キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】SUMMER SONIC 2018 @大阪(二日目)

こんばんは、キタガワです。


前乗り編のレポート1日目のライブレポートでは、想像を超えるたくさんの反響をいただきました。本当にありがとうございます。


1日目の更新から約半年。洒落にならないほど遅くなってしまいましたが、最終日、サマソニ2日目のレポートに参りたいと思います。


2日目の個人的タイムテーブルはこちら↓

 

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メインはノエル・ギャラガー。oasisの大ファンである僕としては、これだけは譲れない。そもそもサマソニに参加したのは彼のライブを観るためといっても過言ではない。テームインパラやフライングロータスも観たかったが、それらは絶対にノエルと被ってしまう。泣く泣く諦めた。


そしてビリー・アイリッシュとウルフルズもマストだ。ビリーは今年16歳の歌姫。ここで観るのは必然だと思った。ウルフルズは僕の青春で、中学からずっと聴いている。これは是非とも観ておきたかった。


さて、ここからは当日の流れに沿って書き進めていきたいと思う。


それではどうぞ。

 

 

まえがき

Dream Wifeが観たかったのもあり、ちょっと早めに到着。……といっても昨日よりは遅いスタートだし、各ステージへの行き方も把握しているため心持ち的には楽だった気がする。


それにしても暑い。昨日も相当気温が高かったが、明らかにそれを上回っている。死ぬんじゃないかこれ?


で、昨日のサマソニで、サマソニ大阪は水分補給が非常に大事なフェスであると確信していた。にも関わらず、会場内で販売しているドリンク類はどれも高額で、何本も買おうものなら相当な金喰い虫になること請け合いだ。


なので今回は、事前にドラッグストアで飲み物を大量購入しておいた。


……が、結果的なたは暑くて飲めたもんじゃない。ポカリスエットは小学校時代を彷彿とさせる、夏場に水道の蛇口を捻って飲む温い感覚があるし、パリピの雰囲気を味わおうと買ったスミノフアイス(酒)は『アイス』のアの字もない。温い酒ってこんな不味いんすね。


……というわけで、2019年度のサマソニに参加予定の皆さんにはMOUNTAIN STAGEの左方向か、SONIC STAGE内に進めば通常の価格の自販機があることを声を大にして伝えたい。普通に売店で買うと馬鹿みたいな金を取られるので、注意してほしい。一番安く買えて、ヒエッヒエの水分を摂りたい人はここがマスト。


以下ライブレポ。

 

Dream Wife MOUNTAIN STAGE 11:20~

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女性4人組のロックバンドで、現在海外のロックシーンで名を轟かせつつあるバンドらしい。


ABBAの『Dancing Queen』のSEで登場したメンバーはみな若い印象だったが、音楽性はゴリゴリのロックンロールで度肝を抜かれた。


1曲目は『Hey Heartbreaker』。ヘソ出しルックでスタンドマイクを振り回しながら「ヘーイ、ハートブレイカアァァ!」と熱唱するボーカルに釘付けになった。ボーカル、ギター、ベース、ドラムがひとりずつ。シンプルな編成ゆえに、一切の誤魔化しがきかない。

 


Dream Wife - Hey Heartbreaker


計画を立てて攻略するのではなく、一問ずつ地道に潰していくタイプ。頭の固い猪突猛進的なやり方ではあるが、それがとてもいとおしい。


最初は集客も少なかったものの、演奏が進むにつれ、少しずつ観客の心を取り込んでいったDream Wife。持ち時間30分が経過する頃には、彼女らは大きな拍手と歓声の中にいた。


まさかサマソニでこんな泥臭いロックが観れると思わなかった。こんなバンド、日本でもなかなかいないよ。

 

Official髭男dism SONIC STAGE 12:00~

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島根県、鳥取県のいわゆる『山陰』と呼ばれる地域に住むメンバーで結成されたバンドで、今飛ぶ鳥を落とす勢いのヒゲダン。「島根県民として観ないわけにはいかねえ!」ということで、観てきた。


こんなことを書くと身も蓋もないのだけれど、本当に『山陰出身者がブレイクする』というのはそれだけで異常事態なのである。しかも客がパンパンに入ったSONIC STAGEでのライブ。これほど嬉しいことはない。


