キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】四星球『SWEAT 17 BLUES 完成CELEBRATE? TOUR』@米子Aztic laughs

こんばんは、キタガワです。

 

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3月21日に鳥取県・米子Aztic laughsで開催された四星球全国ツアー『SWEAT 17 BLUES 完成CELEBRATE? TOUR』に参加した。今回は後攻・四星球のライブレポートを記す。


→先攻・MOROHAのレポートについてはこちら

 

音楽業界において、四星球について述べる際には専ら『コミックバンド』という括りで語られることが多い。


理由はひとつ。彼らのライブは常に笑いと共にあるからだ。小道具を多用し、世間のニュースを弄り、曲中にユーモアを織り混ぜながら、どこまでも笑いを突き詰めたライブを行う。それはさながら喜劇を観ているようでもあり、世間一般のライブ体験とはまた一味違った面白さがある。


ライブ開始前のフロアには安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』他、彼女の有名な楽曲が繰り返し流されていた。おそらくこれは今回のライブツアーのタイトル『完成CELEBRATE?』の伏線回収なのだろう。こうした隠れた笑いの要素を見付けると「四星球らしいな」とも思ってしまう。


笑いの導火線の火は既に付けられている。あとは爆発するのを待つばかりというところ。


暗転しステージに降り立ったメンバー。バンド演奏を始めるかと思いきや、誰も楽器を持っていない。呆気に取られる観客をよそに、北島(Vo.Gt)が笑顔で語る。


「MOROHAのライブ最高やったなー。俺らもライブ聴きながら楽屋で『今すぐ歌いたい!』って思ったんやけど、あと10分間は歌いません」とまず一笑い。


ここで今回のライブツアーのタイトルに冠された『SWEAT 17 BLUES』の意味について説明する時間に。北島曰く『SWEAT』というのは直訳すると汗であることから、ライブの裏テーマは『汗を流すこと』であったと語る。


そこで『メンバーの中で誰が一番汗をかけるか』を競うライブを行うと宣言。具体的にはライブ開始前に計った体重とライブ後に計った体重を比較し、最も体重が減っていなかったメンバーには罰ゲームを与えるというもの。


ちなみに罰ゲームの内容は『全力のケツバットを食らう』。そんなケツバット担当として選ばれたのはMOROHAのギター、UK。スポーツ経験豊富なUKの豪腕でケツをぶっ叩かれるのは一体誰なのか。冷静に考えると馬鹿馬鹿しく思えるが、これが四星球のライブなのだ。


事前の体重測定(BGMはライザップ)の後、1曲目『四星球聴いたら馬鹿になる』からライブはスタートした。

 


四星球「射手座『四星球聴いたら馬鹿になる』」紹介&「お告げ ~さあ占ってしんぜよう~」ダイジェスト占い


〈下半身ロバ上半身人間 パッと見ケンタウロス〉

〈下半身鹿上半身馬 馬鹿タウロス〉


伝説の生き物を題材としながらも、まるで男子小学生が考えたような低レベルなボケを連発するこの楽曲は、聴いているだけでIQがぐんぐん下がっていくよう。「これが四星球の真骨頂だ!」と言わんばかりの演奏に、観客も皆一様に笑顔だ。


今回のライブはリリースツアーということもあり、ニューアルバム『SWEAT 17 BLUES』の楽曲を中心として進行していく。楽曲中には必ず何かしらの笑いの要素が含まれており、片時も目が離せないエンターテインメント性抜群の空間を形成していた。


『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』では、まさやん(Gt)自作の作品が登場。大きく『まさゆき』と書かれた段ボールを背負ったかと思えば、ギターソロでは色とりどりの音符が次々出現。


『いい歌ができたんだ、この歌じゃないけれど』では早くも北島がフロアに降り、ぐるぐると回りながら大きなサークルを作り出す。しかし当初は「いい歌ができたんだ」のコール&レスポンスを行う予定だったが、客席に外国人の観客を見付けたことから急遽「ナイス・ソング・フォール」に変更することに。もちろん英語の教科書的には大間違いの翻訳なのだが、発語の勢いだけで大盛り上がり。


ちなみに海外のお客さんもその馬鹿馬鹿しさから、サークルに参加したり最前列で腕を挙げ、日本人以上のポテンシャルでライブを楽しんでいたのが印象的だった。国籍も言葉も、意味不明でも楽しめる。

 


四星球「モスキートーンブルース」Music Video(耳年齢診断つき)


その後も『モスキートーンブルース』や『HEY!HEY!HEY!に出たかった』、『言うてますけども』といったファストチューンを次々投下。『言うてますけども』に至っては演奏終了後の真面目なMC中に「~とか言うてますけども!」といきなりサビ部分の演奏に逆戻りするシーンも多々。笑いのエッセンスを散りばめるステージングには脱帽である。


ここで中間結果発表とのことで、上半身裸になっての体重測定へ移行。中でもピンボーカルで動き回る北島のカロリー消費量は凄まじく、短時間でかなり体重は減少。しかしその他のメンバーはあまり減っていない様子……。


見かねた北島から「ここからはサウナスーツとアウターを着用します!」という鬼発言が飛び出し、ここからは何とピッチピチのサウナスーツを着てライブを進行することに。更には最も体重の減りが芳しくなかったU太(Ba)とまさやんに対しては、サウナスーツ着用という地獄の所業。


その後は「ここからは15分間バラードやりますんで、靴紐結んだりしててください」との北島のMCから『ラジオネーム いつかの君』、会場が米子Aztic laughsであることにちなんでのレア曲『LAUGH LAUGH LAUGH』を演奏。

 


MUSIC JUNGLE TV #28(11月後半)Part.1


ゆったりとした時間が続き「そろそろ汗も引いたかな」と思いきや、次の瞬間には代表曲『クラーク博士と僕』を投下。客席にはマイクスタンドとフラフープが投げ込まれ、本来観客がいるはずのフロアではまさやんが大暴れする事態に発展。更には大きなフラフープを観客と一緒に回したり、観客にボーカルを託すなどやりたい放題。会場は灼熱のカオス地帯と化した。


終始抱腹絶倒の爆笑空間を作り出した四星球。本編最後の最後の曲として鳴らされたのは、今回のライブツアーのタイトルにも使われている『SWEAT 17 BLUES』。この演奏前、北島は長尺のMCでもって、四星球のライブの在り方について語った。


