キタガワのブログ

島根県在住。極力誰とも関わりませんので悪しからず。目標は音楽ライターであり、ブロガーではありません。

wowakaのいないヒトリエを初めて聴いた日

こんばんは、キタガワです。

 

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「6月1日に『wowaka追悼 於 新木場STUDIO COAST』を行うにあたって、その日が何かの区切りになるわけではないと言いました。僕らは今までヒトリエが生んできた曲を、wowakaが歌った曲を、過ごした時間と場所を、必要としたままでいいと思っています」

「ただどんなに考えても、これからヒトリエとして何をやるべきなのかわかりません。 この先何年時間をもらったとしても、正解なんて出せる気がしません」

「だから1度、3人でツアーに出ようと思います」


バンドメンバーであるイガラシ(Ba)による上記のコメントが公式サイトにアップされたのは、wowakaがこの世を去ってから約2ヶ月半後のことだった。ヒトリエは活動休止も解散もサポートメンバーを入れることもなく、再び歩む決意を固めたのだ。


……忘れもしない4月5日。ヒトリエの全楽曲の作詞作曲を務め、バンドの中心で高らかな歌とギターを響かせていたwowakaは4月5日、若くしてこの世を去った。享年31歳。あまりに早い別れだった。


当然の如くバンドの中心人物であるwowakaの急逝は、ヒトリエに暗い影を落とした。全国ツアーはキャンセル。各地のフェス出演も見合わせる事態となったのはもちろんのこと、今後の活動の目処自体が一切立たない状態が続いた。ボーカルとギターのみならず、全楽曲の作詞作曲を務めていたwowakaの死。それはあまりにも絶望的で、また危機的状況であったのは言うまでもないだろう。


だが彼らは止まらなかった。6月に行われた追悼会での「絶対、絶対会いましょう」との言葉を体現するかのように、7月には『HITORI-ESCAPE TOUR 2019』と題された全国ツアーの開催を発表。そのライブの地として選ばれたのは、本来ニューアルバム『HOWLS』のリリースツアーで回る予定であったライブハウスを含む15ヶ所だ。


新たな道を歩み始めたヒトリエ。そう、今回のツアーは世間一般的なライブツアーとは一線を画すものである。追悼会のような画面越しではなく、今の『生のヒトリエ』をいち早く見届けることの出来る貴重な機会なのだから。僕はすぐさまチケットを入手し、片道3時間をかけ、一路広島に向かった。


会場中に入ると全会場がソールドアウトと言うことからも分かる通り、見渡す限りパンパンの客入りだ。グッズの販売列には早くも長蛇の列が出来ており、狭い通路に大勢のファンが密集する事態と化していた。中には過去のツアーのTシャツやタオルを身に付けたファンも多数見受けられ、今回のライブにかける熱い思いが伝わってくるようでもあった。


定時を少し過ぎ、Foalsの『On The Luna』のSEに乗せてステージに降り立ったメンバーは、ゆっくりと定位置に着く。向かって右側にシノダ、左にイガラシ、その後ろにゆーまお(Dr)……。今まで何度も観てきた光景がそこにはあった。


ただひとつだけ違ったのは、本来wowakaが立っているはずの場所だけが、ぽっかりと抜け落ちていたこと。仕方のないことではあるものの、その光景を目の当たりにした際に覚えた瞬間的な喪失感は、どうしても抗えない感情だった。


チューニングの後にシノダが「ヒトリエです、よろしくどうぞ」と短く発すると、数々のライブでオープナーを飾ってきた思い出深い楽曲が鳴らされる。

 


ヒトリエ『センスレス・ワンダー』MV / HITORIE - Senseless Wonder


瞬間僕を襲ったのは、強い違和感だった。


理由は主にふたつある。まず第一に、ギター1本分の音が消失していたこと。リードギターを担当していたシノダがギターボーカルに転向することや、それに伴ってギターパートそのものをひとり分削らざるを得ないといった情報は、4月に行われた『wowaka追悼 於 新木場STUDIO COAST』の時点でも明らかになっていたし、自分自身もそうしたかつてのヒトリエとは異なる事象を事前に飲み込んだ上でライブに臨んだつもりではあった。


しかしながら、実際に対峙したそれは物足りなさを味あわせるには十分なものだった。その根拠はあまりにも単純で、ヒトリエの楽曲はシノダとwowakaのふたりのギタリストが呼応して初めて成立するように綿密に計算されているからである。


4月のライブで「忙しい曲ばかり作りやがって……」とシノダが語っていた通り、『演奏』という一部分だけを切り取ってみてもヒトリエの楽曲の難易度は極めて高い。BPMの遅い曲ならいざ知らず、アッパーな楽曲ではチョーキングや速弾きを駆使したものが多く、加えてブレイクの時間もほとんどないため、基本的にwowakaとシノダのギターは楽曲の始まりから終わりまで十中八九鳴り続けている。


そんなギターの音色がひとつ無くなるということは、ヒトリエをヒトリエたらしめていたメロディーラインの根幹を揺るがしかねない致命的なものであり、総じて過去のライブに一度でも参加したことのあるファンにとっては『音の厚み』という点では物足りなさを感じたことだろうと思う。


そして何より『歌い手が異なる』という最大の相違点に関しては、ライブ中常に頭の片隅にモヤモヤとした感情として残り続けており、数週間が経過した現在においても完全には飲み込めないでいるというのが正直なところだ。

 


ヒトリエ 『トーキーダンス』MV / HITORIE – Talkie Dance


ヒトリエの楽曲のキーは高い。男性の声域は人によって様々なので一概には言えないが、特にサビ部分に関しては少なくとも世間一般的に例えられる『カラオケで歌うには結構キツい』部類には入ることだろう。


しかしながらそのwowakaのキーの高さこそが、ライブにおいては重要なストロングポイントとして確立していたのも事実なのだ。


話は少し脱線するが、例えばフェス会場等で普通のトーンで話す声が「え?」と聞き返されたり、逆に駅周辺の人混みの中、高い声だけは空間を切り裂くように聞こえるといった経験がある人は少なくない。……とどのつまり低音というのは、周囲の音に埋もれやすいのである。そう考えるとバンド全体の音圧が大きいヒトリエにとって口をさほど開かずとも遠くまで響きくwowakaのキーの高さは絶妙にマッチしていた。シノダのボーカルも決して悪くはない。悪くはないが、wowakaよりシノダのボーカルは若干の低音であることや、何よりもヒトリエのライブに何度か触れてきた身としては、どうしても比較せざるを得なかった。


さて、ここまでは主にマイナス面ばかりを列挙してきた。今回のライブは前述したようにサウンド面の物足りなさやボーカルの変更と、今までのヒトリエの音楽に触れたことのある人であればあるほど、ある種の喪失感を抱かせるライブであったのは紛れもない事実だ。これについてはファンも、そして残された3人のメンバー自身も今後向き合い続けなければならない重大なポイントである。


しかしながら「新生ヒトリエのライブは悪かったのか?」と問われれば、そうではないとも断言できる。確かな違和感は拭えないにしろ、むしろ新鮮さや将来性といった意味合いで考えれば、今後の無限の可能性を予見するライブであったとも思うのだ。


