キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

日本アカデミー賞優秀賞。映画『孤狼の血』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。


『日本アカデミー賞』なる賞がある。これは年内に上映された映画の最高峰を決めるもので、映画界における最高の名誉のひとつだ。中でも優秀作品賞は、大きな期待と称賛と共に世の中に広がっていく。そこからDVDや原作小説の更なる売上に繋がる、非常に重要な存在なのだ。


もちろん受賞作は必然的に、ブームを巻き起こした作品が並ぶこととなる。悲しき家族の団結を描く『万引き家族』やインディーズ映画の逆襲的作品『カメラを止めるな!』、北の国からの流れを組んだ『北の桜森』など、受賞した作品の多くは言わずもがなな作品ばかりだ。


しかしそんな中でも、一際異彩を放つ作品があった。それこそが今回紹介する『孤狼の血』である。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190203232656j:plain


『孤狼の血』がアカデミー賞に選ばれることは、全く予想外の結果だった。その理由はふたつ。


まず、内容がヤクザ映画であること。この映画はふたつの組に属するヤクザの、血で血を洗う抗争にスポットが当てられる。そのため必然的に、過激な言葉を連発して拳銃をぶっぱなしたり、命の取り合いが頻発する映画となっている。他の受賞作が人間の慈しみや風景描写を売りにしている中、この作風は極めて異質である。


ふたつ目はR15+指定という点。そもそもR15の作品が大衆向けの『日本アカデミー賞』に食い込むことはかなり稀なことで、ここ数年でもほとんど例がない。


このふたつの事柄から鑑みても、『孤狼の血』の受賞は普通ならあり得ない、かなりイレギュラーな結果であることが分かる。


しかし人間は、そこまでイレギュラーな情報を仕入れてしまえば、逆に気になってしまうものだ。ここまでアカデミー賞受賞におけるデメリットを孕んだ作品が、なぜ受賞と相成ったのか。その真実を確かめてみたくなったのだ。


……というわけでDVDをレンタルし、鑑賞してみることにした。鬼が出るか蛇が出るか。


結論を書く。この映画は凄すぎる。ちょっと言葉にし辛いのだが、血みどろのヤクザ映画に現代のエッセンスをふりかけた、完璧な作品だった。個人的には『万引き家族』や『カメ止め』を抑えて、大賞を受賞する可能性も大いにあると感じた。それほどの傑作である。


ネタバレは避けるが「ただのヤクザ映画っしょ」という認識で観ると、痛い目を見る。これはヤクザ映画であってヤクザ映画ではない。バイオレンスも感動もごちゃ混ぜにした、ある種のミステリー映画のようだった。僕は普段任侠映画はあまり観ないのだが、そんな凝り固まった考えを持った人にも刺さる映画だ。観賞後は『晴れやかな気持ち+センチメンタルな気持ち』になること請け合い。こんな映画観たことない。


ただ、ほぼほぼ男にしかウケない……というか理解されない作品であるとも思った。ウンコチンコで笑えるか笑えないか。性に対しての捉え方。暴力やギャンブル、流れる血を見て何を思うか……。男が生まれついて持っている感性でもってこそ、この映画は受け入れられる


そしてもうひとつ。R15の時点でお察しだが、かなりグロいので注意が必要だ。R15作品は今まで20本近く視てきたが、その中でも極めてグロい。冒頭2分(!)で直視できないシーンが続くので、耐性がない人は無理せずに鑑賞を止めるべきかもしれない。


昨年は何本もの映画を観た(映画レビュー参照)のだが、間違いなく個人的なベスト5には入る映画だ。この映画がアカデミー賞大賞を受賞したら、映画界の何かが変わるかもしれない。おそらくアレかアレか、この『孤狼の血』の三つ巴だとは思うが。3月1日を楽しみに待ちたい。大賞の可能性、大いにあると思う。


笑い★★★☆☆
感動★★★☆☆
驚き★★★★☆
ワシらヤクザじゃけえ度★★★★★

総合評価★★★★☆

 


映画『孤狼の血』予告編

[エッセイ]自分にしかない謎ルール

こんばんは、キタガワです。


人間誰しも、謎のルールが存在する。幼少期によく聞かれるのは、例えば『横断歩道は白い部分だけ歩く』や『ジャンケンの初手は絶対にグー』といったもの。


しかし大人になった今でも『ラーメンを食べた次の日はカレーにする』、『水はいろはすしか飲まない』といった謎ルールを決めて実践している人は多い。だが同時にそれは、誰にも理解されないものだ。心の奥底にひっそりと蓋をして、呪文が記されたお札で封じ込め、決して表沙汰にはしない代物である。


今回はそんな謎ルールのお話。

 

僕は幼少期より、RPG……いわゆるロールプレイングゲームをプレイすることが多かった。重厚なストーリーと巧みな戦術、レベルが上がるごとに増えていくスキル。そのどれもが気分を高揚させ、テレビの前から離れることを許さなかった。


そんなRPGにおいて最重要の項目はズバリ、パーティー編成だ。数あるキャラクターの中から数人を選び、パーティーに組み込む……。それは一見簡単にも思えるが編成を一度間違ったが最後、クリアするまでの長い間、後悔する異物になりかねないのである。


例えば打撃系スキルを使うキャラクターばかりをパーティーに入れたとしよう。戦略を必要としない序盤では、圧倒的なパワーで敵を葬り去ることが出来るだろう。しかし一転、中盤以降に打撃攻撃無効スキルを有する敵が出現したが最後、ただ死を待つだけの無力な案山子と化してしまうのだ。


逆も然りで、魔術特化のパーティーであれば防御力に乏しく、それこそ打撃系の敵キャラには苦戦を強いられることだろう。


それだけならまだ良いが、昨今のRPGは更に幅広い特性を有しているものが多いときた。回復特化のキャラ、火は無効だが水にめっぽう弱いキャラ、防御が高いキャラ、ステータスは高いが装備品を装備出来ないキャラ……。登場するキャラクターだけでも多種多様で、そこから選ぶとなると悩みは尽きない。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190202214445j:plain


さて、最近僕が頻繁にプレイしているゲームに『テイルズオブヴェスペリア』という作品がある。このゲームに登場するキャラの特性は至ってシンプルである。

・接近戦闘キャラ
・魔法戦闘キャラ
・回復系キャラ


ざっと分類しても、主にこの3つしかない。


もちろん細かなステータスや武器の違いはあり、有利不利の概念も存在する。だからこそ3つの系統のキャラクターを必ずひとりずつ入れ、攻守ともに隙のない組み合わせにすることこそが、最強のパーティーへの近道なのだ。


加えて『パーティーには4人しか入れることが出来ない』という制限も付け足しておきたい。そう。要するに僕はこの時点で、『接近系と魔法系と回復系のキャラを組み合わせて合計4人にしろ』というIQサプリ並みの無理難題を押し付けられているわけだ。


これを踏まえて、僕の謎ルールを発表したいと思う。


それは『男2、女2のパーティーにしたい』というもの。


「なるほど!」という意見と「は?何言ってんだコイツ」という意見、どちらもわかる。しかし少し考えてみてほしい。


あなたがパーティーに選ばれたとして、他のメンバーが全員性別が違ったらどう思うだろうか。絶対に「うわあ気まずいわ」と感じるはずだ。会話に参加出来ない疎外感。ホテルは自分だけ別で、常に孤独が付きまとう。磨り減る精神……。そんな物語の結末に待っているのは、極端なまでの『居ずらさ』である。


そんな「寂しい思いをさせてなるものか!」というPTAの保護者じみた思いが爆発した結果が、この『男2、女2のパーティー編成』なのである。事実、テイルズオブシリーズをプレイし始めてから何年も経つが、未だにこの誓いを破ったことはなかった。


そう、あの日が来るまでは……。

 

