キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

次第に全貌が明らかになりつつある『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』、現在の豪華出演者発表の全て

こんばんは、キタガワです。

 

兎にも角にもロッキンである。……何が?もちろん、日々の興奮の第一が、だ。日本最大のロックフェスまであと数ヶ月。ライブキッズの皆様の中にも毎日昼12時から発表される出演者発表に釘付けになっていたことと推察するが、やはり発表のたびにツイッターのトレンドに名前が食い込むことも考えると、ロッキンは邦ロックの夏フェスとしては頭ひとつ抜きん出ていることは誰の目にも明らかと言える。


先日の発表をもって第1弾出演アーティストが確定した『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』。改めて、本当に素晴らしい布陣である。更なる興奮の底上げについては公式HPに詳しいが、ここからは現時点までに確定している各日のラインナップからいろいろと予想していきたい。まずは初日8月6日。この日はどちらかと言えばポップに寄ったアーティストが勢揃いで、クリープハイプや[Alexandros]といったメインステージほぼ確約のバンドを筆頭にサウシー、ビーバー、ミセスらがガッチリ脇を固める。もちろん新進気鋭のアーティストも豪華で、YOASOBI、yama、リョクリャカなどここ数年で我々が日常的にその歩みに触れてきたアーティストも多数。秋山黄色と須田景凪の肉体的パフォーマンスや、Lucky Kilimanjaroの優雅な調べに身を任せるのもまた一興だ。

YOASOBI「群青」Official Music Video - YouTube

 

続く2日目は、取り分け『今観るべきアーティスト』が多数出演する要注目地帯だ。本格的にライブ活動を再開したKANA-BOON。新曲リリースも話題のKing Gnu。今年中の解散が確定事項となっているBiSH。公開予定の映画主題歌を含めタイアップ続々決定のmilet……。具体的な『今観るべき』要素は様々だが、きっと何年後かに「あの時ロッキンで観ていて良かった」と思い出に浸る瞬間が何度も起こる、そんな素敵なラインナップである。フェス常連組のフレデリックもアルバムリリース的にもそのセットリストに注目が集まりそうだし、全国ツアーを終えた頃合いのフジファブリックも、ハッピーなサウンドで魅せるmiwaも、淡く痛い思い出を吐き出すように歌うTETORAも楽しみ。この日は是非とも、注目のポイントと自身の好みを上手く照らし合わせながら会場を練り歩きたいところ。

BiSH / オーケストラ[OFFICIAL VIDEO] - YouTube


少しばかりの休憩日の後、ある意味では新たにスタートする3日目。こちらは現時点ではロック色の強いラインナップが全体を占めているのが特徴であり、9mm、10-FEET、フォーリミ、ブルエン、マイファス、ホルモンら大舞台が似合うバンドがギュッと凝縮。涙も汗も、多くの水分が体から流れる最高の1日になりそうだ。他にも数年前とのセットリストの変化も注目したいsumika、独自の浮遊感で唯一無二の世界観を形成するTempalay、『あなた』への恋心を儚く歌うSSW・優里にも期待大。総じて体の芯から肉体的に熱くなれるメインステージか、ポップ路線を攻めてみようと試みることの出来るネクストステージかを自由に選べる、こちらも楽しみの尽きない1日になること請け合い。例えば「フォーリミ行った後Tempalay観よう!」とその場の雰囲気で決められるフェスが、日本でいくつあるだろう……。

04 Limited Sazabys『swim』(Official Music Video) - YouTube

 

ここからは折り返し、4日目の出演者をピックアップ。この日は発表当日大きな反響のあったワンオクをはじめオーラルやベガス、ヘイスミ。一方でOKAMOTO‘S、ベボベらジャンルレスな音楽探求を繰り返してきたバンド。果ては音楽性も風貌も歌詞も規格外、これまでの音楽シーンを塗り替える確信犯・-真天地開闢集団-ジグザグも起用した盤石の体制で行われる。ACIDMAN、G-FREAK FACTORY、FOMARE、Lenny code fiction含め、言わば敢えて音楽性を分けた稀有な1日になりそうな予感がする。一見第2弾発表で更なる充実を図るように思いきや、例年今後発表される前日・翌日の出演者にもよるけれど、サプライズ的なコラボで今年一番の盛り上がりになる可能性も秘めた、良い意味で掴みづらい1日。残るスタミナを考えつつ、未だ見ぬ音楽への興味を実現させる重要な1日になりそうだ。

ONE OK ROCK - Wonder [Official Video from "Field of Wonder at Stadium"] - YouTube


そして最終日、5日目である。サンボマスター、ポルカ、モンパチ、ヤバT……。おそらくはメインステージに君臨するバンドたちの面々は、まさしく「このフェスを最高の締め括りにしよう!」とするロッキン側の声が聞こえてくるほど圧倒的だ。アニメ主題歌がバズり中の神サイ然り、紅白出演も記憶に新しいDISH//然り、今や作品の枠を超えてロックバンドとして力強い存在となったRAS然り、今注目のバンドも熱い。個人的にはストレートに思いの丈をぶつけるMr.ふぉるても期待したい。加えて昨年・一昨年とやむなく中止となった関係上、よもやの大物アーティストの起用の可能性も大。今後の発表も含めて、今の段階でも何かとてつもない1日になりそうな予感がするのがこの最終日。体力が尽きるまで最後まで盛り上がって、有終の美を飾ろうではないか。

サンボマスター / 花束 MUSIC VIDEO - YouTube

 

ここまでザッと現時点までの発表アーティストをピックアップしてみると「この第1弾発表でも大満足なのでは?」と思える程の豪華さで、改めてロッキンのブッキング面の強さを実感。しかも驚くべきことに今後まだまだ発表を控えているというのだから、楽しみは尽きない。繰り返しになるが、今年のロッキンは新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた昨年度、一昨年度の思いを引き継ぐ、とても運命的な代物だ。確かに参加者の我々としては出演アーティストに多くの注目が集まるのは当然として、特に今年はその裏側にある涙ぐましい努力も察しながら、来たる興奮を想像したいところ。……「音楽を止めない。フェスを止めない。」フェスの総合プロデューサーである渋谷陽一氏はずっと、全国の音楽ファンの心を代弁し続けてくれた。そんな強い願いに応えるためにも、今こそ我々は最高の笑顔という行動で答えなければならない。長らく待ち望んだ伝説の日は、もうまもなくだ。

【お笑いライブレポート】オズワルド・空気階段『広島蟹』@広島県民文化センター

こんばんは、キタガワです。

 

幕張蟹、有楽町蟹とコンスタントに行われてきた、オズワルド&空気階段によるトークイベント・『蟹』シリーズ。今回は『広島蟹』と題して広島初開催である。奇しくも前日に行われた見取り図寄席(ライブレポートはこちら)と続けてのお笑い連休となった訳だが、当然こちらもチケットはソールドアウト。幸福たる笑いの坩堝に陥りたい生粋のお笑い好きたちが一同に会し、凝縮された時間の中でネタとフリートークを堪能した。


定刻ジャストに開演し、まずステージに現れたのはオズワルド。「えーお世話になってます。伊藤と畠中でオズワルドです。宜しくお願いします」というお馴染みの丁寧なツカミで拍手喝采を受けつつ、ジャブがてらにこの日集まったファンの客層を挙手制でチェック。どうやらオズワルドを初めて観たファンが多かったことから、畠中は「じゃあ多分全員空気階段のファンだ」と一蹴。すかさず「そんなことねえだろ」と返す伊藤の、ホンワカした雰囲気に温かい笑いが生み出されていく。何というか、特にお笑い芸人のやり取りというと声を大きく張って、ツッコミはそれ以上に大きくツッコむのが通例なのだけれど、本当にオズワルドのやり取りは友人とのカフェの一幕のようで、心にスッと入り込む感覚がある。……そんな中で先日報道された、伊藤の妹であり女優の伊藤沙莉の交際報道に切り込み「文春マジで許さねえからな!」と笑いを生み出す部分は流石だ。

 

オズワルド【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順6〉M-1グランプリ2021 - YouTube(※記事内のネタは当日のとは別ネタです)

