キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】FM802 RADIO CRAZY 2018(二日目)

こんばんは、キタガワです。


12月27、28日とインテックス大阪で行われたラジオクレイジー。前回に引き続いて、今回は2日目のレポートを行いたいと思う。


・1日目のレポートはこちら

 

f:id:psychedelicrock0825:20190103223630p:plain


ちなみにタイムテーブルは上の通りである。


それではどうぞ。

 

 

androp L-STAGE 11:00~

f:id:psychedelicrock0825:20190103223954j:plain

2日目最初はandropを選択。広島で開催されたSETSTOCKというフェス(現在は消滅)で一度観たことがあるのだが、あれから数えるとandropを見るのは約7年ぶりということになる。あの頃はアルバム『door』リリース後であったと記憶しているが、アーティスト写真においても一切素顔を公開しておらず、謎の存在であった。


あれから数年が経ち素顔も公開したandropは、みるみるうちに頭角を表していった。アルバムも何枚もリリースし、売り上げも上々。オリコンチャートにも食い込むようになり、名実ともにロックバンドとしての地位を確立していった。


この日の出番は朝イチにも関わらず、多くの人が詰めかけていた。ニューアルバム『cocoon』リリース後ということもあり、どのようなライブを行うのか期待が高まる。


1曲目は『Voice』。「オーオオオー!」という内澤(Vo.Gt)の歌声は会場全体に広がり、次第に全員を巻き込んだ壮大なコーラスへと誘導していく。andropおなじみ、前田(Ba)のゴリゴリのスラップベースも相まって、みるみるうちにandropらしい空気感が出来上がっていく。

 


androp「Voice」(from 3rd single "Voice" ) ドラマ「woman」主題歌


今回のandropはMCはかなり少なめで、曲をどんどんプレイしていくスタイルであった。これまたスラップベースが猛威を振るう『Boohoo』、しっとりと歌い上げた『Hikari』、Creepy Nuts不在の中CD音源とは全く異なったアレンジで演奏された『SOS!』など、間髪入れずに楽曲を投下していく。

 


androp「Yeah! Yeah! Yeah!」music video (三ツ矢サイダーCMソング)


後半は盛り上がる曲で固め、フェス映えする完璧なライブを見せてくれた。最後はこれを聴かないと終われない最大のキラーチューン、『Yeah!Yeah!Yeah!』。「イェー!イェー!イェー!」のリフレインが多幸感をもたらすハッピーな幕切れだ。


少なくとも今回のレディクレにおいて、攻守ともに一切の隙がなかったライブはandropだったように思う。バラードもロックも全部敷き詰め、更には最新のモードもしっかり見せつけた磐石のライブ。


一緒に行った友人は「今日はもうこれで満足だわ」と言っていたが、僕も正直同じ意見だった。全方位死角なし。初見さんもファンも大満足させる圧倒的なライブであった。「今度ワンマン行こうかな」と思わせる魅力があった。天晴れ。


【androp@レディクレ セトリ】
Voice
Boohoo
Hikari
SOS!
Joker
MirrorDance
Yeah! Yeah! Yeah!

 

阿部真央 L-STAGE 12:05~

f:id:psychedelicrock0825:20190103224055j:plain

続いては阿部真央。この数年間で彼女は嬉しいことも悲しいことも経験してきた。待望の子どもを出産した翌年には夫と離婚。シングルマザーとなった彼女であるが『Baby』というタイトルのアルバムを発表するなど精力的に活動してきた。そして2018年には8枚目となるニューアルバム『YOU』をリリース。彼女自身公にはしなかったものの、本心ではいろいろなことを考え、実行に移した数年間であったと推測する。


しかしながら今回のライブにおいては純度100%、楽しい空間の創造に徹していた。ライブ中、彼女は何度も観客に手を振ったり、拳を挙げて盛り上げた。ライブ後は「楽しかった!」という語彙力ゼロの感想しか出てこないほどに、良い意味で楽しさ一辺倒のライブだったのだ。

 


阿部真央「Believe in yourself」MV【Official】


1曲目『Believe in yourself』の「オーオオー!」という出だしの時点で鼓膜がビリビリ震える感覚があった。もうあの声はどうやって出しているのかわからない。それほどに阿部真央の声は会場全体に響き渡り、恐ろしく絶好調だった。


続く『ふりぃ』はカロリー消費量が極めて多いパンキッシュな曲なのだが、それでも声は一切揺らぐことはない。サビの時点でも十分高いが、終盤にはさらに一段階トーンが上がっていた。声域の広さに脱帽である。