鳴らされるのは極上のポップ・ミュージック。キーボードの音色が心地よく、オーディエンスをゆらゆらと踊らせていく。ひたすらハッピーな空間に包まれていた。


中盤のMCでは、かつて『出れんの!?サマソニ』のオーディションで落選した経験を語っていた。当時の雪辱を晴らす意味も込めて、万感のパフォーマンスを魅せてくれた。


一番の盛り上がりをみせたのは『ノーダウト』。インディーズでの連続ドラマへの楽曲起用という初の快挙を成し遂げたこの曲で、観客はゆらゆらと体を揺らしながら、楽器隊の爽やかなグルーヴに酔いしれていた。

 


Official髭男dism - ノーダウト[Official Video]


メジャーアルバムの楽曲は控えめに、インディーズ時代の楽曲が多くプレイされた今回の髭男。全国ツアーではどんな景色を見せてくれるのか、期待が高まるところである。

 

Billie Eilish MOUNTAIN STAGE 13:10~

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弱冠16歳の新星が、ついに初来日。僕はかつて彼女についての記事を執筆したほどに魅了されていたのだが、今までYouTubeやストリーミングでしか聴いたことのない彼女の歌を生で聴けるとあって、相当楽しみにしていた。


髭男のライブが終わったあと、すぐに最前列を陣取った。次第に後ろから海外の集団が押し寄せてきたが、最前列は頑として譲らなかった。今日この時間、この場所で観たい。いや、観なければならぬと思った。


『My Boy』のSEと共に登場したのは、ふたりの男性メンバー。そしてピョコピョコと跳ねながら、ビリー・アイリッシュが姿を現した。


1曲目はその名を知らしめるきっかけとなった『Bellyache』。明るい中にも憂いを帯びたこの曲で、彼女は完全にステージを掌握したといっていいだろう。

 


Billie Eilish - Bellyache


まずメンバーふたりの音の厚みが凄まじい。『本当にふたり?』と疑問に思うほどに音が重く、心臓に響いてくる。決して音数は多くないが、雑味を削ぎ落としたシンプルな演奏が映える。あと向かって右側のメンバー、いろんな楽器を一人で演奏したり、時折ビリーの横でダンスを踊ったりとやりたい放題で笑った。


そして注目のビリー・アイリッシュ。まるで蛇のような鋭い眼光でステージを睨み付けながら、十代の若者らしいエネルギッシュなステージングを魅せてくれた。余談になるが、彼女はその独特なファッションにも定評があるということで注目していたのだが、Lサイズくらいあるダボダボの白シャツに男っぽいパンツといった出で立ちだった。中盤になるとパンツのゴム紐は地面に着くくらいにベロンベロンになっていて、見かねたビリーがゴム紐を投げ捨てていた。あとめっちゃ巨乳だった。


VJに関しては少し特殊で、『Bellyache』では本家PVのアンサー映像(ビリーが捨てていた多額の金は銀行強盗で盗んだ、というもの)。『lovely』はPVそのまま。それ以外は基本的にみにくいアヒルの子やティンカーベルなどの映像が流れていた。ビリー、ディズニー好きなのか?


セットリストは代表曲の固め打ち。今現在Youtubeにある楽曲、全部やったんじゃなかろうか。とにかく盛り上がったし、大合唱の連続であった。


ラストは『COPYCAT』。曲中ではビリーが観客を座らせ、後に皆で大ジャンプを決める試みがされた。『COPYCAT』、こんな盛り上がる曲だったっけ……?全編通してまともなMCも日本語もなし。終了後は少しの笑みを浮かべながら退場していった。彼女と楽曲のミステリアスな雰囲気に、完全に飲まれてしまった。

 


Billie Eilish - COPYCAT (Audio)


後に友人と合流した僕、「ビリー・アイリッシュヤバかった!」しか言っていなかった気がする。物凄く盛り上がったわけでも、ゆったりしすぎたわけでもない。良い意味でどっちつかずな異次元体験。間違いなく現時点でのベストアクトだった。

 

never young beach WHITE MASSIVE 13:40~

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ギター松島氏が脱退し、4人体制となったネバヤン。今回は彼の抜けた穴をサポートメンバーが補う形でのライブとなった。ビリー終了後の混雑に巻き込まれたため、冒頭は残念ながら観れなかったのだが、気負わないいつも通りの彼らで安心した。


