キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

【ライブレポート】ナナヲアカリ『DELICIOUS HUNT TOUR 2022』@広島セカンドクラッチ

こんばんは、キタガワです。

 

全国ツアーが新型コロナウイルスの影響で中止となり、場所的には3年ぶりとなったナナヲアカリの広島ライブ。また『DELICIOUS HUNT TOUR 2022』と第された今回のツアーはこれまでのようなアルバムリリースを前提としたものではなかったために、セットリストについても全く予想が出来ない面白さもあった。……ただ、結果として今回のライブはある意味ではイメージを逸れたものだったのだ。何故ならアンコール含め80分、全17曲を披露したこの日は間違いなく最高だった中で、明らかな人間的一面も感じさせるライブでもあったから。


フロアに足を踏み入れると、バンド機材が等間隔で並べられたステージが目に入る。ここだけを見ればシンプルなセット。ただ少し目線を動かすと映像を映し出すVJ卓があったり、何よりステージ背後には巨大なスクリーンが鎮座。結論から書くと今回のライブは常に映像を投影しながら行われるものだった訳だが、もうこの時点で心中の興奮は止まらない。どうやら周囲を見てもその考えは皆同じのようで、友人間でセトリの変更箇所を予想する人、忙しなくSNSに文字を書き込む人も多数。改めて「愛されているんだなあ」としみじみ。


ライブは定刻ジャストの17時30分に開演。彼女のライブでは『ナナヲアカリ』の言葉がぶつ切りにされたSEを流し、メンバーが飛び跳ねながらステージに立つことが恒例になっているけれど、今回それはなし。真っ暗な中、サポートメンバーであるカトリーヌ(G)、かのーつよし(B)、タイヘイ(Dr)、野良いぬ(VJ)がひとり、またひとりと持ち場に立つシリアスな幕開けだ。そこから少し遅れてスタンドマイクの前に立ったのは、今回の主役ことナナヲアカリ(Vo.G)その人。この段階ではシルエットのみしか分からないものの、無表情で前を見据えていることだけは分かる。

 

二度目の花火 -Short Ver- (短編映画「日曜日とマーメイド」 Edit) / ナナヲアカリ - YouTube

オープナーは早くも先日リリースされたシングル『恋愛脳/陽傘』から、カップリング新曲“二度目の花火”。背後に線香花火や打ち上げ花火が打ち上げられる綺麗な映像と、虚ろな目で歌い上げるナナヲの対比が光る。時折腕を前に出しながら感情を憑依させる彼女の姿を、誰もがじっと見詰めているという一風変わった始まりには驚いたけれど、思えばハッピーで盛り上げるナナヲとナイーブな心を映し出すナナヲ、そのどちらもが彼女のカメレオン的な魅力なのだ。


この日のライブは、確かに広く知られているナナヲのアッパーな楽曲を中心に披露するものではあった。ただ詳細までは語られなかったが、後のMCで「この数ヶ月で私自身いろいろと考えさせられる出来事があって。本来やろうと思っていなかった曲も入れようと思いました」と彼女が説明していた通り、“事象と空想”や“ホントのことを言うのなら”、果てはインディーズ時代の“プラネタリー・メッセージ”といったナイーブな楽曲も一定数取り入れた代物となった。……それはネガティブな自分自身と折り合いを付けながら活動を続けるナナヲは元より、そんな彼女に心酔して集まったファンからの、双方向的な信頼感も表していたように思う。また全ての楽曲でVJにMV映像、もしくは新規映像が映し出されており、目にも楽しい形となっていたことも特筆しておきたい。

 

事象と空想 / ナナヲアカリ - YouTube

“ハノ”が終わると、この日初となるMCへ。まずは「3年ぶり!」「初めて!」「昨日ぶり!」とライブの参加者を挙手制で確認。結果昨日から続けてライブに来た人が最も多く、喜ぶナナヲ。そして今回ツアー地としては3年ぶりとなる広島へと会話が移り、「あー(ナナヲの一人称)が中退した大阪の大学にも広島から来てた友達がいて。今でも仲良いんですけど、しかも今日来てるんだよね」と暴露。ただ客席を見渡すナナヲにつられてファンも周囲を見渡すが、それらしき人はどこにもいない。我々的にも疑問が浮かびかけてきたとき、「本当に今日来てるよね?ミツコ?……んなわけないけど!」と、ここで友人の話が嘘であったことが判明。そのまま“んなわけないけど”の興奮へと導いて行くのだった。


ここからは一転、激しい楽曲を連発するゾーンへと突入。移り変わる躁鬱感情をシャカリキな音に乗せた“んなわけないけど”、クールな踊りで注目を一身に浴びた“ヤンキーダンス”、圧倒的な言葉数で翻弄する“ラブみ”……。彼女の存在が広まる契機となった数々のMVをバックに、どんどんライブは続いていく。

 

完全放棄宣言【Live ver.】 / ナナヲアカリ - YouTube

中でも圧巻だったのは、キラキラシンセが印象的な“完全放棄宣言”。イントロが鳴った瞬間からファンが飛び跳ね飛び跳ね、体感として地面がグラグラ揺れたこの曲。“完全放棄宣言”というタイトル通り『頑張って生きること』を諦め、怠惰を極める少女が描かれているのだけれど、この空間にいる普段学校や職場で辛いながらも働いている人たちが、一様に共感して盛り上がる様はあまりに痛快。サビ部分ではVJの野良いぬが前に進み出てナナヲと共にギブアップダンスを踊る一幕もあり、間違いなくライブ前半のハイライトのひとつだった。


そして今回のツアーの恒例となっている早口言葉コーナーでは、お菓子のおっとっとを題材として「おっとっととっとってっていっとったのに、とっといてくれんかったん?(おっとっと取っておいてって言ってたのに、取っておいてくれなかったの?)」を言うだけのカオスな時間に。ちなみにかのーつよしは成功か不成功か微妙なラインで終わるも、早口言葉が大の苦手な野良いぬは前半で既に撃沈。……ただ流石に微妙な空気を感じ取ったのか、話はゆっくりと今回のグッズである証明写真ガチャに移行。免許更新や履歴書などで使うようなナナヲの証明写真が売られるというガチャの中で、唯一シークレットで入っていた謎のおじさんの正体が『ナナヲのマネージャーの直属の上司』であることを暴露。それなりの笑いを取って、ボチボチな感じでMC終了。この緩さもナナヲアカリのライブあるあるだ。

 

陽傘 / ナナヲアカリ - YouTube

中盤は先のMCの通り、もうひとりのナナヲとも言うべきネガティブな本心を強く映し出すセットリストで構成された。何枚かリリースされてきたナナヲのアルバム。その中でも物悲しげな雰囲気の楽曲は1、2曲程度しかないため、今回の試みがどれほど稀有な代物であったのかは容易に想像出来る。当然その大半の楽曲はこれまでライブで披露される機会が少なかったものばかりだったけれど、ナナヲが「いろんな人の心に響く曲だと思います」と語って歌われた新曲“陽傘”はあらゆる喪失を、そしておそらくはナナヲ自身がこの数ヶ月で経験した大切なものとの別れを、暗に示していたように思う。


僕が今回のライブを通して思ったことがあるとすれば、それは『彼女の根底にはいつもネガティブが存在している』ということだった。それこそ“完全放棄宣言”と“陽傘”が全く異なる歌声で歌われているように、ナナヲはいつも楽曲に合わせて雰囲気を作り変える、カメレオン的な歌唱を武器としていた。そしてそれは歌のみならず、他媒体でも同様。自身が姿を見せて語るカラオケのDAMチャンネルなどでは笑顔だったし、逆に顔を出さないインタビュー記事では弱さを出すこともあったのだ。ただ今回のライブで明らかに『素』に思えたのはこの“陽傘”で見せた、何かを耐えるように言葉を紡いでいく彼女の姿。変わらない心象風景と変わっていく自分自身を、感情を込めて歌うナナヲに強い感動さえ覚えた次第だ。

 

ハッピーになりたい【Live ver.】 / ナナヲアカリ - YouTube

「まさかインディーズの曲やるとは思わなかっただろー。ここから後半戦ですが行けますかー!」と煽ると、以降はクライマックスに続く定番曲を連発。「オーオォー」のレスポンスもバッチリ決まった“メルヘル小惑星”、あまりの熱量に誰もが飛び跳ねまくり、ほぼステージが見えない状態と化した“ハッピーになりたい”、ナナヲがギターを激しく掻き鳴らしたアッパーナンバー“Higher‘s High”とシームレスに鳴らし続ける代表曲たち。例えば内容的にもMV映像的にも、“ハッピーになりたい”などは希死念慮を抱えてひきこもるストーリーで、それを大ジャンプして腕を振り上げるファン……という構図は些か異様ではある。けれどもそんな対比も、やはりナナヲのライブとしては至極正しいのだ。

 

雷火 / ナナヲアカリ - YouTube

「最後の曲です!ナナヲアカリでした!」と叫んで鳴らされたのは“雷火”。MVとはまた違う電撃をフィーチャーした映像が流れる中、ナナヲはキーの限界まで声を張り上げ、右へ左へと動き回りながら歌声を届けていく。また中盤では中央のマイクスタンドを袖まで移動させつつ、ポッカリ空いたセンターステージでファンを煽り倒す一幕もあり、最後まで存在を印象を付けたナナヲ。アウトロが終わった瞬間にお立ち台から飛び降りるラストを経て、満面の笑顔でステージを去っていった。