「先日『私はリウマチの患者です』というお客さんがおりまして。『普段は何をしても痛くて腕を挙げることすらできない。でも四星球のライブでは痛みを感じずにとても楽しめるんです』と言っておりました。皆さん、四星球は医療ですんで。なかなか治らんことあったら来てください」


これまでライブ中はおちゃらけたトークやボケに徹していた北島だが、この時始めて観客の目をしっかりと見ながら真剣に語っていた。


僕は今まで「四星球はずっと面白いことやってるけど、多分苦しいことを抱えてながら活動してるんだろうな」と漠然と思っていた。そしてその考えは、おそらく正しいのだろう。しかし彼らはそれ以上に、苦しいことを忘れるためのひとつのエンターテインメントとして、四星球という活動を行っていた。


だからこそ四星球の歌には、日々のストレスや怒りに満ちた言葉は一切使われていない。あるのは非日常的な馬鹿馬鹿しい笑いだけ。彼らはそんな治療薬にも似た笑いを届けるためだけに、15年以上も全国各地を渡り歩いているのだ。


北島はMCを「先程演奏した発明倶楽部という曲は、時間を巻き戻す曲でございます。辛いことがあったらいつでも戻ってきてください。会いに行きますんで」という言葉で締め括った。


最終曲の盛り上がりは言わずもがなで、僅か1分少々ながら直前に発した北島のMCの内容を体現するような、汗と笑いに包まれた時間となった。


本編終了後は、待望の体重測定へ。北島はぶっち切りの体重減少で罰ゲーム回避となったものの、U太とモリス(Dr)、まさやんが共に0.4キロしか減っておらず、何とツアー開始後初となる3人同時罰ゲームへ。


ここでMOROHAのギター、UKを呼び込みケツバットを慣行。恐るべき豪腕で振り抜くUKの一撃は凄まじく、大きな音が響き渡る。そしてこの2時間のライブの熱量を象徴するかのように、叩かれた瞬間には大量の汗の飛沫が撒き散らされる。


アンコールではニューアルバムの中で本編でまだ演奏していなかった『Soup』と『Teen』、そして昨年台風によって中止となった米子初のロックフェス『Starry Night』にて、最後に演奏する予定であった『オモローネバーノウズ』を披露。

 


四星球「オモローネバーノウズ」ミュージックビデオ


〈オモローネバーノウズ まだ オモローネバーノウズ まだ〉

〈おもろいことが おもろいことが待っているはずだろ〉


辛いことも苦しいことも全部笑い飛ばせるようにと、徹頭徹尾笑えるライブを形成していた四星球。アンコールで演奏された『オモローネバーノウズ』では、そんな四星球の思いが内包された応援歌のようにも感じられた。観客の中には涙を流す人も見受けられ、結成から17年経った今でも四星球が愛される理由を目の当たりにできた。


きっと四星球は最大級の現実逃避を携えて、これからも全国各地を渡り歩くのだろう。笑いで日本中を笑顔にする日まで、彼らは戦い続ける。


全力の『オモローネバーノウズ』のパフォーマンスを見ながら、何故だか僕はセンチメンタルな気持ちになった。楽しい時間ももうすぐ終わってしまう。終わってほしくないなあ……。


……と思ったのも束の間、「最後はプロジェクトAのテーマソングでお別れしたいと思います!」との一言から中国語バリバリの『東方的威風』のカバーを 「◎△$♪×¥●&%#?!」と声高らかに歌い上げ去って行った。


僕はといえば一瞬でも感傷的になった自分が馬鹿馬鹿しくなって、また笑った。

 

【四星球@米子laughs セトリ】
四星球聴いたら馬鹿になる
鋼鉄の段ボーラーまさゆき
いい歌ができたんだ、この歌じゃないけれど
モスキートーンブルース
HEY!HEY!HEY!に出たかった
言うてますけども
ラジオネーム いつかの君
LAUGH LAUGH LAUGH
クラーク博士と僕
Mr. Cosmo
発明倶楽部
SWEAT 17 BLUES

[アンコール]
Soup
Teen
オモローネバーノウズ
東方的威風(プロジェクトAカバー)

3月某日

こんばんは、キタガワです。

午前2時。

酒をしこたま買い込んでいたはずが、気付けば最後の1本を残すのみとなった。くそったれと悪態を付くのは良いが、酒がどこからともなく現れ出るはずもない。仕方なく近所のコンビニに買いに出る事にした。

とは言え既に寝間着を身に付けている。面倒なので上半身には寝間着の上に厚手の服を羽織り、下半身にはスキニージーンズを履くことで「外出用の服」とした。服の下に着ている寝間着のせいで不自然に盛り上がって見え、酷く滑稽に思えた。

あまり寒くはないだろうと侮っていたが、現実は残酷だ。冷たい夜風が顔面をぶん殴り、僕は外出した事を一瞬にして後悔した。最高の仕打ちだ。コンビニまでは後何メートルだろうか。さほど遠くはないだろうが、気が遠くなる思いがした。先程かさぶたを剥いだ箇所が「早くしてよ」と喚いた。

深夜ともなれば、車の行き交いや人の往来は皆無と言っていい。それが島根県松江市という環境なら尚更だ。僕は赤信号が点滅した道路を渡りながら、一人優越感に浸っていた。午前2時、今この瞬間だけは僕の独壇場だ。

コンビニに着くと店員が忙しなく開梱作業に当たっていた。日付が変わって今日発売のヤングマガジンの数が多く悪戦苦闘しているようで、見たところ20冊はありそうだった。僕自身夜勤のコンビニ経験が長かったのでよく分かる。おそらく店員の脳内では全てのヤンマガを破り捨てたい欲求が膨らんでいる事だろう。

僕はビールを一缶買うと、直ぐ様コンビニを後にした。

帰る道中、体から酒が抜け始めている事に気付いた。これほど苛立つ事もない。幸せな時間は長くは続かないと言うが、アルコールも同様だ。今でこそ多幸感に満ち溢れているが、抜けてしまえば即座に絶望が目を覚まして憂鬱な現実に逆戻りだ。

そんな状態になるのが嫌で、今しがた買ったビールを胃に流し込んだ。それでも全く酔えない事に、また苛立った。

帰宅すると父がいた。どうも僕同様酒を飲み過ぎたあまり、途中で目が覚めたようだった。ふらりと僕を一瞥すると「おう、ビールなら冷蔵庫にあるで」と言い残し、また水で割ったウイスキーを片手に寝室へと戻っていった。