そこから始まったのは新ネタ『音階』。構成としては畠中が『ドレミファソラシド』の音階の矛盾を指摘し、伊藤が翻弄されるというものだが、ウケ的にもこれはほぼ間違いなく今年のM-1グランプリ用のネタだと思った。というのもこのネタ、これまでオズワルドに触れてきた人でもかなり予想外の展開を進むものだったからだ。ドレミファソラシドのドの部分がおかしい、レは不自然とひとり持論を展開する畠中に頭がバグりそうになった伊藤を、「じゃあドを○○に例えるとしようよ。それでレは○○にしてさ……。ここまでは分かる?」→伊藤「ごめん意味分からない」。「じゃあ、このドをレにしちゃったら分かりやすいと思う。これだとドが○○に変わるわけじゃない?だからさ……」と、我々的にも全く意味不明のストーリーを突き進む流れは、とてつもない爆笑を生み出していた。これまでM-1では『ゆったり系』『激怒系』『カオス系』といろいろな変遷を辿ってきたオズワルド。そんな彼らが今年辿り着いたのが、誰もが予想しなかった『困惑系』だと言うのだから面白い。
 

空気階段「 面接」 - YouTube

オズワルドがハケると、続いては空気階段のコントへ。ネタは『バイトの面接』で、採用担当のかたまりが面接に来たもぐらに翻弄されるストーリーだ。もちろんもぐらはある種不審者というか、さしすせそが上手く言えない独特な滑舌のキャラクターで、もうそれだけで面白い。しかもパンツの中から手渡された履歴書には元中日ドラゴンズの立浪和義の写真が貼られていたり、実際は42歳にも関わらず年齢を18歳と記載していたり、更にはタワーマンションの家賃を払うためにバイトしようと思ったなどツッコミどころ満載。もうこの時点で落とすつもりでいるかたまりだったが、次第にもぐらが改造された人造人間(犯人はバンダイの社長)であることが判明。話は思いもよらない方向へと向かっていく。最後は不採用を言い渡された対応にキレたもぐらが背中のゼンマイを巻いて殴りかかろうとするも、その場でジタバタするだけの結末で終了。空気階段らしいシュールなコントに会場は大爆笑。自分たちの面白いと思うネタを全力でやる、その振り切りぶりを見事に感じた一幕だった。


そして2組のネタが終わると、ここからは蟹シリーズの代名詞であるフリートークに移行。なおこの蟹シリーズ、トークの内容を事前に決めない完全なるアドリブであるらしく、いざフリートーク開始となっても「何話しましょうか……」とゆったりした時間が流れていく。「今日は別に配信とかないから何でも喋れるっちゃ喋るよね」というもぐら、取り敢えずセクシー女優と行為の話など含めた性的な話を繰り出すも頓挫し、そこからは配信されないメリットを利用しての『これまで誰にも言っていなかった話』のテーマで語り始める。

 

空気階段・鈴木もぐら クズ人間すぎて妻子と別居|しくじり先生|地上波・AbemaTVで放送中 - YouTube

かたまりはまず先日なんばグランド花月で開催された『伝説の一日』について。この日がダウンタウンの漫才を含め明石家さんま、ナインティナインら錚々たるメンバーで開催されたことは記憶に新しいが、かたまりは舞台袖で面白い光景を見たとのこと。それは『さんまの駐在さん』という明石家さんまグループのコントでの出来事で、そこではジミー大西が上手く演技が出来ないことで逆にドッカンドッカンウケる現象が発生。気付けば演技そっちのけで爆笑する環境にあったという。そして舞台袖にいたのは次の出番を待つ西川きよしで、あまりにもウケ続けるジミーに次第にイライラ。後半は「ジミー!ちゃんとせえ!」と舞台袖から激怒していたといい、それを聞いたオズワルドのふたりは「あの温厚な師匠が!」と爆笑。続いて「ダウンタウン松本さんと言えば」と切り込んだのは伊藤。彼は先日松本と行った居酒屋で大喜利の必勝法を教わったとし、最終的には松本と共に大喜利で盛り上がったことを話してくれた。「これマジで凄くない?こっちも伝説の一日よ!」と語る伊藤、心底嬉しそうだ。


その流れを踏まえての暴露話、もぐらは腕にある1本の手術痕を指差しながら思い出を回顧していく。どうやらこの傷はもぐらの幼少時代、飲酒運転をしていた父と共に田んぼを車で走っている時ついたものであるとし、半ドア状態で走っていた車の扉が途中で開いて事故に繋がったのだという。後に病院に運ばれたもぐら、医者から「これは一生残る傷だよ。多分2本傷が残る」と言われるも母から「せめて1本にしてください!」と懇願され結果1本になったという結末なのだが、伊藤からは「1本に出来るならゼロにも出来るだろ!」とツッコまれていた。

 

オズワルド伊藤 - 天才女優を妹に持つ苦悩を告白 | トークサバイバー!~トークが面白いと生き残れるドラマ~ | Netflix Japan - YouTube

最後のテーマは畠中による『この世界がいきなり自分ひとりになったら何したい?』。畠中いわく「もし他に人がいて、それが女性だったら多分子孫繁栄のためにセックスしてると思うんだよ。そうじゃなくて本当に自分ひとりだったらどうするかっていう」という考えに基づいたものらしい。……のだが、その『何したい』の定義はとてつもなく曖昧であり、ワープは出来るのか、明日になったら人は復活しているのか、そもそも餓死するんじゃないかなど問題は山積み。それらをひとつずつ消していく作業にまず長い時間が費やされた。加えて「生き物に飲み込まれてみたい」「火山の内部に行きたい」「滝や空から飛び降りてみたい」といった3人の意見を毎回「それは死んじゃうから無理じゃん」と一蹴する畠中に次第に全員の不満が爆発。最終的には『明日になったら全部元通りになる設定。ワープは出来るが1回だけ。その際は忍者のポーズを絶対にしないといけない』というルールで確定して話が進むも、どうも畠中は満足行かない様子。メンバーが「じゃあお前は何するんだよ」と問うと、畠中は「向かいの部屋の間取りが見たい」とする珍回答を提出。もぐらからは「そんなのSUUMOとか調べれば一発だろ!」とツッコまれていた。


時間にして約1時間。ともすれば「もっと見たい」と思ってしまいそうな環境がとても満足の行くものだったのは、今思えば集まったファンによる信頼感の表れ。……M-1やKOCが契機となり、今やほぼテレビで観ない日はない2組がギチギチのスケジュールの合間をぬって広島に来てくれて、しかもどこにも出ていないトークでしっかり盛り上げる。同様に圧倒的に難しいこのイベントを成功させたのも、やはり彼らの芸人力が成し得たものだろう。


……ライブが終わり外に出ると、興奮冷めやらないファンたちの多くが余韻に浸るが如く会話をしていた。中には「明日の福山市のライブにも行くんだ」と語っている人も何人もいて、改めて彼らの素晴らしい人気を実感した次第だ。売れている芸人には絶対に理由があるというが、まさしく。この愛され続ける2組の現在地を確かめる上でもこの日のライブは必須だったと、今なら思える。……今年彼らが出る予定のお笑い番組、総じて期待大である。

【お笑いライブレポート】『見取り図寄席in広島〜ぶちおもれぇライブじゃけぇのぅ!〜』@JMSアステールプラザ 大ホール

こんばんは、キタガワです。

 

会場に着くと、カバンに見取り図のステッカーを貼った人々や、キャリーバッグを転がすお笑いファンの姿にまず驚く。もちろんこれは日々舞台に立ち続ける見取り図の人気がもたらすところも大きいけれど、やっぱりここまでの豪華メンバーが一度に観られるとあっては、遠路はるばる遠征する気持ちも分かるというもの。かくして見取り図、モグライダー、かが屋、ロングコートダディ、カベポスター、kento fukaya、マユリカ、メンバー……。ただでさえ一組一組の人気が高い最高のお笑いライブ・『見取り図寄席in広島〜ぶちおもれぇライブじゃけぇのぅ!〜』は圧倒的な入りで始まったのだった。


『見取り図寄席まであと○秒』の興奮必至のカウントダウンが終わった後、スポットライトに照らされる形で見取り図のメンバー、盛山とリリーが登場。この時点で黄色い声が飛び交う中、盛山は「すみませんね皆さん、SixTONESと超特急がライブやってる中で……」と、この日偶然にも行われていた大規模ライブを引き合いに出してまず一笑い。対するリリーは唯一前乗りをして隣県・岡山市和気郡の実家に帰っていたというが、そこで自由奔放な姪っ子に「ねえねえ、アンタって(盛山と)寝てんの?」と言われたことを暴露。早くもこの日一番の爆笑となった会場を見ながら「ええわけないやろ!何やそいつ!」と強烈にツッコむも、リリーは「前乗りしたけど田舎やからさ、結果大阪から行くより今日時間かかったわ」としっかりとオチを付ける。