ある日『テイルズオブヴェスペリア』にて、フレンという名の金髪イケメン野郎が仲間になった。


『テイルズオブヴェスペリア』には9人のキャラクターが存在するのだが、フレンが仲間になったことで9人全員が揃った計算になる。よって僕はその時点で、総勢9人の中からたった4人だけを選択し、パーティーに組み込む必要があった。


正直に言ってゲーム開始当初から、男衆には全く興味がなかった。もちろん物語上では重要なポジショニングだとは思うのだが、別段ショタ好きな訳でもないし、オッサンにビビっとくる性癖もない。加えてイケメンは僕の大嫌いな部類だし、犬に関しては「何で犬?」という感じで、早々にパーティーから外した始末。この時点でどちらかと言えば「男を入れよう」ではなく「男を入れなければならない」という使命感に駆られていたように思う。


だが反対に、女性キャラは皆僕好みだった。おっとり王女にツンデレ研究者。果ては海賊大好きっ娘に、巨乳お姉様ときた。誰しもアニメでもゲームでも一人は『推しキャラ』がいると思うのだが、ことテイルズオブヴェスペリアにおいての個人的『推しキャラ』は、上記の女性4人だった。


これにはかなり迷った。


まずRPGでは、主人公は絶対に外せない。主人公のみで戦わなければならない場面が多いからだ。そうなった際、『主人公のレベルが低かった』では話にならない。その先のストーリーは詰むこと必至で、わざわざ主人公だけのレベル上げに付き合っている時間も面倒だ。よって主人公は固定することにした。


さて、問題は残りの3名である。自分ルールに乗っ取れば、主人公以外に誰かひとりは男を入れる必要がある。しかしそれを決めてしまったが最後、自分の好きな女キャラクターを入れられなくなってしまう。最悪海賊大好きっ娘はショタ属性なので除外するとしても、残りの3人は絶対に入れたいところだ。しかしたったそれだけのために、何年間も培ってきたルールを崩しても良いものか。


あちらを立てればこちらが立たず。堂々巡りの思案が続いた。


結果的に出した結論は……。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190202215509j:plain

主人公!
おっとり王女!
ツンデレ研究者!
巨乳お姉さま!

 

結論・自分ルールは意外とモロい

1月のブログの裏話

こんばんは、キタガワです。


今年、全然雪降らないですね。この時期の島根県は膝まで雪に埋もれることも多かったはずなんですが。異常気象ですかね、やっぱり。


さて、今月も振り返りをしたいと思います。例に漏れず、あまり考えずに書き殴っていきます。おそらく分量もかなりの多さになりますので、今回からは見出しを付けて(下にあります)、そこをクリックしたらすぐ記事に飛べるようにしておきます。


それではどうぞ。

 

 

ぼっち初詣

新年一発目ということで、元々初詣行く予定でもあったので、それをネタに出来ないかと思って書きました。


確かそのとき島根県は大雨が降ってて。「僕は交通手段自転車しかないから絶対濡れるよな」っていうのを考えた結果、書くなら久々にギャグっぽい感じかなあと漠然と思っていて。


なのでとりあえず写真を撮りまくって。どうでもいい写真も含めて30枚くらい撮った気がします。それを後で吟味して貼り付けて、ふざけたコメントを付けるっていう流れで完成させました。この日は寒くて死ぬかと思いましたね。でも人気はなかったです。そりゃそうか。

 

レディクレ1日目

去年はCDJだったんですけど、当時は正社員辞めた後だったのでまあまあお金があって。それで東京行こうってなってたんですが、もう正社員じゃないのでお金がマジでなくて。しかも11月はamazarashiのライブで既に東京行ってたし、でも何かしら年末にライブ行きたいしっていうので、大阪であるレディクレに行きました。


めちゃくちゃハードスケジュールでして。ほぼ寝てない状態でレディクレ行きました。ライブとライブとの間に転換時間があるんですが、その時間を利用して寝てましたね。


ライブは良かったです。やっぱり爆音で聴くライブはいいなと再認識しました。島根はバンド全然来ないので、こういう機会でもないとライブ見れないので楽しかったです。この1日のために生きてる感覚がありました。

 

レディクレ2日目

ガッツリ寝たおかげで、2日目はすこぶる調子が良かったです。


でもレディクレで1個気になったのが、若者がずーっとコタツに入ってたり椅子占領してたりしてたんですよ。多分大学生くらいですか。みんながみんなスマホ弄ってて、ダランとしながら寛いでて、何か怖かったです。


別にフェスなので人それぞれの過ごし方があって然るべきだとは思うんですが、オーラルのライブの瞬間にブワーっと一斉に移動したり、片や奥田民生やThe Birthdayのらいぶはガラガラだったりっていう状況で。やっぱりフェスってもう若者を取り込むしかないんだなあと思いましたね。もっとみんないろんな音楽聴けばいいのにと思います。米津玄師!U.S.A.!4つ打ちロック!とかじゃなくて、もっと幅広く聴いたらどうなのと。


後々サマソニの記事も書いたりするんですが、サマソニはお客さんガラガラなんですよ。毎回。しかも毎年減っていってる。それって何故かというと、やっぱり若者が来ないからなんですよ。サマソニって基本的にレッチリとかノエルとか、30~40代向けなんで。


今の音楽シーン、本当に絶望的だと思います。こういうの見ちゃうと特に。オリコンチャートでアイドルや歌い手、刀剣乱舞とかが跋扈してる状態を打破しないと終わるなと思います。

 

いらっしゃいませゾーン

クソふざけました。エッセイみたいなテイストで書こうかと思ったんですがうまくいかず、最終的にはイラストを使って無理矢理ゴリ押しで進めた感覚があります。


人と人との距離感を表すために、初めてスマホでイラスト書いたんですけど、なかなか面白かったです。うまくはないけど。


やっぱりイラスト書く才能ほしいですね。イラストじゃないと表現できないことってけっこう多くて、文章だけじゃやりきれない部分も最近出てきまして。でもそんな人脈ないしっていう。うーん。

 

1日外出録ハンチョウ

ハンチョウの記事。たしかこの記事から5日間連続でブログの更新を辞めてます。これは前回の「いらっしゃいませゾーン」のときもそうだったんですけど、文章書くのがだんだんキツくなってきたんですね。


友人と酒飲んでたときにブログの話をして。そこで「俺は将来音楽の文章書きたいんです」って言ったあとに、「あれっ」てなりまして。「俺音楽の文章書いてなくね?」って思ったんです。いつの間にかブログの毎日更新やネタ集めに意識が集中しちゃって、気付いたら音楽の文章を全然書いてなかったんですよ。


そもそもこのブログも「音楽を~」っていうイメージで開設してたのに、音楽書いてないのは本末転倒じゃんと思って、この5日間はずっと悩んでました。ブログの行く末を模索したり、他のブログと比較したりとか。迷走してましたね。


この直後から音楽の記事を連続で書くようになったのはそれが理由です。


毎月何かしらの裏テーマを設定していて、12月のテーマは「毎日更新」だったんですが、今月のテーマは「音楽」にしようとここで決めて。毎日更新じゃなくても、文章量の多くて質を高めた記事を書こうと思いました。

 

フジファブ志村

レディクレの話の延長線上。これはほぼノンフィクションです。でも少し話を盛ったので、この場を借りて本当の話をします。


志村が亡くなったのを知ったのは友人宅で。確か友人に『TEENAGER』ってアルバムを聴かせようと思って、そのCDを持っていったんですよ。で、「最近このフジファブリックってバンドがさー!」って話してたら、友人の顔がいきなり曇りまして。


「ん?フジファブリック……?」って言った後、友人は台所へ駆け出していって。しばらくしたら帰って来て、「ほら!これ!」って見せてくれた記事が「フジファブリック志村正彦亡くなる」で。


