こんばんは、キタガワです。
あなたは『BLACKPINK(ブラックピンク)』という名のグループをご存知だろうか。
彼女らは2016年にK-POPアイドルとしてデビューし、今最も人気を博しているグループのひとつとして知られている。
公式ツイッターには日々大量のリプライが相次ぎ、先日『SUMMER SONIC 2019』への出演が発表された際は、他の出演者を凌駕する程感謝のメッセージで埋め尽くされた。
僕は「そんな確固たる地位を築いているブラックピンクの楽曲とは、どんなものなのだろう」と興味を持ったのは必然だった。
そこで今回は『ブラックピンクが日本で売れた理由を紐解く』と題し、その特徴的なサウンドや売れ方に関して徹底的に掘り下げていきたいと思う。
それではどうぞ。
そもそもK-POPの需要は高かった
東方神起やBTS(防弾少年団)、KARAや少女時代。今ではSEVENTEENやTWICEなど。日本の音楽市場において、K-POPが占める割合はかなり高い。 ドームツアーは毎回ソールドアウトし、週間売上チャートにも毎回名を連ねる存在。それがK-POPアーティストなのだ。
それこそ前述したKARAの華々しいデビューから考えると、日本国内だけで見てもざっと10年以上に渡ってK-POP人気は持続していることになる。僕はK-POPの造詣が深い訳ではないので理由は定かではないのだが、日本にはない独特な歌詞や顔面偏差値の高さからのアイドル性が、人気の秘密なのだと予想する。
聞くところによると、韓国国内よりも日本のライブ動員の方が圧倒的に上であるというデータさえあるほど。要は日本におけるK-POP人気は他国と比べても異常なレベルで高く、簡単に廃れることはないのである。
だからこそ。ブラックピンクが日本に進出してきた時点で、ある程度の人気は獲得していたと見るべきだろう。
レコード会社からすれば「韓国アーティストは出せば売れる」と言うと言葉は悪いが、間違いなく一定数の需要は見込めると踏んだ。そしてそれは現実のものとなったわけだ。
次はブラックピンクの音楽性に迫っていきたい。
『ヒップホップEDMアイドル』の確立
かつて当ブログでも取り上げてきたが、今の音楽シーンは世界的に見て、ヒップホップ人気が高い傾向にある。
ドレイクやケンドリック・ラマー、チャイルディッシュ・ガンビーノといったヒップホップアーティストがグラミー賞総なめにした事実からも、おおよそ間違いない。
加えて世界的に『売れるための教科書』とも言うべきサウンド、EDMについても触れておこう。AviciiやCalvin HarrisといったDJ人気により、一時期の海外チャートはEDMアーティストが独占することもしばしばあった。それこそ今まではEDMを頑なに拒んでいた有名アーティストでさえも『新機軸のサウンドだから』とプライドを捨て、EDMに片足を突っ込むこともあるほどだった。
しかし時が経つにつれ、かつて一世を風靡したキラキラとした盛り上がり一辺倒のEDM音楽は下火になった。代わりに今は少しBPMを落とした楽曲や、憂いを帯びた楽曲が売れるとされている。
……以上の事象を踏まえて、ブラックピンクの楽曲を見ていこう。
彼女らのサウンドは、それこそヒップホップとEDMのハイブリッドである。
もちろん歌メロ要素が大半ではあるのだが、楽曲中には必ずヒップホップのテイストが含まれている。それこそ『DDU-DU DDU-DU』における、LISAの歌唱がそれだ。韻を踏みつつ矢継ぎ早にリリックを繰り出す手法は、あまりにも特徴的。自身のダークな恋愛観を剥き出しにする散弾銃の如きスタイルは、完全にヒップホップのそれだ。
BLACKPINK - ‘뚜두뚜두 (DDU-DU DDU-DU)’ M/V
サウンドに焦点を当ててみると、総じてバックで鳴る音像にはギターはほとんど含まれておらず、ドラムもPCの打ち込みで鳴らしている。核となっているのは鍵盤楽器で、印象的なフレーズをループさせることによって進行する。この形に関してはEDMをモチーフにしていると推測される。
『感情を伝えるのに最も適した方法』とも称されるヒップホップと、今流行りの低音EDM。このふたつを組み合わせたブラックピンク。ことサウンドに関してはいわゆる『美味しいとこ取り』だ。世間一般の音楽ニーズに寄り添う、非常に賢い方法と言えよう。
サビ部分の完全EDM化
音楽理論上、音楽において最も印象に残る部分はサビ部分であるとされている。
DA PUMPの「カーモンベイビーアメリカ」然り、米津玄師の「あの日の悲しみさえ」然り。サビが印象的であれば印象的であるほど、楽曲自体が認知されやすくなる。そのため基本的にはどんなアーティストでも、最も力を入れる部分はサビ部分なのだ。
ここで注目したいのがブラックピンクのサビ。
ブラックピンクのサビ部分の大半はメロディーのみの進行である。そこに印象的なフレーズはほとんどない。『BOOMBAYAH』や『DDU-DU DDU-DU』といったヒット曲も同様。サビに歌詞を付ければ良さそうなものを、BLACKPINKはあえてそうしなかった。
これこそEDMの王道的手法と言える。曲が最も盛り上がる段階にメロのみを投入する……。これは音楽用語で『ドロップ』と言われる手法なのだが、ブラックピンクはこのドロップが極めて多い作りになっている。
BLACKPINK - '붐바야'(BOOMBAYAH) M/V
TWICE「One More Time」Music Video
同じK-POPアーティストであるTWICEと比較すると分かりやすい。上に比較PVを用意したので見て貰いたい。これを見ると、サビ部分だけを考えても180度異なる作曲方法を取り入れていることが分かる。
ここ数年で『ドロップ』は世界各国で使われ続けている。もちろん理由は記憶に残りやすいから、ということからだが、この手法をK-POPアーティストが使うというのは僕自身ほとんど聞いたことがない。
音楽には『定番+多少のズレ』を含んだものがベストとされているのだが、僕がブラックピンクのアルバムを聴いて初めて抱いた感想がその『ズレ』だった。他のK-POPにはない作曲方法に対し、少し違和感があった。
だが聴き続けるうちに気にならなくなり、今ではガンガン聴けるようになった。そう。結果としてひとつの魅力として昇華していたのだ。間違いなく作曲者はこの違和感を意図して作っているのだろうと思うし、もっと言えば今の楽曲の認知度に至っても、全て計算ずくなのだろう。
おわりに
さて、いかがだっただろうか。ブラックピンクが日本で売れた理由の解説。
もちろん僕個人が勝手に解釈した事柄なので、100%正しいとは言い切れない。しかしこの考えを「間違っている」と一蹴出来ない部分もまた、事実だと思うのだ。
僕はブラックピンクの楽曲をまだファンと呼べるほど聴き込んではいないが、漠然と「いい曲だなあ」と感じている。それこそTSUTAYAでガッツリレンタルするくらいには。
何事も売れるには理由がある。今後も彼女らは国内外問わず、幅広く活躍する存在となるだろう。世界中が『BLACKPINK IN YOUR AREA』になる日も近い。まずは8月の来日ライブに期待したいところ。