かつてのフォーピース時代のヒトリエと比較すると、大きく異なる部分として、今のヒトリエには強い『慎重さ』と『一体感』があった。


今回はヒトリエの8年間の活動の総決算とも言えるライブで、磐石のセットリストで進行していた。故に必然、所謂ヒトリエ印のアグレッシブな楽曲も数多く演奏されたのだが、それらに関しては4人編成の頃と比較しても、特に丁寧に鳴らされていた印象が強かったのである。


ライブ中、イガラシお馴染みのヘッドバンギングは少なく、ゆーまおは頻繁にメンバーに目を配り、リズムを刻んでいた。シノダはwowakaが作詞した言葉のひとつひとつを噛み締めるかのように歌い、特にwowakaパートについてはバンドを結成して間もないライブの如く、丁寧なアンサンブルを響かせていたのだ。


そして何よりも会場を包み込んでいた強い『一体感』について書かざるを得ない。


ここで言う『一体感』とは、何も大きな歓声が挙がったとか、コール&レスポンスの盛り上がりが凄まじかったとか、そうした類いの話ではない。今回のライブにおける一体感の正体は至ってシンプル。ファンの歌声が終始リードしていた、たったそれだけだ。しかしたったそれだけのことが、何よりも雄弁に『ヒトリエの選択は100%正しかった』と物語っていたのである。


僕個人としては、wowakaが亡くなって初のツアーということもあり、てっきり悲壮感の漂うパフォーマンスに終始するものだと思っていた。しかし「ボヤボヤしてるとあっと言う間に終わっちまうぜい!」と叫んだシノダに起きた自然発生的な笑いに、「何がおかしいんだよ!」と返して更に笑いが増幅した冒頭を観て、集まった観客は理解したはずだ。少なくとも今のヒトリエは、悲しみをステージ上で表沙汰につもりは一切ないのだと。そしてそれが何よりもヒトリエとしての信条であり、wowakaへの手向けであることも、きっと彼らは理解している。

 


【wowaka追悼】ヒトリエ『ローリンガール 2019.6.1 LIVE at 新木場STUDIO COAST』


日本におけるライブの合唱は、基本的にはアーティスト側が扇動して行われるものだ。だが今回のライブでの合唱は「歌ってくれ」と促されたわけでもない、無意識的な熱意と愛情で形作られた大合唱だった。中でもボーカロイドシーンに一石を投じたwowaka名義で作られた『かの名曲』の「もう一回!もう一回!」の大合唱は思わず目頭が熱くなってしまう代物であり、今後のヒトリエの輝かしい未来を占う試金石のように轟いていた。


その後のメンバー紹介で、シノダは「作詞作曲、wowaka!」と叫んだ。そう。ヒトリエとヒトリエのファンの心の中で、彼は存在し続けている。今までも。そしてこれからも。


繰り返すが新生ヒトリエは、まだまだ発展途上だ。しかし声を大にして伝えたいのは、彼ら自身もそうした事柄を熟知した上でツアーを回っているということだ。何もこのツアーでのヒトリエが最強だとは、彼らも思ってはいないだろう。


しかしながらwowakaのギターの音源をオケで流すわけでもなく、サポートメンバーを入れるわけでもなく、徹頭徹尾3人の力だけでやりきった今回のライブは、間違いなく今後のヒトリエのための大きな一歩となった。手探り状態のツアー。喪失感を覚えるツアー。それぞれ思うところはあるかもしれないが、間違いなく『みんなのヒトリエ』は確かにそこにあった。


wowakaがいないヒトリエは嫌だ?wowakaがいないヒトリエはヒトリエじゃない?……罵詈雑言、大いに結構。これからのことは彼ら自身が証明してくれるはずだ。今までヒトリエを聴いてきたファンも、そうでない人も。一先ず黙ってライブを観るべしだ。


【ヒトリエ@広島 セットリスト】
センスレス・ワンダー
シャッタードール
日常と地球の額縁(ボカロカバー)
Namid[A]me
伽藍如何前零番地
インパーフェクション
SLEEPWALK
Loveless
(W)HERE
劇場街
トーキーダンス
アンノウン・マザーグース(ボカロカバー)
カラノワレモノ
リトルクライベイビー

ポラリス

[アンコール]
踊るマネキン、唄う阿呆
ローリンガール(ボカロカバー)

 

→wowakaについての記事はこちら

映画『記憶にございません!』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。


僕は政治に関心がある。基本的にテレビを点ければニュースしか観ないし、新聞などのメディアや、果ては様々な党首のSNSまであらゆる目を光らせている自負がある。


「なぜこれほどまでに政治を知ろうとしているのか」と問われれば、理由はひとつしかない。今の日本が気に食わないからである。自民党一強時代とも称され、社会保障制度は充実しているどころか穴だらけ。国会答弁は希望的観測ばかりのたまってはっきりしたことは言わないし、アメリカには下手にでるばかり。最近では消費税引き上げやら軽減税率やら、不満を述べれば枚挙に暇がない。


そんな日本のトップと言えば、総理大臣。日本におけるほぼ全ての事柄の決定権は総理大臣にあり、総理大臣が許可を出せば大規模な国家プロジェクトとして動き、総理大臣が「黒」と言えば白いものでも黒になる。

 

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今回鑑賞した『記憶にございません!』は、そんな総理大臣の記憶が消失してしまうことから端を発するコメディー映画だ。


傍若無人な言動で有名な主人公・黒田は、支持率僅か2%という歴代最悪の総理大臣。そんな彼の演説中、過激派が頭に石をぶつけたことにより記憶喪失となる。かくして一切の記憶を失ってしまった黒田。彼は総理大臣としての業務を全うできるのか。そして新たな時代を切り開く革新者となるか。……といったあらすじである。


この映画の肝となるのは、やはり『現職の総理大臣が記憶喪失になる』という一幕にある。元々傲慢であった人間が急に人が変わったように朗らかになる様は、大きな笑いを生むのと同時に『三谷幸喜作品』としてのエッセンスをふんだんに詰め込んだ感もあって面白い。


しっかりとシリアスな点も描いていながら、それでいてうっすら笑いのテイストも含ませる作りは、昨今の映画でよくあるような笑いだけに特化したような作品とは一線を画す。所謂『良いとこ取り』の映画として確立されている印象すら受けた。


しかしながらそうした『笑い+シンプルなシナリオ』の組み合わせは和洋問わず、大量に存在するのも事実だ。その映画の教科書的なストーリー構成は逆に言えば『ありきたり』とも取れるので、様々な映画に触れてきた個人的な感想としては、もう少し捻りが欲しかった印象が否めない。


とは言えあまり映画慣れしていない人にとっては純度100%で楽しめる映画であることは確かなので、少しでも気になった人は劇場で鑑賞してみても良いのではなかろうか。


点数を付けるに当たっては星3か4かで一瞬迷いはしたが、純粋に面白く大きな欠点もなし。加えて「もう一回観れるっちゃあ観れるか」と感じたため、末広がりの星4とする。「前も同じように称賛しておいて星3にしたレビューがある」ですって?……記憶にございません。


ストーリー★★★★☆
コメディー★★★★☆
配役★★★☆☆
感動★★★☆☆
エンターテインメント★★★★☆
記憶喪失度★★★★★

総合評価★★★★☆
(2019年公開。映画.com平均評価・3.7)

 


映画『記憶にございません!』予告

【企画】質問箱に寄せられた質問を全部返す Part.2

こんばんは、キタガワです。


今回は約5か月ぶりの質問箱企画になります。


前回の質問箱記事で「次は1年後かな」と書いていましたが、思っていた以上に質問のペースが早かったので予想外のスパンでの更新となりました(ツイッターでも一切共有していないので、おそらくは公式による質問が10割だと思われます)。


さて、今回も前回とほぼ同じ33の質問に答えるだけのシンプルな記事となっております。思考時間ほぼゼロで直感的に答えていきたいと思っておりますので、適当な暇潰しの感覚で読んでいただきますよう、どうぞよろしくお願いします。


それではどうぞ。

 

 

Q1.視聴者のツイートが表示されるテレビって見辛くない?