もう頭真っ白ですよ。だって今手に持ってるCDのボーカルが、3日前くらいに亡くなってたっていう。これは嘘っぽいけど本当の話で、僕が志村がいないフジファブを聴けなかった理由は多分ここにあると思うんですよ。その瞬間から志村は僕の中で絶対的な存在になってしまって、「志村がいない=フジファブじゃない」という図式になったんだと思います。


この話を書かなかった理由は、上みたいに「って~」という表現ばっかりになるからです。元々音楽雑誌に投稿する予定でもあったので、こんな稚拙な表現ばっかりしてるのは駄目だろと思って、ちょっと内容変えました。


フジファブのライブに関しては、友人が横にいなかったら多分泣いてましたね。まさか1曲目に『TEENAGER』の曲やると思ってなかったので。もうその瞬間に当時の友人宅での出来事がブワーって思い出してしまって。ああ志村は本当に死んだんだとか、ボーカル違うわとか、でもあの頃何百回も聴いた曲だとか。いろんなことがフラッシュバックして、ヤバかったです。

 

パンクバンド

今月一番全力で書いた記事だと思います。特に最後の文章は、今読んでも書き手(僕)の熱量がわかる感覚があって、「あーやっぱり熱心に書いたら文章に出るわ」と思いましたね。


しかも投稿した直後からジワジワ延びはじめて。何だろうと思って調べたらThe MashのボーカルHALさんや、日本マドンナのボーカルあんなさんにリツイートされてて、そこからどんどん見られてたみたいで。


中には「この記事の通りのこと思ってた!」っていう反応もあって、嬉しかったですね。やっと人に届いたなっていう。本当にこのブログは誰からも反応ない状態で1年間やってたので、喜びもひとしおでした。

 

清竜人七変化

大学時代からずーっと周囲の人たちに言い続けてたことなんですけど、ここでひとつ記事にしてやろうと思って書きました。ユニット活動も一段落して、やっとソロ活動に戻ったタイミングでもあったので、ここしかないだろうと。

彼の姿について焦点を当てると、ギャグ一辺倒な感じになるので。少しふざけた要素も入れつつ、音楽性だったりアルバムごとの特色だったりっていうのを書いて、清竜人に興味が出てくるような内容を目指しました。


認知度は低いかもしれないですけど、この先もずっと彼は天才だと思いますね。だって出来ないですよ。アルバムごとに曲調あんなに変えるの。

 

サイケデリックバンド

僕の中で『稲妻が走ったような出来事』というのがふたつありまして。ひとつがパンクと出会ったことで、ふたつ目がサイケデリックロックだったんです。


サイケの始まりは、高校生のときに聴いたゆらゆら帝国でした。当時あの爆音とグニャグニャした感じは売れ線のバンドには絶対ない魅力があったし、あとは『俺こんなヤバいバンド知ってるんだぜ』っていう優越感みたいなものもあった気がします。


でもサイケデリックロックって今じゃほとんど聴かないと思うんです。ニッチな層にしかウケないから絶対売れないし、売れないから路線変更せざるを得ないっていう。THE★米騒動が活動休止した理由だって、「私たちの音楽はこの時代に合ってないって自覚したから」だったし。『サイケデリックロック』っていう名前すら知らない人が大半だと思います。


でも僕は好きだしっていうので書きました。悔いはないです。あんまり読まれてないけど……。

 

Sugar:マルーン5

サプライズ動画が好きで、良くYouTube『サプライズ 音楽』で調べたりしてるんですが、そのときに見つけた動画に衝撃を受けたので記事にしました。


海外のミュージシャンって、サプライズ多いんですよ。カラオケ大会にエド・シーランがフラっと来たりとか、グリーン・デイが「ギター弾けるやつおる?」ってステージに観客を上げたりとか。そのときの衝撃は物凄くて、ずっと頭に残り続けるんですよね。


『Sugar』はPVの時点でも感動したんですけど、国民的バンドがあんなサプライズするっていうので、僕の中では少し疑ってた部分もあるんですよ。ヤラセなんじゃないか?みたいな。でもこの動画観たら「あ、マジなんだ」と思いましたね。

 

スーパーストロング12%

ローソンの酒。12%の酒って多分この世にほとんどないんです。あったとしても日本酒や焼酎とか、そういった個人では手が出にくいようなものばっかりで。なんかこの世の終わりを感じましたね。「ここまでやるんかい」っていう。


味は微妙でした。度数が9%超えると、アルコールの風味が強くなるんで苦手ですね。イッキ飲みするならまだいいけど。9%以上の酒は99.99(フォーナイン)をオススメします。


本文でも書きましたが、手っ取り早く酔いたい人向けです。それ以外の人は買っちゃダメ。絶対。

 

サマソニのヘッドライナー

レッチリとB'zとチェンスモ。今のところは良いんじゃないですかね。ヘッドライナーとしては最高のアーティストを引っ張ってきたと思ってます。


問題は真裏のアーティストと、全体通しての出演者です。これ全部含めてサマソニですから。ヘッドライナーだけじゃまだ全体像は把握できないかなと。


でもひとつ問題があって、今回のサマソニは海外の有名フェスと日程が丸被りなんですよね。日本に行くのも飛行機で片道9時間かかるし、ただでさえ去年は過去最低の売上だったし。ちょっと嫌な予感がします。


個人的には期待してます。去年がもう死ぬほど良かったので。あ、そういえばまだ去年のサマソニレポ、2日目だけ投稿してないですね。もう何ヵ月経ってんだっていう。どうしよう。

 

サカナクション@島根

島根初ライブだそうで。これは観るしかねえと思って観ましたが、もうとんでもなかったです。100点満点で言う150点くらい叩き出してました。


サカナクションのライブは観た人なら分かると思うんですけど、異次元すぎるんですよ。光の演出や音の質感とか、ライブ感って言うんですかね。あれ観たら他のライブ観れないくらいの魅力があります。


ライブ前、会場の外をウロついてたらサカナクションのトラックがありまして。機材運ぶやつだと思うんですけど、普通はどれだけ機材多くても1台なんですよね。それが3台あって。後々光の演出やスピーカー、0.1サラウンドの設置のためだと分かったんですけども。異常ですよあれ。


一生忘れられないライブになりました。

 

顔を見せてないアーティスト前後編

昨年から、顔出ししないアーティストが増えてきた印象です。今そういった括りの中だとEveが最高位なんじゃないかと。まあその話は置いといて。


KEYTALKや[ALEXANDROS]みたいに、音楽ってどうしても『音楽+顔』っていうイメージが付きがちだったと思うんです。特に若者を意識したバンドは特に。それが顔なしで、音源だけで評価されるのは個人的には凄く良いことなんじゃないかと。


逆にずっと顔隠してるけど、ライブでは顔出しますって人はハードル上がりますけどね。でもそれもミステリアスで良いなと。ずとまよなんかは先日の初ライブも好感触だったらしいので、『メディアで顔出さずにライブで出す』ってのは今後も増えてきそうですね。


そう考えると日本っていいですね。海外はライブ中でもバンバン写真や動画撮るので。日本はそういうの、ほとんどないじゃないですか。だからネット上で暴露されることもないし、しかもライブ行った人だけの特権で顔見れるっていう。

 

オススメありますか?

