キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】the telephones『メジャーデビュー10周年、まだ行ったことのない都道府県に行くツアー(決)』@松江 Aztic Canova

こんばんは、キタガワです。

 

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2月11日。the telephonesの活動再開後初のツアー『メジャーデビュー10周年、まだ行ったことのない都道府県に行くツアー(決)~食いたい鯛めしクイタイタイメシクイタイタイメシDISCO!!!~』島根公演に参加した。今回はそのレポートを記したいと思う。


ツアータイトルからも分かる通り、今回のツアーはthe telephonesの長い活動の中、一度も訪れたことのない土地に出向くという、非常にレアな形のライブである。チケットは早い段階から全会場ソールドアウトとなり、開場前には長蛇の列が出来ていた。


the telephonesは、日本のダンスロックシーンにおけるパイオニア的バンドとして知られている。キラキラとしたシンセサイザーが主導し踊り狂わせるパンキッシュなサウンドは、既存の音楽に飽き飽きしたライブキッズに、大きな衝撃を与え続けてきた。


しかし2015年、無期限の活動休止を発表。その後の石毛(Vo.Gt.Syn)はソロ活動や別バンドYap!!!にて活動。更には(昨今悪い意味で話題となってしまった)lovefilmでも、メインソングライティングを務めていた。


もちろんテレフォンズ時代にはなかった革新的サウンドや、バラードに特化したテレフォンズ以外の音楽も素晴らしかった。だがファンの気持ちとしては、やはり『テレフォンズの活動をもう一度観たい』という思いが強かったと思うのだ。


そんな中、2018年5月に開催された『VIVA LA ROCK』にて、突如活動再開のアナウンスと、今回のツアーの発表がされた。


活動休止から約2年半。長期間のおあずけを喰らったライブキッズの心は、暴れたい欲求でいっぱいのはず。この日は灼熱のライブになること請け合い。さあ、どうなる。


以下ライブレポート。

 

定時を少し過ぎた頃、暗転。もはやおなじみとなった『happiness,happiness,happiness』のSEと共にメンバーがステージに降り立つ……のだが、メンバーはハートマークのサングラスや色とりどりのアフロの被り物を着用しており、皆一様にパリピ仕様。


被り物を放り投げ、『松江ーっ!』と絶叫する石毛。大歓声に祝福されながらの1曲目は『D.A.N.C.E to the telephones!!!』。

 


the telephones - D.A.N.C.E to the telephones!!!


ギャリギャリのギターリフを合図に、フロアは一瞬にして灼熱地獄に。外は極寒だが、この場所だけは別。そこかしこでモッシュが発生し、「ディー!エー!エヌ!シー!イー!」の掛け声もばっちり決まる。まるで予習してきたかのような盛り上がりぶりに、メンバーも嬉しそうだ。


石毛はギア全開の甲高いハイトーンボイスを繰り出しているし、ノブ(Syn.cho)に至ってはステージ上を所狭しと走り回り、創作ダンスを披露する始末……。フロア全体がハチャメチャに盛り上がっているが、まだ1曲目。にも関わらずこのテンションの振り切りっぷりは一体何だ。

 

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「埼玉県さいたま市から来ました、the telephonesです!」と石毛が発すると、会場は割れんばかりの拍手と歓声で迎える。さて、ここから2曲目……と思いきや、やたらとアウトロが長い。ライブスタッフも駆けつけ、ギターを取り替えたり指示を送ったりと、全体的にトラブっている印象だ。すると石毛がぽつりと一言。


「ギター壊れた……」


なんと予想以上の盛り上がりで、愛用のギターの音が出なくなるハプニング。「フェスだったらまだ分かるよ、リハ短いからさ。でもリハたっぷりやってこれだからね!」と石毛が語った通り、長いテレフォンズの歴史の中で、1曲目でギターが壊れるのは初めてだそうだ。今回のライブ、ヤバいぞ。


いきなり替えのギターを用意したため、チューニングの関係でしばしの待機時間が発生。この間は急遽メンバーのMCで繋ぐことに。


「ライブハウスの前にある宍道湖あるじゃん。あれって海かと思ってた」というノブの天然ボケに対し、「それ言っちゃダメだよ。楽屋でも書いてあったじゃん。海って言うなって」と長島(Ba.cho)がツッこむというレアな時間もありつつ、5分ほどでギターが本調子に。


石毛が「これもライブの醍醐味です!」と笑いを誘い、投下されたのは『I Hate DISCOOOOOOO!!!』。

 


the telephones - 「I Hate DISCOOOOOOO!!!」(PV)


お察しの通り、テレフォンズのライブでは定期的に「ディスコ」の言葉が飛び交う空間である。そんな中『ディスコが嫌いだ』とディスコ自体を徹底して否定するこの曲は極めて異質で、リリース時にも様々な憶測を呼んだことを覚えている。


しかしこの楽曲はライブで毎回セットリストに加えられ、何度も演奏されるにつれて次第に浸透していった。そして今この会場においては、テレフォンズ最大のキラーチューンとして鳴り響いているのだ。背景を知っている身としては感慨深いものがある。


今回のライブでテレフォンズは、ワンマンならではのセットリストで楽しませてくれた。『sick rocks』や『HABANERO』、『A.B.C.DISCO』、『Yeah Yeah Yeah』、『It's Alright To Dance(Yes!!! Happy Monday!!!)』といった人気曲はもちろんのこと、『Jesus』や『Hyper Jump』、『jabbawocky』など、ライブではほとんど演奏しなかった楽曲も多く、総じて攻めのセットリストだった印象が強い。


「ツアーをやる上で、インディーズ時代から未発表の曲まで100曲以上……それらを一回全部聴いてみたんですよ」というのは石毛の弁であるが、今回のライブは今昔入り交じった楽曲をプレイする傾向にあるようだ。おそらくはツアーのセトリも各会場ごとに大きく異なっているのだろう。