本編が終わり、すぐに暗転した場内。しかし興奮収まらないファンたちは一様に手拍子を続け、次なるアンコールへの期待を覗かせている最高の環境である。と、突然暗闇の中からひとりの人物がステージへと足を進め、中心でピタッと停止。そして彼女が《まわるまわる ふたりのフィーリン》と歌い始めると、ステージがパッと暗転。そこにいたのは今回のツアーTシャツを着用したナナヲであり、そのままアンコール1曲目の“恋愛脳”に雪崩れ込みだ。

 

恋愛脳 / ナナヲアカリ - YouTube

ツアー前のとあるインタビューで、ナナヲは「どこで“恋愛脳”を聴かそうかな? とか、いろいろ考えてます』と語っていたナナヲだが、結果この日の“恋愛脳”は大きな衝撃でもって迎え入れられた。まず1番に関しては実質的なカラオケバージョンで、ナナヲたったひとりで歌い踊る様はまるでアイドルのよう。かと思いきや、2番からはバンドメンバー+新顔の女性の総勢6名で振り付けアリで踊るカオス空間に。新曲ながら、前方では早くもダンスを完コピするファンもおり、今後この楽曲はナナヲのライブで欠かせないものになるのだなと実感。


“恋愛脳”が終わると、この日最後となるMCへ。まずは「どんどん人増えてくね……」と語ったナナヲ、どうやら今回のツアーにおける“恋愛脳”はその場所ごとに新メンバー(マネージャーなど)を招いて全員で踊る、というコンセプトになっているそう。なおこの日現れた女性は絡まったマイクコードを直したり、ギターを用意したりするナナヲのローディーとのこと。ただ「この感じだとツアーファイナルどうなるんだろうね」と想像を巡らせるナナヲをよそに、かのーつよしとタイヘイが後ろで延々『恋愛脳ダンス』を繰り広げ、野良いぬが「ライブ中に練習しないでよ……」とツッコんだりと、最後まで仲の良いえんじぇるズ(サポートメンバーの通称)である。

 

なんとかなるくない?【ティザーMV】 / ナナヲアカリ - YouTube

そしてライブは最終局面へ。「今日は本当にありがとうございました!明日からまた学校って人、仕事辛いって人、いろいろいると思います。けど……なんとかなるくなーい?」とナナヲが叫ぶ。そう。正真正銘ラストの楽曲は爆速で駆け抜けるファストチューン“なんとかなるくない?”だ。セットリストの大半を占めたファーストアルバム『フライングベスト 〜知らないの?巷で噂のダメ天使〜』の中でも極めてレスポンスが多いこの楽曲を、全員が全力で楽しむ姿はあまりに感動的。サビではこの日一番の大ジャンプが巻き起こり、「mani mani」や「Yeah Yeah」の大合唱も確実に決まる一体感はやはり、ここに集まったファンがどれだけライブを楽しみにしていたのかを表しているようでもあった。


時間にして80分。おそらくはあらゆる単独ライブ全体を見ても最も短い持ち時間で構成されたこの日のライブはその実、多くの人々が抱える『陰と陽』の心情をギュッと凝縮して説明するような、濃密な一夜だった。何度か本文でも記したけれど、例えば今回は披露されなかった“チューリングラブ”や“インスタントヘヴン”など、ナナヲの楽曲で広く知られているものの大半はキラキラ明るいアッパーなものだ。もちろんナナヲ自身もそうした楽曲を好んでいるのは間違いないまでも、決してそれだけじゃないよ、という本心に切り込んだのが冒頭と中盤に挟まれたモードだったのではないか。


そして、そんな『陰と陽』の精神は我々自身についても同様だ。辛くても何とか笑顔で頑張ったり、楽しいと思ったらネガティブになったり……。突然変わる心を制御しながら、我々は今日も生きている。ナナヲが今回披露したある意味特殊なセットリストは、何故我々がナナヲに心酔するのか、それを暗に示した運命的なものだったようにも思える。辛い現実に悩む“二度目の花火”のシチュエーションがあるように、全てを開放して楽しむ“なんとかなるくない?”の躁メンタルも共存する人間という生き物。いろいろあるけど取り敢えず生きてみようとする力強さを共有した、素晴らしいライブだった。

【ナナヲアカリ@広島 セットリスト】
二度目の花火
事象と空想
ハノ
んなわけないけど
ヤンキーダンス
完全放棄宣言
ラブみ
ランダーワンド
陽傘
ホントのことを言うのなら
プラネタリー・メッセージ
メルヘル小惑星
ハッピーになりたい
Higher‘s High
雷火

[アンコール]
恋愛脳
なんとかなるくない?

【ライブレポート】SUMMER SONIC 2022 大阪2日目@舞浜ソニックパーク

こんばんは、キタガワです。

前日の高揚感を抱えながら、サマソニ2日目。前日に比べて暑さも若干マシになり、かと言って曇りでもない絶好の天候だ。個人的には2日連続の参加だが、もちろんこの日が初という人も少なくない。入場までの道程で「あーいつものサマソニだわ!」「うちホンマ夏フェス久しぶり!」といった声が聞こえてくるたびに、何だか嬉しくなってしまう。みんなこの日を待ち望んでいたんだなあ。運命の最終日、以下ライブレポートです。


→サマソニ2022・1日目レポはこちら

 


The Linda Lindas 11:40〜 (MOUNTAIN STAGE)

https://www.thelindalindas.com/

入場ゲートをくぐるやいなやMrs. GREEN APPLE目当ての大移動を尻目に、まず1組目に選んだのはザ・リンダリンダズ。メンバー全員が10代の学生で、最年少はドラマーのミラ・デラガーザ(Dr.Vo)で何と12歳。今回のサマソニも、学校の夏休みも利用しての来日だというから驚きだ。フロアは朝イチにも関わらずギッシリで、泥臭いロッケンローを浴びたいと願う人々の熱気が充満していて感動的。

 

The Linda Lindas - "Growing Up" - YouTube

定刻になり勢いよく飛び出してきたメンバー。その表情は満面の笑顔で、ネコのように頬に三本線を書いたりシールを貼っていたり、他にも歯を矯正していたりとガールズっぽい一面も多々。元々たくさんのインタビューで「日本に行くのが夢」と語ってくれていた彼女たち、事前のインスタでも猫カフェや野球場やアイスクリームと楽しく過ごしてきたのは知っていたが、純粋に日本を愛してくれていることが伝わってきてグッとくる。


この日のセットリストはファーストアルバム『Growing Up』、2020年リリースのEP『THE LINDA LINDAS』からの固め打ちで、現在のベストを見せる形。また彼女たちはずーっと笑顔。あまりMCも挟まずどんどん曲を演奏していたのも印象的で、“Oh!”でのレスポンスはもちろん、前に3人が集まって楽器を同じ方向に動かしたり、メンバー全員がボーカルを取るのも面白かった。客席からチラッと「女性版リバティーンズじゃん!」という声が聞こえて思わず笑ってしまったけど、もう本当にそんな感じ。VJには「一緒にロックしよう」「踊ってくれてありがとう」といった文字がぐるぐる移り変わる仕様で、こうした一幕もロック好きとしての思いが汲み取れる。

 

The Linda Lindas - "Oh!" - YouTube

最後の曲は「日本のみんなのために」とTHE BLUE HEARTS“リンダ リンダ”のカバー、それも日本語ver!。加えて、彼女たちなりにアレンジも加えていて《出会い話し合うなら》の部分を絶叫して歌ったり、メンバーの中では特にパンキッシュなメンバーがボーカルを担っていたりと、リスペクトも感じられて素晴らしい。これまで何度かライブ映像を観てきたが、この“リンダ リンダ”はどの海外フェスでも毎回最初に、日本語で歌われてきた。もちろん反応はイマイチなことが多かった中で、今回日本でのサマソニ。観客の大興奮はきっと、彼女たちにとっても嬉しい出来事であったはず。それを証明するように、演奏が終わるとみんなで記念撮影→ピョンピョン飛び跳ねながらハケるという楽しげなメンバーの表情が光った。最高のフェスの幕開けだった。

【The Linda Lindas@サマソニ大阪 セットリスト】
Growing Up
Monica
Why
Magic
Claudia Kishi
No Clue
Nino
Talking To Myself
Cuántas Veses
Fine
Tonite
Oh!
Racist, Sexist Boy
リンダ リンダ(THE BLUE HEARTSカバー)

 

beabadoobee 12:25〜 (OCEAN STAGE)

https://www.beabadoobee.com/

続いてはオーシャンステージに移動し、2日目の目的のひとつであるビーバドゥービーへ。かつて日本に向けたインタビューで「日本に行くのは全人類の夢じゃない?」とまで語り、最近ではインスタにて上野動物園やラーメンについても投稿してくれていたため、初来日でいろいろ回ったエネルギーを纏った状態での出演となる。最新アルバム『Beatopia』をリリースした直後である関係からか、バックのLEDパネルには今作のジャケットが大写しになっているものの、それ以外の演出は特になし。そんな殺風景なステージに登場したビーと3人のバンドメンバーは、1曲目“Worth It”から無骨なロックを展開。あえて大きなポイントを作らず、楽曲を投下し続ける様はあまりにも格好良い。

 

beabadoobee - Talk (Glastonbury 2022) - YouTube

セットリストは基本的には『Beatopia』と『Take It Flowers』から。序盤で勢いをつけて中盤で一旦ブレイク、後半から再び徐々に上がって爆発するという、これまで培われてきたライブスタイルの集大成だ。その間彼女が語ったMCはほぼなく「みんな腕上げて!」といった促しも皆無。ただ愚直なロックはぐんぐん観客を惹き込んでいき、全員がゆらゆらとその場で楽しんでいる。