セットリストを観客に選ばせる粋な演出や、『あまり行かない喫茶店で』での「調子はどうだ、サマソニー!」と歌詞を変えて歌う様はエンターテイメント性抜群。


彼らのライブは長い間『明るい未来』→『お別れの歌』という流れで終わっていたのだが、今回はラストの曲も観客に選ばせていた。その結果はおなじみ『お別れの歌』だった(安部いわく「いつもと同じじゃん!」)。

 


never young beach - お別れの歌 (official video)


定番ではあるが、同時にファンの間に刻まれた最高の展開でもある。酒を飲みながら踊る人、シートでゆったり観る人、いろんな人がいた。


演奏曲のタイトルで例えるならば『気持ちいい風が吹いたんです』といった感じだ。やっぱりいいなあ、ネバヤン。

 

THE BLOODY BEETROOTS MOUNTAIN STAGE 14:55~

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かの有名作品『スパイダーマン』の永遠のライバル、ヴェノムを模した覆面を被った謎の音楽集団、The Bloody Beetrootsが、サマソニ初参戦。


特筆すべきはそのサウンドで、SEの段階で他のバンドよりも明らかに音がデカい。え?何これ。音量調節バグってない?


……というのも、彼らの音楽はざっくり言うならば『低音EDM』なのだが、なぜか生のギター、ドラム、さらにはデスボイス専用メンバーがいた。考えてもみてほしい。ただでさえ爆音なEDM音源に、生楽器が加わるのである。そりゃうるさいわと。

 


My Name Is Thunder (OFFICIAL VIDEO) The Bloody Beetroots + JET


実は彼らのライブ前、疲れが溜まったせいか少しシート席で眠ってしまっていたのだが、一音目で叩き起こされた。この爆音目覚まし、誰でも飛び起きると思う。


本日の出演者の中で似たようなEDM系のアーティストにMARSHMELLOがいるが、サウンド的には完全に真逆。メジャーコードとマイナーコード。陰と陽。まさに正義のMARSHMELLOと悪のThe Bloody Beetrootsといった様相だった。


心臓の奥の方まで重く響く音とギャリギャリの機械音の組み合わせは反則。みるみるうちに観客が増え、ステージの後ろの方までパンパンの入りだった。


僕は2階のシート席で観ていたのだが、横にいる海外の観客はめちゃくちゃヘドバンしてて、そのあと同じくヘドバンしていた周囲の見知らぬ観客を「レッツゴー!」と引き連れて1階に降りていったのが印象的だった。何だったんだあれ。


……で、バンドメンバーはというとフロアに降りてダイブし、喉が張り裂けんばかりに叫び倒し、観客を煽りに煽っていた。カオスすぎる。


ちなみに僕は友人と合流するため途中で出てしまったのだが、会場から相当遠い距離でも音と歓声、デスボイスが聴こえるほどの盛り上がりっぷり。一種の事件であった。今年のダークヒーローは間違いなくこいつらだ。

 

フレデリック WHITE MASSIVE 15:50~

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リハーサルの段階から『トウメイニンゲン』、『TOGENKYO』でぶち上げていたフレデリック。ニューEP『飄々とエモーション』を発売して間もないステージだったが、かなり強気な姿勢で臨んでいたのが分かった。


その理由はセットリスト。持ち時間30分に新作『飄々とエモーション』の収録曲3曲を取り入れる攻めのセトリだった。代表曲『オンリーワンダー』も『オワラセナイト』もなし。今のフレデリックを魅せるという意味では、最高の流れだったと思う。


彼らのライブを観るのは6回目なのだけれど、向上心の塊だなあと改めて再確認。


で、ちょっと話は脱線して申し訳ないのだが、サマソニは2日間通して、スマホで出演者を撮影する人が物凄く多かった印象を受けた(特にノエルは本当に酷かった)。最前列でシャッターを切る人、何十分も動画を回し続けている人……。そのあまりの多さに、運営側も注意せずに暗黙の了解で認めている感覚があったし、出演者も同様だった。

 


フレデリック「オドループ」Music Video | Frederic "oddloop"