コンビニで売ってる漫画『酒のほそ道』のとある回にインスパイアされて書いた記事です。


その本の中では『オススメされるものは信じるな』というようなことが紹介されてるんですが、僕も同じ意見でして。携帯販売会社にいたときに痛いほど分かったんですよ。Galaxy売ったら1台あらり1万円のインセンティブが貰えるとか、そういうノルマをガンガン言われてた職場だったんで。


加えて、僕が酔ってるときにやる行動も踏まえて記事を書きました。本当にオススメは信じちゃ駄目ですよ。痛い目見ますから。

 

十二人の死にたい子どもたち

近年稀に見る駄作でしたね。映画レビューで2.8点とかだったんで嫌な予感はしたんですけど。期待してた分残念でした。


でもどういう視点で観るのかでも違ってくるとは思います。僕は完全にミステリー視点で観てたので、肩透かし喰らった感じですね。何というか映画じゃなくて、世にも奇妙な物語見てるようなイメージでした。


僕の中で『微妙な映画の基準』があって。それは『豪華出演者を謳い文句にしてる映画』と、『予測できないラスト!と明言してある映画』のふたつで。この映画はどっちも満たしてたんです。やっぱりかと。


後はやっぱり、橋本環奈やら衝撃の展開やら、あれほど毎日宣伝しといて、こういう出来なんだと思うとイライラしてしまって。上の『オススメ~』と同じ現象ですよ。本当は微妙だけど、宣伝の仕方によってはヒット作になるっていう。


だから公開初日に観に行きました。実際の完成形を観た上で、面白かったら僕もブログで宣伝するし、つまらんかったら被害者を減らすためにボロクソに書く記事を、その日のうちに書こうと思ってました。結果的に後者になったわけですが……。

 

楽器を破壊するPV

ここからPV特集が続きます。大学時代はずーっと部屋に引き込もって深夜までバンドのPV観てたので、音楽……ひいてはバンドのPVについては誰よりも知識ある自信があったので。それで書きました。


おそらく来月も、アーティスト紹介やPV特集はバンバンやると思います。『楽器を破壊するPV』はその序章ですね。


「楽器壊す人なんているの?」と疑問に思う人に言いたいのは「ほぼいない」ということ。安心してください。あくまでPVの演出で壊してるだけなので。あの記事の中で一番壊してるのは間違いなくThe 抱きしめるズですね。何せ畑の泥水ぶっかけてるわけですから。もう使えません。確実にぶっ壊れてます。でもああいうの見ると「格好いいなあ」と思いますね。あれこそがロックだと。

 

定点カメラのPV

定点カメラのPV、探し始めたはいいんですけど全く見付からなくて。本編のラストにも書きましたが、最初は定点カメラでも途中でだいたい動いてる映像に切り替わるんですよ。いわゆる『グレーゾーン』のやつが多くてですね。


グレーゾーンを含めればたくさんあったんですが、その中から少しでもグレーなものを排除した結果、これになりました。


そりゃPVで動きませんっていうのは人気出ないの確定してるようなもんだし、少ないはずだわなと。でも膨大な記録メディア(Walkman)から、頑張って探しました。合計が5個以下だったら辞めようと思ってたんですが、何とか見つかってよかったです。

 

ブログの愚痴

最近の悩み事を全部文章化しました。ネガティブですが、これが僕の本音です。


何でもそうだと思うんですけど、『結果が出る』っていうのは一個のステータスですよね。テスト勉強したり、資格勉強しかり、部活運営とかカラオケの練習とか。


ちょっとテストで例えますけど、「死ぬほど勉強したけど受験落ちました」だったら、どうしても病むじゃないですか。いい経験にはなったなと思いますけど、結果は経験なんで、そりゃ落ち込みますよと。


で、たまに「全然勉強してなかったけど100点だった」とか「勘で適当に選んだら平均超した」みたいな人もいるわけで、そうなると自分と比較しちゃうんですよ。「俺こんなにやったのになあ」っていう。そうなると、高得点出した人に対する怒りとか、自分に対しての無力さがどんどん増幅していくんですよね。


……それが僕にとってのブログだった、って感じです。この記事は。まあどうしようもないんですけど。

 

……1月の振り返りは以上です。来月はまた、新しい目標に向けて尽力していく所存ですので宜しくお願いします。


あと、ツイッターをフォローして下さってる人には申し訳ないんですが、先月から全体的に『投稿したことを教えない』ことが増えました。なので今回の記事を見て、「こんなに書いてたのキタガワ?」と感じる人も多いと思います。


近々ブログ用のアカウントを作ろうかと思ってますが。またそのときはブログでお知らせしますが、それまでは『実は更新してました』ということも増えるだろうと想定されますので、気になった方は逐一のチェックか、もしくは今回のような振り返り記事を首を長くして待って貰えばと思います。


それでは。

人気者にならないとブログのアクセス数は稼げない、という話

こんばんは、キタガワです。


ブログを開設して1年ほど経ちますが、未だに悩まされることがあります。


それこそが『アクセス数』の存在。


思えばこの1年間、アクセス数の変動に過剰な一喜一憂をしていた気がします。バズが発生したら毎分毎秒アクセス数を確認して自己顕示欲を高め、前日よりアクセス数が少しでも下がった程度でも、ちょっとここでは書けないくらい、卑屈な感情になったりしました。


仕事の片手間にやってる人や「いつ辞めてもいっか」と思ってる人なら別ですけれど、僕自身ブログを書き続けている理由は『現実に居場所がないから』というものなので。そりゃしがみつきたくもなります。「人に見られているんだ」と思うとその分頑張ろうと思いますし、「見られてないんだ」と感じたら存在意義を失った気がして、どん底まで落ちる。そんな生活でした。


この場ではっきり書かせてもらうと、開設して1年経過した『キタガワのブログ』のアクセス数は、1日500行くか行かないかくらいです。1年もやれば普通だったら倍以上か、それ以上のアクセスがあるらしいんですけどね。どうもそっち方面の才能はからきしらしく。まあやり続けることには変わりないし、元々バンバン読まれるとは思ってなかったので別にいいんですけど。


でもやっぱり、どうしても「俺も頑張ってるのにな」とも思ってしまうんですよね。寝る間も惜しんで書いて、休日返上で書いて。それで何で結果出ないんだよっていう悩みも尽きないです。


それについて考えて考えて考え抜いた結果、最近気付いたことがあるんです。それは「アクセス数を稼ぐには人気者にならないと駄目だ」ということ。


ちょっと話は脱線します。僕はツイッターを日常的にやっているんですが、その中には所謂『ツイッター上での人気者』がたくさんいるわけです。ネタツイでリツイートを稼いだり、特定の趣味の人と相互フォローし合ってコミュニティを築いたり、イラストを描いて100万人のフォロワーがいたり。そういう人たちがわんさかいます。


(これは僕の性格がゴミだからだと思うんですけど、そういう人たちを見てるとムカついてしょうがないんですよ。本当にはらわた煮え繰り返りそうになるんです。普通『自分には絶対出来ないこと』を成し遂げてる人には尊敬の気持ちが芽生えるはずなんですけどね。仕事場でも現実世界でも人と全く関われない僕だから、そういうとち狂った考えになるんでしょうが。いわば最大級の嫉妬と言いますか)。


個人名は出しませんが、先日そんなとある『人気者』がツイッター上でこう呟いたんです。


「ブログ書きました!見てね!」と。媒体は同じはてなブログ。


一応読んではみたんですけどね、まあ酷かったです。「今日はこんなことがあったよ!最高!明日も良い日になればいいなー!」みたいな。中身ゼロのクソみたいな文章でした。文字数は100文字もないし、改行も一気に10段くらい下がってて見にくいし、そもそも何が言いたいかわからないし。明らかに『暇な時間使って書いたんだな』という感じ。


そうなるとどうしても比較してしまって。僕の方がまだいい文章書けると思ってしまうんですよね。こちとら何時間もかけて何千文字も書いてんだっていう。こちとら本気でやってんだと。


でも、最後まで読み進めたときに愕然としたんですよ。


はてなスター 530個


一瞬見間違いかと思いました。でも本当だったんですよ。読者数も一気に3桁行ってるし。僕なんかはてなスター貰うこともそうそうないし、読者数なんか1年間やって2桁行ってないんですけど。何これ。


更に絶望的になったのが、次のツイートで。その人は1日経ってのアクセス数をスクショして貼り付けてたんですよ。


アクセス数 4600


もう全部が馬鹿らしくなりましたね。毎日毎日寝る間も惜しんで書いて、誰にも見られてない中鬱々とした気持ちでやってんのに。ポッと出のクソみたいな文章に、僕は敗北したわけです。敗北も敗北、大敗北ですよ。ひのきのぼうとマスターソード。コイキングとルギア。相手にすらならんっていう。