見辛いなっていう気持ちと「そういう時代になったんだなあ」という気持ちの半々ですかね。あとはそうしたツイートって自分のツイッターのアドレスが表示されたりするじゃないですか。あれ絡みで何かしらの犯罪が起きそうで怖いですね。その人のツイッター監視するストーカーとか。


Q2.日本の未来、暗くないですか?

暗いと思います。政治のニュース見てると痛感しますね。僕らがジジイになったときはいよいよ危ないです。


Q3.「あの人今何してるかな」って気になる人います?

いないです。人とほぼ関わらないので。


Q4.疲れを癒す方法教えてください

自分の好きなことしたら癒されると思います。ヒトカラとか。


Q5.暑がり?寒がり?

寒がりです。まだ10月半ばですけど、昨日ヒーター出しました。


Q6.カラコンってしたことある?

ないです。髪染めたこととかコンタクト入れたりっていうのもないですね。


Q7.最近後悔したことある?

酒飲みまくってamazonでいらん買い物したときは、死ぬほど後悔しました。


Q8.人生相談したいです

いつでも。


Q9.1日に何回洗顔してる?

昼の1回だけですね。それ以外はないです。


Q10.理想のデートは相手が考えたもの?自分が考えたもの?

相手が考えるのも「めんどくせ」ってなるし、自分で考えて進行したとしても相手に対して「従うだけで楽しいのかよお前」と考えてイライラしてしまう人間なので、行き着く先は「彼女いらねえ」になりますね。


Q11.雪見だいふくって固くて楊枝刺さらなくない?

楊枝自体の強度を高めれば解決しそうな気はします。そうすると犯罪とかにも使えてしまうのでアレですけど。メーカーさんも試行錯誤の結果あの固さにしてると思うので、一般人が考えるのは野暮かなと思います。


Q12.どんな本が好き?

小説と音楽雑誌、あとは漫画とか。恋愛やバトル系、流行りの作品は基本的に読まないですね。ストーリーが良ければ読みます。


Q13.掃除ってどのくらいの頻度でする?

ひと月に1回やるかやらないかですね。というのも毎日酒の缶が5本ずつくらいのペースで増えるので、もう片付けてもどうせ増えるしって感じでやらないことが多いです。


Q14.宮城県と聞いて思い浮かべるのは?

何も思い浮かばないです。


Q15.100万円があったら何に使いたい?

間違いなくCDとライブに全額使います。1度は毎日ライブに行ってみたいです。


Q16.古着って着ますか?買ったことある?

たまに買います。でも服には興味がないのに加えて、基本的に『全身真っ黒』みたいなコーディネートしかしないので、最近はGUやユニクロの900円くらいの同じ服を何着か買って、毎日着回してます。年間通して服に使う金額は異常に少ないと思いますね。


Q17.嫌いな家事は?

全部嫌です。


Q18.生き別れの兄です。

僕一人っ子なので、多分嘘ですね。


Q19.最近の自分の流行り曲

その月々でかなり変わるし書くとキリがないので申し訳ないんですが。取り敢えず今月はHump BackやThe 1975、oasis、Starcrawler、The Interruptersとかをよく聴いてましたね。本当にめちゃくちゃ音楽聴くので、全部挙げれば3時間くらいかかります。


Q20.ラインで既読無視する人って何なんですかね?

それ、僕です。すみません。基本的には僕が既読無視して強制的に会話を終わらせます。


Q21.人生を楽しむコツって?

自分の好きなことやることだと思います。それしかないです。


Q22.心底嫌なことって何かある?

バイト先の人間関係ですかね。だんだん人扱いされなくなってきてるので、やっぱり僕は人間関係が何より苦手だと痛感してる感じです。多分ここ2週間くらいは誰とも話してないと思います。


Q23.これまで付き合ったことのある人は何人?

2人です。さっきも書いたんですけど人間関係が苦手なのでコミュニケーションが上手く取れなくて、どっちも何もせずに半年で別れましたね。今は2人とも幸せになってくれてると嬉しいです。連絡取ってないので分かりませんが。


Q24.一番好きな戦国武将は?

いないです。全く興味ないので。


Q25.今何してますか?

これを書いてます。

 

Q26.どんな誉められ方をされたら嬉しいですか?

「凄いじゃん!」って言われたら「こんな時ばっかり誉めやがって」と思ってしまうし、「やればできるじゃん!」って言われたら「何だその上から目線は。そこ座れ馬鹿野郎」となるので、多分何言われてもイライラしますね。


Q27.食器洗い器って無駄だと思わない?

いいんじゃないですかね。主婦の味方だと思いますよ。必要な人にとってはですけど。


Q28.朝ふりかけ食べるとしたらのりたま?かつおのり?

のりたまかなあ。


Q29.久々に観たくなるアニメって何かあります?

化物語やあの花、コードギアスはたまに観たくなりますね。アニメ自体あまり観ないのでアレですけど。


Q30.ずっと一緒にいるにはどうすれば良かったんだろう

『ずっと一緒にいれなかった』という結末が変えられなかった以上そうなるのは必然だったと思うので、前を向くしかないと思います。ファイト。


Q31.恋人と喧嘩して謝りたいけど、どう謝ったらいい?

素直に「ごめん」でいいんじゃないですかね。それでも許してくれなかったら僕なら別れます。本当に自分に非があったら、やれるだけのことはしますが。


Q32.毎日行う習慣はありますか?

酒飲むことです。今年入ってから休肝日は1日もないです。ただのアル中ですね。


Q33.学歴と仕事の出来る出来ないは関係あると思いますか?

ないと思います。


Q34.行ってみたい国はありますか?