2人が「それでは見取り図寄席、スタートです!」と宣言すると、会場が暗転。華やかなBGMに乗ってステージに現れた1組目の芸人はマユリカで、まずは「マユリカが何で『マユリカ』ってコンビ名を付けたかご存知の方いらっしゃいますか?」という切り出しから、実際はそれぞれの妹の名前である『マユ』と『ユリカ』を繋げていることを語り、中谷は「ね?気持ち悪いでしょ」と一笑い。そこから雪崩れ込んだネタは結婚相談所で、女性役で希望の条件を提示する中谷と、全く希望と違う男性を紹介する阪本の掛け合いがどんどんおかしな方向に向かっていく様が面白い。初見のお笑い好きもきっと多かったことと推察するが、見事なネタで最高の滑り出しを飾ってくれた。

マユリカ【よしもと漫才劇場 7周年記念SPネタ】 - YouTube


続いてのコンビはぐんぐん頭角を現すコンビ・カペポスター。彼らにとってはお馴染みの「確かにお前の言うとおり〜」→「言うてないわ」のボケを入れつつ、ここで永見が「僕の妹がカベポで、彼の妹がポスターでカベポスターです」と先程のマユリカを引っ張ったボケで大爆笑を生み出す。「ポスターもヤバいけど何やカベポて……」と突っ込む浜田の低血圧な感じも、面白さに拍車をかけている印象だ。ネタは『大声コンテスト』で、1位を取った思い出を永見が1年目、2年目と回想していくネタながら、ラストに登場人物全員が一丸となってとある結末へ導くという、誰もが予想出来なかった伏線回収へ繋げる見事なネタ。現状どこにも公開されていないネタだけあり、完成度的にも今年のM-1用なのかなと思ったりもしたがどうだろう。

カベポスター【敗者復活戦ネタ】〈出番順10〉M-1グランプリ2021 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


ネクスト芸人はかが屋。この日の芸人の中では最年少だが、KOC含め数々の大会で頭角を現してきたコンビである。ネタは『ドSな先輩とドMな後輩の飲み会』で、長机と椅子のみで進行するミニマルなコントだ。開口一番、男の後輩役の加賀が「すいません……」。対して女性で先輩役の賀屋が「もっと大きな声で言いなさいよ男らしくないわね!」と怒る一見ハードなコント。だが話を紐解いてみると、先輩側は知人からの情報で後輩がドMだと知った上で接しているらしく、普段よりもあえて強い言動をしていることが判明。そして職場では物静かな先輩の本性(注:キャラ作りです)に驚いた後輩、さぞかし辛いだろうと思いきや実際彼はめちゃめちゃなドMであり、今の状況をとても楽しんでいる様子。もうこの時点で面白いのだが、見かねた店主が先輩をたしなめてから、後輩が「全然大丈夫です!というか今がベストな状態なんです!」と弁解するのが最高。ラスト、全力で怒鳴られた後輩が快感に浸る一幕は、早くもこの日の一番の笑いの爆発を生み出していた。

かが屋『合コンの誘い』 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)

 

この日の芸人の中では唯一のひろしまよしもと所属のメンバーも負けてはいない。ステージに上がっても一向に鳴り止まないBGMに一瞬「機材トラブルか?」と思ったが、彼らのネタはBGMに合わせて展開するリズムネタの『Ah!』。「カッ」や「すぃーんだ」、「Break Down」といった音を上手くボケとツッコミに入れ込んだ全く新しい漫才に、会場が一体となって盛り上がる様は痛快だ。しかもよく見ると上手い具合にフリも効いているので音ネタというより確かにこれは漫才で、ジャンルレスな楽しさがある。メンバーが歌ネタ王決定戦でブレイクしたのは記憶に新しいが、彼らが売れた理由をはっきりと示す、そんな一幕だったように思う。

メンバー 歌ネタ 「Ah!」 - YouTube

 

と、ここで一旦ネタはブレーク。ここからはこれまでの出演芸人勢揃い、盛山が司会を務める見取り図寄席恒例のミニコーナーである。ここで最も盛り上がったのはクイズコーナーで、問題として広島出身アーティストのイントロクイズ(奥田民生“さすらい”やPerfume“チョコレイト・ディスコ”など)が大盛りあがりとなった中、一際爆笑を生み出していたのは『広島の球場の正式名称は?』の問題。これ、おそらくはほとんどの人が『マツダスタジアム』だと思っていたし実際間違いではないのだけれど、盛山に渡されていた回答は『A MAZDA Zoom-Zoomスタジアム』という地元民でもほぼ覚えていない名称で、なおかつ何かの誤りなのか、何故か頭に『A』が付いている。もちろん盛山はそれを正式な回答として見なしていたため、しっかり広島住みます芸人のメンバーが「マツダズームズームスタジアム!」と答えても「Aが入ってない」との理由で不正解にされたりし、会場は大爆笑。他にも自分の陣地に風船を入れるゲームで汗だくになったり、目隠しをして2番目に立ち上がった人が回答権を得られるクイズでは、ひとり目が立ち上がった瞬間に観客のひとりが「ああ……」と言ってしまい盛山がゲーム中断したりと、どこを切り取っても最高な雰囲気である。


早くも折り返し地点に突入した後半戦。まずは『R-1グランプリ』での活動も記憶に新しいkento fukayaのターンだ。彼といえばフリップネタのイメージが強いが、今回はフリップなし、広いステージにたったひとりきりという、よもやのしゃべくりスタイルでの登場だ。気になるネタは『共感を得ていく』。具体的にはfukayaが我々に「あるある」と思わせるようなとある人物像を提示し、全員でそれを『あるあるfukaya』か『ないないfukaya』にを判断するというものだが、その内容がギリギリ共感できないレベルを攻めていて、意図的な失笑を買っていく。しかもその後に披露されるfukayaのリアルなエピソードトークはハチャメチャに面白いという対比も楽しく、「ウケてるウケてる!じゃあこの流れで行くよ!……大学の授業で隅っこにいる人は、居酒屋に行くときは絶対鳥貴族。どう?」と言って絶妙な失笑を見ての「……ないないfukaya。ちょっとみんなー!」のくだり、最高。何というか、愛されている彼の人柄を強く感じた。

【R-1グランプリ2022】kento fukaya〈決勝ネタ〉ネタ順1 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


続いてはKOCとM-1で注目株となったロングコートダディ。ネタは『万引き犯とスリル』で、万引きをした主婦(堂前)と、スーパーの店長(兎)とのやり取りが続いていく。最初こそシリアスな雰囲気だったのだが、流石はロコディ。話は堂前が「スリルがたまらなくて……」→「すみません奥さん、スリルってなんですか?」のやり取りから一転。次第に兎が堂前にスリルとは何ぞやを詰問する、大爆笑の展開に。どうやら兎演じる店長はスリルという言葉を聞いたことがなかったらしく、堂前の「ジェットコースター乗ったときスリル感じるとかあるじゃないですか」「スリルを“味わえる”から万引きしてた」という発言がまたややこしくしてしまい、兎は「えっ?じゃあジェットコースター乗るのと万引きするのってイコールなんですか?」「味わう?えっ?スリルって食べ物なんですか?」ともっとマズい方向に。最終的には兎が「今日はお帰りください。奥さん面白いんで……。おめでとうございます脱獄成功です」と帰らせるオチ。これ、今年のKOCでやらないかな。

【コント】井上さん/ロングコートダディ - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


楽しい時間は過ぎるのが早いもので、気付けばライブの出順は残すところモグライダーと見取り図のみに。満を持してステージに上がるのは、昨年のM-1グランプリトップバッターにしてトップ史上歴代最高特典を叩き出したモグライダーだ。「広島っていろんな有名人らいりゃますよね!」と盛大に噛んだともしげにまず笑いつつ、ネタは広島出身の吉川晃司をフィーチャーした『吉川晃司に飯食わせよ』。そこからはお馴染みの半アドリブで、決まったアクションで誘う芝と、何度も失敗するともしげの対比が面白い。それこそ昨年のM-1でネタの手法は分かっているが、それでも生で見る彼らのネタは緊張感もあって更に研ぎ澄まされている印象。後半は「ベイベベイベー」やシンバルキックのくだりもあり(以下動画参照)、トップギアの盛り上がりで終了。まだまだ見たいと思わせる確かな実力、流石である。