 

beabadoobee - Cologne (Reading 2021) - YouTube

後半の“Last Day On Earth”ではビーが上野動物園で購入したレッサーパンダのリュックを背負いつつ、もちろん最後はお馴染みの“Cologne”でシメ。シンプルなロックかと思いきや、後半ではノイズにまみれた爆音ギターが鳴り響く楽曲だ。我々の感覚としてはまるで何かにトリップしたようで、これまで体を動かして観ていた人たちもポカーンと棒立ちになっているのが痛快。演奏が終わるとそのまま楽器を戻し、来たときと同じテンションで去っていったビーとメンバー。あと1時間は余裕でやれそうな雰囲気だったけれど、この尺はある意味、今のビーのベストセトリだろうとも思った次第だ。

【beabadoobee@サマソニ大阪 セットリスト】
Worth It
Together
Care
See You Soon
Coffee
She Plays Bass
Talk
10:36
Back To Mars
Last Day On Earth
Cologne

 

Squid 12:50〜 (SONIC STAGE)

https://squidband.uk/

オーシャンから往路をひた走り、ソニックステージでスクイッド。おそらくはこの日一番の「どうやったらこんな音楽思いつくんだ」的アクトの最有力候補。結果的には、この日彼らの持ち時間である40分の間に演奏した楽曲はよもやの5曲。ビーバドゥービーは同時間で11曲演奏したから、半分以上の楽曲は意図的に削られたことになる。……その理由はあまりに単純。そう。1曲1曲の時間をめちゃくちゃに長くしたのが今回のスクイッドだったのである。

 

Squid - Sludge (Official Audio) - YouTube

ライブは“Sludge”からスタート。メンバーの配置は意図的に前方を避けて後ろに配置されており、あまり顔は見えない。しかもスクイッドのボーカルはドラムボーカルなので、通常のライブのように「ボーカルの立ち振る舞いをじっと観る」なんてことも出来ない。VJも簡素であり、総じて唯一無二さを感じさせるステージだ。この日のセットリストは『Bright Green Field』から全て選出され、先述の通りアドリブの演奏を交えることによりそのほとんどが7分〜13分に延長、CD音源とは全く違うイメージを抱く代物に変貌した。

 

Squid - Narrator (Glastonbury 2022) - YouTube

中でも意味不明な興奮に叩き落としたのは“Narrator”。歌うというよりは圧倒的に『喋る』タイプのオリー・ジャッジ(Vo.Dr)の先導のもと、バラバラに鳴らされたそれぞれの楽器の音が重なり合っていく様はカオス極まりなかったが、後半ではオリーが《I'll play my……》と語り続けるという更なる境地へ到達。そしてぐちゃぐちゃのセッションによって我々の頭が狂いそうになったところで、演奏がビタっと終了。一瞬にして現実に引き戻され、大きな拍手が鳴る会場。気付けばもう40分も経っていて訳が分からなくなったが、これこそがスクイッドのライブなのだろう。筆者が同じようなトリップ体験をしたライブに日本のSuchmosがあるけれど、彼らとはまた違った魅力あり。これは是非とも単独でまた観たい。

【Squid@サマソニ大阪 セットリスト】
Sludge
Paddling
Boy Racers
G.S.K
Narrator

 

ALL TIME LOW 14:00 (MOUNTAIN STAGE)

https://www.alltimelow.com/skod

ソニックから少し歩いてオール・タイム・ロウ。その後のすりぃをなるべく前で観たかったのと、前日の疲労もあって今回のマウンテンステージは2階で座って観ることに。アレックス・ガスカース(Vo.G)は後のMCで「野球のスタジアムじゃん!」と笑っていたが、2階席はまさしくそんな感じ。別目線なのでザ・リンダリンダズのときには分からなかったスタンディングの様子も広く観ることが出来たが、オール・タイム・ロウの演奏が迫るにつれてどんどん人が増えていく様も確認でき、「やっぱりみんなパンクが好きなんだなあ」と思ったり。

 

All Time Low - Lost In Stereo (Official Music Video) - YouTube

ステージに忙しなく移動したメンバーたち。1曲目は“Lost In Stereo”で、早くも全盛期のパンクを投下するのだから計画的。当然フロアはもみくちゃ状態で、こちらの2階席でも大熱唱するファンがちらほら。ぶ厚いサウンドとはっきりしたAメロ→Bメロ→サビの流れはとてもシンプルで、何というか「音楽はこれで良いんだよ!」感もある。様々な工夫を凝らす音楽が多い昨今、ここまで愚直なロックは童心に帰る思いすらある。


オール・タイム・ロウが結成されたのが2002年だから、もう活動歴は20年近いベテラン。更には2020年にニューアルバムがリリースされたこともあり、今回のセットリストはどうなることかと思ってはいた。が、結果としては新曲はほぼプレイなしで、往年の代表曲をとにかく演奏しまくる力技。彼らは現状ベストアルバムは出していないけれど、おそらくリリースするとしたら今回のセットリストそのままかな、というレベルの代物がそこに。

 

All Time Low - Dear Maria, Count Me In (Official Music Video) - YouTube

後半の間奏では、メンバーのひとりの額にピックを何枚も貼る茶目っ気たっぷりな一幕もありつつ、ラストはなんとキャリア屈指の代表曲“Dear Maria. Count Me In”。いつの間にか客席は入り切らない人も多い入場規制状態で、モッシュは起きないまでも全員が大盛りあがり。徹頭徹尾、まるで我々の学生時代の青春にタイムリープしたような最強セトリだった。ステージを去る直前、アレックスは「また来年来るよ!」と語ってくれていたけど、これは再来日も期待して良いのかも。

【ALL TIME LOW@サマソニ大阪 セットリスト】
Lost In Stereo
Dark Side of Your Room
Sleeping In
Some Kind of Disaster
PMA
Weightless
Once In A Lifetime
Damned If It Do Ya(Damned If I Don't)
Blinding Lights
Monsters
Dear Maria, Count Me In

 

すりぃ 15:30〜 (MASSIVE STAGE)

オール・タイム・ロウが終わりもみくちゃで外に出るマッシヴステージでは早くもすりぃがリハーサル中。思えば普段ボカロPとして活動する彼は、ライブの機会自体がかなり少ないアーティスト。しかもフェス出演は初ということもあってか“テレキャスタービーボーイ”と“カメレオン”を入念にリハしていて、どこか気迫すら感じる。

 

【本人が歌った】テレキャスタービーボーイ(long ver.) / すりぃ - YouTube

ライブのオープナーは“空中分解”。早くもギャリギャリギターが先行し、手拍子が広がる空間に変貌したマッシヴステージである。その中心で歌うすりぃは素顔非公開のためもちろんほぼ全員が初見、髪色を金と黒の2色に分け、細身で色白の人物だった。そして脇を3人のバンドメンバーが固める布陣が今回のサマソニだ。


すりぃはMCにて、自身も大阪在住であることを語り、後は「今日はいろいろ話したいことあったんですけど、曲を詰め込み過ぎたので」と宣言した通り、持ち時間30分を徹底的に楽曲に使う姿勢。大切な人の死に立ち会えなかった悲しみを歌った新曲“別れ花”を含め、YouTubeで数百〜数千万再生されている有名曲を惜しみなくドロップする、初フェスにして全力のパフォーマンスだ。

 

【本人が歌った】エゴロック(long ver.) / すりぃ - YouTube

後半は“ジャンキーナイトタウンオーケストラ”、“テレキャスタービーボーイ”、“エゴロック”というBPMの速い楽曲の固め打ち。最も客席が沸いたのは“テレキャスタービーボーイ”で、《デデッデ》の部分を叫んだり「行けるかサマソニ!」とサビ前に煽ったり、更にはMVの『ギターソロ すりぃ』の部分をすりぃが弾かなかったり……といったライブならではの発見もありつつ、猛然と進行。ラストは「この曲でここまで来ました!」と“エゴロック”。ラスサビの《1.2.3 ふぁっきゅー》で大団円をキメ、終了後は颯爽と帰っていったすりぃ。持ち時間のうちに全てを見せ付けた彼だったが、何だか単独公演も行けそうな余裕も感じた。

【すりぃ@サマソニ大阪 セットリスト】
[リハ]
テレキャスタービーボーイ
カメレオン

[本編]
空中分解
カメレオン
バニー
別れ花(新曲)
ジャンキーナイトタウンオーケストラ
テレキャスタービーボーイ
エゴロック

 

Måneskin 16:40〜 (OCEAN STAGE)

http://www.maneskin.it/

続いては最大規模のステージでマネスキン。どうやら前日の東京公演では入場規制ギリギリの超満員ライブを行ったということもあるし、更にはその後の出順はKing Gnu→The 1975。そのため入場規制は避けられないと判断し、急いで移動する(なお予想通り大規模な入場規制がかけられたそう)。オーシャンステージに関しては前日にもKREVA→ヤングブラッドと観てきた訳だが、足を踏み入れた時点でかなり後方。背を伸ばしてもほぼステージが見えないほどで、改めてマネスキンの強さを再確認して嬉しい気持ちに。

 

Måneskin|マネスキン - 「ジッティ・エ・ブオーニ」 (日本語字幕ver) - YouTube

青空の下ステージに現れた彼ら。ダミアーノ・ダヴィド(Vo)とイーサン・トルキオ(Dr)は早くも上半身裸、唯一の女性メンバーであるヴィクトリア・デ・アンジェリス(B)もニプレスを付けて上裸で登場(ラストの曲でそれも取っていた)と、これから起こる灼熱のライブを予感させる。オープナーはいきなりの“ZITTI E BUONI”。彼らが注目される最大の起爆剤になった楽曲である。荒々しくもリズムは完璧、対してメンバーの一挙手一投足は目が離せない、最強のカリスマ性を最初に目の当たりにする我々、気付けば誰もが踊っている。