前にアメリカ行ったので、次はそこ以外が良いですね。北朝鮮とか中国以外で。

 

……以上です。ありがとうございました。


次回はまた質問が溜まって来たときに行いたいと思います。おそらくは半年後とかそこらだとは思うんですが、気長に待っていただければ幸いです。また次回からは『である調』かつ真面目な記事作りに勤しんでいきますので、今後とも宜しくお願い致します。


それでは。

キングオブコント2019の感想を書き散らしたい

こんばんは、キタガワです。

 

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先日、キングオブコント2019(KOC2019)が閉幕した。毎年のことではあれど、特に今年は過去に例を見ない非常にハイレベルな戦いであったように思う。


大会ルールは前年度と同様。ネタ時間は4分に延長され、審査員の顔ぶれや審査スタイルといった大会において最重要となる項目にほとんど変化はなかった。


しかしながら個人的に書いた昨年のKOCの記事中でもボロクソにこき下ろした『決勝進出者完全シークレット』の試みは、今回もなぜか継続されてしまった。前回記事でも『シークレットがリークされてシークレットの存在意義が消失した』件について触れてはいたのだが、今回も本題に入る前にこの『決勝進出者完全シークレットはなぜ害悪なのか』という点について、少し語らせてもらいたい。


そもそも出演者を隠すメリットというのは、お笑いファンにも視聴者にも、ネタを披露する芸人たちにも一切存在しない。それどころかデメリットの方が圧倒的多数を占めている。

 

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以前のKOCにてさらば青春の光の東ブクロは、大会当日が弟の結婚式の日であると説明した上で「当日まで決勝進出者がシークレットだったので、行けない理由も伝えられずに弟の結婚式に参加できなかった。納得のいく説明が出来なかったんです」と語っていた。更には『決勝進出者シークレット!』と銘打っておきながら全出演者をシルエットで映し出したことから、その輪郭や立ち振舞いからほぼ全てのコンビが分かってしまうハプニングさえあった。


にも関わらず今回も同様に、決勝当日から遡って1週間も前には、全ての決勝進出者がインターネット上でリークされてしまった。一説によるとななまがりのメンバーや製作が口を滑らせてしまったという噂が流れてはいるが、とにかく。KOCは2年連続で『丸見え状態のシークレット』を世に送り出してしまったのである。


そして何よりも、このシステムは準決勝で敗退した芸人にとってあまりにも酷だと思うのだ。

 

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今回の決勝当日の16時から17時にかけて、チョコプラ長田やジェラードンかみちぃ、ザ・マミィ酒井といった芸人が、こぞって決勝進出を示唆する発言をSNSで発信したことを、読者貴君はご存知だろうか。そしてそれらのツイートを、KOC公式アカウントが幾度もリツイートしていたことも。


……結果として、そんな呟きを行った彼らは決勝に進めなかった。決勝は9月21日。そして準決勝は9月6日に終了しているので、おそらくは9月7日には芸人全員が『誰が決勝に進み、誰が敗退しているか』を知り得ていることになる。


これがどういうことかと言えば、『敗退したことを分かった上で、制作会社から呟きを命じられている』ということに他ならないのだ。


考えてもみてほしい。一生懸命に練り上げたネタ。試行錯誤を繰り返したネタ。寝る間も惜しんで作られたネタ……。そんなネタで敗退して絶望する彼らに、制作会社に大会当日までのお膳立てを要求されるのである。これは芸人を侮辱する行為であると同時に、傷口に塩を塗るような悪魔の所業だと思うのだ。


だからこそ僕は声を大にして言いたい。頑張る芸人を侮辱し、更にはシークレットと意味合いすらもはや存在しないこのシステムは即刻廃止すべきであると。もし来年も変わらなければ、三たび当ブログでボロクソに語りますので、どうぞよしなに。


長々と語ってしまった。以下、各ネタの感想です。

 

 

うるとらブギーズ

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全国区ではほぼ無名のうるとらブギーズ。初の決勝進出かつトップバッターとして、底力を見せ付けた。ネタは『一緒に喋っちゃう人』。


大前提として、こうした一度限りのお笑いの戦いでは爆発力がひとつの点数の核となる。爆発力とはつまるところ『笑い声の大きさ』であり、この一時の爆発力に比例して、その後の展開に笑いが起こりやすくなる。


そんな中、彼らは事前説明の途中に一緒に喋りだす冒頭の10秒後には、完全に流れを掴んでいた。本来であれば同様の内容を繰り返すため尻窄みする後半にかけても他の観客に話題を切り替えたり催眠術にかかるなどして、飽きない工夫が随所に張り巡らされていたのも大きなポイント。


更にうるとらブギーズの稀有な点としては、歴代のKOCの中でトップバッターとしては圧倒的に点数が高かったこと。平均点の底上げのみならず、後半にかけて同点のコンビが複数存在したのも、団子状態になったのも、全てはうるとらブギーズが完成度の高いネタを1発目に披露したからだ。


結果、平均点が東京03以来初となるトップバッターから最終決戦に進出した稀有なコンビとなった。収録後は早くも『アッコにおまかせ』や『サンデージャポン』への出演が確約されたうるとらブギーズ。ブレイクなるか。

 

ネルソンズ

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ネタ番組に引っ張りだこ。今脂がのりきっているお笑い界のホープ、ネルソンズ。ネタは『秘密を暴露する友人』。


KOCの1週間前に、メンバーのひとりである青山フォール勝ちがKOCと同じTBS系列の番組である、その名も『笑いが無理なら体張れ』にて右肩を骨折。全治8週間の大怪我を追った。そんな中での決勝進出となり、お茶の間のファンはどうなることかと不安で一杯だったことだろう。


しかし結果的には全力のパフォーマンスに終止し、怪我の影響を一切感じさせない4分間を演じきった青山に、賛辞を送りたい。天晴れ。


肝心のネタについては、全体的にワチャワチャしていたという印象が強い。何度か見返してみると高いレベルで練り上げていて面白さを感じられるのだが、どうしても所見は『3人がステージ上を動き回って絶叫している』といった印象に留まってしまい、重要なセリフ部分もよく聞こえない場面が多かった。加えてほぼ全ての笑い部分を和田まんじゅうが担っていることも、ひとつの敗因なのかなとも思う。


色々上から目線で述べてしまったが、決して悪いネタではない。むしろかなり面白く、もしも劇場で観たら絶対に笑ってしまうだろう。あまり点数が振るわなかった理由は、やはり今大会が全体的にレベルが高かったからだ。


個人的には同じ島根県出身ということで、大いに応援しているトリオでもある。是非来年も決勝で見てみたいと強く願う次第だ。

 

空気階段

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借金まみれのクズキャラとして話題の鈴木もぐらを有する吉本コンビ。ネタは『タクシーの客』。


空気階段と言えば綿密に練り上げられたシナリオ仕立ての展開が特徴で、ゆっくりとした助走を経て後半に畳み掛けるようなネタを得意とする。


よって冒頭はどうしてもスロースターターにならざるを得ないのだが、この点が『KOC決勝』という舞台ではマイナスの影響を及ぼした気がする。やはり普段空気階段を知っている人が観る空気階段のネタと、ほぼ初見の人が観る空気階段のネタには大きなズレがあると思うのだ。個人的にはここ数年のお笑いの中でも抜群に面白かったのだが、審査員には響かなかった様子。


トランペットにヘチマが填まった人やポイントカードのくだりを散りばめて飽きさせない工夫が凝らされていたのは良かったし、何より序盤の『シートをリクライニングにする』場面が非常に面白かった。あれは普段の鈴木もぐらを知っている人なら爆笑したと思う。


何というか空気階段のネタは、普段からシナリオ仕立ての作品が好きな人(小説や映画を観たりアドベンチャーゲームをよくプレイする人)にはめちゃくちゃ刺さるが、そうした媒体に普段触れない人には冗長に見えるのかなと感じた。空気階段が下位で幕を閉じたのは納得いかない。くそう。

 

ビスケットブラザーズ

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関西の番組ではいくつかの出演を果たしているものの、未だ全国的には無名。Wikipediaに名前も載っていないニューカマー、ビスケットブラザーズが決勝進出。ネタは『全て思い出した』。