モグライダー『吉川晃司に飯食わせよ』 - YouTube


そして遂にこの時間がやってくる。激しいBGMに乗せて、最後に出演するのはもちろん盛山とリリーのこのふたり。見取り図だ。ネタは『同窓会』で、おそらくはこちらも今年のM-1用に各地で仕上げているネタなのかなと。内容は盛山が次々に過去の同級生に話しかけられ、リリーがその相手役として話す見取り図らしいネタなのだが、久々に出会った友人が予想外の変貌を遂げていたり「一緒に会場を抜け出しましょう」と囁くのが担任教師だったりと笑いの波状攻撃が続く。加えて印象的だったのは、見取り図がここまでの人気を得ているからか、お客さんもかなりアットホームな雰囲気だったこと。まるで彼らの一言を全員が待っているかのような、そんな素晴らしい空気感を味わうことが出来たのも、今回の見取り図のネタを見て抱いた最高の感覚だった。

見取り図【敗者復活戦ネタ】〈出番順4〉M-1グランプリ2021 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


全てのネタが終わり、ここからは本日2度目となる特別コーナーへ。kento fukayaとロコディ、モグライダーと見取り図が揃う総変わりしたメンバーで行われるのは、連想ゲームやアンケート調査結果発表、ミニゲーム等。ここでも連想ゲームで『ギター』のお題に対し、数字の6をちょっと右に曲げたものをフリップに書いてそれを上下に弾くというルールを逆手に取った行動などが笑いを誘った中、とてつもなく面白かったのがアンケート調査。これは開幕前に事前に参加者から募ったアンケートの集計結果を発表するものなのだが、まず「部屋が一番汚そうなのは?」に盛山が2位に選ばれる(ちなみに1位はともしげ)。そして次に「一番カワイイと思う芸人は?」が始まり、全員が「盛山は絶対ない!」と盛山をガン無視し、ともしげやkento fukaya、兎といった人物を予想していくが、結果何と1位は盛山!発表された瞬間会場がぶっ壊れるレベルで爆笑する中、盛山はお立ち台に立ちつつ「俺この中で一番汚くて一番カワイイってどういうこと!?」とどんどん爆笑へと繋げていた。


最後に行われたのは再びアグレッシブな運動系コーナー。ただ具体的には『羽子板でピンポン玉を繋げ→兎が広島カープメガホンでそれをキャッチ→兎がバランスボール3つを腹這いで移動→芝がボールを蹴る→堂前がボールを装置に置いて『広島』の文字が出る』というとてつもなく難易度の高いものでもあり、1回ミスするとまた最初からの鬼畜設定もあってメンバーは大苦戦。中でも難関なのは当然兎のメガホンキャッチ→連続バランスボールで、都度「うおおお!」と雄叫びを上げながらバランスボールで移動して失敗、ステージに倒れたその足ですぐメガホンに移動しなければならないハードさに会場は大盛り上がり。しかも挑む兎の表情が本気(マジ)で、ほぼ不可能であろうそれを全力でやり抜こうとする姿勢に更なる爆笑が生まれていた。最後は時間の都合上芝と堂前の行動のみで終わらせる形で、無事(?)に『広島』の文字を出すことに成功。かくして約2時間に及んだライブは予定より30分オーバーする興奮でもって、その幕を降ろしたのだった。


見取り図主催のお笑いライブ。それは単純に見取り図のライブを広島で観ることが出来る意義も大きいものだったけれど、それ以上に『何故見取り図が愛されるのか』、その理由に迫るライブだった。観客も芸人も、誰もがその人間性に惚れ込む存在が彼らなのだなと、この日改めて実感した次第だ。……それこそ、これほどの豪華メンバーは見取り図だからこそ集められたところもあるだろうし。内容についてもバラエティに富んでおり、大満足で言うことなし。個人的には本格的なお笑いライブ参加は7年ぶりだったが、本当に大満足の2時間だった。またいつか、あわよくばこの広島で見取り図寄席が開催されることを期待しながら、今回の出演者たちの動画を改めてYouTubeでチェックしていきたいと思う。

『いのちの電話』は本当にいのちを救ってくれる存在なのか

某日、大好きな芸人さんが亡くなった。昔から彼が出演していた番組は欠かさずチェックしていて、一時は彼の笑いに勝手ながら助けられていた。あれから数日が経った今でも「嘘であってほしい」とは思うけれど、それについて個人的に何かを書き記すことはしない。その人なりに思い詰めた結果がそれだったのだとしたら、いち個人の思いだけで書き記すのは些か卑怯だと思うから。

必然この度の一報は昼夜問わず、翌日も翌々日も続けて続報が報道番組で取り扱われる形となったが、そんな中でひとつ疑問に思ったことがある。それこそが頻繁にここ数日で知られることとなった『いのちの電話』についてだ。現在芸能人の自死のニュースが流れるたびに決まってテロップに付け加えられてアナウンサーが読み上げる……というのが『いのちの電話』の広がりのセオリーとなっているけれど、まず大前提として、この『いのちの電話』に救われた人が大勢いることを踏まえても、その存在を希死念慮を抱える人々に広く提供することは良くないことだと思っている。その理由は純粋に、このシステムが本当に悩める人々にとってプラスとは到底考えられないためなのだが、今記事では筆者が『いのちの電話』に否定的な考えを固めた理由について、以下にまとめていく。なおこれらは全て個人的な思いに基づいて記したものであり、他意はないことは始めに明言しておきたい。加えて今記事では広告収入を一切受け取っていないこともまた、この場ではっきりさせておきたい。

 

 

①ネット記事における収益の仕組み

冒頭から本筋から逸れるようで申し訳ないが、本題に入る前に理解しておかなければならないのが、そもそもの『ネット記事における収益の仕組み』だ。いくつか例外はあれど、ネット記事の収益発生は主に2通り。ひとつは『企業案件』、もうひとつは『広告収入(Googleアドセンス)』である。

そもそも『企業案件』というのは普段YouTube等を閲覧している人はよく分かるように、特定の商品をレビューして商品購入に繋げる戦略を指している。これはブログでもYouTubeでもそうなのだけれど、紹介をしてもらう、という行動自体にまず企業側から数万〜数十万単位で広告費が支払われて、その後実際に動画ないし広告がきっかけで商品がいくら売れたかで、プラスのマージンが手に入る仕組みになる。ただこれには問題もあって、閲覧者が「今回の動画もPR動画かよ」と判断して再生を渋ってしまったりと、ネガティブなイメージも付きやすい。だからこそ、特にインターネットにおける記事では2つ目の広告収入を是としているものが多い。

そんなこんなで広告収入。こちらはとてもシンプルで、純粋に『記事内に貼られた広告が1回クリックされる』、ないしは『毎月の閲覧者』ごとに数円単位の収益が発生するシステムである。なお現状インターネット経由で収入を得ている人の大多数がこの広告収入を採用していて、例えば『料理 おすすめ』でも『有線ケーブル』でも『運動会 楽しい』でも何でも、記事内に広告が貼られているネット記事はほぼ全てが広告収入を得ていると見て良い。余談だが、違法ダウンロードサイト等に大量に広告が貼られている理由もそれである。今回の『いのちの電話』に関して重要なのは、そのうちの『毎月の閲覧数』という広告収入のもうひとつの部分。これを踏まえた上で、次の項目から進んでいこう。

②いのちの電話の成り立ち

続いて『いのちの電話』の存在意義とも言える成り立ちについて見ていこう。この活動の一部を担っている『社会福祉法人 いのちの電話協会』では、いのちの電話についてこう記されている。『さまざまな問題をかかえて孤独と不安に苦しみ、悩み、生きる力を失いかけている人々に、「電話」を通して対話することにより、生きる意欲を自ら見い出せるように心の支えになることを願うボランティア活動です。 電話相談員は研修を受けたボランティアたちです』……。つまりこのいのちの電話は本当に辛い人々を救うために、善意で悩める人の相談に乗っている、ということ。無給無休で相談に乗る、それは本当に素晴らしいことだとは思う。

ただ悲しいかな、その善意が本心からの善意であるかどうかは、きっと我々には知る由もないのである。例えば最初は「本気で悩める人の相談に乗ってあげたい!」と思って活動を始めた人でも、1日何人も何人も相談を受けたら精神的に辛くなることもあるだろうし、深夜シフトで電話に出るのがストレスになる人もいる。しかもどれだけ相談を真摯に聴いても、実質的に無休なのである。……少なくとも普通の人ならノイローゼになりかねない環境だろう。そんな中で相談に乗ってくれる人全員が善意である保証は、少なくとも100%ではないのではないか。

③ではそもそもいのちの電話は本当に善意なのか?