挙げ句の果てにはフォロワーの人たちと「収益化したらお金になるかも!」とか語り合ってて、コメントもバンバンついて。もう今までやってきたことが全部崩れた気がしました。しまいには何か泣けてきちゃって。もうブログ辞めようかなと思いました。ぼっちはブログ上でもぼっちなんだなっていう。


……やっぱりなんだかんだ、知名度って大事なんです。何でヒカキンが音楽活動するのか。何で有名人がクラウドファンディングするのか。それは金が集まるからなんですよ。多分ヒカキンがずっと無名な状態で曲出したら、一銭にもならないでしょうし。はっきり言って、知名度があったらもうその時点で勝ちだと思います。後は何したとしても、絶対に一定数のファンは付くので。


今回は愚痴ブログなので、話のまとまりもオチもないです。でもちょっと有名な人がブログに参入して、アクセス数をバンバン稼ぐのを最近よく目にしまして。それで今回書きました。ブログやってる身としては、やっぱり鬱々した気持ちになるもんで。


……一般人が有名になることなんてあるのでしょうか。周りがマイホーム買ったり結婚したりしてる中、毎月のスマホ代さえ滞納してる僕はこのまま歳を取って死んでいくのか。


分かりませんが取り敢えず。あと何年かは人とも交わらず、孤独にやっていきます。僕なりのやり方で。それで結果が出なかったらそのとき考えます。


でも周りと比較する癖だけは辞めたいですね。でも辞めれないんだろうなとは思います。こうやって定期的に病んでいくのもまた、僕らしさなのでしょう。


また明日から頑張ります。以上、今日は珍しく愚痴ブログでした。こんな日もある。


今年の目標は『人気者になる』にします。多分無理だろうなー。

定点カメラで撮影したアーティストのPV7選

こんばんは、キタガワです。


PV。いわゆるプロモーションビデオのことだが、現在はPVありきで楽曲が広がることが増えてきている印象がある。例えばDA PUMPの『U.S.A.』や星野源の『恋』といったPVは、そのダンスの振り付けを真似するべく何度もクリックさて、結果何千回もの再生数を記録した。今やPVの存在は、楽曲をただ聴くよりも大きいものなのだ。


だからこそPVには多額の費用をかける。場所を選び、天候を考え、果てにはアーティストの躍動感や表情を映し出すため、カメラワークにとことんこだわる。


さて、そんな中で今回紹介したいのは、『定点カメラで撮影したPV』である。


前述したように、PV撮影においては躍動感が最重要。よって1台の固定カメラで撮影するというのは、PVの常識から逸脱した行為であるとも言える。


しかしながら探せば何でも出てくるもの。そこで今回は『1台のカメラで、全くその場から動かしていないもの』のみを集めてみた。以下に列挙していく。

 

  

絶対的/ヒトリエ

f:id:psychedelicrock0825:20190128230619j:plain

元ボーカロイドクリエイター、wowakaがソングライティングを務めるバンド。


タッピング奏法を多用した卓越したギタースキルと、つんのめるように進む疾走感あるサウンドは、まさに『絶対的』と語るに相応しい。


ワンカメラなのはもちろんのこと、演出やカット割りさえも徹底して排除した姿勢には、ある種の男らしさも伺える。wowakaは動画コメント内で「俺は俺をやるしかないという証明である」と述べている。なぜwowakaがボーカロイドから生身のバンドサウンドに転向したのか、これを見ればその理由が垣間見えるような気もする。


PV内では、首がもげそうなほどにベースとギターが暴れまわっているのが面白い。終盤ではベースのストラップが取れるハプニングもあるが、「そんなの知らねえ」とばかりに荒ぶった演奏を続けるヒトリエ、天晴れ。

 


ヒトリエ 『絶対的』 / HITORIE – absolute

 

A-PUNK/VAMPIRE WEEKEND

f:id:psychedelicrock0825:20190128230641j:plain

海外のロックバンド、ヴァンパイア・ウィークエンド。彼らの代表曲である『A-PUNK』は、実は定点カメラで撮影されている。


カメラは固定しながら、その中で目まぐるしくスイッチする様は秀逸。楽器入れ換えや生着替え、果ては天候操作。僅か2分少々ではあるが、その分多くの要素を詰め込んだPVに仕上がっている。


中でもメンバーがドラムを叩く音と徹底的に合わせようとするシーンは、そのシュールさから笑いが込み上げてしまう。


昨年はフジロックのヘッドライナーを務め、会場を沸かせてくれた彼ら。もちろんこの曲では一際大きい歓声が上がり、途中の「エッ!エッ!エッ!」と叫ぶ場面では、観客も一体となって盛り上がっていたのが印象的だった。今年の来日にも期待したいところ。

 


Vampire Weekend - A-Punk

 

goodbye happiness/宇多田ヒカル

f:id:psychedelicrock0825:20190128230924j:plain

ライブ定番曲であり、同時に初めて宇多田自身が監督を担ったPVとしても知られている。


PV内では『travelling』や『ぼくはくま』といった、過去の代表作のパロディ要素が多分に含まれており、いわばファン必見のPVであるとも言えるだろう。


一見すると、まずはYouTuberの配信映像の如く、定点カメラで収められたリアルな姿に目を奪われてしまう。しかし時間が経過するにつれて大掛かりな仕掛けも施され、結果的には宇多田ならではの世界観を構築している印象。


これを見たら、きっとあなたの中で宇多田ヒカルの好感度は爆上がりすることだろう。クールかつ可愛らしい宇多田の姿を、ぜひ堪能してほしい。

 


宇多田ヒカル - Goodbye Happiness

 

ミュージック/サカナクション

f:id:psychedelicrock0825:20180330022051j:plain

紅白歌合戦出演時にも演奏した楽曲『ミュージック』。昨今のライブではMacを使った最先端の演奏を行っているのだが、このPVでは別。


山口(Vo.Gt)はコーヒーを飲んだりPCを弄ったりと、まるで普段の素の彼を見ているよう。しかしその左右ではミステリアスな映像が繰り広げられているわけで、ふたつの世界の対比が面白い。


楽曲の展開に合わせて紙吹雪が舞ったり、腕が何本も生えてきたりするため、片時も目が離せない。定点カメラでここまで魅せられるのは、やはり映像に拘るサカナクションならでは。


個人的には山口が一貫して暗い世界にいるのは、楽曲自体が『夜』をモチーフにしているからだと推測するのだが、真相は如何に。

 


サカナクション - ミュージック(MUSIC VIDEO) -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-

 

無線LANばり便利/ヤバイTシャツ屋さん

f:id:psychedelicrock0825:20190102234423j:plain

『寝ているメンバーを叩き起こしてPVを撮る』という時点で優勝。今までもハリウッドに降り立ったり、プロポーズの場でおイタをしたりしていたのだが、そんなPV製作は今回も健在。楽曲にしろPVにしろ、独自の目線で描くヤバTワールドはさすがの一言。


完全に寝起きの状態で演奏するのだが、企画の趣旨を理解し始めたメンバーが我に返り、次第に正確なリズムを刻むのが良い。そして最後には自宅のWi-Fiパスワードを公開するなど、オチもしっかり配置。既存のPVの概念を破壊する、彼らにしかできない流れに賛辞を送りたい。


よく聞くとコールの部分も「ハイ!ハイ!」ではなく「ワイ!ファイ!」になっていたり、最後にはアルバムの次曲をうっかり流してしまったり。やたらと芸が細かい。真面目な中にもおふざけのエッセンスを散りばめた、何度も観て布教したいPVのひとつ。

 


ヤバイTシャツ屋さん - 「無線LANばり便利」Music Video

 