 

Måneskin|マネスキン - 「SUPERMODEL」 (日本語字幕ver) - YouTube

今回のライブ、大きな驚きとして位置していたのは彼らの盛り上げ方。単純に何度もライブの場数を踏んできたからだろう。定番曲はそのままの熱量で観客に委ね、逆にあまり知られていない楽曲ではダミアーノが客席に飛び込んだり、分かりやすくコール&レスポンスをレクチャーする形でどこを切っても興奮が途切れない試みが成されていた。初来日ということで「日本で行ったカラオケで歌った曲」として“SUPERMODEL”を演奏するのもニクい。持ち時間は約50分だったと記憶しているけれど、本当に一瞬でライブが終わった感覚がある。

 

Måneskin|マネスキン - 「I Wanna Be Your Slave」 (日本語字幕ver) - YouTube

ラストに演奏されたのは“I WANNA BE YOUR SLAVE”。前曲で客席にダイブした際、乳首のニプレスが取れたヴィクトリアの衝撃がモニターに映し出される中、最後の最後まで全力で動き回るメンバーたち。そして更なる爆発を生み出すため、ダミアーノは途中で「シャガンデー!」と観客を座らせ、そこからラスサビへ移行!もはやコロナ禍など関係ない灼熱の空間で、ダミアーノは「ガンバレガンバレガンバレー!」と絶叫。いつしかBPMはCD音源を上回る爆速になり、そのままの勢いで終幕。……個人的には今年のサマソニ全体を見てもトップの素晴らしさ。多分他の人にとってもそうだと思う。20歳そこそこの若きロックンロールスターが、ここ日本で存在感を見せ付けた確かな瞬間だった。

【Måneskin@サマソニ大阪 セットリスト】
ZITTI E BUONI
IN NOME DEL PADRE
MANMAMIA
Beggin‘(The Four Sessionsカバー)
FOR YOR LOVE
SUPERMODEL
Touch Me
My Generation(The Whoカバー)
I Wanna Be Your Dog(The Stoogesカバー)
I WANNA BE YOUR SLAVE

 

King Gnu 17:55〜 (OCEAN STAGE)

https://kinggnu.jp/

マネスキンの熱狂を経て、気付けば夕方。サマソニも終わりに差し掛かるこの時間に現れるのは、邦楽アーティストとしては絶妙なスロットで出演が決まった、我らがKing Gnuである。個人的にはマネスキンが終わった後、オフスプとタヒチ80に移動する予定だったが断念。……というのも、あまりに人が多すぎてもう後ろに一歩も下がれないのだ。そう言えば爆売れしてからライブは倍率が高すぎて行くことが出来なかったし、良い機会と思いつつ待機。

 

King Gnu - Slumberland - YouTube

『King Gnu』の文字がひとつに重ねられたオブジェクトが降ろされる中、ミステリアスなSEに誘われてメンバーが登場。常田大希(Vo.G)、井口理(Vo.Key)含め、これまでテレビで何度も観たことのある人物が目の前にいる感動が凄い。これこそがライブの醍醐味と言えばそれまでだが、特に彼らはここ数年音楽媒体で引っ張りだこだったし……。事実この登場を契機としてKing Gnuファンが前に詰め掛ける事態になり、改めて人気を実感。


『“白日”を常田が大衆と自分のやりたい音楽の折衷案を模索して作った』とか、『タイアップ先に寄り添って作った』とか、King Gnuのインタビューは山ほどある。ただ、やはりそれらを紐解いていくと彼らはひとつひとつの音楽に真剣に向き合ってきたことが分かる。確かにライブはとてつもない盛り上がりだったが、何というか、音楽自体が強く浸透しているからこそ成し得た一幕だったのではと。

 

King Gnu - Flash!!! - YouTube

中でも一気にファンの心を掴んだのは“Flash!!!”。レーザービカビカ、スモークバンバンな振り切った演出で、これまでの若干緩やかな流れは一新。……それこそ長尺のライブでは、基本的に最初は緩やかにして最後に激しく、という暗黙の了解がある。それこそそうしたセオリーを完全に無視したのが先行のマネスキンだった訳だけど、彼らはある意味ではとても日本らしく、セオリーに沿ったパフォーマンスをしていた。しかもファンもしっかり付いてきているし、信頼度も厚いなと。

 

King Gnu - 一途 - YouTube

ラストは一途”。井口が「一途になって終わろうぜ!」と絶叫すると、以降は井口、常田ふたりがハンドマイクで闊歩する熱狂空間へ。あまりに激しく動いたためか、井口の顔面からは大量の汗が滴り落ちていて、観ているいち観客の我々でさえも汗が滲む灼熱さ。「井口の歌声が凄い」とか「常田の才能が」とか、もはやそんなものは意識の埒外にある。まさしく限界突破のステージングで魅了した日本最強の4人組は、ラス前の重要な時間を見事に彩ってみせた。

【King Gnu@サマソニ大阪 セットリスト】
Slumberland
飛行艇
Sorrows
BOY
白日
The hole
カメレオン
Player X
Teenager forever
Flash!!!
雨燦々
逆夢
一途

 

The 1975 19:40〜 (OCEAN STAGE)

https://the1975.com/

そして。そしてだ。遂にこの時間の到来である。おそらく今年の参加者の大多数が目的としていたあのバンド、The 1975である。……まずライブレポを記す前に事前情報として知っておくべき事項は3つある。


まずひとつは『The 1975がこれまでのサマソニにおいて、少しずつスターダムへの階段を登ってきた』こと。彼らは2013、2014、2016、2019と何度もサマソニに出演し、最初は最も小さなステージ。そこから着実にクラスを上げて、2019年にはようやくメインステージまで登りつめた(当時のライブレポはこちら)。そしてもうひとつは『彼らのコロナ禍の動き』にある。というのも、彼らはコロナが蔓延し始めた早い段階で全てのライブをキャンセル。2年以上にも及ぶ長らくの活動休止に入ったのだ。その間行われたライブはただのひとつもなく、今回のライブがコロナ禍以後、初のライブとなる。


最後は『彼らのニューモード』についてで、これは先程の話とも繋がるけれど、確かに彼らはライブを2年間休んでいた。ただそんな中でもアルバムはリリースしていて、それがとてつもない伝説的アルバムだった。そして来たる10月には最新作のリリースが確定!……つまるところ、この時点で彼らは伝説のアルバムと最新作、2枚のアルバムのライブ演奏の機会を逸しているのだ。もちろんセットリストなど予想不可能。なお彼らは1週間以上前に来日してリハをしていて、日本のみならず世界的にも注目されるライブ……。それが今回のサマソニだったということを、どうか念頭に置いて読み進めてもらいたい。

 

The 1975 - If You’re Too Shy (Let Me Know) - YouTube

全く予想の出来ないライブは、ステージを覆い隠すスモークの噴出から始まった。結成当初からライブのSEとして定番化していた“The 1975”は鳴らされることなく、モニターには早くもメンバーの姿が映し出されている。けれどもその姿はモノクロで見えず、緩やかな緊張が我々を包み込んでいく。そして鳴らされたのは何と“If You're Too Shy(Let Me Know)”!これまでライブ後半で披露されてきたナンバーを、彼らは初っ端に持ってきたのだ。モニターにはモノクロ加工が施されたメンバーの顔がアップになり、我らがマシュー・ヒーリー(Vo.G)はサングラス姿で、タバコを吸いながらクネクネ踊っている。楽曲の最後、マシューは「We are back.We are dangerous man(俺らは戻ってきた。ヤバい奴らがね)」と呟いていた。

 

The 1975 - Happiness (Reading 2022) - YouTube

繰り返すが、この日のThe 1975のライブは予想の出来ないものだった。まずセットリストに関しては2年前とは大幅に異なっていて、かつてのサマソニで1曲目に投下された曲が最後になったり、随分久しぶりに演奏されるものも複数含まれていて結果ベストアルバム的。そして彼らのライブでお馴染みの美しいVJについては、全てがメンバーひとりひとりを映し出すモノクロ映像に変貌(上の新曲ライブ映像参照)。それこそ2019年のサマソニに参加した際、一番VJを使っていたのがThe 1975だった中で、今年は逆に『一番VJを使わないバンド』になっていたのは印象深い。なお黒人ダンサー2名も不参加だった。

 

The 1975 - It's Not Living If It's Not WIth You (Radio 1's Big Weekend 2019) - YouTube

あまり披露されることの少なかった代表曲“Love Me”や“Chocolate”を鳴らしつつ、かと思えば新作モードになる良い意味でバラバラなセトリ。当然その全てで大絶叫が発生していて、改めて彼らの楽曲が浸透していることを実感する。……前回のサマソニでは日本酒をガバガバ飲みまくり、かなり危ない状態になっていたマシュー(かつてマシューはアルコール依存症だった)、今回は3曲目あたりで足元にある日本酒を手にとって、お猪口に注いで飲むというお上品な感じ。ただアルコール度数的にはビールの3倍以上なので、次第にフラフラしてしまう姿も目が離せない。他にも「タバコどこ?」と自分のスーツをまさぐり吹かす様子もあって、特に左手にタバコ、右手に日本酒を持って踊る姿は本当に格好良かった。刹那的な魅力というか。でも、マシューさん体は大事にしてね……。

 

