こんばんは、キタガワです。
人間誰しも、謎のルールが存在する。幼少期によく聞かれるのは、例えば『横断歩道は白い部分だけ歩く』や『ジャンケンの初手は絶対にグー』といったもの。
しかし大人になった今でも『ラーメンを食べた次の日はカレーにする』、『水はいろはすしか飲まない』といった謎ルールを決めて実践している人は多い。だが同時にそれは、誰にも理解されないものだ。心の奥底にひっそりと蓋をして、呪文が記されたお札で封じ込め、決して表沙汰にはしない代物である。
今回はそんな謎ルールのお話。
僕は幼少期より、RPG……いわゆるロールプレイングゲームをプレイすることが多かった。重厚なストーリーと巧みな戦術、レベルが上がるごとに増えていくスキル。そのどれもが気分を高揚させ、テレビの前から離れることを許さなかった。
そんなRPGにおいて最重要の項目はズバリ、パーティー編成だ。数あるキャラクターの中から数人を選び、パーティーに組み込む……。それは一見簡単にも思えるが編成を一度間違ったが最後、クリアするまでの長い間、後悔する異物になりかねないのである。
例えば打撃系スキルを使うキャラクターばかりをパーティーに入れたとしよう。戦略を必要としない序盤では、圧倒的なパワーで敵を葬り去ることが出来るだろう。しかし一転、中盤以降に打撃攻撃無効スキルを有する敵が出現したが最後、ただ死を待つだけの無力な案山子と化してしまうのだ。
逆も然りで、魔術特化のパーティーであれば防御力に乏しく、それこそ打撃系の敵キャラには苦戦を強いられることだろう。
それだけならまだ良いが、昨今のRPGは更に幅広い特性を有しているものが多いときた。回復特化のキャラ、火は無効だが水にめっぽう弱いキャラ、防御が高いキャラ、ステータスは高いが装備品を装備出来ないキャラ……。登場するキャラクターだけでも多種多様で、そこから選ぶとなると悩みは尽きない。
さて、最近僕が頻繁にプレイしているゲームに『テイルズオブヴェスペリア』という作品がある。このゲームに登場するキャラの特性は至ってシンプルである。
・接近戦闘キャラ
・魔法戦闘キャラ
・回復系キャラ
ざっと分類しても、主にこの3つしかない。
もちろん細かなステータスや武器の違いはあり、有利不利の概念も存在する。だからこそ3つの系統のキャラクターを必ずひとりずつ入れ、攻守ともに隙のない組み合わせにすることこそが、最強のパーティーへの近道なのだ。
加えて『パーティーには4人しか入れることが出来ない』という制限も付け足しておきたい。そう。要するに僕はこの時点で、『接近系と魔法系と回復系のキャラを組み合わせて合計4人にしろ』というIQサプリ並みの無理難題を押し付けられているわけだ。
これを踏まえて、僕の謎ルールを発表したいと思う。
それは『男2、女2のパーティーにしたい』というもの。
「なるほど!」という意見と「は?何言ってんだコイツ」という意見、どちらもわかる。しかし少し考えてみてほしい。
あなたがパーティーに選ばれたとして、他のメンバーが全員性別が違ったらどう思うだろうか。絶対に「うわあ気まずいわ」と感じるはずだ。会話に参加出来ない疎外感。ホテルは自分だけ別で、常に孤独が付きまとう。磨り減る精神……。そんな物語の結末に待っているのは、極端なまでの『居ずらさ』である。
そんな「寂しい思いをさせてなるものか!」というPTAの保護者じみた思いが爆発した結果が、この『男2、女2のパーティー編成』なのである。事実、テイルズオブシリーズをプレイし始めてから何年も経つが、未だにこの誓いを破ったことはなかった。
そう、あの日が来るまでは……。
ある日『テイルズオブヴェスペリア』にて、フレンという名の金髪イケメン野郎が仲間になった。
『テイルズオブヴェスペリア』には9人のキャラクターが存在するのだが、フレンが仲間になったことで9人全員が揃った計算になる。よって僕はその時点で、総勢9人の中からたった4人だけを選択し、パーティーに組み込む必要があった。
正直に言ってゲーム開始当初から、男衆には全く興味がなかった。もちろん物語上では重要なポジショニングだとは思うのだが、別段ショタ好きな訳でもないし、オッサンにビビっとくる性癖もない。加えてイケメンは僕の大嫌いな部類だし、犬に関しては「何で犬?」という感じで、早々にパーティーから外した始末。この時点でどちらかと言えば「男を入れよう」ではなく「男を入れなければならない」という使命感に駆られていたように思う。
だが反対に、女性キャラは皆僕好みだった。おっとり王女にツンデレ研究者。果ては海賊大好きっ娘に、巨乳お姉様ときた。誰しもアニメでもゲームでも一人は『推しキャラ』がいると思うのだが、ことテイルズオブヴェスペリアにおいての個人的『推しキャラ』は、上記の女性4人だった。
これにはかなり迷った。
まずRPGでは、主人公は絶対に外せない。主人公のみで戦わなければならない場面が多いからだ。そうなった際、『主人公のレベルが低かった』では話にならない。その先のストーリーは詰むこと必至で、わざわざ主人公だけのレベル上げに付き合っている時間も面倒だ。よって主人公は固定することにした。
さて、問題は残りの3名である。自分ルールに乗っ取れば、主人公以外に誰かひとりは男を入れる必要がある。しかしそれを決めてしまったが最後、自分の好きな女キャラクターを入れられなくなってしまう。最悪海賊大好きっ娘はショタ属性なので除外するとしても、残りの3人は絶対に入れたいところだ。しかしたったそれだけのために、何年間も培ってきたルールを崩しても良いものか。
あちらを立てればこちらが立たず。堂々巡りの思案が続いた。
結果的に出した結論は……。
主人公!
おっとり王女!
ツンデレ研究者!
巨乳お姉さま!
結論・自分ルールは意外とモロい