冬枯れ花火/あぶらだこ

f:id:psychedelicrock0825:20190113235820j:plain

日本が誇るサイケデリックバンド、あぶらだこ。彼らの数十年間の活動でごく僅かとされるPV。そのひとつがこれだ。


以前サイケデリックバンドの紹介をしたときも書いたが、楽曲内に幾度も繰り出される変拍子の連続に、頭がくらくらしてしまう。加えて、ライブではこのリズムを完璧に再現するというのだから驚きだ。


画面を睨み付けるボーカル長谷川と、その背後で鬼気迫る演奏を続ける他メンバーとの差に、笑いが込み上げてしまう。なぜこういった構成にしたのかは謎だが、何にしろ唯一無二の世界観である。


しかし何度観てもわからないのは、彼らがこのスタンスで音楽を作って大ブレイクしたこと。今の世の中では絶対にウケないし。やはり当時(約30年前)は異常な時代だったのだろうなと思う。

 


あぶらだこ - 冬枯れ花火

 

箒川を渡って/踊ろうマチルダ

f:id:psychedelicrock0825:20190128231221p:plain

シンガーソングライター、踊ろうマチルダ。先日ツイッターにて活動休止を匂わせる発言をしていたため、今後どうなるかはわからないのだが、とにかく。


彼の特徴的は、独特の歌声。しゃがれた歌声は高らかに響き渡り、ビリビリと鼓膜を震わせる魅力がある。実際にライブを拝見したことがあるのだが、ライブではその歌声と共に、PVでも使われているアコーディオンの他、ビンテージピアノ風の見慣れない楽器などを持ち替えて演奏していた。


このPVがやけに古ぼけているのは『箒川を渡って』が主題歌に起用された、とある戦争映画がモチーフになっているためと推測する。まるで数十年前に遡ったようなざらついた映像は、現代のPVにはないものだ。

 


「箒川を渡って」踊ろうマチルダ

 

 

さて、いかがだっただろうか。


自分の脳内の音楽記憶の中から探したところ、定点カメラのPVはあるにはある。だか途中でどうしても動いてしまったり、別の映像を挟んだりと、終始一貫して定点カメラを使った映像はほとんどなかった。


ジャンルも形態もバラバラではあるが、以上7つが今回の結果と相成った。


今後も様々なPVの世界を紹介していく所存なので、また機会があれば紹介したいと思っているので、その際はぜひ。


それでは。

ロックバンドの楽器を破壊するPV7選

こんばんは、キタガワです。


読者の方々にとって楽器とは、どのような存在だろうか。おそらく触ることすらない大半の人は、「いや、別に……」と答えると思う。


しかしミュージシャンやバンドマンにとって、楽器とは何よりも大切にするべき宝物である。値段が高いのはもちろんだが、長い間使い続けていると愛着が湧いてくるものだ。現にメンバーの楽器管理のずさんさが原因で脱退させるケースもよく聞くし、イギリスを代表するバンドであるoasisに関しては、弟が兄の楽器を破壊したことにより、解散に至っている。総じて楽器を粗末にするなんて言語道断というのが、バンドマンの総意である。

さて。事前にタイトルを見て察した人は多いだろうが、今回は『楽器を破壊するPV』に焦点を当てて紹介したいと思う。何よりも大切な楽器を、ひとつのPVのために破壊する。それには彼らなりの考えがあるのだろう。多分……。

 

 

andymori

f:id:psychedelicrock0825:20190126225204j:plain

ロック界に水星の如く現れたバンド。つんのめりながら進むメロディと海外のエッセンスを詰め込んだ歌詞は、ファンのみならずミュージシャンにも大きな影響を与えたとされ、2014年に解散して以降も、未だに根強い人気を誇っている。


加えて、解散直前にボーカルが自殺を図り大怪我を負う、解散ライブ中に武道館ライブの宣言をするなど、話題に事欠かないバンドでもあった。現在は別バンドAL(アル)として活動している。


ここで紹介するのは、彼らの代表曲である『everything is my guitar』。ドラムの異様な手数の多さや、息継ぎを無視したスリリングな楽曲だ。


一発撮りで、かつ事前のシナリオも一切ない。若かりし頃の彼らの衝動をぶち撒けるようなPVに仕上がっている。開始10秒でドラムは崩壊。終盤にはスネアを放り投げたり所狭しと走り回るなど、やりたい放題である。果ては男同士でキス。若者よ、これがロックだ。


ちなみにこの楽曲、僕はライブで聴いたことがある。この時点で異常なスピードにも関わらず、何とライブではさらに1.5倍のスピードとなり、僅か1分少々で終わったのが印象的だった。

 


andymori "everything is my guitar"

 

パノラマパナマタウン

f:id:psychedelicrock0825:20190126225248j:plain

オルタナティブロックの最終兵器、パノパナ。


以下の『フカンショウ』は「ほっといてくれ!」の歌詞が耳にこびりつく、ライブでは確実にセットリストに入れるほどの人気曲。


こちらもandymoriと同様、一発撮りかつ事前打ち合わせなし。パイ投げやスプレー、ケチャップを体にかける等、予想を超える過激っぷりにボーカル岩渕が少しキレているのが最高。最後にはスイッチが入ったのか、各自がぐっちゃぐちゃに暴れ回っている。これを初めて見たとき、体の内側から興奮がゾワゾワと押し寄せてくるのを感じた。


パノパナはライブもこんなイメージである。客席に乗り込んで歌ったり、思いの丈を吐き出すようなMCを行ったりと、心を震わせるパフォーマンスをいくつも見せてくれる。興味を持った方はぜひライブへ。

 


パノラマパナマタウン「フカンショウ」Music Video

 

Droog

f:id:psychedelicrock0825:20190126225314j:plain

大分県出身の若きパンクバンド。浜崎あゆみ等が所属するavexに移籍し、その後は精力的にライブ活動を行っていた。しかし2018年に無期限活動休止を発表し、現在も休止状態が続いている。


『LOVE SONG』は初めて恋愛に焦点を当てた意欲作であり、当時はDroogにとって異色の楽曲であった。妖艶なボーカルとギャリギャリのギターが炸裂するパンクサウンドに震える。PVでドラムのスネアに穴を開けるという鬼畜の所業は、ドラマーにとっては号泣ものである。やめたげて。


個人的な話で恐縮だが、以前ライブに参加した際、客席に飛び込んできたボーカルカタヤマ氏に「お前も歌え!」と言われ、いきなりマイクを渡されて歌ったことがある(マジです)。その後はギターも客席に乗り込み、肩車しながら歌っていた。


だからこそ彼らが活動休止したとき、とても悲しかったのを覚えている。街中で流れる着色料だらけのJ-POPもいいが、たまにはこんな曲も聴きたくなるのだ。

 


Droog / LOVE SONG

 

The 抱きしめるズ

f:id:psychedelicrock0825:20190126225534j:plain

10年以上の活動歴を誇るパンクバンドであるが、2018年をもってボーカルが脱退。現在はギターのみの担当であった篠崎がボーカルを兼任する形で活動中。


この場で紹介する『I wanna be your boyfriend』は、THE 抱きしめるズの真骨頂である恋愛について描きながらも、失恋した悲しみも表した表裏一体の楽曲。


PVの内容は言わずもがなだが、泥を塗りたくられているため、もう確実に楽器は使えない。今回取り上げたPVの中では、最も楽器を破壊するものであることは明白。協力してくれた農家さんはディレクターに「楽器持って飛び込みますんで!」と言われ、どんな顔をしたのだろうか。


前述したように絶対楽器は壊れているのだけれど、最後には自分から泥をバシャバシャかけているのを見ると、まんざらでもない様子。楽しそうで何より。

 


THE 抱きしめるズ / I wanna be your boyfriend

 