最後はやっぱり『オドループ』で締め。なのだが、中盤のギターソロの際にボーカルが「スマホ向けてる人いいですか?ギターソロなんですよ!」と絶叫する場面が見られた。やはり『オドループ』が海外でも有名になった分、写真を撮っている人も多かったようだ。思えば、スマホの撮影に関して言及したのは彼らだけだった。


「踊ってない夜が気に入らないよ」を「踊ってるサマソニ気に入らないよ」に変え、大いに盛り上げてくれた。今までのフレデリックとは少し違う一面を魅せてくれた。

 

ウルフルズ WHITE MASSIVE 16:55~

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同時刻、OCEAN STAGEではゴールデンボンバーやback numberなど名だたるアーティストがライブを行っていたが、それらを切ってまでどうしても観たいバンドがいた。それがウルフルズだ。


ウルフルズは、僕の青春そのものだった。ベストアルバム2枚(『ベストだぜ!!』と『ベストやねん』)は何百回聴いたか分からない。空っぽの人間だった僕に、音楽の楽しさを教えてくれた大切な存在がウルフルズだった。そんな彼らを、一目観てみたかった。


定刻を過ぎ、メンバーが登場。トータス松本が現れると、一際大きな歓声が上がった。驚くべきは編成で、なんと3人しかいない。主要人物のひとりであったウルフルケイスケが活動休止中なのは知っていたが、まさかサポートメンバーも入れずに臨むとは思わなかった。


『ええねん』、『サマータイムブルース』と、序盤は関西弁バリバリの2曲。大阪出身の彼ららしく、『サマータイムブルース』では「大阪ー!」、「最高ー!」のコール&レスポンス。見事な一体感。


「あれ?ウルフルズこんなんやったっけ?と思うやん。せやねん、3人になってもうて」とトータス。3人体制になってからは初のライブらしく、緊張している様子。話によるとサマソニ大阪からの熱烈なオファーの末、今回のライブが実現したそうだ。


往年の名曲が次々と披露された40分のステージだったが、個人的に最も感動したのは『笑えれば』という曲だった。

 


ウルフルズ - 笑えれば


結論から言うと、ボロ泣きした。久々にこんなに泣いた気がする。だって、今までどれだけこの曲を聴き、助けられてきたかわからないから。そんな曲が、今目の前で演奏されている。ここまで涙腺を緩ませることがあるだろうか。


〈誰もが皆いつも 満たされない思いを〉

〈胸の奥に抱いたまま 歩き続けていく〉


『笑えれば』で、最も好きな一節がこれだ。改めて聴いて、「ああ、そうだよなあ」と思った。頑張る力をもらった。音楽ってすごい。


ラストは『バンザイ~好きでよかった~』。ステージの後ろの方まで大合唱で、またウルっと来た。本当に観てよかった。これだけでも大阪を選んで良かったと思えた時間だった。

 

MARSHMELLO OCEAN STAGE 17:35~

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ここでメインステージであるOCEAN STAGEに移動。思えば2日間のサマソニにおいて、メイン会場なのにも関わらず、初めて入場したステージであった。


『OCEAN STAGE』と銘打つだけあり、海が眼前に広がる最高のロケーション。キャパも相当広く、前に行くほど爆音になり、逆に後ろの芝生ゾーンでは寝転がりながらライブを観たりもできる。そんな中でゴリゴリのDJセットで踊り狂えるのは、最高の贅沢だ。


さて、MARSHMELLOである。YouTube上で11億再生を記録した『Alone』の大ヒットにより、一躍時の人となったMARSHMELLO。そんな彼の登場は多くの歓声と「カワイイー!」の黄色い声で彩られた。間近で見ると分かるがあのマスク、めちゃくちゃ可愛い。忘年会シーズンに使いたい。

 


Marshmello - Alone (Official Music Video)


MARSHMELLOのライブスタイルは、ほぼノンストップで送るDJリミックス。自身のヒット曲はもちろんレゲエやファンク、ポップスに至るまで、幅広いジャンルの洋楽をEDMに落とし込むパフォーマンスだ。