父は、僕が冷蔵庫にあった酒を盗んで飲んでしまっている事に、最後まで気付いていなかった。

今は買ってきたビールを飲みながら、まるで遅効性の毒のように回るアルコールに翻弄されつつブログを書いている。「たまにはこういう日もいいな」と思ったが、直後にこの日々こそが日常である事に気付き、一人で高らかに笑うのだった。

【ライブレポート】MOROHA『SWEAT 17 BLUES 完成CELEBRATE? TOUR』@米子Aztic laughs

こんばんは、キタガワです。

 

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3月21日に鳥取県・米子laughsで開催された四星球の全国ツアー『SWEAT 17 BLUES 完成CELEBRATE? TOUR』に参加した。今回は先行、MOROHAのライブレポートを記す。


四星球と言えば、日本を代表するコミックバンドとして確固たる地位を築いてきたバンドである。ライブでは観客を抱腹絶倒の渦に巻き込み、終始笑顔に満ち溢れたライブを行う。その姿はまさに『THE・コミックバンド』といった様相だ。


片やMOROHAは、そんな四星球とは対極に位置するグループだ。地を這ってでも前に進む泥臭さや生きる意思、絶対に諦めない頑固さを、血を吐くような勢いでもって叩きつける。そこには笑いの要素などひとつもなく、ヒリヒリとした緊張感が会場を支配する。


だからこそ僕は今日一日のライブのイメージが全く湧かなかった。例えるならば水と油。月と太陽。空と大地……。ジャンルも演奏形態も異なるこの2組のライブは、どんな化学反応を起こすのだろう。ひとつだけ言えるのは「唯一無二の一夜になるだろう」ということだけ。


定時を少し過ぎた頃に暗転。通常、ライブはSEに乗せてメンバーが現れるものなのだが、アフロ(MC)とUK(Gt)はいつの間にかステージに上がっており、発生練習やストレッチに励んでいた。


開口一番「四星球に『お前は眼帯を取った丹下段平だ』と言われました。ギターUK、MCアフロ。MOROHAです、よろしくどうぞ」とアフロ。


朗らかな語り口からスタートした1曲目は、先日動画サイトでPVが公開され話題を呼んだ楽曲『ストロンガー』だ。

 


MOROHA「ストロンガー」MV


〈肩で風をぶった切って 胸を張って出かけよう〉

〈破壊する ぶっ壊す 駄目なものは全部〉


ロボットの如き手数でアコースティックギターを掻き鳴らすUKをバックに、思いの丈を吐き出すアフロ。極めて最小限の演奏形態だが、その姿はさながらエレファントカシマシの楽曲『ガストロンジャー』を彷彿とさせる。血管が浮き出るほど全力で叫ぶ彼の顔面からは、早くも大量の汗が滴り落ちていた。


僕はドリンクコーナーで注文したアルコールのため少し酔った状態だったのだが、気付けば酔いは一瞬にして冷めていた。観客もその圧倒的な迫力からか、演奏が終わっても拍手も歓声も上げないのが印象的だった。静寂に包まれた会場にはアフロの荒い吐息だけが響いており、時折背後で扉を開く僅かな音すらはっきり聞こえるほど。


彼らの音楽は音楽であって音楽ではない。もっとそれ以上の何か……例えるなら一種の演説や説得に近いものを感じた。


この日は新曲を中心としたセットリストで進行。そのため会場に集まった観客の大半が初見の楽曲も多かったと推測するが、力強いメッセージ性でもって届けられる楽曲群に、皆微動だにせず聴き入っていた。

 


MOROHA「上京タワー」MV


『上京タワー』『東京タワー』という意図せずこの日既存曲の扱いとなった2曲は、どちらも東京に進出する切実な思いを孕んだメッセージソング。故郷を離れ、遠く離れた地でもがく痛烈な歌詞が続く。客席からはどこからともなく啜り泣く声が聞こえてくる。


その後もふたりは水分補給もインターバルも一切挟むことなく、驚くべき集中力で演奏を続けていく。「俺らがはるばる米子に来たのは、別に知ってもらうためじゃない。金稼ぎに来たんだよ!」というMOROHAらしいMCの後、貧乏暮らしの葛藤を歌った新曲『米』、かつての彼女目線の悲しき新曲『拝啓、アフロ様』を立て続けに披露。


途中のMCでアフロが語っていたが、今回のライブは四星球側から「絶対にソールドアウトさせたい」という強い思いを受けていたそうだ。そのため他のライブと比べて少しばかり告知に力を注ぎ、四星球の熱意に答えようとしていたという。


結果としてこの日はソールドアウトにはならなかったのだが、四星球の公式ツイッターで『残り僅か』と表記されるまでには売れ、フロアはパンパンの客入り。……そんな光景をアフロは感慨深そうな目で見ていた。


最後に演奏された楽曲はニューアルバムのリード曲でもある『五文銭』だった。

 


MOROHA「五文銭」Official Music Video


〈この先に何があるか なんてことは知らない〉

〈想像を絶する 地獄かもしれない〉

〈俺は弱い すぐに調子のる〉

〈それでも愛された記憶だけは 片時も離さない〉


過去を問い、現在を問い、そして希望に満ちた未来を渇望するこの楽曲でもって、MOROHAは改めて自身の進む道を示した。


思えば今回のセットリストは、5月29日に発売予定のニューアルバム『MOROHA Ⅳ』の収録曲を中心として進行していた。『三文銭』や『革命』といった定番曲は軒並み省かれており、中には否定的な声ももしかしたらあったかもしれない。


そんな今回の40分のライブを観て僕は「MOROHAらしいな」と思ってしまった。もちろん事前に知っていて何度も聴き込んだ楽曲の方が、観客の満足度も高いだろう。しかし常に前を向き、その時々でしか伝えられないメッセージを込めて歌うMOROHAにとっては、それは過去のもの。彼らが求めているのは常に『未来』なのだから。


〈今作のアルバムリリースはメジャー〉

〈ユニバーサル vs 二本の中指だ〉

〈俺たちのために 俺たちが選んだ〉


演奏終了間際「俺は俺のこと幸せにしたい」と繰り返し絶叫したアフロ。この言葉は間違いなく、将来の自分に充てたものだ。


昨今はスマートフォンや飲食店のCMのナレーションが話題となり、注目を集めているMOROHA。それはひとつの形として彼らを知るきっかけにはなるだろう。


だが彼らの真骨頂はやはりライブ。直接目で見て感じることでしか、MOROHAの本質は理解できない。フラつきながらステージを去るアフロを見ながら、僕はそう確信したのだった。