まず序盤はコテコテの関西弁かつ、良い意味では昔ながらの、悪い意味では古臭い展開で進行。しかしながら中盤での突拍子もなく「全て思い出した!」と叫ぶ流れから状況は一変。意味不明ながら何故か面白い、独自の空間を作り出していた。


シナリオはさほど寝られているわけではなく、正直「なぜふたりは巡りあったのか」という理由も不明瞭なままで謎な場面も多いのだが、勢いでズガンと突っ走るストーリー展開はなかなか。


おそらくは交互に言葉を口にするシーンと「全て思い出した!」との言葉がある種のパワーワードとして笑いの基盤となっていたとは思うのだが、個人的には十二支や春夏秋冬、チャイムの音を交互に語る場面は「ここで笑わせてやる」という魂胆が透けて見える感覚があり、面白かった時間中に一瞬素に戻ってしまった箇所があったのは残念。


しかし同時にビスケットブラザーズは、ハマる人にはめちゃくちゃハマるコンビだとも思うのだ。キャラクターに入り込むようなネタが好きな人には堪らないだろう。ともあれ普通に面白かったので、他のコントも積極的に観てみたいと思った。

 

ジャルジャル

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コントの鬼、ジャルジャルがKOCに舞い戻ってきた。ネタは『野球部』。


実はKOCには、公式規定に記載されていない暗黙の了解が存在するのをご存知だろうか。その暗黙の了解とはズバリ、『準決勝で披露したネタを必ず決勝で披露しなければならない』というものである。


KOCの歴史において、これについてはほぼ例外はないと言っていい。だが今年はそのルールを二組のコンビが破る……というより『破らざるを得ない状況』に陥った。その一組は青山フォール勝ちが腕を骨折したネルソンズ。そしてもう一組はジャルジャルだ。


ジャルジャルは決勝のネタのみならず、その後の最終決戦のネタに関しても準決勝とは全く違うネタを披露した。そう。彼らは要するに、『決勝に駒を進めることができたほどにバカウケしたネタを放棄して別ネタをやった』のだ。


しかもこのネタで最終決戦に進んだのだから恐ろしい。毎日YouTubeチャンネルにネタを上げ続け「ネタは8000本ある」と豪語する彼らは、やはりコントの鬼であると言わざるを得ない。


そんな中選んだ決勝ネタは『野球部』。「ある一定の距離まで離れると違う言語に聞こえる」という着眼点はノンジャンルなネタを量産するジャルジャルらしくもあり、距離の長さを使ってボケを連発する終盤も完璧だった。


結果見事3位に食い込み、最終決戦に駒を進めた。ジャルジャルは日本におけるコント師の中では、間違いなくトップの実力を持っている。そのことを名実ともに証明した形か。

 

どぶろっく

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「もしかしてだけど~」で一世を風靡したのも今や昔。現在では『一発屋』とも揶揄される存在であったどぶろっくが、まさかの決勝進出。ネタは「村人と神様」。


「どぶろっくと言えば下ネタ」という予想を裏切る形で、とことんシリアスにスタートしたこのネタ。そして「歌ネタか、なるほど……」と思わせたところでサビで大爆発する展開は反則級ではあるものの、やはり面白い。


そのサビ部分である「大きなイチモツをください」のたったひとつのパワーワードは、今大会を大きく揺るがせた存在となった。個人的には2時間の放送中様々なネタがあったにしろ、最終的には「大きなイチモツをください」しか頭に残らないレベルの衝撃を受けたし、500点満点中480点というKOC史上最も点数が高かった(過去点数が高かったにゃんこスターでさえ466点)ことからも、おそらくあの場にいた審査員の衝撃はそれ以上だったことだろう。


しかしながらネット上では「つまらない」や「あれで笑うのは男だけ」との声もいくつか見られた。だがよくよく考えると、下ネタをあれほど使って嫌悪感を抱かせず、かつ笑いに昇華できるどぶろっくには天性の才能があることもまた紛うことなき事実なのだ。


『身の丈に合う』という言葉があるように、人は産まれながらにしてある種のレッテルを貼られてしまう。


例えば普段から鍛えている人が言う「格闘技やるんだ」と、ヒョロヒョロで眼鏡をかけた友人の「俺格闘技やるんだ」の一言では、大きな違いが存在する。前者は「やりそうだと思ってたよ」という反応になるだろうし、逆に後者は一瞬で一笑に伏し、馬鹿馬鹿しいと思われて終わりだろう。


クラスの隅で読書ばかりしている女子が突然「モデルやります」と宣言したらたちまち悪い意味で噂は広がるだろうが、逆に背が高く顔立ちも良い人が「モデルやります」と言えば、応援する声が圧倒的多数になる。


そうした点を鑑みて今回のどぶろっくのネタを観てみると、やはりどぶろっくでしか成し得ないネタであるということが良く分かるはずだ。「大きなイチモツをください」と叫んだ時、大半の人間に「さすがどぶろっく!やっぱり下ネタやりやがった!」と思わせた瞬間に、ほぼ勝ちは決まっていたようにも思う。天晴れ。

 

かが屋

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初の決勝進出。若冠26歳の新星がKOCに殴り込みを果たした。ネタは『待ち人』。


個人的に今大会、彼らのネタが一番面白かった。結果として点数は振るわなかったものの、「良いコントを見たなあ」と心から思える上質なネタであった。


『待ち人が来ない』という設定一本でゴリ押す手法は斬新ではあるが、実はなかなか難しい。そんな中かが屋は状況説明を極力省き、一貫して同じシチュエーションで4分間やりきったのだ。初めての大舞台でこのネタを披露したことは、称賛に値するものであると思う。


そして何より、賀屋の演技が凄い。このネタは表情が上手く作れるか否かでウケ方が大きく変わってしまうネタだとも思うのだが、あの本心から絶望したような表情でもって、面白さが倍々ゲームで引き上げられている。一見単調な展開にも見えるが、後半にかけては諦めて帰ろうとするシーンなどを挟み、飽きさせない工夫も凝らされていた。


ひとつ残念だったのは出番順。あれだけの爆発力を見せたどぶろっくの次に綿密なコントで勝負するのは、やはり酷であると言わざるを得ない。バナナマン設楽も語っていた通り、やはり「観客の爆発的な笑い」があれば、また違っていたと思う。残念。

 

GAG

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長らくの準決勝敗退により涙を飲んできたGAGも遥か昔。今年は遂に3年連続の決勝進出となり、名実共にコント師としての地位を確立した。ネタは『お笑い芸人デビュー』。


映画でも小説でも何でもそつだが、『感情移入が出来るか否か』というのはある種の最重要ポイントとなる、観客投票制の大会ならいざ知らず、KOCは芸人が点数を付けて評価する大会であるため、今回のネタのようなリアルな芸人像は良い方向に作用したと言えるだろう。


とりわけ「お笑いって異常な世界やな」や「こんなに可愛いのにブスでいかなアカン」といったツッコミは大爆笑を巻き起こし、GAGの多少オーバーな世界観とも上手くマッチしていたように思う。


結果的にはジャルジャルと同率3位となりら惜しくも決選投票で落選というまさかの展開になってはしまったが、数々のコントを有するGAGのことだ。最終決戦でも戦えるネタはいくつかあったに違いない。たらればの話ではあるが、最終決戦でのジャルジャルの失速を観てしまった結果「GAGの2本目観たかったな」という思いに駆られた視聴者も多かったことだろう。