ツアータイトルにもなっているが彼らは今年、メジャーデビューして10周年が経過した。その10周年の間にはディスコのイメージに捕らわれていた時期もあったし、今までのスタイルを崩し、スローテンポに徹してアルバムを制作した時期もあった。だがそれら全てが、今のテレフォンズを形成する重要な出来事だったのではないか……。そう思ってしまうほど、この日のテレフォンズは常に強気で、ブランクを感じさせないパフォーマンスを魅せていた。

 

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アップテンポな楽曲の連続で、終始汗だくのプレイをこなしていたテレフォンズ。『Keep Your DISCO!!!』ではカウベルを演奏していたノブが客席にダイブし、Mステにも出演した記念すべき楽曲『Monkey Discooooooo』においてはノブが上裸になり、石毛は客席にギリギリまで近付いてのギターソロを繰り出していた。


「ありがとうみんな!愛とディスコを叫ぼうぜ!」と雪崩れ混んだ最後の楽曲は『Love & DISCO』。背後のミラーボールが輝く中、観客は一様に「ラブ・アンド・ディスコ!」の大合唱、石毛は何度も「踊れーっ!」と絶叫し、この日一番の一体感でもって幕を閉じた。

 


the telephones - Love&DISCO E.P.(PV)


本編は終了したが、まだ終わらない。アンコールの手拍子が鳴り響く中、再度メンバーが登場。ここからは本日最も長尺のMCへ突入する。


今回のツアータイトル『メジャーデビュー10周年、まだ行ったことのない都道府県に行くツアー(仮)』は長すぎるとのことで、ハッシュタグをつけて呟けるような略称を全員で考えることに。


『telephone→通話→ケータイ』という漠然とした考えの下、Wi-Fiツアーや電波○○、県内ツアーや都道府県制覇など多くの候補が挙がったが、なかなか決まらない。そのため仕方なくノブに一任し、ノブの考えた名前を公式名称にすることに。


理由は不明だが、結果的に『ガボンツアー』に決定し一件落着。


「本当に楽しかったです。松江は(テレフォンズとしては)来たことがなかったんですけど、もっと早く来とけば良かった」と石毛。かつてGetting BetterのイベントでDJとして松江に訪れた石毛は、とある人物からシジミをお裾分けしてもらった経験を今でも覚えているという。そのため今回『テレフォンズのライブ』として松江に来れたことに感慨深そうに語っていた。


「この日のために作ったような曲があって。それを最後にやって終わろうと思います。今日は本当にありがとうございました!」と述べてスタートしたアンコールの楽曲は『Something Good』。

 


the telephones - Something Good


活動休止を控え、当時最後のリリースとなったアルバム『Bye Bye Hello』のリード曲でもあるこの曲。思えば2015年の休止ライブでも、最後に演奏されていた。


しかし同じ『最後に演奏される曲』ではあるものの、その意味合いは全く異なる。今年彼らは沈黙を破って活動を再開し、新たなスタートを切る決意を固めた。


彼らが今鳴らしている『Something Good』は別れの歌ではなく、始まりの歌なのだ。


代名詞とも言えるハイトーンボイスを封印し、朗らかに歌い上げた石毛の顔は、一生忘れないだろう。笑顔に満ち溢れた彼の表情は、テレフォンズの明るい未来を体現しているように見えた。


3月には今ツアーの追加公演も控え、各地の春フェスへの出演も決定している。断言するが、今のテレフォンズは敵なしである。今回はキャパが小さめの土地を中心としたツアーだが、また全国各地で「ディスコ!」と叫ぶ日はそう遠くないだろう。


僕はといえば、全身びしょ濡れになった服を夜風で乾かしながら「また遠征すっかぁ……」と黄昏るのであった。

 

【the telephones@松江Canova セトリ】
happiness, happiness, happiness(SE)
I Hate DISCOOOOOOO!!!
Baby, Baby, Baby
Jesus
A.B.C.DISCO
Ex-Boyfriend
electric girl
Jabberwocky
Re:Life
FREE THROW
Keep Your DISCO!!!
sick rocks
HYPER JUMP
HABANERO
Don't Stop The Move, Keep On Dancing!!!
Monkey Discooooooo
Love & DISCO

[アンコール]
Something Good

 

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【お知らせ】カテゴリーを一覧できる機能を導入しました

こんばんは、キタガワです。


先日『カテゴリーを一覧できる機能』というのを導入致しました。今回はそのお知らせ記事になります。


ブログ開設から1年近く経ちますが、これまで『キタガワのブログ』では音楽や映画、お笑いやゲーム、果てはふざけ倒す記事や漫画レビューなど、「僕自身が書きたい記事だけ書く」をモットーに、雑記ブログとして様々な記事を投稿してきました。


しかしながら、何日も執筆活動をしていると必然的に、ブログ内がごちゃついてくる事態にも陥りまして。しかも音楽について書いた次の日には180度違う記事を書いたりしていて、改めて客観的視点で観たときに、とっ散らかった印象を受けたんですね。


おそらく当ブログを訪問する人の大半は「キタガワが書く文章を全部把握しときたい!」という人ではなく、「音楽記事だけ見たい!」という人や、「ライブレポートを楽しみにしてる!」という人だと思います。


そこで今回導入する『カテゴリー』でもって、読者の方の閲覧に関して、更なる効率化を図ろうという魂胆です。


さて、『カテゴリー』というのは、ざっくり書くと『お目当ての記事だけ読める』機能になります。


この記事のタイトルの下に『雑記』と書いてあると思うのですが、それがカテゴリーです。今後はそのカテゴリー部分をクリックするだけで、雑記ブログだけの表示に切り替えることが可能になります。便利ー。