 

【MOROHA@米子laughs セトリ】
ストロンガー
上京タワー
東京タワー
米(新曲)
拝啓、MCアフロ様(新曲)
遠郷タワー
五文銭

AKB48、46グループのCDが爆発的に売れる理由を知ってしまった

こんばんは、キタガワです。

 

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最近音楽番組を見るたびに『同じベクトルの女性アイドルたちばかりが取り沙汰されているな』と感じる。


CDを出すたびに音楽番組に出演し、オリコンチャートでも上位を独占するそのグループの名は『AKB48』という。いや、AKBに限った話ではない。SKE48やNMB48、HKT48もその中のひとつだ。もっと言えば乃木坂46や欅坂46、日向坂46、吉本坂46も同様。


間違いなく彼女たちは現代音楽シーンのポップアイコンのひとつだろうし、彼女たちなくして邦楽の繁栄はなかっただろう。

 

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……今や48、46系のグループは国内外問わず存在しており、その数はおよそ16にのぼるという。僕個人、今回の記事を執筆する際に事前調査を行ったのだが、そのあまりの数の多さに頭が痛くなってしまったほどだ。


さて、本題に入る前にそもそもの話として『なぜ48、46グループはこれほどCDが売れているのか』という話から進めねばなるまい。


CDが爆売れするということは必然的に『爆買いする側の者』が存在する。しかし見立てによれば、そういった人たちの目的は『楽曲』ではないのだ。彼女らはアーティストにとっての最重要項目であるはずの音楽ではなく、それ以外の付加価値でもって売上を伸ばしている。


では『音楽以外の付加価値』とは、具体的にどのようなことを指すのか。彼女たちの付加価値はズバリ『握手券』である。


48、46グループでは各地で『握手会』なるものが定期的に開催される。『会いに行けるアイドル』というキャッチコピーからも分かる通り、普段テレビの外側で観るしかできなかった彼女らと、実際に触れ合ったり会話をしたりできるという画期的なものだ。


ここで押さえてもらいたいことは、『CD1枚につき1枚の握手券が封入されている』点。


よく「1枚あれば何分でも握手できるの?」と勘違いする人がいるが、通常握手券は1枚につき約10秒という、極端に短い時間設定がされている。


10秒。たった10秒である。ファンが「いつも応援してます!頑張ってください!」と語り、アイドル側が「ありがと~」と返す。この流れで10秒経過である。時間に関しては係員がストップウォッチでしっかり記録しているため、10秒経ったら瞬時に終わる仕組みとのこと。


もちろんファンは考える。「どうすれば長く推しと話せるのか」と。

 

答えは簡単。複数枚買えばいいのだ。1枚で10秒ならば、10枚=100秒。100枚買えば1000秒間会話できる。


僕は普段、自分たちの実力でCDを売り上げて必死に活動しているロックバンドやシンガーについて文章を書いている人間だ。そんな僕からすれば考えれば考えるほど、彼女ら(というか運営側)のやり方は悪どい商売だなと思ってしまうのだ。

 

m.huffingtonpost.jp


上の記事は、AKB48の不法投棄されたCDについてまとめたものだ。その数585枚。容疑者は「総選挙に必要な投票権を抜いたCDの処分に困って山に捨てた」と供述しているという。


1枚2000円だとしても、単純計算で117万円に及ぶ。しかもこれは氷山の一角に過ぎない。廃棄する人は少ないにしろ、他にも同様に大量購入するファンは大勢いるはずだ。

 

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更に上の画像は、乃木坂46の卒業を発表した西野七瀬の最後の握手会に並んだファンを撮影したもの。まさに「人がゴミのようだ」と呼びたくなるほど、無数の人々で埋め尽くされている状況だ。


こう言っては悪いが、ファッション雑誌の付録目当てに購入させたり、値引き目的でクレジットカードを登録させる不動産屋とやり口はほぼ同じである。しかも運営側はこれを一回ではなく何十回何百回と開催し、ファンから大金を巻き上げているのだ。


……さて、ここまで鼻息荒く勢いに任せて書き殴ってきたが、僕自身AKB系統のアイドルは嫌いではない。有名な楽曲はカラオケで歌うこともあるし、純粋にひとつの楽曲としてレベルが高いと思っている。


中でも今僕の中で一大ブームを引き起こしているのが、欅坂46である。

 

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かつても何度か記事を執筆したほど(下記参照)で、「今一番ライブを観たいアーティスト」と言っても過言ではない存在だ。


そんな彼女たちの8枚目のシングルである『黒い羊』を先日購入した。

 

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もちろん中には握手券が封入されている。こうして直接握手券を観るのは初めてだが、キラキラとカメがかった作りになっており、ある種崇高な物のような感覚を覚えてしまう。

 

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この部分を切り取らずに会場まで持参すれば、握手券変わりとして使えるとのこと。確かにこの光る握手券を持って会場に赴けば、まさにキラキラと光輝く素晴らしい体験が出来ることだろう……。


しかしそう思ったのも束の間。握手券にとある表記を見付けてしまった僕は、顔が青ざめるのを感じた。

 

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は?

 

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僕は慌てて裏面を確認する。あった。プレゼント応募券……。


そう。僕が思っていた以上に、運営のやり方は常軌を逸していたのだった。プレゼントに応募するならその時点で握手券としての効力を失い、握手券として使用するならプレゼントに応募できない。あちらを当てればこちらが立たない、地獄のような紙切れがそこにあった。

 

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しかもよく見ると『プレゼント応募券』も、集めた枚数によって内容が異なるという鬼畜仕様。一応確認だが、これは『絶対にプレゼントが貰える』と確約するものではない。「プレゼント貰えるかもよ?」という僅かな可能性に対し、何枚もの応募券を要求しているのである。


ここで一旦整理してみよう。


握手券に使う場合……

・集めた枚数によって握手時間が延びる
・握手券に使うならば、プレゼント応募はできない


プレゼント応募に使う場合……

・集めた枚数によって当たる確率が増える
・集めた枚数によって応募できる内容が変わる
・プレゼント応募に使うならば、握手券に参加できない


……なんということだ。これではまるで守銭奴ではないか。一歩間違えば告発できるレベルの壮大な金儲け。いわば『合法的な詐欺』である。


しかもこの悪どい行為を全48、46グループが行っているのだからたちが悪い。一体秋元康の懐には何億円入るのだろう。


『握手券は金がかかるもの』という認識は、無知な僕にもあった。「人それぞれ好きな推しと触れ合えるなら、まあそれでもいいんじゃない?」と思っていた。しかし『プレゼント応募券』なるプラスアルファで搾取する存在は一切聞いたことがなかった。