トレードマークのギターを外して歌っていた『K.I.S.S.I.N.G.』も、端から端まで移動したりジャンプしたりとかなり動いていたにも関わらず、声が抜群に良い。

 


阿部真央「ロンリー」Music Video【Official】


ニューシングル『変わりたい唄』やおなじみ『ロンリー』と披露してきた阿部真央だが、『ロンリー』終了後にはバンドメンバーが全員はけ、ステージには阿部真央ひとりに。「それでは最後に、ストーカーの歌を歌います」とギターを掻き鳴らしてスタートした最後の曲は、『ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~』だった。


〈職員室の連絡網 盗んで知った〉

〈番号にかけるのは これで63回目〉


背筋がゾクゾクするほどホラーな歌詞が並ぶこの曲だが、フェスの会場で聴くとギター1本にも関わらずかなりの盛り上がり。観客は手拍子で答え、サビ部分では扇動して歌う場面も見られた。そんな姿を観て阿部真央は何度も「ありがとう!」と満面の笑顔で言っていた。


「来年にはベスト盤が出ます。今回やった曲も収録されています。そして来年はここ大阪でライブをやります。ぜひ来てください!」と言って去っていった阿部真央。間違いなく観客の心に大きな爪痕を残したライブであった。

 

【阿部真央@レディクレ セトリ】
Believe in yourself
ふりぃ
K.I.S.S.I.N.G.
immorality
変わりたい唄
ロンリー
ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~

 

never young beach L-STAGE 13:05~

f:id:psychedelicrock0825:20190103224142j:plain

2018年はギターの松島が脱退し、新体制となったネバヤン。今回もサマソニと同様、サポートメンバーを加えたライブとなった。


1曲目は心地よいベースの音色が特徴的な『どうでもいいけど』。外は洒落にならない寒さなわけだが、このL-STAGEにおいては別。まるで春の風が吹き抜けるような、爽やかな空間に彩られていた。

 


never young beach - どうでもいいけど(official video)


真っ赤な帽子を被った安部(Vo.Gt)は途中の歌詞で「束ねて忘れるぅー!」と叫ぶなど、終始ハイテンション。後に「お客さんが少なかったらどうしようと思った」と語っていたが、そんな予想を覆すように最高の客入りであった。それはテンションも上がるというものだ。


そのためいつもの安部の天然MCも今回は大炸裂。ちょっとばかり空回りぎみではあるが、集まった観客はその都度大歓声に沸くので安部は「俺泣いちゃうよ……」としんみり。僕はこの優しくていつも楽しそうな安部のキャラクターが大好きなのだが、彼は2018年に観てきた中で一番楽しそうに見えた。


夏フェスでセトリの核を担っていたアルバム『A GOOD TIME』の楽曲については今回は封印。それ以前のアルバムの中から、おなじみの楽曲が次々と投下された。


いつも以上にハイテンポな楽曲が多かったわけだが、安部の特徴的な声でもってぐんぐん引き込まれる。ネバヤンのライブを観たことのある人ならわかると思うのだが、安部のボーカルには他にはない悪魔的魅力がある。あれこそ天性の歌声なのだろうと思うし、ネバヤンの楽曲は彼の歌声があってこそだと再認識した。

 


never young beach - 明るい未来(official video)


最後は『明るい未来』から『お別れの歌』という、これまたおなじみの流れでフィニッシュ。サマソニではいつも通りの流れを裁ち切るためにお客さんに「何が聴きたい?」とアンケートを取っていたネバヤンだが、たしかあのときも同じくこの2曲だったはず(安部は「それじゃいつもと同じじゃん!」と笑っていたが)。要はそれほどこの2曲はネバヤンにとって、そして観客にとっても重要なアンセムになっているのだろう。


前編通して普段より数回多かった安部の「フォオオー!」というアドリブも、この日の楽しさを象徴していたように感じる。やっぱりネバヤンは最高だ。


【never young beach@レディクレ セトリ】
どうでもいいけど
あまり行かない喫茶店で
fam fam
いつも雨(新曲)
明るい未来
お別れの歌

 

サンボマスター Z-STAGE 14:35~

f:id:psychedelicrock0825:20180827214337j:plain

ここでメインステージであるZ-STAGEに移動。ほぼライブ未経験の友人には、ぜひサンボマスターのライブを一度体験させてあげたいと思ったからである。


サンボマスターのライブに行ったことがある人ならわかると思うが、彼らはとにかく暑い。『熱い』ではなく『暑い』のだ。ほぼ原曲を無視した演奏も、力強いMCも、煽りの数々も。その全てが暑苦しくて愛おしい。一度見たら絶対に心を鷲掴みにされる魅力が詰まっている。だからこそサンボマスターを観ようと思った。