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例えば音楽記事のこの部分をクリックすれば……

 

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音楽記事だけが表示されます。

 

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映画記事だとこんな感じ。


ちなみに、現段階でのカテゴリー分類は以下の通り。

・音楽
音楽関係について書きます。CDレビューや楽曲紹介のみならず、一個人のアーティストを取り上げた雑記の場合も、よほどの事がない限りはこちらに分類します。


・雑記

他の6つ以外の記事は全部こちらに入れました。毎月の裏話もふざけた記事も愚痴記事もここです。いわゆるノンジャンル記事ですね。このカテゴリーを全部見られたら、多分僕は丸裸になります。何も考えずに書いてる記事ばっかりなので。


・映画

映画レビューや批評記事はこちら。基本的に、日常生活で映画を観たらほぼ必ず記事を書きます。最近新たな試みとして、Amazonレビューよろしく★5で評価するようにしましたので、どうぞよしなに。


・ライブレポート

一番文字数を使う記事ことライブレポート。その日のライブについて、MCやセットリスト、雰囲気も含めて書きます。その日の空気感が少しでも伝わればいいかなと。これに関しては僕のライブ参戦頻度によるので、2ヶ月に1回書ければいいレベルだと思ってもらえれば。


・ゲーム

自分はかなりのコアゲーマーでして。PS4で毎日何かしらのゲームやってるので、いずれは「攻略記事やゲームレビューもやるかもしれないな」と思ってカテゴリー化しました。多分あまり書かないです。


・お笑い

M-1やキングオブコント、これからの季節はR-1ですか。そういったコンテスト系特番の批評が出来たらと思います。ほとんど書きません。


・本

漫画や雑誌、小説等、書籍系統は全部これに入れます。小説や音楽雑誌のような活字系ばかり読んでるので、こちらも更新頻度は少ないと予想。


……以上の7つです。もちろん今後増えていく可能性もありますが、一先ず。


分類作業は完全に個人で行っているので、非常にざっくりした括りになってます。漫画も小説も含めて『本』というカテゴリーにしたり、6つに該当しないものは全て『雑記』にしたり。音楽に至ってはアーティストごとに分けずに、全部まとめて『音楽』にしました。あまりカテゴリー数が多いのも考えものなので、一番コンパクトに収めようと。


中には『amazarashiの記事だけ読みたい』という人もいるかと思いますが、そんな方はブログ最下段にある検索マークに『amazarashi』と入れて貰えれば。すると僕が記事中にamazarashiと一度でも入れた記事は、全部ずらっと出てきます。


……というわけで、より詳しく見たい方は検索を。ざっくりとした分類の記事を見たい方はカテゴリーを。そんな感じでひとつ宜しくお願い致します。

フジロック2019ヘッドライナー発表。アーティスト紹介とライブ予想

こんばんは、キタガワです。

 

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7月26日~28日の3日間に渡り開催される今年のフジロック。先日、遂にラインナップの核となるヘッドライナーが出揃った。


洋楽シーンに関心のある人は皆、発表を見てぶったまげたことだろう。まるで何周年かを記念するメモリアルイヤーの如く、完璧な布陣だったのだから。


The Chemical Brothers、THE CURE、Sia……。これは同じ時期に開催される他国のフェスと比べても、遜色のない起用である。まさに『世界のフジロック』の異名をまざまざと見せ付けた形だ。


さて、今回はそんなヘッドライナー3組に焦点を当てて紹介していきたい。この記事でもって数か月後に迫ったフジロックの開催に向けて、より感情を高ぶらせてほしいと思う。

 

 

The Chemical Brothers

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テクノ・エレクトロミュージックの申し子、ケミカル・ブラザーズが8年ぶりにフジロックに降臨。


結成26年目において、未だに進化を続ける彼ら。今回は4月に発売予定のニューアルバムを引っ提げての来日となるため、セットリストの大半はそのアルバムの楽曲なのではと予想される。


音楽性はゴリゴリの電子音楽。大衆に認知されている電子音楽にAviciiやZeddらがいるが、ケミカル・ブラザーズのサウンドはそんなキラキラときた、ポップ感満載のものとは程遠い。心臓にズドンと響く重低音、ビリビリ鼓膜を震わせる音像が特徴で、『全員で跳び跳ねる』というよりは『うわあ、何かヤバいことが起こってんな……』と異次元にトリップしてしまう魅力がある。


だからこそ、彼らのライブパフォーマンスは語り継がれる。飛び交うレーザー光線、ひらすら踊らせる美麗な映像、感覚が麻痺するEDMサウンド……。ライブに精通した音楽関係者でさえ、初出演時のフジロックの映像が未だにフラッシュバックするとも言われている通り、一度観たら忘れられない、唯一無二のライブになること請け合いだ。


今回も歴史に残る大事件となるか。真実はあなたの目で確かめてほしい。

 


The Chemical Brothers - Hey Boy Hey Girl (live) - Rio de Janeiro, 29/11/2015 (4K)

 

 

THE CURE

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活動歴40年。昨年のベテラン枠は言うまでもなくボブ・ディランであるが、今年のその枠はおそらくTHE CUREだろう。


四半世紀に渡り海外ロックシーンを牽引。彼らの影響を色濃く受けたバンドも多く、いわばロックのパイオニア的存在として君臨している。


海外人気が著しく高いバンドとしても知られており、海外音楽シーンにおいて『THE CUREのアルバムは外れなし』と書かれるほどに、大きな期待と信頼を得ている。世界的バンドに贈られる『ロックの殿堂入り』の称号も、今年獲得したほどだ。


しかしながらアルバムによって躁鬱の差が激しいことや、ミステリアスな全体像により、日本人気は他の2組と比べてあまり芳しくないとも言える(ボーカルのロバートがかつて反日コメントを出したことも原因のひとつか)。