The 1975 - Love It If We Made It (Official Video) - YouTube

The 1975 - People (Reading + Leeds 2019) - YouTube

マシューは一度のショウのうち、何度か自己破壊的な一幕を見せることでも知られる。今回のThe 1975におけるそのシーンは、後半の“Love It If We Made It”→“PEOPLE”で訪れた。マシューは日本酒を並々注いであおり、曲に突入した頃には前傾姿勢で絶叫し続け、スタンドの背が低くなりマイクが真上を向くほど、激しいアクションで魅せる。続く“PEOPLE”では本来自分が歌うべき箇所では、時折虚ろな目で客席を見詰めながら、ラスラビではカメラマンのカメラを奪って《ガキをなめるなよ》と大絶叫。会場のボルテージが最高潮に達した瞬間だった。

 

The 1975 - The Sound - YouTube

クライマックスは“The Sound”→“Sex”→“Give Yourself A Try”という最強の3曲!3年間待ちわびた『ファッキンジャンプ』は「言わなくても分かるよね?」との感動的な一言で行われ、ファースト回帰とも取れるモノクロ映像が逆に映える、記念すべき1作目のキラーチューン。そして最後は2019年には最初に披露された“Give Yourself A Try”を全身全霊で届けた1時間半。The 1975はこの日、最も完璧な形で完全復活の狼煙を上げたのだ。

【The 1975@サマソニ大阪 セットリスト】
If You're Too Shy(Let Me Know)
Love Me
Chocolate
Me & You Together Song
TOOTIMETOOTIMETOOTIME
It's Not Living(If It's Not With You)
Paris
Tonight(I Wish I Was Your Boy)
Happiness(新曲)
Robbers
A Change Of Heart
I'm In Love With You(新曲)
Somebody Else
Love It If We Made It
PEOPLE
I Always Wanna Die(Sometimes)
The Sound
Sex
Give Yourself A Try

 

3年ぶりのサマソニはこれにて終了。最高の2日間だったのはもちろん、鬱屈する日々の中、本当に久しぶりに「生きてて良かった」と思える時間だった。フェスというものに参加するのも同じく3年ぶりだったけれど、おそらく現時点におけるライブシーン全体を見ても、良い意味であらゆる制限を忘れられる代物だったのが嬉しかった。


ネガティブなことだしもう知っている人は多いかもしれないけれど、今年のサマソニは「ワンオクのTakaが観客を煽った」とか「みんな声出してた」とか、開催後にネットで騒がれる結果になった。これに関しては実際の参加者として見ても確かな事実だったし、そのアーティストについてもどうこう言うべきではないのかなと思う。ただ、この数年間いろいろなライブに参加してきた視点として、最もコロナ前と同じ形で盛り上がっていたのは今年のサマソニだったと確信している。……で、それこそが今年のサマソニが開催された意義だとも思う。「好きに楽しんでね」とする、これまでのライブシーンではなかなか出来なかった幸福。改めて「ライブの良さって本来こういうものだったよな」と。


今回来日してくれた全てのアーティストに感謝を。開催に漕ぎ着けてくれたクリエイティブマンに感謝を。そして、全力で楽しんでくれた参加者の方々に感謝を。また来年、素晴らしいライブを観ることが出来ますようにと願いを込めて。

【ライブレポート】SUMMER SONIC 2022 大阪1日目@舞浜ソニックパーク

こんばんは、キタガワです。


遂に待ちに待った祝祭がきた!当ブログでも何度も何度も綴ってきていたのである意味辟易するレベルだったろうが、ようやくこの日がやってきたのだ。そう。洋楽フェスの祭典こと『SUMMER SONIC 2022』である。……思えば、洋楽好きとしてこのコロナ禍の期間は地獄のようだった。来日公演は一時期全てなくなって、サマソニは2019年がラスト。しかも、もうあれから3年も経ったという……。他国ではもう普通にライブが行われていることにいろいろとストレスも抱えてはいたけど、これでチャラ。出来得る限りの感染対策をし、ようやっとサマソニに再び行けるのだ。


この日、僕は朝5時に地元を出発。ほぼ徹夜状態で新幹線で揺られながら、何とか大阪まで到着した(ちなみに大阪も3年ぶり)。そこから飲み物やら食料などを2000円分ほどパンパンに詰めつつ、本町→コスモスクエア駅ときてシャトルバスへ。乗り場は大混雑で、もう普段通りのサマソニの印象。そこからブイーンと乗って会場に到着する訳だが、やはり一部を除いてほとんどがマスク姿。ただコロナ禍なので確かに会話は控えめで、何というか全力で楽しむんだけど迷惑はかけないように、という感覚すら抱いて、何だかその光景だけで嬉しい気持ちに。


フェス会場の舞浜ソニックパークは、何だか例年通りというかほぼそのまま。精々マッシヴ・ステージの中の着席スペースがプラチナチケット限定ではなくなったくらいで、本当にいつものサマソニがそこにはあった。ここから僕の最高の夏は始まるのだ。以下ライブレポート。

→サマソニ2019レポはこちら。 ・1日目2日目 .・3日目

→サマソニ2018レポはこちら。 ・前日譚1日目2日目

 

 

Easy Life 11:30〜 (MOUNTAIN STAGE)

https://www.easylifemusic.com/

スマホの明かりを最大にしてもスマホ画面がほぼ見えないという異様な暑さの中、まずはスタンドとスタンディングに分かれるスタジアム型のマウンテンステージへ。お目当ては今大注目の若手としても知られるイージー・ライフ。まだ昼12時も回っていないけれど、前方から人はギッシリ。少なくともスタンディングエリアは入場規制ギリギリだ。

 

定刻を少し過ぎて、学校のチャイムのようなSEを経てメンバーが登場。マレー・マトレーヴァーズ(Vo.Key.Syn)が被っている帽子には『JAPAN一番』と日の丸がペイントされており、もうこの時点で観客は大盛りあがり。彼らの魅力と言えば、そのダウナーポップな曲調だろう。例えるとすれば低血圧なのに全力。気だるげなのに楽しそうというか……。一見相反するような精神性が上手くマッチした、彼らにしか成し得ないライブが持ち味。

 

Easy Life - Skeletons (Glastonbury 2022) - YouTube

イージー・ライフのサウンド面は打ち込みが主体。ただ明らかにBPMの遅い雰囲気を重低音が蹂躙してくるのもなかなか面白いなと思ったりして、おそらく大多数が初見であるにも関わらず、気付けば全員が踊っている最高の空間に。もちろんそんな状況なので、メンバーのテンションも高めだ。マレーは2曲目にして「カンパイ!」とアサヒスーパードライを空け、グイグイ飲んで3曲目の頃にはカラになっていたし、5曲目あたりでは早くも客席突入。対象的に暑すぎるあまりだんだんメンバーたちの表情は険しくなっていき、ドラムスが着ている白シャツなんかはもうスケスケ状態。


面白かったのは、マレーがライブ定番曲の“Skeletons”で無理矢理モッシュを作ろうとした一幕。お分かりの通り彼らの楽曲はモッシュに全く適していないのだけれど、それでも煽りまくるマレー。でも結局は何も起こらず、見かねたマレーが自分からフロアに飛び込む謎展開に思わず爆笑。ただ「ダウナーなの?アッパーなの?」ということ以上に、実は彼らの楽曲は鬱病だったりドラッグ中毒だったりもする訳で、彼らなりにこの楽曲、そして日本の抑圧された雰囲気に思うところがあったんじゃないかと。

 

【和訳】 easy life - nightmares【公式】 - YouTube

最後の曲は“nightmares”。言わずと知れた、彼らが日の目を浴びた契機になった曲である。内容は、睡眠障害によって忍び寄る悪夢。割とフラフラになりながら最後までやりきったイージー・ライフ、マレーは「ありがとう大阪、イージー・ライフでした。日本は宇宙一の国です!」と英語で叫び、ステージを後にしていた。我々的にも相当ハードな時間だったけど、当人たちはもっと暑かったはず。お疲れ様でした……。ちなみにその後物販には長蛇の列が出来ていて、一気にTシャツがハケたことも付け加えておきたい。

【Easy Life@サマソニ大阪 セットリスト】
pockets
sunday
daydreams
peanut butter
sangria
BEESWAX
ojpl
skeletons
dead celebrities
DEAR MISS HOLLOWAY
nightmares

 

Salem Ilese 12:50〜 (SONIC STAGE)

https://salemilese.com/

その後は3OH!3をチラッと見ていたが、どうも周囲の動きが気になる。何故か女性たちばかりが一気に前に進もうとしているのだ。そこで次のアーティストがTOMORROW X TOGETHER(TXT。超人気韓国アイドルグループ)だということに思い至り、これは行ったら戻れなくなると考えて急遽予定変更。ここで考えるのは、ソニックステージの存在。……そう。実はソニックステージはサマソニ大阪で唯一の室内エリア。しかもエアコン完備、座って観ることOK、音響も抜群と三拍子揃った最強の会場なのだ。というわけで後半にかけての体力温存も含めて、ソニックステージのセイレム・イリースを観ることに。邪な考えだけれど、こうした方向転換が出来るのもフェスの楽しみである。

 

salem ilese - (l)only child (official music video) - YouTube

結論から書くと、この判断は非常に正しかったと思われる。ステージに足を踏み入れたときにはもうライブは始まっており、何やら可愛らしげな女の子が中心でくるくる踊っている。もはや言うまでもなく、この人物こそがセイレム・イリースその人であり、露出多めの服にスカート姿で中心に立っていた。そしてその一挙手一投足に、無意識的な「フゥー!」の声が飛んでいる。


