います。その先に仕事の依頼があったなら、もう言うことなしですね。「ブログ書く暇もないほど忙しい」っていうのがひとつのゴールなのかなと。

 

映画『祈りの幕が下りる時』

先月の裏話にて、個人的1位は『カメ止め』で2位が『祈り~』、3位が『孤狼の血』って書いたんですけど『祈り~』を観たのは昨年の始め頃でして。少し内容を忘れかけてた部分もあって、2位を確立させるためにもう一度観ることにしました。


でも何故か微妙でした。一緒に観てた母親は途中で寝てましたしね。あの頃は映画館で観てたんで、もしかしたらそれで思い出補正がかかってたのかもしれないです。ラストはめっちゃ感動するんですけど、序盤がごちゃごちゃで……。


なので『祈り~』はベスト3から除外して、代わりに『リバーズ・エッジ』をぶちこみました。リバーズ・エッジについては後述。

 

R-1ぐらんぷり2019

R-1ぐらんぷりは大好きで、それこそ10回くらい繰り返し見直す程なんですけど、今回のR-1に関してはもう二度と観ないと思います。それくらい酷かったです。


何が酷いって馬鹿な観客の存在。テレビショッピングのあからさまな笑い声とか、エンタの神様でのギャハギャハ笑う観客が嫌いな神経質な人ほど、今回のR-1は苦痛に感じたんじゃないですかね。


何でここまでキレてるかというと、R-1はピン芸人にとって人生で一番大事な舞台だからです。いままでいろんなお笑いライブを実際に観てきましたけど、売れないピン芸人ってバイトしてネタ作ってっていう、所謂社会的には最下層に分類される生き方をしてるわけで。


YouTuberや小説家、ミュージシャンやイラストレーター、それこそ今僕がやってるブログ活動なんかもそうですけど。陽の目の当たらない人たちがチャンスを得ることができる、一年に一度の大舞台があのR-1っていう大会なわけですよ。そこであんな観客に笑われたんじゃあ、全部が台無しで。


この記事を書くに当たって何回もネタ動画を見返したんですが、あの時間が一番辛かったですね。クソみたいな観客と向き合わないといけないわけですから。


でももう記事書き終わったんで、多分二度と観ないです。何度も言いますが芸人は悪くないです。悪いのは観客だけなんで。

 

yonigeライブレポ

個人的には初のyonigeのワンマンライブでした。yonigeのライブを観るのは通算で4回目なんですけど、フェスだったり対バン形式ばかりで、毎回持ち時間が30分くらいだったんです。


それが今回は2時間という。ニューアルバムもかなり良かったので観に行きました。


凄かったですね。何が凄かったって、まともなMCも楽曲のアレンジもなしで曲をずーっとやってたっていう。それこそ後々書く四星球はMCで楽しませるのを徹底してたし、海外バンドはVJバリバリに使ったり、フレデリックとかはCD音源とは全く違うアレンジをするわけで。


そんな中でyonigeからは「私らは曲で売ってんだよ!」っていう覚悟を感じましたね。同じ女性バンドで言うとSHISHAMOやSCANDALのライブ観たときも同じようなこと思ったんですが、格好良かったです。


でも少し気になったのは、ちょっと島根ディスが多いかなと。まあ何もない地方都市なんで仕方ないことなんですけど。地元民的には何か釈然としないというか、来るバンド来るバンドみんなディスって帰っていくのは悲しいなあと思いました。同じ会場でマイファスのライブ観たときボロクソに言ってて悲しくなったのを思い出しましたね。

 

映画『リバーズ・エッジ』

今年のアカデミー賞で主演のひとりが新人賞に名を連ねてて、それが気になったので鑑賞したんですが、二階堂ふみがヌードになってて驚きました。そんな情報一切知らなかったんで……。


迷ったんですがこのブログでの映画レビュー史上、初の星5(満点)にしました。ちょっとあの衝撃は忘れられないですね。自宅のテレビで画面かぶりつきで観たの、随分久しぶりでした。


間違いなく万人受けはしない作品です。でも例えば殺人事件のニュース観てて「犯人の気持ちも何となく分かるな」とか「もし逮捕されてなかったらどんな人生送るんだろう」とか、そういった風景を俯瞰で観るような人にはぶっ刺さる映画です。


登場人物はみんなクズなんですよ。「ああはなりたくねえな」っていう。でもそういう人も一定数いるし、僕も一歩間違えればそうなってたんだなとか思うと、めっちゃ面白くてですね。


この映画を「面白い」って言う人は、絶対心に深い闇を抱える社会不適合者です。なので「この映画ゴミじゃん」って感想を抱く人は、少なくともいい人生を送れてるんじゃないですかね。