長い間新作リリースの話が聞こえないため、40年の間にリリースされた名曲たちをドロップし、ヒット曲満載のセットで臨むと予想する。


2013年度のフジロックでは、何と3時間を超えるパフォーマンスを披露したTHE CURE。今年の持ち時間は不明だが、おそらくは再び長尺のライブになることだろうと思う。体力を温存しつつぶち上がるべし。

 


The Cure - Friday I'm In Love

 

 

Sia

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今回の発表で「おお!」となった人は少なくないだろう。今や海外のポップ・アイコンとも言われるシーアが、初来日にしてヘッドライナーを務めるのだから。ちなみに女性ソロアーティストのヘッドライナー起用は、ビョークに続き2人目とのこと。


東京の大型モニターでの発表時に大歓声が起きたことからも分かる通り、初来日ではあるものの、日本におけるシーア人気は凄まじいものがある。アルバム『This Is Acting』は日本チャートにおいても好成績を収め、『Alive』のPVでは土屋太鳳が出演するなど、親日家としてのイメージも強いアーティストである。


更にSiaが注目を集めている点のひとつは、顔を一切明かさないこと。知名度と名声には興味がなく、かねてより「有名になりたくない」と語る彼女。CDアルバムジャケットはあえて合成写真を用いて判別不可能な形にして発表し、テレビパフォーマンスにおいては異様に長いウィッグを被って歌唱する。そんな謎に包まれた彼女が、来日ライブでどんなアクションをするのか期待が高まる。


そして上記の事柄から、Siaはライブを行うこと自体が少ない。デビューから20年の間一度も来日していないこともあり、フジロック……もとい来日公演は貴重な体験となることだろう。フジロックでは、大勢のバンドメンバーとダンサーを引き連れた、極上のポップスが堪能できるはずだ。


特にこの日は、早い段階でのチケット確保は必須と言える。

 


Sia - Chandelier (Official Music Video)

 

 

さて、いかがだっただろうか。


先日SUMMER SONICのヘッドライナーについて記したが、今のところ今回のフジロックはサマソニと同様か、それ以上に豪華なラインナップであると思う。最高のブッキング。


チケットの値段は毎年高いものの、海外アーティストの単独ライブを観に行こうものなら総額1万越えは当たり前の世の中において、同等の金額で、朝から晩まで海外アーティストのライブを楽しめるフジロックは、やはり別格。今年も売切必至だろう。


今後も期待の新人や大物アーティストが数多く発表される予定なので、首を長くして待ちたいところだ。今年も最高の夏が訪れますように。


それでは。

【お知らせ】Googleアドセンスの紙が届いたので、収益発生します

こんばんは、キタガワです。


突然ですが。

 

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とある紙が届きました。


この紙は何なのかと言うと、「今日から君の口座にお金を振り込むよ!」という確約書のようなものです。


切り取った情報しか公開されていないせいで「アドセンス審査に合格すればすぐお金貰えるの?」と思っている人は一定数いると思うのですが、実はgoogleアドセンスには3つのステップが存在します。それは……

①アドセンス審査に受かる
②広告を貼る
③上の紙に記載されているPinコードを入力する


です。

 

今まで僕は、この②の段階でストップしていました。いわゆる『お金は稼げてるけど実際のお金が入ってこない』状態ですね。この謎の待機時間が半年くらいありまして、先日やっと③の紙が届き、振り込みの確約がされた形です。

 

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※待ちきれずに送信ボタンを2回押したせいで、2枚届きました(Pinコードは同じものが記載されているので、どちらか捨てても問題はないです)。


半年ですよ半年。長かったですね。『1ヶ月くらいで届くっす』と言われていた紙が何ヵ月も届かないわけですから、めちゃくちゃ焦りました。こうしてる間にもはてなブログProの月額使用料はバンバン引かれ、ドットコム費用もかさむしと大赤字でした。


いっそのことPinコードを適当に入力してやろうかとも思いましたが、3回くらい間違えたら広告配信止まるので迂闊に触ることもできず。長いお預け状態が続いていました。


しかしそれも今日まで。本日から記事内の広告をクリックされるたび、僕の口座にお金がちょびっと入ります。詳しい金額の明記はポリシー違反に繋がるので書きませんが、1クリックにつきバイトの時給の1000分の1が入ってくると想像してもらえればと思います。


ちなみに現状、僕がブログ内で収益を得る手段はこれだけです。このブログでは音楽関係でYouTubeの動画を貼り付けたり、別のホームページのリンクを用意することがたまにありますが、あれらは全て収益とは無関係です。


お金を得ようとすれば簡単ですが、別にお金を稼ぐのが目的ではないし、読みにくいブログになったら元も子もありませんので。もし何か収益方法が加わる際は、その都度お知らせしていきます。


[今回のまとめ]
・今日から広告クリックで僕にお金が入ります
・1クリック=バイトの時給の1000分の1
・それ以外の収益化は一切してません


開設して1年が経ちますが、未だに閲覧数は雀の涙ほど。まだまだ若輩者ですが、今後も愚直に取り組んでいく所存ですので、何卒宜しくお願い致します。

 

それでは。

【ライブレポート】SUMMER SONIC 2018 @大阪(二日目)

こんばんは、キタガワです。


前乗り編のレポート1日目のライブレポートでは、想像を超えるたくさんの反響をいただきました。本当にありがとうございます。


1日目の更新から約半年。洒落にならないほど遅くなってしまいましたが、最終日、サマソニ2日目のレポートに参りたいと思います。


2日目の個人的タイムテーブルはこちら↓

 

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メインはノエル・ギャラガー。oasisの大ファンである僕としては、これだけは譲れない。そもそもサマソニに参加したのは彼のライブを観るためといっても過言ではない。テームインパラやフライングロータスも観たかったが、それらは絶対にノエルと被ってしまう。泣く泣く諦めた。


そしてビリー・アイリッシュとウルフルズもマストだ。ビリーは今年16歳の歌姫。ここで観るのは必然だと思った。ウルフルズは僕の青春で、中学からずっと聴いている。これは是非とも観ておきたかった。


さて、ここからは当日の流れに沿って書き進めていきたいと思う。


それではどうぞ。

 

 

まえがき

Dream Wifeが観たかったのもあり、ちょっと早めに到着。……といっても昨日よりは遅いスタートだし、各ステージへの行き方も把握しているため心持ち的には楽だった気がする。


それにしても暑い。昨日も相当気温が高かったが、明らかにそれを上回っている。死ぬんじゃないかこれ?


