こんばんは、キタガワです。
世の中には『戦争映画』というジャンルの映画は数あれど、正直やり尽くされた感があると思うのだ。
「我が国のために命を捧げます!」「愛すべき家族が待っているんだ!」と孤軍奮闘し、結果としてお涙頂戴の結末を迎える戦争映画はもう飽き飽きしている。
戦争映画はそれこそ世界に何百とある。そのためひとつくらいは、誰もが考えもしなかったベクトルから着眼点を見出だす作品も生まれて然るべきだとも思っている。
そんな中満を持して2018年に公開された作品、それが『ALONE(アローン)』である。
時は戦争真っ只中。砂漠のど真ん中で対象を狙っていたスナイパー2人組は、暗殺任務失敗のみならず、砂漠を歩き続けるという地獄のような体験をすることとなる。
町までは徒歩で残り2時間。「日暮れまでには着けるだろう」と過信していた彼らの元に、地雷源が姿を現す。十中八九、目視出来ない位置に隠されているのが地雷である。勘で通りすぎられる筈もなく、仲間の一人は無惨に爆死する。
直後、残された主人公も地雷を踏んでしまう。ここからがこの映画の肝。主人公は水も食料も尽きた中、約52時間堪え忍ぶ選択を強いられてしまうのである。
この映画を観るに当たって、読者の脳裏を過る懸念はひとつ。「本当にこのシチュエーションだけで2時間やれるのか?」という点。
左足は地雷を踏んでいるため動けない。使えるのは両腕と右足だけだ。通常、映画は多くの場面展開が必要不可欠と言える。そんな常識を『ALONE』は完全に無視し、この最低限の状況下だけで起承転結を描こうというのだ。
だが結果として『ALONE』はラストまで描ききった。ネタバレになるので詳しくは書かないが、物語上の起伏や重要なポイントもしっかり押さえていたし、なおかつこの状況下で人との関わりも描いていた。
冒頭部分の謎が残ったりもしたが、総じてまあまあ面白かったと言えよう。もしも自殺するオチを持ってきたのならばぶちギレていただろうが、満足のいく出来だったと思う。
全編通してシリアスな戦争映画であった。何度か疑問に感じるシーンはあるものの、着眼点は見事。既存の映画に飽きた人、違ったシチュエーションで映画を楽しみたい人には良いのでは。
ストーリー★★★☆☆
コメディー☆☆☆☆☆
感動★★☆☆☆
配役★★☆☆☆
左足動かせない度★★★★★
総合評価★★☆☆☆