1曲目『世界をかえさせておくれよ』の時点で、山口(Vo.Gt)は時折演奏を中断しつつ「そんなんで世界変えれると思ってんのか!」「あれ?もしかして全日本盛り上がらない協会の皆さんですか?」「こんなもんじゃねえだろ大阪!」と激を飛ばす。暑い。暑すぎる。山口もそれに答える観客も、全てが暑い。一瞬にして蒸し風呂状態と化している。


今回は年末のライブということで、『アホになれる年末=アホ年末』をキーワードに掲げているらしく、何度も何度も「アホ年末!アホ年末!」と煽っていく。同様に「1年で最高のアホ年末、出来る人ー!?」と叫びまくっていた。チューニングも水分補給の時間もほぼなし。完全ノンストップの灼熱地獄を作り上げていた。

 


サンボマスター / 輝きだして走ってく MUSIC VIDEO


最も心に残った場面は『輝きだして走ってく』前のMC。「おめえが手首をナイフで切ったりよ。ああ自分は駄目だとか思ってる奴ら。ふざけんじゃねえ!そのナイフがキラッと光ったとき、そのナイフが輝いたとき、絶対に間違えんな。俺はそんなお前らをずっと見てる。だからまた生きて会おう」


……全部は覚えていないが、そういった意味の言葉だったと思う。そう。サンボマスターが伝えたいことはこれなのだ。


煽るのも、楽しませるのも、全ては観客のため。クソッタレな人生を一時でも忘れるための行動のひとつとして、彼らのライブは存在する。だからこそ悩んだらライブに来てほしい。いわばサンボマスターは、そんな悩める人たちの気持ちを全力で受け止める最大のキーパーなのである。


サンボマスターがいつもたくさんの笑顔と汗と涙に囲まれているのは、そういった理由がある。だからこそサンボマスターはいつまでも愛され続けるし、デビューから何年も立った今でもメインステージに立てるのだろうなと思った。


【サンボマスター@レディクレ セトリ】
世界をかえさせておくれよ
青春狂騒曲
ミラクルをキミとおこしたいんです
できっこないをやらなくちゃ
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
輝きだして走ってく

 

ウルフルズ L-STAGE 15:10~

f:id:psychedelicrock0825:20190103224257j:plain

サンボマスターの退場に予想以上に手間取り、L-STAGEに到着した頃には入場規制に捕まってしまった。『笑えれば』の演奏が外まで聞こえてきて、「早く入らせろ」とやきもきしていたのだが、やっとこさ中に入った頃には既に『笑えれば』は終わり、『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』に突入しようというところだった。


主要メンバーであるウルフルケイスケが活動休止を発表したため、サマソニのときと同様にメンバーは残された3人で固定。サポートメンバーも入れずに『ウルフルズ』のサウンドをしっかり演奏していた。


しかしながらサマソニのときも感じたことだが、元々ギター2本で奏でていた音をトータス松本(Vo,Gt)ひとりでこなしているため、少しばかり物足りなさを感じてしまう。おそらく今回のライブでリードギターありきの往年の名曲『ガッツだぜ!』をやらなかったのはその影響もあるだろう。


MCではトータスのコテコテの関西弁が光る。この日はトータス松本52歳の誕生日だそうで、次に出演するスガシカオを指して「実は同い年やねん」とポツリ。すると客席からは「ええー!?」という驚きの声が上がり、「いや失礼やろ!っていうかそれはどっちに対しての『えー』やねん!」と笑いを誘っていた。

 


ウルフルズ - バンザイ~好きでよかった~


ラストはこれを聴かずには帰れない『バンザイ~好きでよかった~』。前述したようにギターはトータスひとりなのだが、この楽曲においてはむしろギターが1本であるおかげで、より歌詞が伝わりやすいようにも感じた。そしてサビ部分のみならず、ほぼ全編に渡って観客が歌ってアシストする展開に胸が熱くなる。この光景を観ていると本当にウルフルズが活動再開して良かったと思うし、同時にロックシーンにおけるウルフルズの偉大さを実感する。


大歓声に沸くL-STAGE。最初から観られなかったのは残念だったが、ずっとCDで聴いていたウルフルズの名曲たちが聴けただけでも嬉しかった。でもやっぱり最初から観たかったなあ……。


【ウルフルズ@レディクレ セトリ】
ええねん
Wild Thing(The Troggsカバー)
チークタイム
笑えれば
サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
バンザイ~好きでよかった~

 