で、昨日のサマソニで、サマソニ大阪は水分補給が非常に大事なフェスであると確信していた。にも関わらず、会場内で販売しているドリンク類はどれも高額で、何本も買おうものなら相当な金喰い虫になること請け合いだ。


なので今回は、事前にドラッグストアで飲み物を大量購入しておいた。


……が、結果的なたは暑くて飲めたもんじゃない。ポカリスエットは小学校時代を彷彿とさせる、夏場に水道の蛇口を捻って飲む温い感覚があるし、パリピの雰囲気を味わおうと買ったスミノフアイス(酒)は『アイス』のアの字もない。温い酒ってこんな不味いんすね。


……というわけで、2019年度のサマソニに参加予定の皆さんにはMOUNTAIN STAGEの左方向か、SONIC STAGE内に進めば通常の価格の自販機があることを声を大にして伝えたい。普通に売店で買うと馬鹿みたいな金を取られるので、注意してほしい。一番安く買えて、ヒエッヒエの水分を摂りたい人はここがマスト。


以下ライブレポ。

 

Dream Wife MOUNTAIN STAGE 11:20~

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女性4人組のロックバンドで、現在海外のロックシーンで名を轟かせつつあるバンドらしい。


ABBAの『Dancing Queen』のSEで登場したメンバーはみな若い印象だったが、音楽性はゴリゴリのロックンロールで度肝を抜かれた。


1曲目は『Hey Heartbreaker』。ヘソ出しルックでスタンドマイクを振り回しながら「ヘーイ、ハートブレイカアァァ!」と熱唱するボーカルに釘付けになった。ボーカル、ギター、ベース、ドラムがひとりずつ。シンプルな編成ゆえに、一切の誤魔化しがきかない。

 


Dream Wife - Hey Heartbreaker


計画を立てて攻略するのではなく、一問ずつ地道に潰していくタイプ。頭の固い猪突猛進的なやり方ではあるが、それがとてもいとおしい。


最初は集客も少なかったものの、演奏が進むにつれ、少しずつ観客の心を取り込んでいったDream Wife。持ち時間30分が経過する頃には、彼女らは大きな拍手と歓声の中にいた。


まさかサマソニでこんな泥臭いロックが観れると思わなかった。こんなバンド、日本でもなかなかいないよ。

 

Official髭男dism SONIC STAGE 12:00~

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島根県、鳥取県のいわゆる『山陰』と呼ばれる地域に住むメンバーで結成されたバンドで、今飛ぶ鳥を落とす勢いのヒゲダン。「島根県民として観ないわけにはいかねえ!」ということで、観てきた。


こんなことを書くと身も蓋もないのだけれど、本当に『山陰出身者がブレイクする』というのはそれだけで異常事態なのである。しかも客がパンパンに入ったSONIC STAGEでのライブ。これほど嬉しいことはない。


鳴らされるのは極上のポップ・ミュージック。キーボードの音色が心地よく、オーディエンスをゆらゆらと踊らせていく。ひたすらハッピーな空間に包まれていた。


中盤のMCでは、かつて『出れんの!?サマソニ』のオーディションで落選した経験を語っていた。当時の雪辱を晴らす意味も込めて、万感のパフォーマンスを魅せてくれた。


一番の盛り上がりをみせたのは『ノーダウト』。インディーズでの連続ドラマへの楽曲起用という初の快挙を成し遂げたこの曲で、観客はゆらゆらと体を揺らしながら、楽器隊の爽やかなグルーヴに酔いしれていた。

 


Official髭男dism - ノーダウト[Official Video]


メジャーアルバムの楽曲は控えめに、インディーズ時代の楽曲が多くプレイされた今回の髭男。全国ツアーではどんな景色を見せてくれるのか、期待が高まるところである。

 

Billie Eilish MOUNTAIN STAGE 13:10~

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弱冠16歳の新星が、ついに初来日。僕はかつて彼女についての記事を執筆したほどに魅了されていたのだが、今までYouTubeやストリーミングでしか聴いたことのない彼女の歌を生で聴けるとあって、相当楽しみにしていた。


髭男のライブが終わったあと、すぐに最前列を陣取った。次第に後ろから海外の集団が押し寄せてきたが、最前列は頑として譲らなかった。今日この時間、この場所で観たい。いや、観なければならぬと思った。


『My Boy』のSEと共に登場したのは、ふたりの男性メンバー。そしてピョコピョコと跳ねながら、ビリー・アイリッシュが姿を現した。


1曲目はその名を知らしめるきっかけとなった『Bellyache』。明るい中にも憂いを帯びたこの曲で、彼女は完全にステージを掌握したといっていいだろう。

 


Billie Eilish - Bellyache


まずメンバーふたりの音の厚みが凄まじい。『本当にふたり?』と疑問に思うほどに音が重く、心臓に響いてくる。決して音数は多くないが、雑味を削ぎ落としたシンプルな演奏が映える。あと向かって右側のメンバー、いろんな楽器を一人で演奏したり、時折ビリーの横でダンスを踊ったりとやりたい放題で笑った。