TXTの関係でフロアはかなりガラガラだったが、フェスあるあるとして、人が少ない方がかえって満足度も高かったりもする。彼女のサウンドとしてはポップパンクでどことなくアヴリル・ラヴィーンを彷彿とさせるし、脇を固める屈強な3人のバンドメンバーの中心で歌うイリースの対比が面白い。背後のスクリーンには『SalEm iLEse』の文字がブルーやピンクを貴重としてハートマーク付きで流れ続けていて、「この子自分の立ち位置を分かってるな……」と思ったり。

 

salem ilese – mad at disney (official music video) - YouTube

曲名も“Coke & Mentos(コーラとメントス)”とか“Mad at Disney(狂ったディズニー)”、“Hey Siri”など妙に人を食ったものも多く、何故かそこにザ・キラーズ“Mr. Brightside”のカバーも取り入れるかなり凝ったものだったのも最高。最後はとある楽曲の途中でイリースがサンタクロースよろしく、観客に白い袋に入ったお菓子をばらまきまくって「ありがとう日本!大好きです!」の一言を最後にステージから去り、残された我々がバンドメンバーの演奏をただ聴くだけの時間が流れた。めちゃくちゃ良かった。

【Salem Ilese@サマソニ大阪 セットリスト】
セットリスト未確定のため記載なし

 

KREVA 14:10〜 (OCEAN STAGE)

https://www.kreva.biz/

続いては海が眼前に見えるオーシャンステージまで走って、Dr.K(ドクターケイ。彼が自分を指す際に使う愛称)ことKREVA。結果から書くと、僕は彼のライブで号泣してしまった。それは何故かと言えば答えは曖昧になってしまうけど、多分ここ数年間の我々の辛さ、思いを一番代弁してくれていたのがKREVAだったから。

 

KREVA 「Finally」MUSIC VIDEO - YouTube

ステージに足を踏み入れたKREVA。灼熱の野外の下で、彼がまず発したのはリリックではなく、自分の本心を語るMC。「コロナ禍で憂う日々、ライブが消えて楽しいこともなくなって。辛いことばっかりだった」と、あくまで意訳だが彼は我々の心を代弁してくれた。そんな中で「やっと会えたな」と彼が一言呟くと、1曲目“Finally”へ。……やっと会えた。何度も書くが、やっと会えたのだ。どれだけの人が苦しい思いをしてきて、その幸福開放の場としてサマソニに来ているのかを、彼ははっきり分かった上でパフォーマンスをしていた。それが本当に嬉しかった。

 

イッサイガッサイ ~2019 Ver.~ - YouTube

かつてはKREVA+DJのイメージが強かったけれど、今回はそのフォーメーションに加えてバンドメンバーが集まるロックver。そのため既存楽曲は2019年リリースのベスト盤『成長の記録 〜全曲バンドで録り直し〜』を再現していて、大舞台にも映える。リリックは基本的にはスクリーンに投影され、“基準”や“ストロングスタイル 〜2019 ver.”といった強いリリックが視界に入ることで、臨場感もプラスだ。中でも感動したのは“イッサイガッサイ 〜2019 ver.〜”。《今年は何かしたくて毎日二人はソワソワしてる》……。この楽曲がリリースされたのはもう随分前ながら、このコロナ禍の今だからこそ、とてつもなく刺さる代物でもあった。いろいろな酸いも甘いも一切合切飲み込んで、この日があるのだと思えた。

 

KREVA「音色 ~2019 Ver.~」(Full Ver.) - YouTube

ゲストとして“ひとりじゃないのよ”の共同作業者であるコーラス・SONOMIを招きつつライブは続き、ラストは“音色 〜2019 ver.〜”。これまでラップを軸とした楽曲で畳み掛けてきたKREVAにとって、最大限の歌メロ楽曲である。サビ部分の《愛してんぜ音色》のリリックには、どうしても音楽への愛情を感じてしまったりもしつつ……。KREVAがポジティブなイメージなのは変わらずだが、今回はやらなかった“存在感”や“成功”にもある通り、実際の本心ではいろいろなことを考えながら心の余白を作っている人間だ。ことこの日においては『音楽フェスに参加する意味』や『我々の生活』に重点を置いたセトリになっていて、素晴らしかった。

 

【KREVA@サマソニ大阪 セットリスト】
Finally
基準 〜2019 ver.〜
ストロングスタイル 〜2019 ver.〜
人生
ひとりじゃないのよ feat.SONOMI
イッサイガッサイ 〜2019 ver.〜
C'mon, Let's go 〜2019 ver.〜
音色 〜2019 ver.〜

 

Yungblud 15:25〜 (OCEAN STAGE)

https://www.yungbludofficial.com/

続いて同会場で、ジェンダーもジャンルも超越した暴君・ヤングブラッドを。このライブに関しては一体何を書けばいいのか、そしてどこまでを書いていいものか……。元々彼は「人間かくあるべき」といった固定観念を破壊しようと画策していて、彼自身が全てを発散する最善手として音楽をやっている。というのを大前提にしても、この日のライブはあまりにもルール無用だった。具体的にはモッシュやダイブ、歓声といったサマソニ公式からの禁止行為を半ば容認。むしろヤングブラッド自身がこれらを積極的に促すという、ある意味では伝説、そしてある意味では出禁レベルの最狂ライブだったのだ。


ライブ開始1分前、そこにあったのは『何もない』ステージだった。せいぜいドラムとマイクスタンド、アンプくらいで、他の楽器は存在しないのである。その光景に疑問を抱いていると、突然爆音が鳴り響き、全力疾走でバンドメンバー(ちなみに楽器は全てジャックケーブルレス!)、そして短距離走かと思うくらいあり得ないスピードでステージに現れたヤングブラッド。マイクスタンドを一瞬でブチ折り「オオサカー!ファッキンクレイジー!!」と絶叫。呆気にとられる観客だが、まさか彼がこのままのテンションで40分やり切るとは、誰も思っていなかったろう。

 

YUNGBLUD - Strawberry Lipstick - YouTube

 

1曲目は“strawberry lipstick”。VJに彼の口が真っ赤に映し出される中、彼は右へ左と全力疾走しながら絶叫に次ぐ絶叫。しかも楽曲の隙間が1秒でもあれば絶叫で煽ったり、ベロを出して睨みつけたりとまるで生き急ぐ猛獣のようで、我々はもう盛り上がるしかない状況に。あまりにも全力で移動するあまり早くも右膝からは血が地面まで滴っているし、楽曲終わりにはサポートギターに濃厚キス!更には手に持ったマイクスタンドを真上に放り投げ、叩きつけられる音が響く。一体これは、なんだ。

 

Yungblud - The Funeral (Big Weekend 2022) - YouTube

以降も彼の傍若無人ぶりは続く。アルコール(とアクエリアスと水)をチビッと飲んで後は丸ごと観客にぶん投げる、というのを全部で10回はやっていたし、「ラウダー!」と歓声を要求。Yシャツは2曲目にしてブチブチ破って、ステージに吐かれた唾は数え切れないほど。極めつけは「モッシュピットー!モッシュピットー!」と、もはやコロナ禍のルール以前に危険な盛り上がり方であるモッシュも強制的にやらせていてヤバすぎる。本当に情報量の多い、カオス空間が延々と続いていく。「誰か止めてくれ」と思いつつも、メンバーもガンガン酒を飲んだり演奏を放棄して写真を撮ったりしていたので、制御は完全に不可能な様子。

 

YUNGBLUD - Loner (Reading + Leeds 2019) - YouTube

……というのを、彼は40分間やり続けたのだ。サマソニのルールに照らせば是非が問われるのは確実として、何というか、ある意味ではとても健全な洋楽フェスのようにも感じた(実際後の彼のツイッターを見ると、全てのルールを理解した上でこのパフォーマンスをしていたことも話していた)。もっと言えばこの鬱屈した制限が続く中で、こうしたルール無用の措置は我々にとっても最上位のストレス開放だった訳で。だからこそ「叫べ!暴れろ!制限なんて知るか!全部俺が許可する!」とするあの行動に救われた人も多いんじゃないかと。賛否両論上等。誰にも止められない暴君が、ここ日本で大暴れした瞬間だった。

【Yungblud@サマソニ大阪 セットリスト】
strawberry lipstick
parents
superdeadfriends
The Funeral
I Love You, Will You Marry Me
weird!
fleabag
fdlfst
I Think I'm OKAY
Loner

 

羊文学 16:30〜 (MASSIVE STAGE)

https://www.hitsujibungaku.info/

ワンオクファンの襲来と逆行するように、押しつ押されつで何とかオーシャンを抜けた僕はマッシヴステージへ。ここは他のステージと違い遮るものがほぼなく、通りがかった参加者も遠目でライブを確認できるという一風変わったステージ。そのため音が流れてきて「おっ!」と思ったらすぐに観ることが出来る柔軟さもある。僕が到着したのはギリギリだったけど、もうこの時点でかなりの客入り。真裏がメーガン、ゲスの極み乙女ということを考えても、この人気は凄いなと。

 

羊文学「光るとき」Official Music Video (テレビアニメ「平家物語」OPテーマ) - YouTube

セットリストはニューアルバム『our hope』を大幅にフィーチャーした代物となり、過去作から披露されたのは“あいまいでいいよ”のみというかなり強気な姿勢。全編において共通していたのはサウンドの轟音ぶりと、対照的な塩塚モエカ(Vo)の透き通る歌声で、これこそが羊文学のライブなのだと実感。MCはほぼなく、たまに塩塚が「ありがとう」と呟くのみ。余計なものを排除したロックがここにはあった。

 