スガシカオ L-STAGE 16:25~

f:id:psychedelicrock0825:20190103224321j:plain

続いてはスガシカオを観ることに。個人的な事情が重なった結果、飲食店ブースからL-STAGEに着いたときには既に入場規制。またやってしまった。入場するも、スガシカオは今まさに『Progress』をやるというところで、観たところ終盤らしかった。嗚呼。


何の脈絡もなしにスタートした『Progress』。ライブの全貌を把握出来なかったのは悲しいが、おそらくは日本国民の大半が知っているであろうこの曲を聴けただけでも良しとしようではないか。

 


Progress - ap Bank fes 09 - スガシカオ with Bank Band LIVE


〈ずっと探していた 理想の自分って もうちょっとカッコよかったけれど〉

〈ぼくが歩いてきた 日々と道のりを 本当は“ジブン”っていうらしい〉


テレビ番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』でもおなじみのこの曲。テレビを観ているときはあまり気にしなかったのだが、改めて聴くと強いメッセージが込められていることに気付く。酸いも甘いも経験し、年齢を重ねた今だからこそ理解できる部分もあり、その力強いアンサンブルも相まって心打たれてしまった。


ラストはハッピーな『Music Train~春の魔術師~』でシメ。僕は島根県在住なので存じ上げないのだが、この曲はFM802『ACCESS!』のテーマソングであり、同番組内で何度もかかっていた楽曲らしい。まさにFM802が主催するレディクレならではの終わり方。「ありがとう!」とステージを後にするスガシカオに、惜しみ無い拍手が送られた。

 

【スガシカオ@レディクレ セトリ】
赤い実
Real Face(KAT-TUNカバー)
19才
午後のパレード
アイタイ
Progress
Music Train~春の魔術師~

 

The Birthday R-STAGE 17:00~

f:id:psychedelicrock0825:20190103224405j:plain

いよいよフェスも終盤。続いてはThe Birthday。後々知ったことだが、真裏のTHE ORAL CIGARETTESはライブ数分前から入場規制がかかり、なんと物販席まで待機列が続いていた有り様だったらしい。そのおかげかThe Birthdayが出演するR-STAGEはさほど混雑しておらず、スムーズに入場できた。個人的なお目当ては元々The Birthdayではあったのだが。


ギターをつま弾く調べにどよめきが起きた『涙がこぼれそう』には心底驚いた。というもの通常この曲はライブの中盤に披露されることが多く、1曲目にドロップされることはほぼなかったからだ。チバ(Vo.Gt)がオフマイクで「カモーン!」と言い放つと、おなじみのフレーズが観客によって歌われた。そしてクハラ(Dr)がドラムを打ち鳴らすと同時に、爆弾のような轟音がR-STAGEに響き渡った。

 


The Birthday - 涙がこぼれそう


全体的に明らかに他バンドよりも音がデカく、フジイのギターに関しては特にダイレクトに伝わってくる。そこにチバのしゃがれたボーカルが乗っかり、唯一無二のロック空間へと変貌していった。


今回は『なぜか今日は』や『くそったれの世界』といったフェスらしい代表曲の固め打ちではなく、2018年にリリースされた『THE ANSWER』や『青空』、そして2月にリリースされる『OH BABY!』などのあえて新しめの曲を多く演奏するスタイルであった。


MCはほとんどなく、少しばかりのチューニング時間以外はほぼ楽曲を演奏していた。限られた時間を存分に使って最新のモードを見せ付ける形は、今のThe Birthdayがいかに絶好調であるかを表しているようだ。


特筆すべきはやはり最後に演奏された『OH BABY!』だろう。曲前に何の紹介もなかったが、この楽曲は2月にリリースする新曲。そのため僕含め大半の観客は初見だったと思うのだが、サビ部分で「OH BABY」と繰り返す様は実にキャッチーで、一度聴いたら頭をぐるぐる回るキラーフレーズ。楽曲自体もアッパーなので、今後The Birthdayの代表曲になりそうな予感。


徹頭徹尾、何者にも染まらないThe Birthdayらしいクールなライブだった。何度見てもやっぱり格好いい。


【The Birthday@レディクレ セトリ】
涙がこぼれそう
THE ANSWER
青空
Red Eye
1977
OH BABY!(新曲)

 

CRAZY MAN CLUB BAND R-STAGE 19:00~

f:id:psychedelicrock0825:20190103224422j:plain

2日間のレディクレ、ラストは10周年企画であるCRAZY MAN CLUB BANDだ。


事前に発表された情報によると、演奏するのはソウル・フラワー・ユニオン奥野(Key)、The Birthdayクハラ(Dr)、初恋の嵐隅倉(Ba)、フジファブリック山内(Gt)という豪華メンバー。加えてそれぞれの楽曲でゲストボーカル呼び込むという流れらしい。しかしながらそれだけでは全貌はわからないので、一体どんなライブが行われるのか疑問だった。