この事実を知ってしまった今、僕の目にはあのグループが金の塊に見える。


今日もどこかで彼女らは握手会を開催していることだろう。そこには大勢のファンが集まっている。秒数を求めてCDを買い漁り、何万円もの価値を込めて推しに会いに行っている。


片やその裏ではプレゼント応募券をひたすら集めている人もいる。生写真やスペシャルイベントを追い求め、世に蔓延る賭け事以上に金を使って『可能性』を買っている。


そして握手券とプレゼント応募のふたつを一緒に行う人も一定数いるだろう。そこには『音楽』の概念は存在しない。CDは一枚あれば音楽機器に落とし込めるわけで、それ以上のCDはただの不必要な光ディスクでしかない。そう考えると、前述した不法投棄の動機も頷ける。


今の音楽業界はこのままでいいのだろうか。付加価値で集客したアーティストをオリコンチャートに入れても良いのか?『○万枚突破!』との触れ込みで音楽番組に出まくるあのアイドルたちは、コアな音楽ファンに本当に望まれているのだろうか。


僕には音楽の未来は皆目分からないが、「このまま行くと邦楽が死ぬだろうな」ということは、間違いないと断言できる。

 

でも、てち(平手友莉奈・欅坂46のセンター)の握手会があればCD買っちゃうかもなあ、とも思う……。

 

 

→欅坂46『アンビバレント』の記事はこちら

→欅坂46『黒い羊』の記事はこちら

米津玄師は宗教だ

こんばんは、キタガワです。

 

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米津玄師ブームが止まらない。止まる気配さえない。


『Lemon』のPVは日本人初の3億回越え、ダウンロード数200万回。発売から1年以上が経過しているにも関わらず、CD売上では未だトップに君臨し続けている。更には音楽番組であるスペースシャワーTV内で『週間CDランキング』なるものが放映されれば、放送時間の4分の1は米津玄師の楽曲だ。

 


米津玄師 MV「Lemon」


どこもかしこも米津玄師。米津玄師、米津玄師……。もはや「広辞苑に載るんじゃなかろうか?」と疑問に感じるほどに、今の日本音楽シーンは米津玄師一強時代と言える。


先に書いておくが、別に僕は米津玄師アンチではない。彼のCDも聴くしカラオケでも歌う。彼の楽曲は純粋に「完成度の高い楽曲だなあ」と思うし、耳馴染みも良いので、それは売れるだろうなと感心する部分は多い。


そう。米津玄師は何も悪くない。問題なのは『日本全体が米津玄師に盲目になりすぎている』という点である。こう言っては失礼かもしれないが、彼の人気とそれに影響されるファンの構図は、一種の宗教じみた怖さを感じてしまうのだ。


今回はそんな話。

 

 

米津玄師の言葉は総理大臣より重い

彼のツイッターが分かりやすいのだが、彼の発言に関しては皆一様に、ストーカーじみた目付きで刮目している。


おそらく彼が「おはようございます」といった空虚な言葉オンリーで呟いたとしても、数千リツイートは下らないだろう。これはあながち冗談ではない。極端な話、もし米津玄師が自民党政権を批判したり犯罪者を擁護する発言をしたとしても、「ヨネケンが言ってるから」という理由でもって肯定する盲目な若者は一定数いると思う。

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例えば上記のツイート。教師のひとりの行動によって、ひとりの生徒の心が蹂躙される様を痛烈に描いている。「今なお人格の一部として機能してる実感がある」と述べているのは、『かつての米津青年はこの事件によって今の人格を形成してしまった』という隠喩だろうか。


このツイートに関しては、米津玄師が強い怒りを内包して呟いたものだと推測する。どれだけ軽はずみな行動であっても、年端もいかない人間にとっては大きな傷となり得るのだということを身をもって体験した、彼にしか書けない辛い思いだ。


しかしひとつ気になったのは、このツイートを見たファンの反応だ。そこには1600を超えるリプライでもって、多くの反響が寄せられていた。


一読して驚いた。「感動した」「私もそう思います」「米津さんありがとう」……肯定意見のオンパレードがそこにあった。反対意見はただのひとつもない。まるで国の圧力で大規模な検閲が行われたかのように、口を揃えて称賛の声を送っていたのだ。


今は某動画サイトの有名配信者のコメント欄でさえ、賛否両論が交わされる時代である。テレビ番組にも、コメンテーターの発言にも。絶対に『否』の意見は存在しなければおかしいのだ。にも関わらず、米津玄師のリプライ欄は皆一様に『賛』のみ。中には「泣きました」という人さえいた。

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更にはこのツイート。紅白歌合戦で歌唱後に呟いたものと見られるが、何と13万リツイート、62万いいねを記録している。ツイッターでは『1万リツイート達成する=大きくバズった』と見なされる傾向があるが、米津玄師がふいに呟いた「紅白歌合戦ありがとうございました」はそれを遥かに凌駕する。


何時間も執筆して色付けした絵師のイラストよりも、猫がはしゃぐ動画よりも、流行りのパロディーネタよりも。その何倍もの拡散力でもって、米津玄師の言葉は日本列島を駆け巡っているのだ。


僕が冒頭で「宗教じみた怖さを感じる」と述べたのはこういった理由のためだ。全員ではないにしろ、物事を『米津玄師』というフィルターを通して見るだけで黒が白になり、反対が賛成になり、嫌悪が愛好に変わり、何もかもが輝いて見える人は少なからず存在するのである。

 

日本の音楽シーンへの影響

先程は彼の発言に焦点を当てたが、次は音楽シーンへの影響について見ていこう。


まず大前提として、米津玄師の音楽は今のジャパニーズ・ミュージックのド真ん中に位置していることをご理解いただきたい。

 

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上の画像はある時期に発表されたYouTubeの音楽チャート『音楽ランキング』の結果である。ご覧の通り1位~10位までの楽曲のうち、4つもの楽曲が米津玄師だ。しかもこの結果は米津玄師人気の、ほんの一部分に過ぎない。初期の代表曲『アイネクライネ』や『ゴーゴー幽霊船』等を鑑みれば、おそらく11位以下のランキングにおいても米津玄師の名前は至るところに出現していることだろう。