そして注目のビリー・アイリッシュ。まるで蛇のような鋭い眼光でステージを睨み付けながら、十代の若者らしいエネルギッシュなステージングを魅せてくれた。余談になるが、彼女はその独特なファッションにも定評があるということで注目していたのだが、Lサイズくらいあるダボダボの白シャツに男っぽいパンツといった出で立ちだった。中盤になるとパンツのゴム紐は地面に着くくらいにベロンベロンになっていて、見かねたビリーがゴム紐を投げ捨てていた。あとめっちゃ巨乳だった。


VJに関しては少し特殊で、『Bellyache』では本家PVのアンサー映像(ビリーが捨てていた多額の金は銀行強盗で盗んだ、というもの)。『lovely』はPVそのまま。それ以外は基本的にみにくいアヒルの子やティンカーベルなどの映像が流れていた。ビリー、ディズニー好きなのか?


セットリストは代表曲の固め打ち。今現在Youtubeにある楽曲、全部やったんじゃなかろうか。とにかく盛り上がったし、大合唱の連続であった。


ラストは『COPYCAT』。曲中ではビリーが観客を座らせ、後に皆で大ジャンプを決める試みがされた。『COPYCAT』、こんな盛り上がる曲だったっけ……?全編通してまともなMCも日本語もなし。終了後は少しの笑みを浮かべながら退場していった。彼女と楽曲のミステリアスな雰囲気に、完全に飲まれてしまった。

 


Billie Eilish - COPYCAT (Audio)


後に友人と合流した僕、「ビリー・アイリッシュヤバかった!」しか言っていなかった気がする。物凄く盛り上がったわけでも、ゆったりしすぎたわけでもない。良い意味でどっちつかずな異次元体験。間違いなく現時点でのベストアクトだった。

 

never young beach WHITE MASSIVE 13:40~

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ギター松島氏が脱退し、4人体制となったネバヤン。今回は彼の抜けた穴をサポートメンバーが補う形でのライブとなった。ビリー終了後の混雑に巻き込まれたため、冒頭は残念ながら観れなかったのだが、気負わないいつも通りの彼らで安心した。


セットリストを観客に選ばせる粋な演出や、『あまり行かない喫茶店で』での「調子はどうだ、サマソニー!」と歌詞を変えて歌う様はエンターテイメント性抜群。


彼らのライブは長い間『明るい未来』→『お別れの歌』という流れで終わっていたのだが、今回はラストの曲も観客に選ばせていた。その結果はおなじみ『お別れの歌』だった(安部いわく「いつもと同じじゃん!」)。

 


never young beach - お別れの歌 (official video)


定番ではあるが、同時にファンの間に刻まれた最高の展開でもある。酒を飲みながら踊る人、シートでゆったり観る人、いろんな人がいた。


演奏曲のタイトルで例えるならば『気持ちいい風が吹いたんです』といった感じだ。やっぱりいいなあ、ネバヤン。

 

THE BLOODY BEETROOTS MOUNTAIN STAGE 14:55~

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かの有名作品『スパイダーマン』の永遠のライバル、ヴェノムを模した覆面を被った謎の音楽集団、The Bloody Beetrootsが、サマソニ初参戦。


特筆すべきはそのサウンドで、SEの段階で他のバンドよりも明らかに音がデカい。え?何これ。音量調節バグってない?


……というのも、彼らの音楽はざっくり言うならば『低音EDM』なのだが、なぜか生のギター、ドラム、さらにはデスボイス専用メンバーがいた。考えてもみてほしい。ただでさえ爆音なEDM音源に、生楽器が加わるのである。そりゃうるさいわと。

 


My Name Is Thunder (OFFICIAL VIDEO) The Bloody Beetroots + JET


実は彼らのライブ前、疲れが溜まったせいか少しシート席で眠ってしまっていたのだが、一音目で叩き起こされた。この爆音目覚まし、誰でも飛び起きると思う。


本日の出演者の中で似たようなEDM系のアーティストにMARSHMELLOがいるが、サウンド的には完全に真逆。メジャーコードとマイナーコード。陰と陽。まさに正義のMARSHMELLOと悪のThe Bloody Beetrootsといった様相だった。


心臓の奥の方まで重く響く音とギャリギャリの機械音の組み合わせは反則。みるみるうちに観客が増え、ステージの後ろの方までパンパンの入りだった。


僕は2階のシート席で観ていたのだが、横にいる海外の観客はめちゃくちゃヘドバンしてて、そのあと同じくヘドバンしていた周囲の見知らぬ観客を「レッツゴー!」と引き連れて1階に降りていったのが印象的だった。何だったんだあれ。


……で、バンドメンバーはというとフロアに降りてダイブし、喉が張り裂けんばかりに叫び倒し、観客を煽りに煽っていた。カオスすぎる。


ちなみに僕は友人と合流するため途中で出てしまったのだが、会場から相当遠い距離でも音と歓声、デスボイスが聴こえるほどの盛り上がりっぷり。一種の事件であった。今年のダークヒーローは間違いなくこいつらだ。

 

フレデリック WHITE MASSIVE 15:50~

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リハーサルの段階から『トウメイニンゲン』、『TOGENKYO』でぶち上げていたフレデリック。ニューEP『飄々とエモーション』を発売して間もないステージだったが、かなり強気な姿勢で臨んでいたのが分かった。


その理由はセットリスト。持ち時間30分に新作『飄々とエモーション』の収録曲3曲を取り入れる攻めのセトリだった。代表曲『オンリーワンダー』も『オワラセナイト』もなし。今のフレデリックを魅せるという意味では、最高の流れだったと思う。


