キタガワのブログ

島根県在住。音楽ライター。酒浸り。

米津玄師は宗教だ

こんばんは、キタガワです。

 

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米津玄師ブームが止まらない。止まる気配さえない。


『Lemon』のPVは日本人初の3億回越え、ダウンロード数200万回。発売から1年以上が経過しているにも関わらず、CD売上では未だトップに君臨し続けている。更には音楽番組であるスペースシャワーTV内で『週間CDランキング』なるものが放映されれば、放送時間の4分の1は米津玄師の楽曲だ。

 


米津玄師 MV「Lemon」


どこもかしこも米津玄師。米津玄師、米津玄師……。もはや「広辞苑に載るんじゃなかろうか?」と疑問に感じるほどに、今の日本音楽シーンは米津玄師一強時代と言える。


先に書いておくが、別に僕は米津玄師アンチではない。彼のCDも聴くしカラオケでも歌う。彼の楽曲は純粋に「完成度の高い楽曲だなあ」と思うし、耳馴染みも良いので、それは売れるだろうなと感心する部分は多い。


そう。米津玄師は何も悪くない。問題なのは『日本全体が米津玄師に盲目になりすぎている』という点である。こう言っては失礼かもしれないが、彼の人気とそれに影響されるファンの構図は、一種の宗教じみた怖さを感じてしまうのだ。


今回はそんな話。

 

 

米津玄師の言葉は総理大臣より重い

彼のツイッターが分かりやすいのだが、彼の発言に関しては皆一様に、ストーカーじみた目付きで刮目している。


おそらく彼が「おはようございます」といった空虚な言葉オンリーで呟いたとしても、数千リツイートは下らないだろう。これはあながち冗談ではない。極端な話、もし米津玄師が自民党政権を批判したり犯罪者を擁護する発言をしたとしても、「ヨネケンが言ってるから」という理由でもって肯定する盲目な若者は一定数いると思う。

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例えば上記のツイート。教師のひとりの行動によって、ひとりの生徒の心が蹂躙される様を痛烈に描いている。「今なお人格の一部として機能してる実感がある」と述べているのは、『かつての米津青年はこの事件によって今の人格を形成してしまった』という隠喩だろうか。


このツイートに関しては、米津玄師が強い怒りを内包して呟いたものだと推測する。どれだけ軽はずみな行動であっても、年端もいかない人間にとっては大きな傷となり得るのだということを身をもって体験した、彼にしか書けない辛い思いだ。


しかしひとつ気になったのは、このツイートを見たファンの反応だ。そこには1600を超えるリプライでもって、多くの反響が寄せられていた。


一読して驚いた。「感動した」「私もそう思います」「米津さんありがとう」……肯定意見のオンパレードがそこにあった。反対意見はただのひとつもない。まるで国の圧力で大規模な検閲が行われたかのように、口を揃えて称賛の声を送っていたのだ。


今は某動画サイトの有名配信者のコメント欄でさえ、賛否両論が交わされる時代である。テレビ番組にも、コメンテーターの発言にも。絶対に『否』の意見は存在しなければおかしいのだ。にも関わらず、米津玄師のリプライ欄は皆一様に『賛』のみ。中には「泣きました」という人さえいた。

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更にはこのツイート。紅白歌合戦で歌唱後に呟いたものと見られるが、何と13万リツイート、62万いいねを記録している。ツイッターでは『1万リツイート達成する=大きくバズった』と見なされる傾向があるが、米津玄師がふいに呟いた「紅白歌合戦ありがとうございました」はそれを遥かに凌駕する。


何時間も執筆して色付けした絵師のイラストよりも、猫がはしゃぐ動画よりも、流行りのパロディーネタよりも。その何倍もの拡散力でもって、米津玄師の言葉は日本列島を駆け巡っているのだ。


僕が冒頭で「宗教じみた怖さを感じる」と述べたのはこういった理由のためだ。全員ではないにしろ、物事を『米津玄師』というフィルターを通して見るだけで黒が白になり、反対が賛成になり、嫌悪が愛好に変わり、何もかもが輝いて見える人は少なからず存在するのである。

 

日本の音楽シーンへの影響

先程は彼の発言に焦点を当てたが、次は音楽シーンへの影響について見ていこう。


まず大前提として、米津玄師の音楽は今のジャパニーズ・ミュージックのド真ん中に位置していることをご理解いただきたい。

 

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上の画像はある時期に発表されたYouTubeの音楽チャート『音楽ランキング』の結果である。ご覧の通り1位~10位までの楽曲のうち、4つもの楽曲が米津玄師だ。しかもこの結果は米津玄師人気の、ほんの一部分に過ぎない。初期の代表曲『アイネクライネ』や『ゴーゴー幽霊船』等を鑑みれば、おそらく11位以下のランキングにおいても米津玄師の名前は至るところに出現していることだろう。

 

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更に前述した『音楽ランキング』をアーティスト別に分けたものがこちらだ。何とTwiceやBTS(防弾少年団)といった今をときめくK-POPアーティストや、あいみょんやMr.Childrenら誰もが知っている日本人歌手を抑え、堂々の1位に君臨。良く見ると動画の再生回数もとんでもない。そこには『ある程度人気があるミュージシャン』が束になっても勝てないほどの、高い高い壁が立ちはだかっていた。


米津玄師ブランドは、彼自身の人気に留まらない。最近音楽チャートで数ヶ月間上位に食い込んでいる『Foorin』というグループがいるが、調べたところ『米津玄師プロデュース』という触れ込みで知名度を獲得したグループだった。ロックシーンの革命児と謳われるKing Gnuも、思えば最初に導火線に火が点いたのは米津玄師がツイッターで取り上げたのが理由だったという。


他にもTempalayや中村佳穂といったアーティストもそう。某動画サイトを分析してみると、米津玄師が引用リツイートした動画の再生数だけが群を抜いて高かい状態にある。そうした現状を考えると次第に「音楽シーンでさえも米津玄師に踊らされているのでは?」という疑念が真実味を帯びてくるのだ。


『打上花火』以外のDAOKOの楽曲を、あなたはいくつ歌えるだろうか。『灰色と青』で有名な菅田将暉のアルバムを聴いたことはあるか?『NANIMONO』で映画主題歌を書き上げた中田ヤスタカが、一体どんな人物か知っているか?


これらの問いにしっかりと答えられる人は、日本に一体何人いるだろうか。『米津玄師がオススメしたアーティストは100%有名になる』というのもあながち間違いではない。ゆっくりと確実に、今の日本の音楽シーンは米津玄師を中心に回っているのである。今年(2019年)の紅白歌合戦の出演者のうち、米津玄師経由で売れたアーティストは何組いるだろう……。

 

さて、今回の記事について、あなたはどう感じただろう。いろいろな解釈があって然るべきではあるが、特に米津玄師ファンにとっては憤慨するような内容になっていることと思う。


しかしタイトルにも本文にも繰り返し書いた『今の米津玄師は一種の宗教である』という点に関しては、完全に否定できない部分もあると思う。


僕は米津玄師アンチではない。単に今の日本が米津玄師を中心に回っている構図が気に食わないだけなのだ。


今後何年間とこの構図が続けば、日本はどんどん悪い方向へと突き進むだろう。「自分はあまり好きじゃないけどヨネケンが勧めてくれたから好きになっちゃった」と『自分の考え<米津玄師』になる人。彼のツイートに目を光らせる若者。彼のおこぼれに預かろうと、媚を売る人も出てくるかもしれない。


そうなったら日本は終わりだ。


読者貴君も今一度、米津玄師一強時代となった現状を考え直してみてほしい。


それでは。