 

ウィーザーのWeezer

今月発売された『Weezer』と『Weezer』により、Weezerの『Weezer』は6枚目を突破しました。……自分でも何言ってるか分かんないんですけど、これが全てです。


簡単に説明すると、Weezerは『Weezer』っていうタイトルのアルバムを出しまくってまして。それが今回で6枚目になる、という話です。


全部同じだと伝えづらいので、ファンの間ではジャケットの色を指して『ブルーアルバム』とか『グリーンアルバム』とか言ってるんですが、今回ブルーとグリーンを足した『ティールアルバム(青緑)』も出まして。もうワケわかんないですよ。嫌がらせか?


ちなみに今年もCDランキングをやる予定ですが、今のところWeezerのWeezer(ブラックアルバム)がトップです。8月のサマソニで聴けたら嬉しいんですけど、どうなんでしょう。

 

今年のサマソニ予想

今年のサマソニは各日で明確にジャンル分けされました。1日目がロッキン、2日目がゴリゴリロック、3日目がEDMフェスっていう。


もうWeezerとZedd、Two Door Cinema Clubが来る時点で後2日参戦は確実なんですけど、これほどガッツリ音楽ジャンルが分けられてると、売れ行きが少し心配かなと。


それこそ昨年は歴代最低動員だったっぽいので、20周年の今年結果が残せなかったらマズい気がします。特に大阪はガラッガラだったので……。今は全体的に洋楽人気が低いんですかね。ワンオクのライブのときにはパンパンだったのに、ライブ終わった瞬間サーって人が消えましたからね。


でも今からめっちゃ楽しみにしてます。サマソニ。去年はNoel Gallagerのライブで泣いたんですけど、今回はWeezerで泣きそうな気が。

 

米津玄師は宗教

これは彼自身を批判してるわけではなくて、あくまでも彼を取り囲む盲目なファンに向けて警鐘を鳴らす記事として書きました。過激に書いてる部分もありますが、そういうのも全部含めた今の僕の本音です。


僕がこの記事を書こうと思ったのは『King GnuとFoorinの大ブレイク』がきっかけでした。個人的にはFoorinはまだわかるとして、King Gnuがブレイクすることに対しては腑に落ちてないんです。


実際ライブも観たことありますが、世間一般に受ける楽曲ではないんですよ。絶対。もちろん我が道を貫いてたり、オリジナリティ溢れる曲を量産してることは凄いですけど、それが結果的に「売れるか?」と言われたら必ずしもそうじゃないと思うんです。


間違いなくKing Gnuが売れたのは米津玄師が取り上げたから。Foorinが売れたのも米津玄師がプロデュースしたから。更には打上花火、NANIMONO、灰色と青とか、もう米津玄師の名前出せば何でも売れる時代なんですよ。HIKAKINがセブンの商品紹介したら売り上げが伸びるのと同じ。


でもこれって、音楽業界の衰退に他ならないと思うんです。だってひとりの意見で一気にブレイクするんですよ?そんなの『音楽を聴いて評価してもらい、口コミで広がる』っていう通常のブレイクの仕方を否定してるようなもので。


そういったことに納得がいかなくて、この記事を書きました。当初は炎上するかなと思ってましたが、今のところ炎上はしてないっぽいです。良かった。

 

AKB48グループ・握手券

握手券というか、握手券兼プレゼント応募券の話。


よく『AKB商法=握手券』っていうイメージがありますが、実は応募券も相当たちが悪くて。僕自身欅坂46のCD買ったときに初めて気付いたくらいなので、多分他の人はほとんど知らないんじゃないかと思って書きました。


これ気付いたときは驚きました。握手券ってだけでもヤバいのに、その握手券の効力を無くすことでプレゼント応募券にもなるっていう。しかもプレゼント内容は私物プレゼントや生写真といった激レア物……。どれだけ金使わせるんだよと。


彼女たちが音楽番組に出まくってる理由はひとつで、『かなりのCD売り上げがある』からなんです。でも実際はその売り上げの大半が握手券やプレゼント応募券目当てに買われてるわけなので、音楽のみを基準とした本当の売り上げではないし。


書いてる途中でどんどんイラついてしまって、最終的には変な記事になりました。多分商法的には一番金が稼げる方法だとは思うんですけど、僕はなんか嫌です。

 

MOROHAライブレポ

弱者に向けて強いメッセージを送るミュージシャンって2通りいると思っていて。


ひとつがamazarashiみたいな「君の気持ちはよくわかるよ。お互い頑張って生きような」っていう寄り添いタイプ。もうひとつが今回のMOROHAみたいに「テメエが頑張るしかねえだろうがボケ!甘ったれんな!」って激を飛ばすタイプ。