全ての活動は、絶対に金がなければ続けられない。そしていのちの電話は365日24時間、基本的にボランティアが行っており、そこに収益は発生してしない。……であれば、そもそもいのちの電話はどうやって収益を得ているのだろうか。そこでハッと思い至るのが『企業案件(Googleアドセンス)』と『通話時間』の2つの収入である。

これは本当に辛い生活を送ったことのある人なら分かることと推察するが、例えば『死 方法』や『つらい 生活』等いろいろと検索すると、「本当に辛いことがあればこちらをオススメします!」と突然記事内の最後の最後にいのちの電話に誘導されることがある。例えば、もしそれがいのちの電話側からブロガー側にもたらした逆的な企業案件だったらどうだろう。毎月の閲覧数で活動を維持しているとしたら。他にも、辛い話をずっとし続けていれば通話時間が数十分になってしまうこともおそらくあるけれど、それが回り回っていのちの電話の収益になっている可能性は。正式な情報はないので現状まだまだ憶測の域を出ないが、やたらめったらメディアでいのちの電話が猛プッシュされていることから、最悪な想像をしてしまう自分がいる。

記事とは関係なく、ここからは少し自分の話。僕はこれまで何百回といのちの電話にコールしてきた人間だ。ただその中で繋がったのは片手で数える程で、その内容も僅か数分で言いくるめられたり「考え方を変えたらどう?」とペラペラなアドバイスをもらったり、果ては説教じみた言葉で一蹴されたこともある。……あれから何年も経って今生きてはいるけれど、少なくともいのちの電話が人生を明るく照らす一助になったということは、ただの一度もない。

友人に相談も出来ない。家族なんてもってのほか。でも今が辛すぎる。そんな状況を打開してくれる唯一の手段がいのちの電話だと思ってコールするも、その結果希死念慮が更に高まる悪循環。だからこそ何かとテレビでいのちの電話の存在を伝えられるたびに思うのだ。これは本当に、今にも死にそうな暗中模索の人たちに寄り添ってくれるものなのだろうかと。

ここまで感情の赴くまま書き記してしまったが、上にも記した通りこれらは憶測の域を出ない。もしも本当にいのちの電話が100%の善意で行っているのだとすれば即刻この記事は削除する気持ちでいるし、是非とも辛い人々に寄り添ってほしいと思ってはいるけれど、何というかここまで365日24時間、ボランティアを主軸に置いたこれほど大規模なものを完全善意であるとは到底思えない。少なくとも収入源などの運営情報を明らかにしてもらえれば、悩める人々も胸筋を開いた状態で頼ることが出来るはずだが、多分難しいのだろうなと。……改めて、本当に死にたい人に対してみんなが思っている以上に世間は冷たいよ、ということを考える今日このごろである。

『SUMMER SONIC 2022』、待望のステージ別ラインナップ発表!各ステージの楽しみ方を大解説

こんばんは、キタガワです。

 

待ちに待ったこの日が遂に!昨日5月9日に公開された『SUMMER SONIC 2022』のステージ別アーティストアナウンス。事前に知らされていた通りステージ的な規模はコンパクトにはなったが、出演ラインナップはあまりにも豪華という良い意味でのアンバランスぶりには、思わず感謝の気持ちが口をついて出そうになってしまう。


さて、ここからは気になる各日の注目ポイントを見ていこう。まずは初日8月20日のメインであるマリンステージには、ヘッドライナーのThe 1975に橋渡しをする形でKing Gnu、マネスキンが堂々鎮座。The 1975についてはもう説明するまでもない、サマソニとしては小さなステージからのし上がってきた感動的な起用だし、日本のフェスとは言えKing Gnuが世界的に注目を集める2組に囲まれる様は感動的。サマソニ代表・清水直樹氏いわく「彼らサイドからこの位置と高額ギャラを希望された(意訳)」という超強気の姿勢が表れたマネスキンも、若干20歳にしては驚きの立場である。また気になるザ・リバティーンズとリナ・サワヤマ、ビーバドゥービーらジャンル無用年代無用の海外勢はまさかのこのステージであり、この辺りは参加者の年代的に良い意味でバラつきがありそう。ホルモンやミセス、Novelbrightは予想通りの位置にしろ、やはり「良くやった!」と叫びたくなる貢献度はさすが。

King Gnu - 一途 - YouTube


続いては2番目に大きいマウンテンステージ。何とトリはMAN WITH A MISSIONで、往年のパンクヒーローたるオフスプリングとオール・タイム・ロウ、ジャンルレスのフィッシュボーンがそれを支えるという、新世代の台頭を見せ付けた形だ。BLUE ENCOUNTとザ・リンダリンダズも含めてこの日のマウンテンはかなりロックに寄ったラインナップにしろ、こちらは好みのサウンド的に『選べる』楽しみもありそう。個人的には現在14歳そこそこ、高校の夏休みを利用してサマソニに参戦するガールズティーンバンドのザ・リンダリンダズが、バンド名の由来となったTHE BLUE HEARTSの“リンダ リンダ”をカバーするかどうかにも注目したいところ。

The Linda Lindas - "Growing Up" - YouTube

そして残すソニックステージのトリは、孤高のSSWセイント・ヴィンセント!コロナ前はほぼ毎年来日してくれていた彼女だが、その実パフォーマンスはバンドセットだったりソロだったりと千変万化。ニューアルバムが高評価を得ていることも含めて、特にセットには大きな期待が高まる。ケイシー・マスグレイヴス、スクイッドら若手洋楽勢は本当に今観ておくべきだし、邦楽好きにもオーサム、Vaundy、CHAIは今最もチケットが取れないアーティストとして知られているので、彼らを見ることでも間違いなくチケット代のお釣りが来るレベル。

 

Megan Thee Stallion - Body [Official Video] - YouTube

そしてバトンが繋がれる2日目、こちらも物凄い。ヘッドライナーが日本円にしてチケット代ウン万円は固い超VIPのポスト・マローンという時点で圧倒的だけれど、グラミー賞を受賞したミーガン・ザ・スタリオン、ジャンルやジェンダーを完全無視した有名人ヤングブラッド、古き良きロックを鳴らすザ・ストラッツなど、数あるこの世の洋楽フェスのどこも実現出来なかった素晴らしいラインナップには驚くばかりだ。更に日本からはONE OK ROCK、WANIMA、THE ORAL CIGARETTESらロック勢、要注目株としては話題沸騰中のBE:FIRSTが出演し、こちらも目が離せないステージになりそうだ。

 

Primal Scream - Movin' on Up (Official HD Video) - YouTube

マウンテンステージのトリは思わず「待ってました!」と叫びたくなる最強の男、プライマル・スクリーム。しかも今回は1991年にリリースされた名盤『スクリーマデリカ』の完全再現ライブだと言うのだから、ファン垂涎ものである。クーラ・シェイカーも含めてここだけ見るとグワッとあの時代に戻った感覚もある中で、あのU2のボノを父に持つフロントマン率いるインヘイラーや、独特のサウンドでぐんぐん勢いを伸ばすイージー・ライフもいて幅広い。特に注目されているのは言わずもがな、あのBTSの弟分でもあるTOMORROW X TOGETHER(TXT)で、この時間のマウンテンはとてつもない熱気に包まりそうな予感。日本からはアジカン、milet、優里らこちらも誰もが知るアーティストが勢揃いで、おそらくこれは全日そうだが、このステージで1日過ごすだけでも周囲の人々に誇れるような、そんな貴重な体験が出来ると思う。

 

Carly Rae Jepsen - Call Me Maybe - YouTube

ソニックステージももちろん負けてはいない。トリは何と稀代のポップマエストロ、カーリー・レイ・ジェプセン!ここ日本でも“Call Me Maybe”や“Good Time”がCMで起用され大ブレイクとなったのは記憶に新しいが、あれから数年経ち更に厚みを増したサウンドには期待大だ。加えて、まさかまさかのこの位置で登場のツイッターフォロワー数140万人超えのCL、そして堂本剛率いるファンクバンドENDLICHERI……。正直この時間は入場規制は確実だろうから、少しでも興味のある人は全力で動くべし。セイレム・イリースとグリフの2組もポップ好きとしては避けて通れない布陣で、ちゃんみなや女王蜂がガッチリ固める最強のソニックステージ。全体としてポップに振り切ったステージになったこの空間で、どんな奇跡が起こるのか今から楽しみだ。