Avril Lavigne

f:id:psychedelicrock0825:20190126225604j:plain

あの世界的なシンガーソングライターであるアヴリル・ラヴィーンにも、楽器を破壊するPVがある。しかもファーストアルバムの曲。


タイトルは『Sk8er Boi』。日本版の読みは『スケーター・ボーイ』で間違いないそうだが、いかんせん謎の8の存在が邪魔。韓国や中国では、表記が極めて面倒くさい楽曲だという。


PV内でやっていることは、ただのテロリストかクーデターのそれである。このPVだけでどれほどの金が消し飛んだのか想像してしまうほど、スケールが段違い。ヘリ飛んでるし。


このアッパーかつロックな楽曲は未だにAvril Lavigneの一番人気の楽曲であるらしく、年齢を重ねた今でもセットリストに必ず入れているほど。いつかライブで聴いてみたいものである。

 


Avril Lavigne - Sk8er Boi (Official Music Video)

 

amazarashi

f:id:psychedelicrock0825:20190121230449j:plain

アニメーションが多いamazarashiのPVだが、その中でも数少ない実写のPVとなっているのが、『つじつま合わせに生まれた僕等』だ。


この楽曲は歌詞中にもある通り、雨をテーマに進行する。加えてamazarashiというバンド名の由来となった『雨曝しの辛い日々』にスポットを当てた結果、PVでは大雨降りしきる、メッセージ性の強いものとなっている。


なぜこのPVを今回の括りに入れたかと言うと、楽器は水分を多量に与えると壊れるからである。サビ部分の雨が顕著だが、あれほどの雨をぶつけたらギターは明らかに錆びるか、音が歪む状態となるだろう。


本人も「過酷な撮影だった」と語っている通り、演者にもギターにも大きなダメージを与えたに違いない。ちなみに水浸しになった本は絶対にもう読めない。

 


amazarashi 誦読『つじつま合わせに生まれた僕等 (2017)』 Music Video

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION

f:id:psychedelicrock0825:20190126225646j:plain

こちらはアジカンの楽曲の中でも最も古いとされている『遥か彼方』から。


amazarashiと同様にスプリンクラーを使い、全方位に雨を降らす方式なのだが、このPVの問題点は楽器が複数あること。


ギター1本ならいざ知らず、ドラムもベースも水浸し。そしてよく見るとギターアンプといった機材も鎮座している。これではえげつない水の量でもって、確実に壊れてしまうだろう。


被害額はamazarashi以上。「当時はとにかく尖っていた」と語る後藤(Vo.Gt)だが、まさかPVまで尖らせるとは思うまい。撮影当時の楽器の価格は今以上だったはずなので、撮影準備はてんやわんやだったのではなかろうか。

 


ASIAN KUNG-FU GENERATION 『遥か彼方』

 

 

さて、いかがだっただろうか。


今までも『エロいアーティスト写真』『女性パンクバンド』など、音楽の別の側面を見せつける記事を執筆してきたが、今回の選考は一番難航した。


というのも、『壊れる』という概念をどこに置くかが定まっていなかったためだ。ギターを放り投げたら『壊れた』なのか、地面にグシャっと置いたら『壊れる』なのか……。この時点で15個ほどのPVがあったのだが、「こりゃ間違いなく壊れる」というものを集めた結果、今回の7つになった。しかし逆に言えばそういったPV自体が少ないということでもある。結果的にはたった7つしか見付けられなかったのが心残り。


今回の記事で気になったアーティストがいたら、ぜひ動画を観てほしい。そして良ければCDを買うかレンタルしてほしい。


それでは。

映画『十二人の死にたい子どもたち』をボロクソに叩く~死ぬのは簡単なことではない~

こんばんは、キタガワです。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190125182804j:plain


かねてより豪華俳優陣や若者の自殺に焦点を当てたストーリー、橋本環奈の起用と、とてつもなく期待値が上がっていた『十二人の死にたい子どもたち』を、公開初日に観てきた。


最初に結論を書かせてもらうが、とんでもない駄作だった。上がりに上がったハードルを飛び越すどころか、飛ぶことそのものを放棄したかのような出来。2時間の間、言い様のない絶望感が体を覆い尽くし、いろいろな意味で死にたくなった。


どうしてこうなった。どうしてこうなった。


そこで今回は、シナリオを3つのパートに分け、徹底的に解説したいと思う。愚痴とネタバレだらけなので、観賞予定の方及び印象を損ねたくない方は、絶対に読まないでほしい。

 

 

序盤

集団自殺のために廃病院に集まる12人の若者の描写から、映画はスタートする。


まず、この冒頭がとにかく冗長である。廃病院に入り、各々の準備をし、その後番号札を金庫から取り出し、集団自殺を行う場所まで移動する……。それを12人分やるわけだから、そりゃ長くなる。


この長ったらしい冒頭の理由は後程判明するわけだが、こちらは後述する。


そんな長い冒頭の末、若者はとある場所に集合する。中央にテーブル、そしてその周囲をぐるりと囲む形でベッドが設置してあるという、重苦しい空間だ。


しかしよく見ると、既にベッドで死んでいる人物がいた。側には大量の睡眠薬と車椅子。その場に集まった若者は「彼は全員が集合するのを待ちきれず、先に自殺したのだろう」と推測する。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190125195511j:plain


そして主催者である1番が到着し、企画趣旨を説明する。内容は至ってシンプルで、『集まった12人で集団自殺をする』というもの。「異議のある人はいますか?」と決を取るが、みな心は決まっているようで、誰も手を挙げない。


そんな中、一人の男が質問する。「あの人は誰ですか?」と。そう。集まる予定だった人数は12人。テーブルを囲む若者はちょうど12人いる。しかし、ベッドで既に死んでいる人物を含めれば13人。数が合わないのだ。


主催者である1番は死んでいる人物を一瞥し、声を上げた。


「知りません。あの人は誰ですか?」


主催者も知らない13番目の人物。謎の人物が死んでいるとなれば話は変わってくる。それはこの中に殺人者がいるという紛れもない事実であり、このまま集団自殺を遂げたところで、謎が残ったままだ。


このままでは死ねない。かくして、12人が納得して死ねる環境を作り上げるための犯人探しが始まった。

 

序盤の愚痴

この時点で、まずおかしい部分が散見される。そもそも死にたいのであれば、謎の死体を無視して今すぐ死ぬべきである。


なぜなら殺人者がいようが死体が誰であろうが、集まった若者には全く関係ないことだからだ。そこで「よし!犯人探そうぜ!」となった時点で、「え?お前らの自殺願望ってその程度だったの?」と疑問に思った。今すぐ死ねよと。

 

中盤

自殺は一旦中止となった。一先ず、ゼロバン(死んでいる人物)を誰がどうやって運び込んだのか推理することに。


入り口は狭すぎて車椅子では通過できないし、そもそも会場に到着するまで、ゼロバンの顔を誰も見ていない。そこで各自が会場に入るまでの経緯について、証言するシーンへ。


序盤の時点で、謎のタバコや変装用の帽子、女子トイレにあった靴など、疑問に思う箇所が描写されていた。その証言を元に4つのグループに別れ、謎の箇所に行ってみることに。


その過程で語られるのは、『なぜ死のうと思っているのか』という物語にとって非常に重要な部分だ。理由は人それぞれで、死亡保険を受けとりたい人やイジメで心に傷を負った者等がいた。


結局謎は深まるばかりで、一旦テーブルに集合。そこでは「服装が犯人っぽい」「あのとき屋上から階段を降りて来た」などという謎理論の犯人探しが始まる。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190125195614j:plain


5番、8番の推理の末、9番が「自分がやった」と犯行を自供。「続きはテーブルで」と語るものの、帰る道すがら、誰かに階段から突き落とされてしまう。


9番に起きた悲劇を知らない11人は、一旦テーブルに集合し、9番の到着を待つ。待っている間は、再び各自の死にたい理由について話が及ぶ。

 