でもよく考えてみると、後者のミュージシャンってほとんどいないんです。僕がMOROHAを好きな理由は、物凄い頑固でプライドが高くて、一匹狼で自分の鳴らす音楽に絶対の自信を持ってるからなんです。形は違うんですけど、それって今の自分と似てるなと思ったりもしてて、勝手に仲間意識を持ってたりします。多分MOROHAは仲間意識持たれるのめっちゃ嫌いだと思うんですけどね。


セトリは大半が新曲。これも前しか向かないMOROHAらしいなと。

 

四星球ライブレポ

『ライブ中どれだけ痩せたかを競う』っていうだけでも抱腹絶倒なのに、フロアに降りて観客と歌ったり観客に肩車させたりするもんだから、めっちゃ面白かったですね。


やっぱり地下のロックってこうじゃなきゃなーと思いました。普通に演奏するだけじゃなくて、ルール無用の何でもありなライブ。僕は「普通に曲やりますよ」ってバンドはあんまり好きじゃなくて、どれだけ「ライブでしか出来ないことが出来るか」っていうのを重要視してます。それこそ曲中でアドリブ連発するとか、客席との一体感とか。


そういった点で言うと今回の四星球のライブ、久々に衝撃を受けました。デカいステージじゃ絶対出来ないパフォーマンス、素晴らしかったです。また行きたいですね。

 

3月某日

今月も総じてかなり病んでた月でした。次の200記事突破の記事でも書いてる通り、全く閲覧数が増えないブログ活動に限界を感じてしまって、悩みすぎて動けなくなってました。


でも「何か書かなきゃいけない」という危機感とプレッシャーはいつもあって。でも気付けば文章自体もまともに書けなくなってて。しかも書くなら書くで中途半端な文章は書きたくないしっていう、そんなブログ活動とプライドの間でかき混ぜられてぶっ壊れてましたね。


この記事に関しては、書いた記憶すらほとんど覚えてないんですよ。多分「もうブログ辛い」って半ば諦めみたいな感じで書いてたと思うので。何かいろいろぐちゃぐちゃになってました。

 

200記事突破

メンタルが死んでた時期に書いたもんだからネガティブな内容になりました。


でもこれが今の僕の飾らない全てです。正直全然嬉しくもなかったですし。本来200記事っていう数字は凄い数字のはずなんですけど、「ここまで書いて結果出ないのヤバいよね」っていうのがよく分かる数字でもあるんですよね。200は。


「簡単に結果は出んだろうな」と思って始めた道ですけど、心どこかには「そんなこと言いながら200記事くらいで結果出てるっしょ」と思ってもいたんですよね。何かしらの執筆依頼がくるだろうとか、純粋にアクセス数が上がったりとか。


でも実際は違って。執筆依頼どころかアクセス数も半年前とほぼ変わらないっていう現状に直面してしまったときに、一回心の電池が切れた部分はありました。


とりあえず300まではやろうかなと思ってます。引退するのはいつでもできるんで、今はやるしかないなと。

 

サカナクション発売延期

何となく予想はしてました。前回のツアーで『マイノリティ』っていう新曲を披露する予定が、歌詞に納得いかないので披露するのやめましたっていう話を山口さん自身から聞いてたのもあって、不思議と納得しましたね。


でもこれで最高のアルバムができたら格好いいなと。それこそ今までも完成度の高いアルバムばかり出してるんで、期待してます。今から音楽雑誌がサカナクションを表紙にしまくる画が浮かんできます。


僕個人の話になるんですが、このツアーのチケットを先日売りに出しました。月末近くになって銀行の金が確か5000円くらいしかなくて、「絶対死ぬわ」と思って泣く泣く決断しました。行きたかったんですけどね。仕方ないっす。

 

 

以上、3月の裏話でした。今調べたら文字数8000超えてました。バカですね。


さて終盤の記事にも書いた通り、僕の正直な気持ちとして、今のブログ運営には限界を感じています。特に今月は文章が全く書けなくなったり、書くとしてもひとつの記事に何日も使うことが多くなりました。


別に書いても誰も読まないしなっていう。


誰とも話さなくなったり、いろんなことにイラついたりストレス感じたりしててマズい時期でしたね。ちなみに一番イラついたのはHIKAKINの令和の動画でした。画面ぶん殴りそうになりました。


4月になりましたが、とりあえずはブログ続けます。その後のことは、そのとき考えようかと思ってます。


それではまた、来月。