こんばんは、キタガワです。
昨年のアカデミー賞。『ボヘミアン・ラプソディー』や『アリー スター誕生』を退け、見事大賞を獲得したのは『グリーンブック』だった。
僕は結果を見て、大層驚いたのを覚えている。「大賞はグリーンブックです!」。審査員長のこの発言は、大きな歓声と共に迎え入れられた。しかし僕は釈然としない気持ちを抱えていた。
その理由が黒人問題。『グリーンブック』は黒人問題を真っ向から描く、極めてメッセージ性の高いストーリーが売りだ。実際映画を観ていても黒人が白人に迫害されるシーンや、住居や食べ物、服装に至るまでを頑なに否定されるシーンが多く描写されている。
要するに僕は『黒人問題を描いてたから大賞になったのでは?』と感じたのだ。それこそトランプ政権になってから、世界各国では黒人が声を挙げることが増えてきた。
音楽で言うところのチャイルディッシュ・ガンビーノが「黒人はこう思われている」と赤裸々に暴露した楽曲がグラミー賞を獲得したり、ケンドリック・ラマーが「黒人はセックスと金と殺人しか頭にないらしいぜ」と激を飛ばしたり。で、そういった楽曲が軒並み売れ、今ではそんなヒップホップが主流になったりもしている。
極端な話、今の時代は黒人問題を描けば何でもありな気がしてならなかった。だから僕は『グリーンブック』大賞の結果には納得がいかなかったし、逆に言えば「この映画は自分の目で観て判断するしかないな」と思った。
で、観た。めっちゃ面白かった。今年の映画の中では、間違いなく現状1位である。正直馬鹿にしていた部分が多かったため、この場をもって謝罪したい。本当に申し訳ありませんでした。
ストーリーの核となるのは2人の男たち。ひとりは白人で、黒人を酷く嫌う傍若無人で粗暴な性格。もうひとりは黒人で、物静かで感情を表に出さない。
黒人は世界的ミュージシャンであり、その運転手及び世話係を依頼されたのが白人だ。白人が依頼を受けた理由は金のため。そのため当初は黒人の世話係をやることに、酷くストレスを抱えている……。
しかし共に旅を続けるごとに、ふたりの関係性は少しずつ変わっていく。実際に黒人が差別されるのを目の当たりにし、過酷な運命を背負ってまでも我を通す黒人の姿に、次第に友人としての気持ちが強まっていくのだ。
ストーリーは王道中の王道。笑いあり葛藤あり、壮大な結末ありで進んでいく。まさに映画の教科書とも言うべき流れで、粗が一切見当たらない。
絶対に観賞後は「観てよかった!」と感じる映画である。個人的にはあと3回は観れる。
ストーリー★★★★★
コメディー★★★★☆
配役★★★☆☆
感動★★★★☆
『アメリカの今』度★★★★★
総合評価★★★★☆