去る4月に発表された現ラインナップを観て、おそらくは洋楽好き邦楽好きに関わらず、音楽を生活の中心に据える誰しもが「サマソニ完全復活だ!」と心踊ったはず。そして今回の日割発表でもって、その興奮はより現実味を帯びて想像出来るようになったはずだ。「BE:FIRSTからTXTを観て、急いでENDLICHERIに移動しよう!」とか、「この辺りで全力ではしゃいだ後ちょっと休んで、最後はThe 1975の“Guys”を聴いて泣こう!」とか……。タイムテーブルが発表されるのはまだ先だけれど、日々そうした想像で楽しめるのはやはり夏フェスの、サマソニの醍醐味と言える。


しかも、嬉しい発表は終わらない。何故なら近日中にはBEACH STAGEの出演アーティストと、日本とアジア圏のアーティストをブッキングしたと目されるPACIFIC STAGEのラインナップも発表される予定で、まだまだ出演者は増えるからだ。もしかしたらこの時点で固まっていたあなたの当日の行動予想を、更に良い意味で混乱させてくれる大好きなアーティストが加わるかもしれない。発表のたびに大きな衝撃を与えてくれるサマソニ。これからの動向を見つつ、どうかそれまでそれぞれの思いを巡らせながら楽しんでみてほしい。

【ライブレポート】PEOPLE 1『2022 SS TOUR “PEOPLE+”』@広島クラブクアトロ

こんばんは、キタガワです。

 

チケットが一般発売直後に全公演ソールドアウトとなり、結果的にチケット難民が続出したPEOPLE 1史上2度目となるツアー『2022 SS TOUR “PEOPLE+”』。これまで東名阪で行われていたものとは違って、今回は広島や愛知など更に幅広い地域で行われる、彼らにとっても大きな意味を持つツアーだ。……ただ彼らの場合は他のアーティストとは勝手が違ってもいて、我々的にはその日を迎えるまで妙にソワソワ。「一体どんなライブになるんだ」と、期待に胸を膨らませていた人はきっと多かったはず。


その理由は単純に、PEOPLE 1のライブを目撃したことのある人が圧倒的に少ないため。この日のMCでも「東京から10時間かけて広島に来た」「これまでの人生で日本の西側に行ったのは今日の広島が初めて」と語られていたように、活動拠点が東京にある関係上、地方民がライブに赴くこともほぼほぼ難しかったのである。……そんな中開催されたのがこの日の広島公演。フロアに足を踏み入れるなり、ステージ上に置かれている何やら英語で書かれた縦長の物体、サインペンで書かれた『PEOPLE』の文字が呪詛のように埋め尽くされた白い椅子2脚、背後にはキーボード、PC……。そのロックバンドのライブとしては明らかに異様な光景に、更なる興奮が高まっていく感覚を覚える。 


この日僅かに販売された当日券分の動員が凄まじかったからか、定刻の18時を数分押した時間に開演。本来であれば暗転後にSEが流れるのが世間一般的なバンドのあるあるなのだが、PEOPLE 1のライブではそうしたこともなく。完全無音の真っ暗な中、彼らがステージに現れるのを待っている状態だ。そして次第に暗闇に目が慣れてきた頃、舞台袖からサポートのベントラーカオル(G.Key)、Hajime Taguchi(B.Key.manipulator)5名の人影が登場。先程PEOPLE 1が正体不明の存在であると綴ったが、無論このときには演奏するメンバー数はおろかそのライブ形態も分からないため、どこまでがサポートメンバーなのかも分からないカオスな時間が流れていく。ただ、ステージ中央に1本垂直に立ったマイクの前に立っている人物がおそらくIto(Vo.G)で、まるで精神統一するかのように椅子にダランと腰掛けている謎の人物が作詞作曲者のDeu(Vo.G.B.Key.Per.Sampler.manipulator)、ドラムがTakeuchi(Dr.Sampler.Cajón)であるということは、何となしに理解する。

 

PEOPLE 1 “怪獣” (Official Video) - YouTube

いつしかオープニングを飾るインスト曲“PEOPLE”が流れ初めてもメンバーは微動だにしなかったが、《さあさあ怪獣にならなくちゃ/等身大じゃ殺されちゃう》とのフレーズがどこからか放たれた瞬間、それまで椅子に腰掛けていた人物が勢い良く前へ進み出る。そう。運命のオープナーはいきなりのキラーチューン“怪獣”である。様々な音がごった煮されたカオスなサウンドが蹂躙する中で、Deuは右へ左へと移動し、更にはファンにピースをしたり手をヒラヒラ振ったりしながら、自由に歌声を響かせていく。なおこの歌い方も、敢えて誤解を生むような書き方をしてしまえば「絶対に心に残るライブをしてやる!」という肉体的と言うよりは脱力的に近く、途中の「ラパッパッパッパパ・アォー」の印象的なフレーズさえも低音だったり高音だったりとかなりのアレンジが加えられていて、まるで音楽好きたちの遊び場にフラっと迷い込んだよう。対してともすれば折れてしまいそうな程の細身のシルエットで中央に立つItoは直立不動でギターを弾き、かなり若く見えるTakeuchiは常に笑顔でドラムを叩いていて、そのアンバランスさも面白い。


新曲の情報は数あれど、現状リリースされた正式なフルアルバムは一昨年リリースの1作のみというPEOPLE 1。そのため集まったファンの大方の予想通り、基本的にはこのフルアルバムから“バンド”を除く楽曲を網羅することに加えて、カバーも新曲も投下するという彼らの現在地を見せ付けるものとなった。ただ全く予想外だったのは、その構成がこと『ロックバンドのライブセオリー』に明らかに反している異質な点で、激しい曲とダウナーな曲が混在したり、メンバーが都度全く違う楽器を演奏したり、果ては口笛や咳払い、笑い声までもをパーカッションにする、これまでに観たことのない手法のステージングには驚かされるばかりだった。


マイペースな中にも集中力を見せながら楽曲を紡いでいくPEOPLE 1。けれどもMCになると突然グダグダになってしまうのもまだまだ活動歴の短いバンドならではで、Itoが第一声を「広島はじめましっ、うぇあ!」と盛大に噛んでしまったことをきっかけに、Deuがそれに対して「えっ?今噛んだよね?うぇあ!っつって」と執拗に突っ込み、追い込まれたItoが肯定も否定もしない形で逃げ切って沈黙……。というような具合で、どこか掴み所がない。他にも「ちょっと水飲んでいい?」と訴えるItoに「じゃあ10秒ね。じゅー、きゅー、はーち……」と何故かカウントダウンを始めるドSなDeuの姿を見ていると、彼らが気取らずにライブに臨んでいることが分かる。ちなみにライブにおける服装についてはスタイリストが付くアーティストも多い中、Itoがこの日着ていたマリリン・モンローのTシャツは広島のPARCOで先程購入したものとのこと。本当にどこまでも自然体である。

 

PEOPLE 1 "常夜燈" (Official Video) - YouTube

「PEOPLE 1から愛を込めて」と“ラヴ・ソング”、この日会場に来ている大学時代の広島の友人からラインでリクエストがあったという、予想外過ぎるフジファブリック“茜色の夕日”のカバーを挟み、ライブは続く。多数のMVのヒットを量産してきた彼らゆえ、きっと集まったファンそれぞれ『ライブで聴きたい曲』は異なっていたことだろうが、前半部分のハイライトとして映ったのはブレイクの火付け役となった“常夜燈(読み:じょうやとう)”だろう。手拍子しのリズムを完全に狂わせる独特な曲調でItoは心中に潜む漠然とした不安と、思いを圧し殺して順応させなければ生きていけないことを歌っているけれど、確かにそれはこの世界における真理だと思う。……何故なら恵まれているような自覚と共に時たま襲い来るネガティブな感情と戦いながら、僕らは日々を過ごしているから。基本的に明るいはずの彼らの楽曲に抱いていたどことなく憂鬱なイメージを、この楽曲でははっきりと示していたし、ある種ガタガタのテンポ感で突き抜ける様もまた、敢えて抽象的に心情を体現しているようでもあった。

