キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

映画『リバーズ・エッジ』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。

 

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始めに結論を書いておくが、今まで何度も映画レビューを行ってきた当ブログにおいて、僕は初めて星5つの最高評価を下すつもりでいる。


映画『リバーズ・エッジ』を語る際には、映画とは関係のない部分にスポットが当てられることが多い。例えば当時23歳だった二階堂ふみが劇中で乳首を出しているとか、吉沢亮が日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したとか、R15作品であるとか……。


はっきり言って、そんなことはどうだっていいのだ。


僕が声を大にして伝えたいのは、この映画は人の真っ黒な部分を剥き出しにした、最高峰の人間偶像劇であると言うことだけだ。


登場人物には、いわゆる世間一般で言う『普通の人間』に分類される人はひとりもいない。セックス依存、ヤンキー、神経性過食症患者、ニート、ヤンデレ、未成年喫煙者、性同一性障害……。予め学校生活で孤立を約束されているような、不遇な人生を送る学生たち。そのどれもが痛く、苦しい。


そして重要なのは、彼らはいずれも意思を持たない『からっぽの人間』であると言うこと。セックスも学校生活もドラッグも。何となく手を出しただけで、そこに確固たる自分らしさは一切見出だせないでいる。日々を食い潰してただ息をしているだけの人間だ。


この映画では無為な人生を送る学生が『死体を見付けた』ことから端を発する。死体の存在は自分しか知らない……。それはからっぽの人間が初めて見付けたアイデンティティーであり、次第に絶対に守り抜きたいという感情へと変わっていく。


ここまで述べた事柄からもお分かりの通り『リバーズ・エッジ』は万人受けする映画ではない。人によっては嫌悪感を抱く部分も多いだろうし、オブラートに包む気配すら見せない過激な描写の数々は、どす黒い内面をありありと映し出す。


あなたにとってこの映画はどう映るだろう。クソ映画か、大傑作か。はたまたそれ以外の何かか。いずれにせよハンマーで頭をぶん殴られたような、未だかつてない衝撃を与えられるのは必然。


鬱屈した人間や周囲を俯瞰で見る人間にとっては、間違いなく名作となり得ると思う。少なくとも僕個人としては、後世に語り継ぎたい名作であると感じた次第だ。脚本を考えた人はどうかしているし、「面白い」と思う人もどうかしている。


よってこの映画を「つまんね」と感じた人は、世間一般で言う『正常な人間』なのだろう。おめでとう。

 

ストーリー★★★★★
コメディー☆☆☆☆☆
感動★★★☆☆
配役★★★★☆
正常ではない人間度★★★★★

総合評価★★★★★

 


映画『リバーズ・エッジ』本予告