中でも一際盛り上がったのは、Aviciiの『Waiting For Love』。彼の死は、EDM界全体の損失として世界中を駆け巡った。Aviciiオリジナル音源の『Waiting For Love』は、もうライブでは聴けない。だが、志を同じくするMARSHMELLOが今こうしてAviciiの曲を鳴らしている。そのことに、僕は心を揺さぶられた感覚に陥ってしまった。

 


Avicii - Waiting For Love


『Alone』では画面上に歌詞が投影され、ぐにゃぐにゃと歪んだMARSHMELLOの顔が表示されたのだが、他の楽曲も同様にMARSHMELLO自身を使った映像でもって、踊れて面白い空間を構築していた。


全体通して何曲プレイしたのかは分からないが、とにかく楽しかった。更なる来日公演にも期待したいところだ。

 

Noel Gallagher's High Flying Birds OCEAN STAGE 19:25~

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空もすっかり暗くなり、最後の時が刻々と近づいてきた。サマソニ2018を締め括るアーティストは、ノエル・ギャラガー。


彼のライブレポートを書く前に、まずは『ノエル・ギャラガーとは何者か?』ということについて書き進めなければなるまい。


ノエルはロックバンド『oasis』で、主な作詞作曲を担っていた人物である。ボーカルは実弟リアム・ギャラガーであり、oasisを語る際はリアムにスポットが当たりがちであるが、数ある名曲を世に送り出してきたのは他でもない、ノエルなのだ。


奇しくも2009年にリアムとノエルの壮絶な兄弟ゲンカにより、バンドは解散してしまった。前述したように僕は彼らの大ファンなのだが、ファンになったとき既に、oasisは解散していたのである。


その後彼らは各自ソロアーティストとなり、別々の道を歩み始めた。ノエルは3枚のアルバムを発表しており、ライブではoasis時代の曲も演奏されているらしかった。僕はもちろん、観たかった。彼らのライブを観たくてたまらなかった。oasisの曲を聴くたびに、ソロアルバムを聴くたびに、その思いは強くなっていった。


……そんな折のサマソニ出演である。僕は予定を全て蹴って、サマソニに捧げた。もちろん今回のサマソニではビリー・アイリッシュやPARAMOREなどのアーティストも観たかったが、やっぱりノエルが一番観たかった。


僕は人混みをかき分けて、前へ進んだ。出来るだけ近くでノエルを観たい。前へ進む間、もうすぐノエルに会える嬉しさと緊張で、既に泣きそうになっていた。結果的にほぼ最前列に来ることができた。準備は万端だ。


さて、ここからレポート。


定刻が近づくと、ステージの全貌が少しずつ見えてきた。メンバーは総勢10人近くの大所帯。しかもよく観るとoasisのメンバー、クリス・シャーロックとゲム・アーチャーもいた。言うなれば今回の編成はリアムがいないだけで、ほぼoasisだった。


1曲目は『Fort Knox』。ジャム・セッションのアンサンブルが会場を揺らし、ゆっくりとギアを上げるスタートだ。ノエルは肩慣らしとばかりに声を張り上げ、メンバーの音量も次第に大きくなっていく。


『Fort Knox』のアウトロが響く中、次なる楽曲は『Holy Mountain』。ホーン隊によるアップテンポかつ壮大なサウンドは、oasis時代には絶対に作らなかったもの。もちろんリリース当時は賛否両論(弟のリアムは特にボロクソに言っていた)ではあったが、この場では完全に受け入れられていた印象があった。

 


Noel Gallagher's High Flying Birds - Holy Mountain


3rdアルバム『Who Build The Moon?』が発売されたことから、セットリストの核はもちろんこのアルバムから。特に冒頭4曲はアルバムの流れに沿った形で進行していき、ノエルの最新のモードを見せつけるかのようだ。


中でも歴代のヒット曲も織り混ぜつつ奏でられるoasis曲の破壊力たるや、筆舌に尽くしがたいものがあった。『Little By Little』や『Half The World Away』といったノエルならではの選曲には思わず「おお!」と声が漏れたし、日本ではおなじみとなった『Whatever』は、イントロの時点で大歓声。フェスの会場ではあるが、もはやワンマンライブと言ってもいい様相だ。


そして何といっても『Don't Look Back in Anger』の大合唱は、間違いなくこの年のサマソニを象徴する名シーンだった。

 