定時になると暗転。……ここまでは通常通りなのだが、背後に突如スポットライトが当たる。そこに現れたのはなんと全日本プロレス所属、棚橋広至であった。大歓声に囲まれながら観客を掻き分けながら進み、ステージ上へ。そして棚橋自らバンドメンバーを呼び込んで消えていった。まさに10周年に相応しい、域な計らいである。


なぜかバンドメンバーは全員マスクを被っており、そのままの状態で『CRAZY MAN CLUB BANDのテーマ』へ。おそらくはこのライブのためのオリジナルソングなのだろうが、同じようなパートが多くあるため、キャッチーで歌いやすそう。もちろんこの段階ではボーカルはおらずインスト状態だったのだが。


その後はボーカルをひとりずつ呼び込んで進行していく。まずはHIGE須藤が『テキーラ!テキーラ!』を歌唱。


次に9mm Parabellum Bulletから菅原が登場。楽曲は『ハートに火をつけて』。ギターは滝ではないし、ドラムもかみじょうではない。そのため普段の9mmのようなヒリヒリした感覚は少ないのだが、珍しくハンドマイクで歌う菅原はかなり楽しそうだ。


続いては怒髪天増子とフラワーカンパニーズ鈴木を呼び込み、『オトナノススメ』へ。怒髪天でも強力な盛り上げ曲もあるこの曲。観客が挙げた腕が左右に舞う様は壮観だ。


フラカン鈴木は今回のライブ会場が大阪であることから、『ファンキーヴァイブレーション』。梅田や難波、泉大津といった大阪の街をテーマにした楽曲であり、まさにこの会場でしか聴けないアレンジで進行していった。


更には髪を真っ青に染めた木村カエラが登場し、自身の楽曲をメドレー形式で歌い上げる。てっきりリルラリルハやButterflyなんかをやると思っていたのだが、実際には『BEAT』や『Magic Music』、『COLOR』といった盛り上げ重視のアッパーな選曲であった。飛びはねながら歌う木村カエラにキュンとする。


「今年は私の大好きな人が亡くなってしまいました。だからこの曲を皆で歌いたい」と語ってスタートしたのは、なんとB.B.クィーンズの『おどるポンポコリン』。今まで歌ってきたゲストボーカルも全員呼び込み、ステージはギュウギュウのダンスフロアと化した。


さて、盛り上がったしここで終わり……という状況の中、「ウオーイ!」と謎の声が。すると袖からキュウソネコカミのヤマサキセイヤが登場。その見た目はどこからどう見てもQueenのフレディ・マーキュリーであり、どうしても胸元をバッサリ開けた出で立ちに笑いが込み上げてしまう。MC担当の人物に向かって「おーれーはー!?」と繰り返し噛みつき、最後はダチョウ倶楽部よろしくキス。なんだこれ。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190103224447j:plain


「このためだけに東京で練習してきた」との一言から、正真正銘最後の『CRAZY MAN CLUB BANDのテーマ』。先程はインスト状態だったが、ヤマサキがボーカルを務めたことにより、しっかりと歌える楽曲になっている。結果的にヤマサキと観客との「クレイジー!」の掛け合いも見事にハマり、大団円で終了。演奏終了後には、終わったにも関わらず拍手が鳴り止まなかった。


何だかいろいろありすぎて頭がパンクしそうな40分間だったが、最高に楽しかった。ぜひ次回も継続してほしいと思った。


【CRAZY MAN CLUB BAND@レディクレ セトリ】
CRAZY MAN CLUB BANDのテーマ
テキーラ!テキーラ!(HIGE須藤)
ハートに火をつけて(9mm菅原)
オトナノススメ(怒髪天増子)
ファンキーヴァイブレーション(フラカン鈴木)
木村カエラメドレー(木村カエラ)
おどるポンポコリン(全員+木村カエラ)
CRAZY MAN CLUB BANDのテーマ(全員+キュウソヤマサキ)

 

 

さて、いかがだっただろうか。これにてレディクレのレポートは全て終了である。


昨年はカウントダウンジャパン。そして今年はレディクレと、2年続けて最高の年末を過ごすことができた。冬フェスというのは世間体にあまり浸透していないとは思うのだが、行ったことのない人にも率先して勧めたいほど、楽しい空間だった。


また来年も参加したいと思った次第だ。それでは。