 

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更に前述した『音楽ランキング』をアーティスト別に分けたものがこちらだ。何とTwiceやBTS(防弾少年団)といった今をときめくK-POPアーティストや、あいみょんやMr.Childrenら誰もが知っている日本人歌手を抑え、堂々の1位に君臨。良く見ると動画の再生回数もとんでもない。そこには『ある程度人気があるミュージシャン』が束になっても勝てないほどの、高い高い壁が立ちはだかっていた。


米津玄師ブランドは、彼自身の人気に留まらない。最近音楽チャートで数ヶ月間上位に食い込んでいる『Foorin』というグループがいるが、調べたところ『米津玄師プロデュース』という触れ込みで知名度を獲得したグループだった。ロックシーンの革命児と謳われるKing Gnuも、思えば最初に導火線に火が点いたのは米津玄師がツイッターで取り上げたのが理由だったという。


他にもTempalayや中村佳穂といったアーティストもそう。某動画サイトを分析してみると、米津玄師が引用リツイートした動画の再生数だけが群を抜いて高かい状態にある。そうした現状を考えると次第に「音楽シーンでさえも米津玄師に踊らされているのでは?」という疑念が真実味を帯びてくるのだ。


『打上花火』以外のDAOKOの楽曲を、あなたはいくつ歌えるだろうか。『灰色と青』で有名な菅田将暉のアルバムを聴いたことはあるか?『NANIMONO』で映画主題歌を書き上げた中田ヤスタカが、一体どんな人物か知っているか?


これらの問いにしっかりと答えられる人は、日本に一体何人いるだろうか。『米津玄師がオススメしたアーティストは100%有名になる』というのもあながち間違いではない。ゆっくりと確実に、今の日本の音楽シーンは米津玄師を中心に回っているのである。今年(2019年)の紅白歌合戦の出演者のうち、米津玄師経由で売れたアーティストは何組いるだろう……。

 

さて、今回の記事について、あなたはどう感じただろう。いろいろな解釈があって然るべきではあるが、特に米津玄師ファンにとっては憤慨するような内容になっていることと思う。


しかしタイトルにも本文にも繰り返し書いた『今の米津玄師は一種の宗教である』という点に関しては、完全に否定できない部分もあると思う。


僕は米津玄師アンチではない。単に今の日本が米津玄師を中心に回っている構図が気に食わないだけなのだ。


今後何年間とこの構図が続けば、日本はどんどん悪い方向へと突き進むだろう。「自分はあまり好きじゃないけどヨネケンが勧めてくれたから好きになっちゃった」と『自分の考え<米津玄師』になる人。彼のツイートに目を光らせる若者。彼のおこぼれに預かろうと、媚を売る人も出てくるかもしれない。


そうなったら日本は終わりだ。


読者貴君も今一度、米津玄師一強時代となった現状を考え直してみてほしい。


それでは。

やっと全貌が見えてきた、今年のサマソニ2019を予想する

こんばんは、キタガワです。

 

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開催まであと5ヶ月となったSummer Sonic 2019。最近は1ヶ月おきに出演者が発表され、オーディエンスのトーンも一段階上がる盛り上がりを見せている。


ちなみに3月16日現在のラインナップは、Rita OraやCoin、The Vampsらが発表されたところである。


レッチリやB'z、チェンスモといったヘッドライナー。スペシャル枠のZedd。RancidやWeezerらベテラン勢……。今回の発表でもって、今年のサマソニにおける明確なビジョンがやっと見えてきたと思う。


そこで今回は開催20周年を迎えるサマソニの各日の特色を紹介する記事を書き記していきたい。


なお、各日程は東京を基準として書き進めていく。

 

 

8/16 これぞサマソニ!異種格闘技枠

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おそらく今回の発表の中で、最もサマソニらしいラインナップなのはこの初日だろう。


主催者であるクリエイティブマン代表の清水氏は「3日間やるってことは1日はエクストラなわけだから、冒険できる」と語っていたが、とんでもない。


ジャンルレスかつ新旧入り交じった、まるでプロレスで言うところの異種格闘技戦の様相を呈している。Download JapanやUltra Japanなどコンセプトを絞って開催されるフェスは数あれど、「これぞサマソニ!」と拍手を送りたくなるような布陣に心震わされる。


ポップス好きもロック好きも皆まとめて抱き締めるだけの力が、このラインナップには秘められている。日本人初のヘッドライナーとして抜擢されたB'zをはじめ『ジャズ×ヒップホップ』の新ジャンルを確立させたRobert Glasper、ニューアルバムの高評価が止まらないThe 1975、ロックファン大歓喜のWeezerなど、完璧な布陣。


更にはBananaramaとBjorn Again(ABBAのトリビュートバンド)という「今って80年代だっけ?」と錯覚してしまいそうなアーティストも続々登場。ステージによっては年齢層は全体的に高めになる予感。


今のところトリはB'zとWeezerが丸被りしそうな感覚があるので、そこが一番の悩みどころか。どちらも最新アルバムリリース後のライブとなるため、間違いなくそのアルバムがセットリストの軸となる。大いに悩むべし。


総じてこの日は人によって様々な楽しみ方が出来そうだ。期せずして最もサマソニらしい日になるのではなかろうか。

 

8/17 海外が誇るヘビーロックDay

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出演者を見た瞬間、あまりのハードロックっぷりに笑ってしまった。RancidやBring Me The Horizon、The Damnedなど、重たい音像を響かせる新旧ロックバンドがズラリ。この日はかつてのパンクスプリングを彷彿とさせるゴリゴリのロックンロール・パーティーが約束された日と言えよう。


中でも注目はやはりレッチリ。同日に開催されるウッドストックを蹴ってのサマソニ出演は、誰が予想しただろうか。清水氏のインタビューを読み進めていくと「レッチリ側から『日本人がどれだけ僕らを求めているか、サマソニにとって僕らがどんな存在であるか手紙を書いてくれ』と言われた」とある。そう。今回のレッチリ出演は、サマソニ側の熱意に心打たれた結果実現したものなのだ。清水氏、ありがとう。