羊文学「あいまいでいいよ」Official Music Video - YouTube

冒頭は緩やかに、それでいて次第に熱量が上がっていく様は羊文学の音楽の通例のようにも思えるのだけど。決して観客の腕が高く挙がることもない静かな爆発というか、そうした風景が全てを物語っていたように思う。おそらくは最もキャッチー寄りの“あいまいでいいよ”を終えてシーンとした中、すぐ隣のステージで聴こえるクーラ・シェイカーの音が聴こえてきて、塩塚モエカが「クーラ・シェイカー観たかった……」と笑顔で語っていたのが唯一のMC。そこからラストは「宇宙の曲です」と“ワンダー”。後半部分の永遠に続きそうなノイズにまみれながら、誰もが幸福に酔いしれた。余韻も残すことなくズバッと終わった空間で、塩塚は「ありがとうございました、羊文学でした」とボソリ。観客の拍手はまばらだったけれど、これは間違いなく『圧倒された』という感動が勝ったものだろう。これ、野外じゃなくてもっと小さいライブハウスで聴いていたらどうなっていたのだろう……。

【羊文学@サマソニ大阪 セットリスト】
[リハーサル]
夜を越えて
キャロル

[本編]
光るとき
パーティーはすぐそこ
OOPARTS
あいまいでいいよ
ワンダー

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION 17:40〜 (MOUNTAIN STAGE)

https://www.asiankung-fu.com/s/n80/

羊文学の後は少し時間が空いたので、ビールを飲みながら「次はどのライブ行こうかな」などと考える。というのも次の時間帯はワンオク、きゃりーぱみゅぱみゅ、アジカンという邦楽密集時間だったためだ。で、行き交う人のTシャツを見るにワンオクは人でいっぱいだろうし、きゃりーは数ヶ月前に米子で観たし……といろいろ考えた結果、アジカンを選択。先程のライブの余韻から「塩塚モエカとコラボしての“触れたい 確かめたい”が聴けるかも!」という考えもあった(ちなみにコラボはありませんでした)。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『De Arriba』Music Video - YouTube

真裏がワンオクの関係上、正直個人的に訪れた2日間のマウンテンステージの中では最も人が少なかった。「おいみんな!あのアジカンだぞ!」とも思ったけれど、これもフェスの面白さかなと。定刻にステージに現れた彼らは、まず1曲目にニューアルバムから“De Arriba”を投下。ゆったりゆらゆら、でも音質は完全にロックなミドルテンポな時間が流れていく。


この日のアジカンは、基本的にはニューアルバムのモード。加えて“リライト”や“Re:Re:”といったアッパーな代表曲は徹底的にセトリから外し、はっきりと知られている曲は3曲目の“ソラニン”のみというあまりにも強気な構成だった。ただ思えば『俺らの今』を取り入れながら何年も活動しているのがアジカンな訳で、ある意味ではとても貴重なライブだったとも言える。「イギリスを代表するバンドに挟まれて。10代の自分に聞かせたら絶対信じないと思う」とのGotch(Vo.G)のMCも感動的。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『今を生きて』 - YouTube

けれども不運だったのは、“ソラニン”のリフから降り始めた雨。次第に強くなっていく雨足に「みんな自分のペースで。辛かったら他にも素晴らしい人たちが演奏してるから、他のステージに移動してもらってもいいし。最後まで楽しんで」と語り、そこからも緩やかな楽曲を進めていくGotch。少しずつ人も減って難しい環境にはなったが、最後に鳴らされた“今を生きて”でその全てが肯定されたような気もした。総じて邦楽シーンのトップに君臨するバンドの、余裕のあるパフォーマンスに誰もが酔いしれた瞬間だった。

【ASIAN KUNG-FU GENERATION@サマソニ大阪 セットリスト】
De Arriba
センスレス
ソラニン 
You To You
エンパシー
触れたい 確かめたい
マーチングバンド
ダイアローグ
今を生きて

 

CL 18:45〜 (SONIC STAGE)

https://www.chaelincl.com/

当然のように、この降りしきる雨はサマソニ大阪の多くのステージに影響を及ぼした。ずぶ濡れになりながらマウンテンを外から見ると、もうほとんど人はいない。マッシヴのどんぐりずのステージは前方2列ほどしか埋まっておらず、多分ワンオクのステージに関しては過酷な状態になっていると推察する。となれば、残る会場はひとつしかない。そう。唯一の屋内ステージのソニックである。……という訳でソニックステージに移動すると、やはり同じことを考える人は多いようで、かなりの密集具合。数十分もすればオーシャンから人が流れていると予想し、急いでスタンド席をGET。あと、徹夜からの島根→大阪移動、以降ぶっ続けに動いた疲れから少し寝る。

 

CL - SPICY (Official Video) - YouTube

その安眠が切れたのは、突然流れたサイレンから。続いては韓国からの刺客・CLだ。ただ冒頭から10数分間CLは登場せず、ひたすらDJがCL楽曲をリミックスして流すスタイルで進行していく。その音圧はとてつもなく、心臓を持ち上げられるような低音が会場を支配。そう言えば今年のサマソニはダンスミュージック系アクトが少なかったので、新鮮にも映る。


DJのプレイが一段落すると、一際大きな歓声が上がる。満を持して登場したのはCLその人であり、以降は数人のダンサーを引き連れてのパフォーマンスにシフトしていく。それこそ我々日本人的にはAvichiやZEDDといった音楽性をEDMと呼ぶイメージだけど、CLが鳴らすEDMはどことなく多国的というか、一風変わった代物なのが面白い。キラキラバキバキ、ではなくボウンボウン鳴る感じというか。

 

CL - ‘HELLO BITCHES’ DANCE PERFORMANCE VIDEO - YouTube

客入りも次第に増え続け、後半には後ろまでビッシリ。そんな大盛り上げのライブは“HELLO BITCHES”でシメ。ステージ前方で踊り続けるCLの熱量も上がっていき、それはファンにも伝播。CL視点で『BITCHE』への思いをぶちまけつつ、ライブは大団円で幕を閉じた。当初は「この雨の影響でここまでの大入りになったのか?」とも思っていたが、終了後ブワーっとハケていく観客を見ながら、如何にCL目当てで集まった人が多いのかを実感した次第だ。

【CL@サマソニ大阪 セットリスト】
〜DJ Solo〜
SPICY
HWA
THE BADDEST FEMALE
5STAR
Chuck
Doctor Pepper
Tie a Cherry
Lover Like Me
MTBD
HELLO BITCHES

 

Carly Rae Jepsen 20:50〜 (SONIC STAGE)

https://www.carlyraemusic.com/

ここでサマソニ1日はラストの時間。単独ライブチケット数万超えのポスト・マローンか。編成変更から初の来日となるカサビアンか。はたまたカナダの最強歌姫ことカーリー・レイ・ジェプセンか……。参加者は究極の3択を選ぶことを余儀なくされる。時間的にもフルで鑑賞出来るのは1組のみなので、さぞ悩んだ人は多いことだろう。ただ、個人的な思いは既に決まっていた。何故なら僕はカーリーが、1日目のキーアーティストだったから。


フロアは開演前から大混雑。割とガチ目なファン(コスプレをした海外の男性、ティーンの女性など)もいる中で、“I Really Like You”や“Call Me Maybe”といった日本でのバズ曲も多くリリースしてきた彼女らしく、日本人率もかなりのものだ。……そんな中で何故か開演時間を過ぎているにも関わらず、なかなかライブが始まらないソニックステージ。今でも原因は不明だが、おそらくソニックに押し寄せるファンの入場規制的な意味合いが大きかったと思われる。

 

Carly Rae Jepsen - I Really Like You - YouTube

定刻を30分過ぎ、ようやく暗転。まばゆい照明がステージを照らす中、バンドメンバー3名+女性コーラス1名のセッションから呼び込まれたのは、全身が黄金のボディコン的衣装で包まれたカーリーその人。1曲目は最新アルバムから“No Drug Like Me”で、真っ赤な錠剤のVJの前で、あの透き通る歌声を響かせている。当然ながら、それは我々が何度も何度も聴いてきたあの歌声なのだから感動モノ。ファンも大盛りあがり、カーリーも右へ左へと動きながら楽しそう。

 

Carly Rae Jepsen - Now That I Found You - YouTube

最新アルバムと言ってもリリースは2019年。そのためセットリストは2019年の日本単独公演とあまり変わらず、純粋に持ち時間が少し伸びたような印象。具体的にはセカンドの『E·MO·TION』、サードの『Dedicated』の楽曲を中心に、Side Bと新曲“Beach House”も入れ込む形だ。驚くべきは、それら『全ての楽曲』が完全に受け入れられていた点。“Now That I Found You”では飛び跳ねまくり、“Call Me Maybe”はもちろん新曲の“Beach House”まで。カーリーは毎回マイクを観客に向けて、全員がダンス&熱唱という最高空間。中でも代表曲の“I Really Like You”の盛り上がりは凄まじく、「アウィリウィリウィリ……」の大合唱が轟いた。その都度耳に手を当て、「イェア!」と喜ぶカーリー、めちゃくちゃ可愛い。

 

Carly Rae Jepsen - Cut To The Feeling - YouTube

そこからはコーラスの女性が前に出てほぼユニゾンで歌う一幕もありつつ、最後はお馴染みの“Cut To The Feeling”。キュート過ぎるダンスを挟んでラスサビでは大量の紙吹雪が降り注ぎ、誰もが満面の笑顔になっていく様には思わずウルッときたり。個人的には、多分海外から駆け付けたファンだと思われる男性ファンが顔を両手で覆って泣き続けていた姿で涙腺が崩壊しそうになった。最初から最後までずっとハッピーだったカーリーのライブ。それは彼女自身が自分の立ち位置を把握しているからこそ成し得た、極上のポップだった。