中盤の愚痴

この中盤で問題となるのは、主にふたつ。自殺の動機と9番突き落とし事件だ。


まず、自殺の動機から。ここがあまりにも薄い。そもそも自殺というのは、簡単に出来るものではない。『死にたい』ではなく『死ぬしかない』というのっ退きならない状況において、初めて人は自殺を試みる。


だからこそ映画内の自殺の理由は、とても常人では耐えきれないほどの、重大なものでなければならない。例えばヤクザに追われていて、見つかったら拷問に合って殺されるとか、汗水垂らして働きながら高額な借金を返している親に対し、自分が自殺して保険金を下ろさせようとか。そういった背景を知ってこそ、初めて人はそのキャラクターに感情移入するものだ。


しかしこの映画では、死ぬ理由があまりにも薄すぎるのだ。


好きなバンドマンが死んだから後追いしたい(3番)や、女優としての自分に嫌気が差した(4番)、挙げ句の果てには舌にヘルペスが出来たから死ぬ(11番)など、それはさながら一種のメンヘラのようで、全く理解できないものだ。


もちろん真っ当な理由を持つ人もいるにはいるのだが、それも一人一人聴かされていると、次第に「はあ、そっすか……」というどうでもいい感覚になってくる。加えて限られた時間内に12人それぞれ平等にスポットが当たるため、100%中の60%くらいの説明にしかならない。


ヘルペスの件を例に挙げると、「金銭的に限界で、援交を重ねた。その度重なるキスが原因でヘルペスが出来てしまった。自己嫌悪と劣等感に苛まれて精神的に病んでしまい日々が続いた。何度も自殺を試みたが死ねず、藁にもすがる思いでこのイベントに参加した」と詳しく説明されたのなら、自殺をする気持ちもわからなくもない。だがこの映画では、「ヘルペスが出来た!死にたいのよ!」くらいの説明しかないため、どう考えても「そんなんで死にたいのお前?」という感想しか出てこないのだ。圧倒的な説明不足。というか人数が多過ぎて、全員にスポットを当てようとして大失敗している感覚。


次に9番の転落。これに関しては「何で気付かないの?」という一点のみだ。


テーブルを囲んで「9番まだかなー」と待っている時点でおかしい。集団で探しに行くなり、安否を確認するなりするのが常識ではなかろうか。……というかそもそも、そういうことが起こらないためのグループのはずだ。「9番いなくね?よし、戻るか!」という判断を下したあのグループ、間違いなく頭がパッパラパーである。「気付いたらいませんでした!」じゃねーよ。その時点で探しに行け。

 

終盤

9番が血まみれの状態で帰還。9番いわく、階段から突き落とした犯人は6番だと証言し、後に6番は自白。突き落とした理由は「自殺に反対していた9番を殺したら死ねるだろう」と判断したためだと語る。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190125195705j:plain


9番は今回の事件がきっかけで、自殺する気持ちを完全に失ったと語った。それは9番自身が以前人を突き落として殺害した経験があり、初めて突き落とされる側の気持ちがわかったと。


直後、ゼロバンがイビキをかき始める。ゼロバンは実は死んでいなかったのだ。僅かだが呼吸も回復し、安堵する12人。


ここからは、5番の推理が始まる。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190125195752j:plain


まず、ゼロバンを会場に招き入れた犯人は12番。ゼロバンは12番の兄であった。12番が軽率な行動をした結果、ゼロバンは自転車事故によって植物状態になっていた。12番がゼロバンと会場に向かった理由は、ゼロバンと共に自殺するつもりだったという。


誰よりも先に到着したゼロバンと12番。しかしゼロバンは車椅子であり、入り口の扉を通り抜けるだけのスペースがなかった。12番が慌てて周囲を探索していたとき、とあるふたりの人物がゼロバンを発見してしまう。


その人物こそが、7番と9番であった。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190125195836j:plain

f:id:psychedelicrock0825:20190125195854j:plain


車椅子に座ったまま呼吸が止まっているゼロバンを発見したふたり。自殺願望が特に強かったふたりは、このままだと企画が破綻するのではと危惧し、共犯者となる。そして『元々ベッドで死んでいた』という状況を作り出すため、連係プレーによりゼロバンをベッドに乗せる。


女子トイレの靴や変装用の帽子は、その過程でふたりが捨てたものであることも判明した。


全ての謎が解けたため、いよいよ自殺するかどうかの多数決を取ることに。ここで5番が自分の人生を語り始める、重要なシーンへ。


5番はとある病気に侵され、余命宣告されている身であった。5番が自殺を選んだ理由は、「病気で死ぬより自分の意思決定で死にたい」と決断したためであった。しかし今までの過程で、考え方が変わったという。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190125200006j:plain


死んでいい命などないのだと、5番は涙ながらに訴えた。静まり返る会場で、5番は主催者である1番に言った。


「この自殺を中止する多数決をさせてください」


1番は了承し、多数決を取る。結果全員が挙手し、自殺はしない結論に至った。


会場を後にする10人はみな笑顔で、まるで生きる喜びに溢れているかのようだった。


……1番と7番だけは、会場に残っていた。7番は質問する。


「あなた、こうなることがわかってたんじゃない?」


「今回みたいなこと、もう何度もやってるんじゃないの?」


主催者である1番は、自殺願望のある人を集めて自殺させずに帰らせる活動をしており、今回で3回目だと語った。そう。自殺させる気など、最初からなかったのだ。


「わたし、次も絶対に参加するから」と7番が語る。思えば7番は、徹頭徹尾自殺を容認する発言をしていた。「死なせない人がいるなら、死にたくさせる人もいていいんじゃない?」


1番は「お待ちしてます」と笑った。


 

終盤の愚痴

まず伏線回収から。伏線というのは、回収する際に大きな興奮と驚きに満ちたものである必要があるのだが、この映画では回収された後の驚きというのが全くなかった。


それは、ほぼ全ての伏線がミスにより偶発したものだからだ。靴が置いてあったのは偶然脱げたから。変装用の帽子があったのは「もういらないか」と判断して捨てたから。故意のミスなので、感動もへったくれもない。


そしてゼロバン。死んでたのに実は生きてたというのは、ミステリーにおいて最大のタブー。このタブーを用いて大ヒットした作品に『SAW』があるが、あれはラストに向けての伏線が随所に散りばめられていたためである。この映画においてはそんなものはない。


あるのは「はあ?」という落胆だけ。そもそも布団をひっぺがすなり、心臓マッサージするなり、死んだかどうか確認する手段はいくらでもあったはずである。それを怠った結果、後々イビキをかいて「寝てたのかよー!おいー!」は通らない。コントのネタか何か?


そして全てを超越した最大のズッコケポイントは、最後の挙手のシーン。


もはや今までの話はガン無視である。「私は死にたいのよ!」と中盤で12人もの人物がダラダラ語っていたにも関わらず、ひとりの涙を見て「じゃあ私たち死ぬの止めます」は意味がわからない。吉本新喜劇か?


このシーン、かなりの長尺で描写されており、定点カメラワークで20秒近く時間を使い、15秒ほど経った時にゆっくり手が挙がる。次は3番。4番。5番……と続いていくのだが、笑いを堪えるのに必死だった。


これは僕の頭が死んでいるからだと思うのだが、「おっ……おっ……挙げるのか?挙げないのか……?挙がったー!」という古舘伊知郎ばりのナレーションが頭に浮かび、それが何人も続くのだから死ぬかと思った。『十二人の死にたい子どもたち』というより、『一人で死にかかっててる24歳』であった。


最後に笑顔で廃病院を出るシーンもなかなかの笑いポイント。全く意味がわからないので。


この映画はミステリー映画ではない。2時間のコント映画である。時間を無駄にしたい人か、爆笑したい人だけ観に行ってほしい。


それでは。

 


映画『十二人の死にたい子どもたち』予告【HD】2019年1月25日(金)公開