キタガワのブログ

島根県在住。音楽ライター。酒浸り。

3月某日

こんばんは、キタガワです。

午前2時。

酒をしこたま買い込んでいたはずが、気付けば最後の1本を残すのみとなった。くそったれと悪態を付くのは良いが、酒がどこからともなく現れ出るはずもない。仕方なく近所のコンビニに買いに出る事にした。

とは言え既に寝間着を身に付けている。面倒なので上半身には寝間着の上に厚手の服を羽織り、下半身にはスキニージーンズを履くことで「外出用の服」とした。服の下に着ている寝間着のせいで不自然に盛り上がって見え、酷く滑稽に思えた。

あまり寒くはないだろうと侮っていたが、現実は残酷だ。冷たい夜風が顔面をぶん殴り、僕は外出した事を一瞬にして後悔した。最高の仕打ちだ。コンビニまでは後何メートルだろうか。さほど遠くはないだろうが、気が遠くなる思いがした。先程かさぶたを剥いだ箇所が「早くしてよ」と喚いた。

深夜ともなれば、車の行き交いや人の往来は皆無と言っていい。それが島根県松江市という環境なら尚更だ。僕は赤信号が点滅した道路を渡りながら、一人優越感に浸っていた。午前2時、今この瞬間だけは僕の独壇場だ。

コンビニに着くと店員が忙しなく開梱作業に当たっていた。日付が変わって今日発売のヤングマガジンの数が多く悪戦苦闘しているようで、見たところ20冊はありそうだった。僕自身夜勤のコンビニ経験が長かったのでよく分かる。おそらく店員の脳内では全てのヤンマガを破り捨てたい欲求が膨らんでいる事だろう。

僕はビールを一缶買うと、直ぐ様コンビニを後にした。

帰る道中、体から酒が抜け始めている事に気付いた。これほど苛立つ事もない。幸せな時間は長くは続かないと言うが、アルコールも同様だ。今でこそ多幸感に満ち溢れているが、抜けてしまえば即座に絶望が目を覚まして憂鬱な現実に逆戻りだ。

そんな状態になるのが嫌で、今しがた買ったビールを胃に流し込んだ。それでも全く酔えない事に、また苛立った。

帰宅すると父がいた。どうも僕同様酒を飲み過ぎたあまり、途中で目が覚めたようだった。ふらりと僕を一瞥すると「おう、ビールなら冷蔵庫にあるで」と言い残し、また水で割ったウイスキーを片手に寝室へと戻っていった。

父は、僕が冷蔵庫にあった酒を盗んで飲んでしまっている事に、最後まで気付いていなかった。

今は買ってきたビールを飲みながら、まるで遅効性の毒のように回るアルコールに翻弄されつつブログを書いている。「たまにはこういう日もいいな」と思ったが、直後にこの日々こそが日常である事に気付き、一人で高らかに笑うのだった。