 

PEOPLE 1 “魔法の歌” (Official Video) - YouTube

そして「僕の一番好きな曲をやります」というItoの一言からひとつの区切りとして鳴らされたのは“魔法の歌”。前半に涙に暮れる少女の姿を描き、後半は何か吹っ切れたように舞い踊る少女が描かれた公式MVがこの楽曲が急速に認知されたきっかけとなったのはお馴染みだが、ライブで歌われる“魔法の歌”はこれまで飄々とした佇まいに徹していたItoが声をからさんばかりに絶唱する、とても肉体的なアレンジで進行。よく言われるような「生きてるだけで偉い!」とする漠然とした応援歌ではなく、「生きていれば考え方が変わって楽になる」という、全く別の角度から生き辛さに切り込むフレーズに、どこかPEOPLE 1の心の広さすら感じた感動的な一幕だ。中でも《僕はこういう人だから 自分を愛してあげられない/そんな自分を愛している自分にだって気付いているんだよ》と叫ばれる最後の歌詞には、集まったファン誰しもが個人的な思いをフラッシュバックさせ、じんわりと『今』に思いを馳せたに違いない。

 

PEOPLE 1 "フロップニク" (Official Video) - YouTube

PEOPLE 1 “フロップニク” (BLT LIVE BOOSTER vol.1) - YouTube

この時点でライブ開始から1時間が経過。もちろんここからはアッパーな曲を連発する熱狂時間に突入である。第2部はアルバム同様にインストの“PEOPLE 2”→ゲームチックなサウンドが楽しい“スクール!!”の流れでスタート。これまでとは打って変わって激しいサウンドが鼓膜を揺らす、ロックバンドとしての彼らの動きに誰もが盛り上がりつつ注目している。取り分け印象深かったのは鉄板のキラーチューンたる“フロップニク”で、Dueは巻き舌で「ルルルルルルアァー!」と絶叫したり、「オッオッオウ!」とリズムに合わせて応戦したりとメーターの振り切ったアクションで楽しませ、それに呼応するように一寸先も見えないような照明がビカビカと照らされるカオス時間に。ちなみにこの楽曲でも特に決まった型はないらしく、Dueが叫ぶタイミングや途中でギターに切り替えるタイミングも彼の思うがまま。以下のライブ映像とはまた違ったライブ体験になったことは、是非とも特筆しておきたいところ。

 

PEOPLE 1 “銃の部品” (Official Video) - YouTube

続いてはそのままの勢いから「銃の部品100万再生ありがとうございます」とここに来ての新曲“銃の部品”で一気呵成を図るPEOPLE 1。そもそもメディアにほとんど顔を出さない謎のアーティストが公開1週間も経たずに100万再生を突破すること自体が異常なのだけれど、間違いなくこの楽曲はこれからもどんどん閲覧数を伸ばしていく、彼らにとっても大切な曲になる。そう断言出来る程の圧倒的盛り上がりには、流石と言う他ない。


楽しい時間は過ぎるのが早いもので、気付けば本編は残すところあと1曲に。本編ラストのMCと言うことで、機転を利かせたItoが「最後なんで何か言いたいことないですか?」とTakeuchiに振るも、Takeuchiに「別にないです……」と断られ、それではとDeuに主導権を譲るも「じゃあ僕もないです……」と言われた結果、しょぼくれたItoが「じゃあ……ありがとうございました……」と語って失笑が巻き起こる、自由奔放な彼ららしいMCだ。そして最後に鳴らされるのは“僕の心”という楽曲であることを明言したItoが、ゆっくりと話し始める。「人の気持ちは今でも分からないです。僕もずっと人間関係に悩んできてっていうことがあったので……。だから『自分はこういう人間だから』って悩んでしまうのは、凄く良く分かります。でもそれを『自分はこうだから』って言い訳をして逃げてしまう行為については、絶対に良くないと思っていて」。詳細は不明にしろ、彼はそうしたニュアンスの言葉を発していたと思う。

 

PEOPLE 1 “僕の心” (Official Video) - YouTube

そうして緩やかに始まった“僕の心”は、まるで我々の心の奥底にスッと入り込むように純粋に会場を満たしていった。メンバーは楽曲中長らくハンドクラップを要求し、サビの合唱部分にはSNSで募集されたファンの歌声が重ねられるその光景は言葉に出来ない程幸せなもので、所々声が嗄れながらも後半にかけて熱を帯びるItoの歌唱も、楽曲の持つメッセージ性に拍車をかけていた。MV、激しさ、匿名性……。PEOPLE 1の魅力は意図して混在させているため、おそらくファンの中でも「PEOPLE 1のどこが好き?」という部分を仮に質問したとして、人それぞれ回答は異なることだろう。ただこの日に披露された“113号室”や“常夜燈”、“魔法の歌”、そしてこの“僕の心”を聴いたとき、彼らは言いようのない寂しさや後悔、生き辛さを(なるべく見せないように)楽曲に落とし込んでいることがはっきりと分かった。特にラスト、何度も自分の心の中の思いについて《分かるわけがないでしょう》と力強く繰り返すItoの姿には、どこかライブに来ないと絶対に分からない、彼らの真意さえ見えた気がした。


ここでライブは一旦ブレイク。けれども一向に点かない客電にアンコールを察したファンたちによる手拍子で、ひとりの男が再び呼び込まれる。それはこれまでほとんどMCで発言をしてこなかったTakeuchiであり、ここからはライブの物販をTakeuchiが紹介するコーナーに突入だ。しかしながら「普段隅の方でドラム叩いてるからこんなに見られるの慣れてなくて……。あんまり見ないでください……」と語っていたように喋りは苦手らしく、全体的に訥々とした語り口であることに加えてTシャツの色展開を間違えたり、グッズの紹介時間に明らかなバラつきがあるなど、見ているこちらとしても苦笑いが続く時間に。Takeuchi自身ももう無理だと思ったのか何度もメンバーに助けを求めていたものの、DeuとItoは腕組みをしながらステージ袖でニヤニヤしながら見ているのみで、謎の時間が数分間続く。そしてようやくステージに出てきたDeuとItoに「MCって難しいんですね……」と呟いてからは、「そうだよ!MC大変なんだぞ」「こっちが頑張って作ったグッズなのによお」とDeuによる徹底的なTakeuchiイジりが勃発。常にニコニコしているTakeuchi、気付けばサンドバッグ状態である。ただ完全に挟まれた位置に立つItoは対照的に時折少し笑うのみで直立不動という、PEOPLE 1の不思議な関係性を表したMCだったと思う。


アンコール1曲目は、来たる5月16日から放送予定のドラマ『カナカナ』の主題歌に抜擢された新曲“YOUNG TOWN”をメンバー3人によるアコースティックセットで一足早くお届け。Deuがベース、Itoがアコギ、Takeuchiがカホンを演奏する貴重な場面を見ながら、こうして新曲を聴けるのもライブの醍醐味だと実感。ほぼ集まったファン全員が初見状態ではあったが、細部に口ずさみやすいフレーズも含まれていて「きっとこの楽曲も今後のPEOPLE 1の代表曲になるんだなあ」と確信にも似た気持ちになる楽曲だ。

 

PEOPLE 1 × Spotify on PlayStation - YouTube

そして正真正銘ラスト、Itoが「まだやってない曲がありまして。最後は皆さんで盛り上がって終わりましょう!」と叫んで鳴らされた楽曲はフルアルバム『PEOPLE』から現状の彼らの楽曲で最もアッパーな雰囲気を携えた“エッジワース・カイパーベルト”。イントロが爆音で流れた瞬間から、ファンは当然飛び跳ねまくり踊りまくり。アンコールラストにしてこの日一番の盛り上がりを記録したことは言うまでもない。DeuはItoの背後で彼の頭部にピースを2個繋げて耳のようにしたりと全力で遊びながら、ファンに手を振ったり首を揺らしたりと自由奔放。Itoに関してもハンドマイクでこの日一番ファンに近付きながら、最終的にはマイクを側に置いてあった拡声器に持ち替え、まるで何かの選挙演説のようにザラついたノイズまみれの歌声を響かせていく。かくして特に「踊れー!」という一言もなく敢えてファンの動きに全てを委ねながらも、けれども結果ファンが盛り上がるという、実はライブバンドの全体を考えてもあまりない自主的な興奮を呼び起こして「PEOPLE 1でした。広島楽しかった。ありがとう!」との一言でもって、この日の約1時間40分に及んだライブはその幕を閉じたのだった。