Oasis - Don't Look Back In Anger (Official Video)


〈Don't Look Back in Anger〉

〈怒りに変えてはいけない〉

〈At least not today〉

〈せめて今日だけは〉


2017年、イギリスのテロ会場では犠牲者を悼むため、自然発生的に参加者がこの曲を合唱し、ニュースにも取り上げられたという。そして日本においてもCMソングの起用により認知度が爆発的に延び、今や世界中で知らない人はいないほどになった『ドンルク』。


そんな楽曲を全員が肩を組み、涙を流し、声を震わせながら歌っているのである。こんな感動的な光景が他にあるだろうか。OCEAN STAGEに集まった、国籍も顔の色も違う観客たち。『ドンルク』は、この日演奏されたどんな楽曲よりも別格な包容力でもって、観客の心をひとつにしていた。


そして最後はThe Beatlesのカバー『All Need Is Love(愛こそはすべて)』でフィニッシュ。思えばoasisとビートルズは、イギリス最大のバンドとして比較され続けてきた。それこそoasisの初期は『第2のビートルズ』とも称されてきたほどで、oasis側もビートルズに多大なリスペクトを持って活動してきた。そんな彼らが今、ビートルズの曲を歌っている……。背景を知っている者からすれば号泣ものである。軍隊のように敬礼して歌い始めたリアムは、本家のポール・マッカートニーのようにも見えたほどだ。

 


Noel Gallagher - All You Need Is Love (The Beatles) Live at Rock Werchter 2018


あまりにも圧倒的なライブだった。僕のライブ人生で一番泣いた。ありがとうリアム。

 

神聖かまってちゃん OASIS AREA 20:30~

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「最高だった!ありがとうノエル!」という気持ちで大満足だったのだが、無料ステージにいる友人からの「かまってちゃんまだやってるよ」とのラインにより、急遽移動することに。


そこには円形状の小ぢんまりしたステージに押し込められるようにしてメンバーが立っていた。見た感じとしては『THE 無料ステージ』といった様相だが、かなりの盛り上がりを見せていた。


ノエルの『All Need Is Love』での涙が少し目に残っていた状態だったのだが、ボーカルのの子氏が目玉をひん剥きながら「イエーッ!イエーッ!」と叫ぶ様を見て、涙が一瞬で引っ込んでしまった。涙を返せ。


ノエルが終わり、フラットな気持ちで観れたのも大きいのかもしれないが、結論から言うとかまってちゃん、めちゃくちゃ良かった。


中でも『フロントメモリー』が聴けたのは嬉しかった。かつての映画記事でも書いたが、この曲は個人的に最近かなりリピートしていて、いずれはライブで聴きたいと思っていた。念願叶って、ライブ中はずっと口ずさんでいたほどだ。


かつて『出れんの!?サマソニ』で優勝し、時間の関係で1曲しか出来なかった過去を語っていたの子(Vo.Gt)。ラストは当時もやったという『ロックンロールは鳴りやまないっ』。

 


神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まないっ」


イントロの瞬間に空に金テープが舞うという粋な演出もありつつ、アウトではロ喉が張り裂けんばかりに何度も絶叫。ギターをぐちゃぐちゃに掻き毟り、異音とノイズにまみれた壮絶な演奏も加わり、カオス状態へ。


ラストはマイクを地面にゴツンと落とし、ギターをスタッフに手渡して去っていった。何というか、台風が過ぎ去ったような感覚。


余談だが、アニメ好きで音楽に興味がない友人は、アニメ版『進撃の巨人』の主題歌にもなった『夕暮れの鳥』という曲が聴けてえらく感動していた。ちなみに終演後は、「ピエロいなかったね」などと話しており、よくよく聞いてみるとSEKAI NO OWARIと完全に勘違いしていたようだった。


いや、セカオワが無料ステージなんかに出たら炎上しそうだし、セカオワはあんな狂気的なライブしないから……。

 

 

さて、以上でサマソニは完全終了。ヘトヘトの状態で帰路についた。2019年のサマソニも絶対に参加する。その際はまたレポートとして書き記す所存だ。


それでは。

 

→大阪前乗り編のレポートはこちら

→1日目のレポートはこちら
→サマソニ2019のヘッドライナーの話はこちら