3度決勝に進出したKOCの大会において、GAGは今回が最も良い順位だった。このまま行けば更に良い順位に上がるのは必然だ。次回最終決戦に駒を進める可能性が最も高いのは、GAGなのかもしれない。

 

ゾフィー

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フリーで活動を続けていた(現在はグレープカンパニー所属)生粋のコント師であるゾフィーが、再び決勝の地へ。ネタは『謝罪会見』。


やっていることはごくごくシンプルで、『謝罪会見を腹話術で代弁する』というもの。しかしながら途中から人形が一人歩きしたりと三位一体で繰り広げられるコントは、もはやコンビのネタというよりはトリオである。見所はいくつかあったが、中でも「興奮して立っちゃうやつは馬鹿だ」、「おろおろおろ……おろー」のやり取りは面白く、番組前半においての平均点があまりに高すぎるあまり尻窄みにならざるを得なかった後半にかけては、一番の爆発ポイントだったように思う。


一般的にウケづらくなる終盤はホラー・サイコ展開にシフトすることで冗長なイメージを払拭し、最後まで飽きずに魅せる工夫が成されていた。若干裏声と地声の判別が付きづらく聞きにくい場面はあったりしたものの、おおよそ及第点か。


ボケの上田は1日1本のコントを書き上げており、そのネタ数はノート数十枚分に及ぶ。そんな彼らの努力が花開く場所こそがKOCであり、いずれ彼らが取るべき栄冠のような気もする。

 

わらふぢなるお

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GAGと同様、3年連続の決勝進出となったコンビ。ネタは『バンジージャンプ』。


着眼点こそ決して悪くはなかったが、点数発表時になるおが「やっちゃった!」と叫んだ通り点数は振るわず、結果的には最下位となってしまった。


当初こそなるおがバンジージャンプを飛ぶ飛ばないの話だったのだが、後半にかけてはふぢわらのサイコ路線にシフトして展開していたため、個人的には一貫性に欠けるというか、笑いの主軸をどちらに向けるかを見失っているような印象を受けた。


ただ何度も言うように、ネタは悪くないのだ。むしろ過去大会であればある程度の順位に食い込むことも出来たはず。それが出来なかった理由としては、やはり平均点が高すぎたためであろう。今回は残念な結果となってしまったが昨年は2位でフィニッシュするなど、彼らには分相応の力があることは確か。次回に期待したい。

 

……さて、ここまで決勝進出したコンビ、及びトリオのネタ紹介を行ってきた。結果的に最終決戦に進出したのは点数順にどぶろっく、うるとらブギーズ、ジャルジャルの3組。そして優勝したのはご存じの通り、どぶろっくである。


今大会は高得点の連発や同権決勝など、例年にないシーンも多かった。更にどぶろっくに関しては、1本目とほぼ似通ったネタを披露し、逃げ切りでの優勝となった。


にゃんこスターが記憶に新しいが、基本的にどんなコンテストでも1回観たネタと同じ系統のネタというのは、点数が伸び悩みがちだ。そんな中どぶろっくは、ダウンタウン松本の言葉を借りれば正に「どぶろっく貯金」が生きた形であり、同時に1回目の点数がそのまま最終決戦の得点に加算されるシステムは「初めにバカウケしてしまえば、最終決戦にも大きな影響を及ぼす」という良い意味でも悪い意味でも斬新な点数方式により、M-1やR-1とはまた違った大会であることを如実に表したものであったとも言える。


ともあれ、どぶろっくおめでとう。そしてTBSさん、今年も面白い番組をありがとうございました。次回はぜひシークレットは廃止しつつ、より良い大会にしていただくことを切に望んでおります。

 

→キングオブコント2018の記事はこちら

映画『ジョーカー』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。

 

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先日、今何かと話題の映画である映画『ジョーカー(JOKER)』を観た。


僕がこの映画を観ようと決めた理由はズバリ『話題になっていたから』という至極単純なものだった。映画が制作されたアメリカでは公開初週の興業収入が100億円を突破し、日々インターネット上のトレンドに『ジョーカー』の名が踊った。更には映画評論家たちの侃々諤々とした応酬やキャラクター性、ストーリー構成でもってあれよあれよと注目が高まり、最終的には遠く離れたここ日本でも、大きなムーブメントを引き起こしたのである。


さて、そんなこんなで意気揚々と劇場に足を運んだ僕だったが、鑑賞前から『とある事柄』が僕の頭には大きな疑問として存在した。


それは端的に言うならば『評価のされ方』。話題になる映画というのは絶賛の感想然りヘイト然り、劇中で大半の人間が感じるであろう何かしらの際立つ部分が書かれることがほとんどである。例えば君の名は。なら「景色が綺麗」。カメ止めは「どんでん返し」。コナンは「安室さん」など。そうした映画の内容を一言でズバッと言い表せる言葉がネット上で飛び回った結果、鑑賞前になれば大抵のイメージは想起出来るものなのだ。


だが今作の前情報は何と言うか、煙に巻かれているような感覚が否めないのだ。確かにネットで『ジョーカー』と調べれば様々な言葉は出ては来る。しかしそうして調べた結果出てくる言葉は「凄い」や「前代未聞」、「物議を醸す映画」とどことなくフワフワした表現に終始しているので、基本的な評価のされ方というのはイマイチよく分からない。実際この映画を観た友人に話を聞いたこともあったが、「観てみて!」という曖昧な回答しか得られず、個人的には「一体どんな映画なんだ……」との思いが膨らんでいくばかりだったのだ。


そんな思いを携えながら僕は鑑賞した。結果分かったのは、『この映画は超政治的映画である』というものだった。


イメージポスターを観た瞬間こそ「グロ映画か?」などと思っていたのだが全く違う。この映画が表しているのはアメリカの、ひいては現代社会の闇であった。日本国民である僕らからすればどうでもいいことかもしれないが、思えばドナルド・トランプが大統領に就任してからというもの、アメリカの国はいろいろとぶっ壊れている。


黒人差別問題や国境の壁問題、関税や核放棄と、今やアメリカに存在する問題は山積みだ。そんな中でも最も問題になっているのは、富裕層と貧困層の格差の肥大である。長くなるので詳細は省くが、アメリカ・ファーストを掲げる現政権(共和党)のやり方は「富裕層を優遇して貧困層を冷遇する」というものとほぼ同義であり、低所得者にとってアメリカは間違いなく生きづらい世の中になってきている。


主人公であるジョーカーは決して若くはない年齢ながら、まさに『貧困層』に属する人間だ。派遣のアルバイトで食い繋ぎ、生きているのか死んでいるのかも分からない細々とした生活を送っている。富裕層には足蹴にされ、給料はさっ引かれ、挙げ句の果てにはクビ宣告。


前述したどん底の毎日を過ごすジョーカーに、一丁の拳銃が譲渡されることとなる。その後発生した『ある事件』をきっかけに、彼の転落人生は幕を開ける。そして、誰もが予想できない結末へと帰結するのだ。


怒りに任せて「こいつを殺したい」と思ったことはないか?辛い出来事が頻発し「もう死のう」と人生を諦めかけたことはないか?……言い方を変えれば、人間誰しもジョーカーになる可能性を秘めている。『ジョーカー』は映画という名を冠した痛烈な社会風刺であり、この映画が今公開されて評判を呼んでいることは大きな意味を持つ。