人それぞれサマソニに求めるものは違うだろうが、汗だくの1日を過ごしたい人はこの日で決まりだ。特にBring Me The HorizonやZebrahead、Foalsらはアルバム発売直後というベストタイミングでの来日となるため、非常にレア。Zebraheadに関してはE-girlsのカバー『Follow Me』が聴けるという絶好の機会であり、ハッピーな空間が約束されているはずだ。


日本人アーティストも負けてはいない。『前前前世』大合唱必至のRADWIWPSや、海外での活動も本格化しつつあるMAN WITH A MISSION、そして新体制でのメタルを打ち鳴らすであろうBABYMETALなど、ビッグネームが目白押し。


更にはAppleのCMに大抜擢され、19歳の少女オロノがボーカルを務める国籍混合バンドSuperorganismといった、注目株の若手アーティストも大勢待機しているので、この日のポップ枠も見逃せない。


重たい音楽で暴れたい人は、この日を選ぶべし。

 

8/18 極上のポップパーティーへようこそ

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ヘッドライナーにThe Chainsmokers。スペシャル枠にZedd。他にもDisclosure、Alan Waker……。ここまで見ると「これってUltra Japanか!?」と腰を抜かしてしまうほどに、現代EDMの中心人物たちがズラリ。


元々ジャンルレスなラインナップを魅力としていたサマソニだが、ここまでポップスに振り切った年は未だかつてなかったはずだ。


それこそゴリゴリのロックを集めた16日とEDM大活躍の18日、この2日間だけ行く人というのはほとんどいないだろうと思う。完全に対極に位置するラインナップに驚きを隠せない。


某動画サイトで○億回再生当たり前のDJたちも凄いが、『世界的な豪華さ』という部分で考えると、どの日程よりもこの日が圧倒的である。チケットは軒並みソールドアウトのZedd、最新アルバムが常にチャート入りしているThe ChainsmokersとAlan Waker。そして韓国のポップアイコンBLACKPINKや、日本で爆発的人気を博しているKing Gnu……。


サマソニのチケットは1日あたり1万5000円と高いイメージがあるが、この日ばかりはどんな楽しみ方をしようが絶対に元は取れる。「サマソニで○○観てきたよ!」と言うだけで一生自慢できるような、そんなアーティストばかりだ。


逆に言えばEDMやDJに全く興味のない人は、大きいステージにはほぼ行かない日になるだろう。加えて、ロックバンドマニアにとっては退屈な日になるかもしれない。個人的には最も攻めた日だと思っている。賛否ははっきり分かれるだろう。


僕はメインステージで、優雅に酒を飲みながら寝っ転がってEDMを聴く予定である。こういう音楽の楽しみ方も野外フェスならでは。1日中ビール片手に楽しみたい。

 

さて、いかがだっただろうか。


通常海外アーティストのライブというのは、1日あたり1万円越えは当たり前の世界である。それをサマソニは同等の値段で、朝から晩まで楽しめる夢のフェスなのである。


皆さんはどの日に参加する予定であろうか。現在は手数料ほぼ無料のお得なチケットが発売されているので、買うなら今しかない(多分例年通り売れ残るだろうけれども)。


僕は昨年と同様大阪のサマソニに参加する予定だ。もし読者の方で「俺も参加する!」という人がいれば、共に酒を酌み交わしながら、最高の1日を過ごしたいと思う次第だ。


記念すべき1日まで、あと5ヶ月。まだまだ先は長いが、首を長くして待とうではないか。

 


→Summer Sonic 2019ヘッドライナーの記事はこちら
→Summer Sonic 2018(前乗り編)はこちら
→Summer Sonic 2018(1日目)のライブレポートはこちら
→Summer Sonic 2018(2日目)のライブレポートはこちら
→Weezerについての記事はこちら
→BLACKPINKについての記事はこちら

ウィーザーの『Weezer』というタイトルのアルバムが多過ぎるので全部紹介する

こんばんは、キタガワです。

 

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Weezerというバンドがいる。彼らは結成から25年以上に渡って海外ロックシーンを牽引してきた、知る人ぞ知るポップ・ロックバンドである。


中でもかつて『泣き虫ロック』と謳われた楽曲のクオリティは凄まじい。そのキャッチーさから誰にとっても耳馴染みの良いサウンドを確立。


彼らの影響は国内のみならず、遠く離れた日本でもリスペクトする声は多い。著名なアーティストではASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotchらがファンを公言しているが、所謂『隠れウィーザーファン』はかなり多いと推測する。


さて、ウィーザーの紹介はこれくらいにしておこう。ここからが本題だ。


僕が今回取り上げたいのは、ウィーザーのアルバムについてだ。タイトルにも書いたが、ウィーザーのアルバムには『Weezer』と冠されたものがかなり多い。その数、なんと6枚。


そう。今までにリリースした12枚のフルアルバムのうち、実に半分が『Weezer』というタイトルなのである。


やっていることは日清食品のラーメンに全て『カップヌードル』と名付けたり、三代目 J Soul BrothersやEXILE TRIBEを『エグザイルグループです』とまとめるのとほぼ同じ。


かつてボーカルを務めるリヴァース・クオモは「特に完成度が高いと思ったアルバムは、全部タイトルをウィーザーにしてるんだ」と語っていた。おそらく彼にとってバンド名でもある『Weezer』という名前には、強い思い入れがあるのだろう。


しかしファンからすれば、これほど同じタイトルのアルバムばかりリリースされる現状は面白くてしょうがない。もしこれらが『Weezer○○』だったらまだ分かるが、全部同じなので区別も難しい。


例えばウォークマンに入れる際は『同じタイトルのものは全部一緒になる』という性質があるため、必然的にごちゃごちゃになるし、人に「ウィーザーのウィーザーっていうアルバムお勧めだよ!」と語ったところで「お前が言ってるのは6枚あるうちのどれよ?」となる。


そこで今回は僕らを翻弄し続ける、ウィーザーの6つのアルバムの特色について記述していきたい。この記事でもって、少しでもウィーザーについて興味を持ってもらえれば幸いである。


ちなみに以下の紹介では、ファンの間では常識とされている『アルバムごとの色で区別する方法』を取り入れて進行していく次第だ。

 


Weezer(ブルーアルバム)

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1994年発売。ウィーザーの歴史はここから始まった。300万枚を売り上げ、ウィーザー史上最も認知されているアルバムと言える。


ライブでは必ず観客が先行して歌う『Buddy Holly』や、バラードにも関わらずYouTube上で8000万回以上の再生数を記録した『Say It Ain't SO』、終始気だるげなムードで進行する『Undone-The Sweater Song』など、ライブアンセムの宝庫。