彼らのライブを観るのは6回目なのだけれど、向上心の塊だなあと改めて再確認。


で、ちょっと話は脱線して申し訳ないのだが、サマソニは2日間通して、スマホで出演者を撮影する人が物凄く多かった印象を受けた(特にノエルは本当に酷かった)。最前列でシャッターを切る人、何十分も動画を回し続けている人……。そのあまりの多さに、運営側も注意せずに暗黙の了解で認めている感覚があったし、出演者も同様だった。

 


フレデリック「オドループ」Music Video | Frederic "oddloop"


最後はやっぱり『オドループ』で締め。なのだが、中盤のギターソロの際にボーカルが「スマホ向けてる人いいですか?ギターソロなんですよ!」と絶叫する場面が見られた。やはり『オドループ』が海外でも有名になった分、写真を撮っている人も多かったようだ。思えば、スマホの撮影に関して言及したのは彼らだけだった。


「踊ってない夜が気に入らないよ」を「踊ってるサマソニ気に入らないよ」に変え、大いに盛り上げてくれた。今までのフレデリックとは少し違う一面を魅せてくれた。

 

ウルフルズ WHITE MASSIVE 16:55~

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同時刻、OCEAN STAGEではゴールデンボンバーやback numberなど名だたるアーティストがライブを行っていたが、それらを切ってまでどうしても観たいバンドがいた。それがウルフルズだ。


ウルフルズは、僕の青春そのものだった。ベストアルバム2枚(『ベストだぜ!!』と『ベストやねん』)は何百回聴いたか分からない。空っぽの人間だった僕に、音楽の楽しさを教えてくれた大切な存在がウルフルズだった。そんな彼らを、一目観てみたかった。


定刻を過ぎ、メンバーが登場。トータス松本が現れると、一際大きな歓声が上がった。驚くべきは編成で、なんと3人しかいない。主要人物のひとりであったウルフルケイスケが活動休止中なのは知っていたが、まさかサポートメンバーも入れずに臨むとは思わなかった。


『ええねん』、『サマータイムブルース』と、序盤は関西弁バリバリの2曲。大阪出身の彼ららしく、『サマータイムブルース』では「大阪ー!」、「最高ー!」のコール&レスポンス。見事な一体感。


「あれ?ウルフルズこんなんやったっけ?と思うやん。せやねん、3人になってもうて」とトータス。3人体制になってからは初のライブらしく、緊張している様子。話によるとサマソニ大阪からの熱烈なオファーの末、今回のライブが実現したそうだ。


往年の名曲が次々と披露された40分のステージだったが、個人的に最も感動したのは『笑えれば』という曲だった。

 


ウルフルズ - 笑えれば


結論から言うと、ボロ泣きした。久々にこんなに泣いた気がする。だって、今までどれだけこの曲を聴き、助けられてきたかわからないから。そんな曲が、今目の前で演奏されている。ここまで涙腺を緩ませることがあるだろうか。


〈誰もが皆いつも 満たされない思いを〉

〈胸の奥に抱いたまま 歩き続けていく〉


『笑えれば』で、最も好きな一節がこれだ。改めて聴いて、「ああ、そうだよなあ」と思った。頑張る力をもらった。音楽ってすごい。


ラストは『バンザイ~好きでよかった~』。ステージの後ろの方まで大合唱で、またウルっと来た。本当に観てよかった。これだけでも大阪を選んで良かったと思えた時間だった。

 

MARSHMELLO OCEAN STAGE 17:35~

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ここでメインステージであるOCEAN STAGEに移動。思えば2日間のサマソニにおいて、メイン会場なのにも関わらず、初めて入場したステージであった。


『OCEAN STAGE』と銘打つだけあり、海が眼前に広がる最高のロケーション。キャパも相当広く、前に行くほど爆音になり、逆に後ろの芝生ゾーンでは寝転がりながらライブを観たりもできる。そんな中でゴリゴリのDJセットで踊り狂えるのは、最高の贅沢だ。


さて、MARSHMELLOである。YouTube上で11億再生を記録した『Alone』の大ヒットにより、一躍時の人となったMARSHMELLO。そんな彼の登場は多くの歓声と「カワイイー!」の黄色い声で彩られた。間近で見ると分かるがあのマスク、めちゃくちゃ可愛い。忘年会シーズンに使いたい。

 


Marshmello - Alone (Official Music Video)


MARSHMELLOのライブスタイルは、ほぼノンストップで送るDJリミックス。自身のヒット曲はもちろんレゲエやファンク、ポップスに至るまで、幅広いジャンルの洋楽をEDMに落とし込むパフォーマンスだ。


中でも一際盛り上がったのは、Aviciiの『Waiting For Love』。彼の死は、EDM界全体の損失として世界中を駆け巡った。Aviciiオリジナル音源の『Waiting For Love』は、もうライブでは聴けない。だが、志を同じくするMARSHMELLOが今こうしてAviciiの曲を鳴らしている。そのことに、僕は心を揺さぶられた感覚に陥ってしまった。

 


Avicii - Waiting For Love


『Alone』では画面上に歌詞が投影され、ぐにゃぐにゃと歪んだMARSHMELLOの顔が表示されたのだが、他の楽曲も同様にMARSHMELLO自身を使った映像でもって、踊れて面白い空間を構築していた。


全体通して何曲プレイしたのかは分からないが、とにかく楽しかった。更なる来日公演にも期待したいところだ。

 

Noel Gallagher's High Flying Birds OCEAN STAGE 19:25~

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空もすっかり暗くなり、最後の時が刻々と近づいてきた。サマソニ2018を締め括るアーティストは、ノエル・ギャラガー。


彼のライブレポートを書く前に、まずは『ノエル・ギャラガーとは何者か?』ということについて書き進めなければなるまい。


ノエルはロックバンド『oasis』で、主な作詞作曲を担っていた人物である。ボーカルは実弟リアム・ギャラガーであり、oasisを語る際はリアムにスポットが当たりがちであるが、数ある名曲を世に送り出してきたのは他でもない、ノエルなのだ。