【Carly Rae Jepsen@サマソニ大阪 セットリスト】
No Drug Like Me
E·MO·TION
Run Away With Me
Julien
Now That I Found You
Gimmie Love
I Really Like You
First Time
Want You in My Room
Beach House
Too Much
Everything He Needs
Boy Problems
Call Me Maybe
When I Needed You
Cut To The Feeling


カーリーのライブが終わり、シャトルバスでコスモスクエア駅→本町→心斎橋のホテルに帰る。到着した頃には12時を回っていて、こんな素晴らしい日がまだ続くことに幸福を感じつつ、汗だくになった服を着替えてグッスリ就寝した。さて、次回は運命の最終日ライブレポート。初来日のマネスキンやザ・リンダリンダズをはじめ、コロナ禍を経て2年ぶりのライブとなった、The 1975のまさかまさかのライブまでを濃密レポートする。お見逃しなく。

【記事寄稿のお知らせ】サマソニ2022 来日海外アーティストの動向 まとめ The 1975、マネスキン、ザ・リンダリンダズ… etc.

uzurea.net様に、サマソニの記事を寄稿しました。サマソニに出演するアーティストの方々の来日情報になります。サマソニ前にいろいろと楽しむアーティストの一面を、ぜひご覧いただければと思います。

そして先日、私自身もサマソニに参加いたしました!現在ライブレポートを執筆中ではありますが、如何せん時間がかかってしまって。アップするのはもう少し先になる可能性もありますが、どうかごゆるりとお待ちいただければ幸いです。とりあえず、ヤングブラッドとカーリー・レイ・ジェプセンとマネスキンとThe 1975が物凄かったことは先に伝えておきます……。

 

サマソニ2022 来日海外アーティストの動向 まとめ The 1975、マネスキン、ザ・リンダリンダズ… etc. - uzurea.net

 

【コラム寄稿のお知らせ】『僕の心のヤバイやつ(僕ヤバ)』 独断で振り返るキュンキュンシーン14選


uzurea.net様に、大人気ラブコメマンガ『僕の心のヤバイやつ(僕ヤバ)』の記事を寄稿しました。自分自身が大ファンなのでかなりオタクっぽい内容になってしまいましたが、この機会に沼に嵌まっていただければと思います。全話無料のサイトもありますので。余談ですが、このトップ画像凄くないですか。文字がブワーっとなってて……。編集部の方々に感謝です。

『僕の心のヤバイやつ(僕ヤバ)』 独断で振り返るキュンキュンシーン14選 - uzurea.net

バックファイア

まだ空も明るい17時。予約していた焼鳥屋に向かうと、何故だかとてつもなく閑散としていた。確かに『営業中』の札は掛かってはいるものの電気は点いていないし、中を覗けば段ボール箱が見える。周囲を見渡しても車も停まっておらず、これは何だかおかしいという話になった。

「ちょっと早めに始めて、その後は家で二次会だ!」とする計画はこの時点で破綻。諦めて周囲の居酒屋を検索していると、一台のワンボックスがギャリギャリ音を立てて入ってきた。ドアを開けて僕らに声を掛けてくれたのはどうやらそこの店員さんで、カギを紛失したため開店が間に合わないとのことだった。……幸運だったのは、我々の関係性。もしもこれがキッチリ企画したサークルの飲み会であれば「ふざけんな!」ともなろうが、僕らは長年連れ添った関係性なのでノーダメージ。ひとりが発した「全然大丈夫ですよー。じゃあまた後で来ますー」を合図に、僕らは近場のラーメン屋で1杯やることにした。

最近、小学校からの付き合いである我々3人は生活的に新たな動きを見せていた。僕は別の仕事を初めたし、ひとりは繁忙期で昼夜問わずいろいろな場所を巡っている。そしてもうひとりは子どもを授かったことを受けて配属が変わった。……つまりは、今まで以上に関わる機会が減ってしまったのだ。ただ「またいつか集まろうやー」の気持ちだけはお互いに持っていて、かくしてこの日偶然休みが重なったことで、数カ月ぶりに集まることになったのである。

結局、ラーメン屋では酒は飲まなかった。ベロベロになることを想定しての集まりだったので変なところだが、そもそも僕らはアルコールを介さずとも、小学校からずっと付き合いを続けてきたのだと実感。濃厚豚骨をペロリとやったところで先程の店に移動し、改めてビールを飲んだ頃には、非日常的な幸福が体を包み込んだ。毎日酒を飲んでいても、何故人と飲む酒はこんなに美味いのか。今後も多分、その謎は解けない。

何を頼んでいるかすら分からないまま、緩やかな時間が過ぎていく。次第に店も混んできてなかなかオーダーも通らなくなり、その頃には僕らはゲームをやりながら、モソモソと焼鳥をつまむ程度になった。いつもならここで2軒目行くかとなりそうな雰囲気だけれど、この日は友人の家にお邪魔することに。「FF10を買ったから進めてほしい」と友人が言っていたので、取り敢えず『ティーダのチ●ポ(自主規制)』を歌って笑い合ったり、まあそんな感じで家へと向かう。

友人の家で僕らは、奥さんとの4人でゲームに興じた。プレイ自体がかなり前のゲームなので、ある種懐古主義的な思いも浮かんだりしつつ、その都度「あの頃はゲームってもっと適当で良かったよね」と盛り上がる。画質だのクオリティだの、今風なゲームを度外視する程の『思い出補正』というスパイスが共有できる、それも同級生だからこそ。そして誰かが欠伸をしたらお開きになる。これもいつもの流れだ。

帰宅後、余ったビールを飲みながらダラケる。人生は辛いことばかりで、今でも何のために生きるのかは分からない。小学生のあの頃思い描いていた理想像とは、とても遠い人生を歩んでいるようにも思う。けれど酒を酌み交わしながら、あの頃と全く同じスタンスで楽しめるのは恵まれている方なのかもしれない。どっちにしろ滑稽な大人だが、少なくとも最悪な状況ではないのだろう。

 

BBHF『バックファイア』Music Video - YouTube 

TikTokから花開いた2020年最大の中毒曲“エジソン”と、水曜日のカンパネラの今

こんばんは、キタガワです。

 

水曜日のカンパネラ『エジソン』 - YouTube

《踊る暇があったら発明してえ 歌う暇があったら発明してえ》……。YouTubeのショート動画をスクロールする日々の中で、そういえば何度も聴いている楽曲があることに気付く。妙に中毒性のあるこの楽曲の正体は水曜日のカンパネラの“エジソン”。水カンと言えば最近コムアイが脱退、新たに2001年生まれの詩羽(うたは)が大抜擢されたこのは記憶に新しいけれど、彼女にフロントウーマン権が移ってからまだ1年も経っていないのは驚くばかりだ。


“エジソン”が脚光を浴びた契機となったのは、若者にとっての新ミームことTikTok。《踊る暇があったら》と歌い上げるシーンにテレビ番組やアニメ映像などの別の場面を繋げ、全く別の内容に変えるというものだ。「踊る暇があったら 勉強しよう!」とする高校塾繋ぎ、「踊る暇があったら 食ってみな 飛ぶぞ」とする長州力繋ぎetc……。著作権的な問題はさておいて、汎用性は抜群。ありとあらゆるものに応用が効く媒体として、“エジソン”は重宝されたのである。

 

水曜日のカンパネラ『桃太郎』 - YouTube

水曜日のカンパネラ『ドラキュラ』 - YouTube

ただ、水カンがTikTokでのバズを狙ってこの楽曲を制作したのかと言えばそうでもない。むしろ彼らは通常運転、活動初期から『強烈な印象深さ』を残す楽曲を生み出し続けていたから。例えば、彼らの中でも随一の代表曲になっている“桃太郎”。あの《きっびっだーん きびきひたーん》のフレーズと振り付けは絶対的にリスナーに向けて作られているし、他にも“一休さん”や“ドラキュラ”、そもそも曲のタイトルが全て人名であることも含めて、バズへの狙いは元々あったのだろう。


そんな中で水カンの活動全体を見ても稀有だったのは、遂に最先端SNSであるTikTokでバズを達成したこと。これまで口コミを中心に楽曲の知名度を上げてきた彼らに時代が追い付いてきた感もあるし、本人たちにとってもこれは喜ばしい自体なので、このチャンスを逃すこともないと思われる。実際“エジソン”効果も合わさって最新曲の伸びも好調。アルバムがリリースされる頃には、新生水カンとしての立ち位置は明確になること間違いなしだ。


加えて、新生水カンの滑り出しとしてもこのブレークは嬉しい。確かに元々水カンが売れた理由のひとつにはコムアイの破天荒キャラがあって、ライブ中に客席に突入したり無茶ぶりをしたり、そうした行動が『らしさ』を形成してはいた。ただ今回コムアイとはまた違った存在感を放つ詩羽の存在が動画ごと広まったことで『水カン=詩羽が歌うもの』という図式も強固なものになった。彼女の歌声も抜群に良いし。


“エジソン”の大バズにより、誰もが羨む注目度を獲得した水カン。当然この追い風は一過性ではあろうが、それこそ喜ぶ暇があったら次のバズを生み出す彼らのことだ。どんどん先を見据えたアクションを今後も取っていくはず。……ぐるぐる回るこのフレーズを携えながら、これから訪れるエジソンでさえも分からない未知の旅路を、共に観ていきたいと切に思う。