是非ともこの興奮は劇場で体感してほしい。人それぞれ感想は異なるだろうが、2時間の喜劇を観終えた後のあなたには、きっと爆発的な何かが頭を支配しているはずだ。さて、ラストに流れるフランク・シナトラの『That's Life』の歌詞を以下に引用し、この記事を締め括ろうと思う。あなたはこのシーンに、何を思うだろうか。


〈それが人生 愛すべき人生(和訳)〉

〈本当にそう? それが人生(和訳)〉


ストーリー★★★★☆
コメディー★★★☆☆
配役★★★★☆
感動★★★★☆
エンターテインメント★★★★☆
悲劇の喜劇度★★★★★

総合評価★★★★☆
(2019年公開。映画.com平均評価・星4.2)

 


映画『ジョーカー』本予告【HD】2019年10月4日(金)公開

映画『HELLO WORLD』レビュー

こんばんは、キタガワです。

 

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今回鑑賞した映画は、現在公開中のSFタイムリープアニメ『HELLO WORLD(ハローワールド)』である。


先に結論を書いてしまうが、今回この作品の総合得点は『星2』とした。これはすなわち当ブログの映画レビューの中では最低得点のひとつであり、はっきり言って個人的には全く面白くなかった。


某映画レビューサイトではかなりの高得点を記録し、考察サイトやファン交流サイトといったものも数多く存在する名作との呼び声が高い今作。しかしそんなファンの方々には申し訳ないが、僕は面白くないものは「面白くない」としか言えない異端者なので、その点については「こいつは難しい話が理解できない馬鹿なんだな」と思って貰えれば幸いである。


今回のみはどうしてもネタバレ部分に関しては書かざるを得ないため、普段タイトルに冠している『ネタバレなし』の一言は抜き、本文中はある程度のネタバレを挟みながらまとめていく所存だ。よって今後観る予定のある人はここでブラウザバックを推奨する。


さて、当ブログでも何度も同様のことを述べてきたが、そもそも『Steins;Gate』や『君の名は。』、『時をかける少女』などタイムリープ作品は数あれど、ある程度面白いとされるタイムリープの題材というのは既にやり尽くされている。……特に『君の名は。』の大ヒット以降タイムリープ作品の頻出に拍車がかかった感覚すらあり、観る側にとってはぶっちゃけ食傷気味なのである。


よって『タイムリープ(過去と現代を題材にする)作品』とするからには、よほど奇想天外なアイデアか、それに勝る何かしらがなければ一気に白けてしまう。いわば諸刃の剣とも呼べる代物なのだ。


加えて、タイムリープものは制作の難易度が極めて高い。


例えば本来であれば『相手を殺す』と選択した人間が、時間を巻き戻して『殺さない』と行動を変化させたとする。すると大前提として『相手を殺す』未来との齟齬が発生することになり、『相手を殺す』場合に出会った人物や日常、行為が『殺さない』未来とごちゃ混ぜになり、大規模な過去改編による悪影響が及ぼされることとなる。これをタイムパラドックスという。


要するにタイムリープものは、まず『Aの世界とBの世界は何がどう違っているのか』という部分に加え、タイムパラドックスなどの絶対に抗えない事象を踏まえつつどうエンターテインメントとして昇華させるかが重要になってくるのだ。


そうした観点で今作を観てみると、どうしても理解できない支離滅裂な言動が非常に多く感じてしまう。


過去から来た10年前の自分がタイムリープし、「お前に彼女を作るためだ」と言う場面から物語は幕を開ける。


具体的には『結果的に3週間後にお前には彼女ができる。だがその彼女は不慮の事故で死んでしまう。俺はそれを阻止するためにタイムリープした』という流れらしく、その3週間後の事故で彼女を死なせないため、手から物理的に物を出現させるといった鍛練を積むことに(この時点で意味が分からなかったが)。


しかしながらそもそも主人公はその時点で未来の彼女とほぼ出会ってすらいないので、まずはそこからスタート。そこで未来の自分のアドバイスに従って、未来の彼女との交流を深める行動を取っていく。


「今すぐ本を落とせ。そうしたら女性がその本を拾ってくれる。それが未来の彼女だ」


「はい!」


「明日は図書室に行け。そこに彼女がいるから交流を深めろ!」


「はい!」


「やっと物を生み出せるようになったな。だがこんなんじゃ彼女を守れないぞ!もっと夜中まで練習だ!」


「はい!」


飼い犬かお前は。


もしあなたが「3週間後に彼女ができる。でもそいつはすぐ死ぬぞ」という状況になったとしても、自分の行動をあれこれ指図されたら嫌じゃないか?僕は嫌である。


というかせめて『彼女と付き合うまで』は自己流でやらせてくれよという話だし、そもそも10年後の自分いわく3週間後には絶対に付き合えるわけなので結果的に未来は収束し、何も言われなくても同じ行動を取るはずなのだ。なのに何でそんなにヤイヤイ言われにゃならんのだと。


僕個人としては「そんなに従順になってる主人公アホちゃう?」との思いが常に頭を駆け巡り、全く感情移入できなかった。


にも関わらず終盤では「未来の収束?知るか!」とばかりにガンガン過去改編するので面白くてしょうがない。もちろん主人公側は本気ではあるのだが、観ている側からすれば「これはやっちゃダメだろ……」という箇所がいくつも見られた。終盤に至っては主人公の『思いを具現化する力』の反動として器物破損や事故の発生は当たり前。何なら台風が5.6回直撃した方が数倍マシなレベルの大災害が街を飲み込んでいき、そうした世紀の大犯罪を行った理由がズバリ「これは全部彼女を守るためなんだ!」というのは、サンドウィッチマン冨澤の言葉を借りれば「ちょっと何言ってるかわからない」である。


特に後半にかけては情報を詰め込みすぎている印象が強く、何が何だか分からないまま終わってしまった。加えて「ラスト1秒でひっくり返る」というキャッチフレーズに関しても確かに驚きはしたものの、それは全てのストーリーを完全に理解している人でもって初めて感動する部分であるため、期待したほどの感動はなかった。


間違いなく個人的には、ここ数年の映画ではワースト3位には入るレベルの映画だった。何故これほど評価が高いのかは皆目分からないが、コアな映画ファンがこの映画を『名作』とするのであれば、僕は一生映画のことは分からなくてもいいと思った。


ちなみに僕のフォロワーは「めちゃくちゃ泣けた。これは神作だ!」と呟いており、本日2度目の鑑賞に赴いたそうだ。やはり映画というのは人それぞれである。


ストーリー★★☆☆☆
コメディー★★★☆☆
配役★★☆☆☆
感動★★☆☆☆
エンターテインメント★★☆☆☆
ラスト1秒度★★★★☆

総合評価★★☆☆☆
(2019年公開。映画.com平均評価・星3.8)