 

ライブを終えて1日が経った今でも、あの日観たライブが一体どのようなものだったのか形容するのは難しい。いわゆるロックバンド然としたライブとも違うし、新しいことばかりに振り切ったものとも違う。多分これまでMVをチェックしてきた人なら『PEOPLE 1のライブのイメージが湧かない』と一度は思っただろうけれど、その疑問符はライブを観ても結果消えないというか……。物書きとしては陳腐な表現にはなってしまうけれど、やはり良い意味で「あれがPEOPLE 1のライブである」ということになるのだろう。ただ“常夜燈”や“魔法の歌”の箇所にも記したように、その楽曲には紛れもなく彼ら自身が感じる思いも含まれている訳で、こうした部分はライブでなければ味わえない『肉体的な彼ららしさ』であるとも感じた次第だ。


断言するが、今年PEOPLE 1は音楽業界に名を轟かせる存在になる。ただ主にその理由はおそらく匿名性と音楽性によるところが大きく、引き合いに出してしまって本当に申し訳ないのだけれど例えばWurtSやEveにも似て、一般的に分かりやすい部分の「PEOPLE 1って曲めっちゃ良いよね!ミステリアスな点も格好良い!」という、本人たちの意見は不明ながら結果としてネット発ならではのバズリ方をすることと思う。でも本当に『分かっている』ファンは彼らのもっともっと深い部分も含めて愛するはずだし、それがYouTubeのコメントなりSNSなりで拡散されて、そこからまだ視点が行かなかった音楽好きもだんだんハマっていくような。何となく、PEOPLE 1はそうした今風のブレイクの仕方を辿るのだろう。よくよく考えれば良い意味でこれほど言葉にし辛いライブも久し振りだったが、それすらももしかすると彼らの策略なのかもしれないなと、これまた漠然と思ったのだった。何が凄いかも言い表せないがとにかく凄かったライブ、PEOPLE 1の魅力はきっと、もっと近くて遠いところにある。


【PEOPLE 1@広島クラブクアトロ セットリスト】
PEOPLE
怪獣
さよならミュージック
BUTTER COOKIES
ゴースト
113号室
ラヴ・ソング
茜色の夕日(フジファブリックカバー)
常夜燈
東京
魔法の歌
PEOPLE2
スクール!!
フロップニク
銃の部品(新曲)
アイワナビーフリー
僕の心

[アンコール]
YOUNG TOWN(新曲・Acoustic Ver.)
エッジワース・カイパーベルト

ここで逆に、コロナ禍でいろいろと規制されたライブシーンの良さを考えてみよう

こんばんは、キタガワです。

 

ライブハウス界隈でソーシャルディスタンスや発声制限といった暗黙のルールが適用されるようになってから早いもので、2年が経った。未だ感染拡大が収まりを見せない現実を考えると長期化は避けられないため、きっとあと2年程はこのままの状況が続くのだろう。特に演者としてはやり辛い環境がスタンダードとなることに申し訳ない気持ちもありつつ、漠然と「仕方ないなあ」と冷たい感情に囚われたりもしてしまう今日この頃だ。

けれどもこのコロナ禍でビクビクしながらライブに足を運ぶ中で、疑問に思った点がひとつ。それはズバリ『今のライブシーンに前向きな部分はないのか?』ということである。絶対にこの状況をプラスに考えられる要素だったり個人的心境だったりは存在するし、これまでとは全く違う運営を迫られたライブシーンは、決して180度変わってしまった訳ではないと思うから。……そこで今回は世間一般的に知られる現在のライブのリアルを敢えてポジティブに変換し、逆に『今しか出来ないコロナ共存のライブシーン』の前向きな点を列挙。結果コロナ禍でライブ参加を断念し続けてきた人の背中を押し、また否定的な考えを抱く人にも何らかの思考変換が出来るような、今のライブシーンのポジティブなリアルを伝えていきたい。

 

 

①自分のペースで楽しめる

音楽は好きだけどライブには行かない……。そんな悩める音楽好きにとってこれまで巨大な懸念点として浮上していたのは、きっとライブへの何となくの恐怖感であろう。コアなファンに囲まれて浮くんじゃないか、お決まりのコール&レスポンスについて行けないんじゃないかと、これはライブに限らずそうだが初めての経験は相当な覚悟が必要なはず。ことライブに関しては「私有名なこの曲から入ったんだけど……」という我々的には実は大歓迎な入り口にもこわごわしてしまったり、なかなか一歩が踏み出せなかったりもする。

確かにアーティストによっては観客にアクションを要求することもなくはない。けれどもこのコロナ禍によってアーティスト側の盛り上げ方も変化していて、ある程度レスポンスが取れなくても楽しませる試みが随所に取られている。かく言う自分自身もバンドの「お前ら行けんのかー!」、アイドルの「この振り付けマネして踊ってね!」といった行動が本当に苦手なクチだったけれど、ここ最近のライブではこうした観客側に行動を求めることは激減し、アーティストのみで完結させる試みも増えてきた印象がある。逆にシャイな音楽好きにも優しく寄り添ってくれる環境が今なのだと、ライブシーンに足を踏み入れればはっきりと分かるはずだ。……奥手な人ほど、今の環境はベスト。どうか気兼ねなく参戦を決断してみてほしい。


②感染拡大防止の全力ぶり

今は大して言われてはいないまでも、特に一昨年あたりに頻りにネガティブキャンペーン的に吹聴されてきたのが、ライブシーンにおけるコロナの危険性。理由は考えてみれば単純に『密閉・密集・密接』のいわゆる三密がライブハウスそのものではないか、とする一部の意見が拡大したことによるのだが、確かに存在したそれらの感染拡大懸念事項を改善に向かわせた結果、今のライブシーンは明らかにリスクの少ない形で行動を考え尽くしている。

例えば最も恐れるべき飛沫感染については、まずもって現在全ての会場でマスク着用が義務化されている。もちろん何か不測の事態が起こった場合はすぐさまスタッフが対応するので、我々への被害はまずゼロだ。更には肩と肩が触れ合わない距離感で各自の座席を決める試みも完璧で、距離的な不安も特段ない。そして現在多くの飲食店で行われているような検温チェックに加え、場所によっては問診票の記入や新型コロナウイルス接触管理アプリ『COCOA』のインストール、チケットは各自でもぎる、密集を防ぐための規制退場などを半ば義務化しているライブも多く、それこそ我々の日常に溶け込んでいる電車通勤や対面授業、友人らとの語らいよりも明らかにリスクが低かったりも。


③『今だからこそ』の環境謳歌

そして、これまでのライブとは異なってしまった状況だからこそ出来る最大の楽しみ方がある。それは単純に『この環境は今だけ』という特別感だ。このコロナ禍は絶対にどこかで終わる訳で、つまりは必然ライブシーンも何年後かには元通りになる。その時我々はきっとスパっと以前のライブに身を委ねることだろうが、この『コロナ禍のライブシーン』を知っているかどうかで、関わり方も違ってくるのは明白だろう。

例えば最初は嫌々やっていたマスク生活が、そのお陰で表情に気を遣わなくて良くなったり、風邪もひかなくなったように。不便は反面、ポジティブな思いに転換することだって可能なのだ。……となれば、一見この規制の敷かれるライブシーンは来たる本チャンの楽しみに結びつける、最高のスパイスと言っても良い。大好きな音楽をは爆音で聴くに限ると、終わった頃には絶対に思えるはずだ。


正直に綴ってしまうと、『ライブに行く』ということ自体がかなり敷居が高いのが今までの当たり前だった。「ひとりで行くの怖いな」とか「予定が合わないな」とか……。たとえ自分の大好きなアーティストが地元に来たとしても、ライブに参加する方向まで向かった人は数少ない。加えてここ数年ではコロナの蔓延もあり、どんどん足が遠退いてしまった人も少なくないだろう。けれども実際参加してみると、こうした規制のあるライブも意外に楽しいことが分かるのだ。何事も自分のペースで、コロナにも怯えることなく爆音を一身に浴びる体験は、やはり音楽好きの生活になくてはならない代物。いろいろ思うことはあるだろうが、それでも。『この機会だからこそライブに参加してみる』という行動を、是非とも一度リアルに考えてみてはいかがだろうか。

 

ハンブレッダーズ「再生」Music Video - YouTube