ジャケット写真を見るとわかる通り、当時のメンバーはかなり若い印象。「ファーストアルバムは初期衝動が一番詰まっているアルバムである」と誰かが発していたが、その言葉を体現するかのようにこのアルバムでは総じて『粗削りな若手ロックバンド』という感覚が否めない。


しかしながらリスナーや音楽関係者に「まだまだ行けるぞ、ウィーザー!」と思わせるほどの魅力が、このアルバムにはある。

 


Weezer - Buddy Holly

 

 

Weezer(グリーンアルバム)

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2001年発売。視力が悪くなったリヴァース、ここから眼鏡をかけ始める。


ブルーアルバム時代以上にポップロック色が強くなり、より口ずさみやすく盛り上がる作りに。ちなみに個人的には1曲目『Don't Let Go』を聴いた瞬間にガッツリハマってしまい、結果的に6枚の中でも突出して好きなアルバム。


最近のライブでは1曲目に『Hash Pipe』、中盤~後半にかけて『Photograph』『Island In The Sun』を演奏するほど、グリーンアルバムからの楽曲は圧倒的に多い。そこから察するに、グリーンアルバムはウィーザー内でも代表的1枚のようである。


特に『Island In The Sun』のギター1本での弾き語りパフォーマンスは有名で、リヴァースのギターに合わせて観客が大合唱し、合いの手を入れる光景はもはやおなじみ。


しかしブルーアルバムとグリーンアルバムがウケすぎたため、次なるレッドアルバムは駄作の烙印を押されてしまったのは悲しい運命か。今でも「ウィーザーはブルーとグリーンが一番好き!」というファンは多い。完成度が高すぎるあまり他の作品にも影響が出てしまった、罪深い作品でもあると言えよう。

 


Weezer - Don't Let Go

 

 

Weezer(レッドアルバム)

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2008年発売。今までウィーザーが培ってきたロックテイストを大きく変え、スローバラードやループ進行、打ち込みを多用した実験的なアルバムとなった。


アルバムリリース前にはリヴァースが日本人女性と結婚し、待望の第1子を授かっている。はっきりと明言されてはいないものの、愛する家族について歌ったと見られるフレーズも散見される。方向性をガラリと変えた理由のひとつはリヴァースの結婚なのはほぼ間違いないだろう。


当然ながらこのレッドアルバムはファンの間でも賛否両論となった。しかし当初は人気がなかったリード曲『Pork And Beans』は何度も演奏されるうちにどんどん変貌し、今ではライブに欠かせないアンセムとなっているため、別段アルバム自体が悪いわけではないのだ。


ちなみに日本版では、ボーナストラックとしてBoAの『メリクリ』が日本語バージョンで収められている。「ホラ、ユーキーダーヨー♪」と覚えたての日本語で歌うリヴァース、可愛い。

 


Weezer - Pork And Beans

 

 

Weezer(ホワイトアルバム)

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2016年発売。「初期の頃のウィーザーが帰ってきた!」とファンが大喜びするようなポップロックサウンドは幅広く受け入れられ、グラミー賞にもノミネートされたほど。


音楽性としては『グリーンアルバム』に近く、歌って踊れるロックテイストに回帰した印象。中でもリード曲である『California Kids』の破壊力は抜群で、多くのウィーザー・ファンに支持された。音楽評論家からのイメージもすこぶる良く、海外音楽誌では称賛の声が寄せられた。


個人的にはウィーザーの中では最も聴いたアルバムで、その回数はグリーンアルバム以上。やはり昔の彼らも低迷している彼らも知っている身としては、どうしても「おめでとうウィーザー!」という気持ちになってしまうのだ。なもんで、今までの悪評を帳消しにするかの如く聴きまくっていた。


その後に発売されたアルバム『Pacific Daydream』は再びスローなアルバムとなったけれども、内なるロックテイストは失っていなかった。そんなロックロックしたウィーザーを聴いていると、「やっぱりウィーザーはこうじゃないと!」と思う。

 


Weezer - California Kids

 

 

Weezer(ティールアルバム)

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2019年発売。今年は同じ月に2枚ものアルバムをリリースするという記念すべき年となったわけだが、その中のひとつがこのティールアルバムだ。内容は何と全編カバー曲。


A-HAやマイケル・ジャクソンなど、有名曲を多数カバーしたこのアルバムは一見するとイロモノ感満載なのだが、聴くとしっかりウィーザー。しかもカバーとしても高いレベルで完成されているから驚き。


一体何が彼らをカバーに駆り立てたのかは不明だが、今までのイメージを変える変化球としては非常に面白い。おそらくライブで丸々演奏することはないだろうが、ここまで良質なカバーを出されると、ぜひ「ライブでも聴きたいな」という気持ちになるのはファン心理か。特にA-HAの『Take On Me』。


だがひとつ気になるのは「何で青緑色なの?」ということ、これが単にカバーだからなのか、はたまた全く違う理由なのか……?こちらも真偽は不明である。

 


Weezer - Take On Me (Official Video)

 

 

Weezer(ブラックアルバム)

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2019年発売。度重なる発売延期を繰り返し、ようやく発売された最新アルバムがこれ。


真っ黒に染められたCDジャケットからも分かる通り、今作は今までウィーザーが表沙汰にしてこなかったどす黒い感情やネガティブな気持ちを、赤裸々にぶち撒けるアルバムとなっている。


更には全編ピアノを導入。レッドアルバム時代とは行かないまでも、今作もロックとは若干の距離を置いた作風に仕上がった。


しかしホワイトアルバムで回帰したかつてのウィーザーらしさもしっかりと残っているため、ただブラックなだけではなく新旧のファンを唸らせる出来となっている。


おそらく8月のサマソニは、このブラックアルバムを軸としたセットリストで構成されると予想される。今から聴きまくって期待値を高めたいところだ。

 


Weezer - High As A Kite (Official Video)

 

 

……僕が今回この記事を書いたのは、僕が無類のウィーザーファンというのもあるが、一番の理由は最新アルバム『Weezer(ブラックアルバム)』が素晴らしかったからに他ならない。


この記事を読んで少しでも興味を持った人がいるならば、ぜひアルバムを聴いてみてほしいと思う。8月にはSummer Sonicにて来日も決定している。脂の乗り切った最高の状態のウィーザーを見逃すな。

www.summersonic.com