映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告【2019年9月20日(金)公開】

接客業における、世間一般的な『正しい髪の長さ』の定義について

こんばんは、キタガワです。


開設から2年ほど経つ。思い返せばなかなかの長期間続けている当ブログ。


元々は『自分の書きたいことを書き殴る場所』として始めたこのブログではあるが、ここ数ヵ月の間は所謂テーマブログの様相を呈しており、気付けば「自分の普段のことを書く機会が減ってきたなあ」と思う今日この頃である。正直な話、今現在もライブレポートの執筆やら何やらで『書かなければいけない文章』というのは多々あるのだが、今回は久方ぶりにほとんど内容を考えず、ある種の気晴らしとして自身の思うままに綴っていこうと思う。何卒気楽に読んで頂ければ幸いだ。


最近よくバイト先の同僚に「キタガワくんって髪長いよね」と言われることがある。


そういえば、僕はあまり髪を切らない。詳しい月日は覚えていないが、前回美容院に行ってからおそらく4ヶ月近くは切っていない。今に関しても耳を覆い隠すほどには髪が伸びており、前髪を視界から外すために頻繁に首を振ることもいわばクセのようにはなってきた。加えて普段ドライヤーもワックスもしないせいか、どことなく不潔な印象を与えるようではある。……詳しく同僚に聞いていないので定かではないのだが。


僕の散髪スタイルは自分の中では長らく固定されていている。こう聞くと聞こえはいいだろうが、具体的には『気が向いたら切る』という至極適当なものだ。極論を言えば別に半年間切らなくてもどうということはないし、元々ロックバンドが好きなのでむしろ長髪の方がロックスター然として格好良いとも思っている。


ちなみに大学時代は目が完全に隠れるほどのロン毛だった。当時住んでいたアパートのエレベーター内で深夜0時過ぎに住人(女性)とすれ違った際、マジのトーンで「ヒィ!」と言われたのは未だに鉄板の笑い話なのだが、とにかく。個人的には大学生にありがちなトイレの鏡の前で逐一髪型を気にしたり、月に1回髪を切って金を使うくらいなら、その分どこか他の場所で金を使った方が遥かに有意義だろうというのが本音なのだ。


しかしながら仕事で考えると、『髪型』に関してはなかなか上手くいかない。というのも、僕が現在働いているバイト先はバリバリの接客業。それもコンビニやスーパーの品出しといった仕事ではなくカッチリとしたレジ業務なので、店長としてはどうしても僕のような『長髪の人』というのは店全体のマイナスイメージになりがちである。


確かにもしレジに並んでいたとして、臭いがプンプンする店員と清楚系なイケメン店員とでは大半が後者を取るだろうし、『研修中』とのバッジを付けた店員と『フロアマネージャー』のバッジを付けた店員とでは、大多数は後者を選ぶだろう。そう考えれば、仮に店長から「君!髪が長いからもっと短くしてよ!」と言われても、ある程度は納得するとは思う。


だが、逆に考えるとそうした仕事においての思考は押し付けに過ぎないとも思うのだ。要するに、人間には生まれもって備え付けられた『ある種の固定観念』によって、無意識的に思考の妨げをしているということである。


力仕事は男性がするもの。事務作業は女性がするもの。コンビニは誰でも出来る仕事。スーツを売る店員は清楚かつピッチリと。書店の店員は眼鏡率多め。焼肉屋の店員は頭に三角筋を着用。バーの店員は仕事中に酒を飲んでもいいが他の仕事は駄目。カラオケは楽そう。ゲーセンも楽そう。寿司屋の店員はめちゃくちゃつまみ食いできる。映画館の店員は割引料金で映画が観られる。旅館はニートでも雇ってもらえる。土方は底辺がやる仕事……。


そうした考えは本質とは異なっている場合も多く、鵜呑みにするのは危険である。実際僕は両手の指に収まりきらないほどのバイトを経験した自負はあるが、日雇いのイベント運営のアルバイトでは「物販は女性限定」と言われたこともあるし、映画館のアルバイトでは全く割引されなかった。 道路交通警備員のバイトでは「おらテメエちゃんとやれや!死ねクソが!」と散々罵られたし、コンビニのアルバイトでは副店長が金庫から金を盗んで店そのものが潰れたこともある(これは少し違うが)。


話が脱線してしまったので本題に戻るが、とどのつまり『髪を短くしろ』というのはその人(店長)としての考えとしては正当だが、個人としては何ら関係ないことと言える。


業務に支障が出るなら話は違うが、別に髪が長かったことで僕がミスをしたとか、裏口に呼び出されて「テメエ髪なげえんだよ!」とタコ殴りにされたわけではない。例えば、もしも客から「髪が長い店員いるじゃない?あの人不潔だから解雇してちょうだい!」と言われたとしても、それはその人の意見であり他の人は違うかもしれない。


総じて『指導』という名目で語られる言葉の全ては押し付けであり、個人の考えを曲げる重要な要素にはなり得ないのだ。


そう。全てを決めるのは自分自身なのだ。


だからこそ、今日も僕は長髪でレジに立つ。圧倒的な人員不足でレジ付近に僕以外が誰も立っていないというカオスな空間の中、僕は仁王立ちでひたすらお客様を待つ。あまりにも暇なので傍らのプチプチを潰しながら、今日もレジに立つ。嗚呼、アルバイトとはかくも無情。


数分ぶりにお客様がレジに来る。高齢の女性だ。杖をつきながら、ゆっくりと歩を進めている。よく見るとこの店に頻繁に来てくれるお客様で、同時に何度か話すうち、お互いが顔見知りとなった稀有な関係性を気付いている人でもあった。


「いらっしゃいませ」


ぼくは大声で挨拶をし、いつもの要領で凄まじい手捌きで商品をスキャンし、袋に入れていく。そのスピードはそんじょそこらの人間にはひけを取らない。僅か数秒足らずで商品を袋に入れ終えた僕は、お客様が小銭を取り出すまでの賢者タイムに突入した。


「いち……にい……何円?ああ、126円ね。ちょっと待ってねえ。1円あったかしら……」


レジにとってなかなか辛いのがこの時間だ。無言で突っ立っていては急かすようで申し訳ないし、かと言ってマシンガントークを繰り広げても駄目だ。僕はしばし様子を見ることにした。


「あのねえ、うちの孫もあなたと同じくらいの年でねえ。そんなに髪は長くないけど……」


周囲に客がいないからか、お客様の方から話題を振ってくれた。またとない幸運だ。


「あ、そうなんですね。確か野球してらっしゃったんでしたっけ。お孫さんは」


「そうそう。野球ばーっかりしてるの。最近あったときにねえ。今度試合があるからねって。ほら、近所の……何だったかしら」


「ああー、○○公園ですか」


「それそれ。そこでやるって」


「へえー。いいですねえ。お孫さんも喜びますよ。お客さんが観に行かれたら」


「そうかねえー」


会話の起承転結が途切れ、沈黙の時間が広がった。しかしそんな無言の時間も、別段悪くはなかった。絶妙な距離感と奇跡的な時間帯、そして何よりある種の気兼ねなさが、ストレスとは無縁の空間を形成していたように思う。


ふいに、お客様が僕の方をじっと見つめた。一瞬何だと身構えはしたが、すぐさま理解した。そういえば以前会ったのは数ヵ月前。当時は散髪したてで髪は短かった。更にはお客様は基本的に下を向きながら話していたため、僕の表情を伺うのはこれが初めてだったのだ。僕はお客様から放たれる次の一言をじっと待った。するとお客様は思いがけない一言を僕に放ったのだった。


「あんた、髪短い方がイケメンよ?」


……明日、髪切ります。