奇しくも2009年にリアムとノエルの壮絶な兄弟ゲンカにより、バンドは解散してしまった。前述したように僕は彼らの大ファンなのだが、ファンになったとき既に、oasisは解散していたのである。


その後彼らは各自ソロアーティストとなり、別々の道を歩み始めた。ノエルは3枚のアルバムを発表しており、ライブではoasis時代の曲も演奏されているらしかった。僕はもちろん、観たかった。彼らのライブを観たくてたまらなかった。oasisの曲を聴くたびに、ソロアルバムを聴くたびに、その思いは強くなっていった。


……そんな折のサマソニ出演である。僕は予定を全て蹴って、サマソニに捧げた。もちろん今回のサマソニではビリー・アイリッシュやPARAMOREなどのアーティストも観たかったが、やっぱりノエルが一番観たかった。


僕は人混みをかき分けて、前へ進んだ。出来るだけ近くでノエルを観たい。前へ進む間、もうすぐノエルに会える嬉しさと緊張で、既に泣きそうになっていた。結果的にほぼ最前列に来ることができた。準備は万端だ。


さて、ここからレポート。


定刻が近づくと、ステージの全貌が少しずつ見えてきた。メンバーは総勢10人近くの大所帯。しかもよく観るとoasisのメンバー、クリス・シャーロックとゲム・アーチャーもいた。言うなれば今回の編成はリアムがいないだけで、ほぼoasisだった。


1曲目は『Fort Knox』。ジャム・セッションのアンサンブルが会場を揺らし、ゆっくりとギアを上げるスタートだ。ノエルは肩慣らしとばかりに声を張り上げ、メンバーの音量も次第に大きくなっていく。


『Fort Knox』のアウトロが響く中、次なる楽曲は『Holy Mountain』。ホーン隊によるアップテンポかつ壮大なサウンドは、oasis時代には絶対に作らなかったもの。もちろんリリース当時は賛否両論(弟のリアムは特にボロクソに言っていた)ではあったが、この場では完全に受け入れられていた印象があった。

 


Noel Gallagher's High Flying Birds - Holy Mountain


3rdアルバム『Who Build The Moon?』が発売されたことから、セットリストの核はもちろんこのアルバムから。特に冒頭4曲はアルバムの流れに沿った形で進行していき、ノエルの最新のモードを見せつけるかのようだ。


中でも歴代のヒット曲も織り混ぜつつ奏でられるoasis曲の破壊力たるや、筆舌に尽くしがたいものがあった。『Little By Little』や『Half The World Away』といったノエルならではの選曲には思わず「おお!」と声が漏れたし、日本ではおなじみとなった『Whatever』は、イントロの時点で大歓声。フェスの会場ではあるが、もはやワンマンライブと言ってもいい様相だ。


そして何といっても『Don't Look Back in Anger』の大合唱は、間違いなくこの年のサマソニを象徴する名シーンだった。

 


Oasis - Don't Look Back In Anger (Official Video)


〈Don't Look Back in Anger〉

〈怒りに変えてはいけない〉

〈At least not today〉

〈せめて今日だけは〉


2017年、イギリスのテロ会場では犠牲者を悼むため、自然発生的に参加者がこの曲を合唱し、ニュースにも取り上げられたという。そして日本においてもCMソングの起用により認知度が爆発的に延び、今や世界中で知らない人はいないほどになった『ドンルク』。


そんな楽曲を全員が肩を組み、涙を流し、声を震わせながら歌っているのである。こんな感動的な光景が他にあるだろうか。OCEAN STAGEに集まった、国籍も顔の色も違う観客たち。『ドンルク』は、この日演奏されたどんな楽曲よりも別格な包容力でもって、観客の心をひとつにしていた。


そして最後はThe Beatlesのカバー『All Need Is Love(愛こそはすべて)』でフィニッシュ。思えばoasisとビートルズは、イギリス最大のバンドとして比較され続けてきた。それこそoasisの初期は『第2のビートルズ』とも称されてきたほどで、oasis側もビートルズに多大なリスペクトを持って活動してきた。そんな彼らが今、ビートルズの曲を歌っている……。背景を知っている者からすれば号泣ものである。軍隊のように敬礼して歌い始めたリアムは、本家のポール・マッカートニーのようにも見えたほどだ。

 


Noel Gallagher - All You Need Is Love (The Beatles) Live at Rock Werchter 2018


あまりにも圧倒的なライブだった。僕のライブ人生で一番泣いた。ありがとうリアム。

 

神聖かまってちゃん OASIS AREA 20:30~

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「最高だった!ありがとうノエル!」という気持ちで大満足だったのだが、無料ステージにいる友人からの「かまってちゃんまだやってるよ」とのラインにより、急遽移動することに。


そこには円形状の小ぢんまりしたステージに押し込められるようにしてメンバーが立っていた。見た感じとしては『THE 無料ステージ』といった様相だが、かなりの盛り上がりを見せていた。


ノエルの『All Need Is Love』での涙が少し目に残っていた状態だったのだが、ボーカルのの子氏が目玉をひん剥きながら「イエーッ!イエーッ!」と叫ぶ様を見て、涙が一瞬で引っ込んでしまった。涙を返せ。


ノエルが終わり、フラットな気持ちで観れたのも大きいのかもしれないが、結論から言うとかまってちゃん、めちゃくちゃ良かった。


中でも『フロントメモリー』が聴けたのは嬉しかった。かつての映画記事でも書いたが、この曲は個人的に最近かなりリピートしていて、いずれはライブで聴きたいと思っていた。念願叶って、ライブ中はずっと口ずさんでいたほどだ。


かつて『出れんの!?サマソニ』で優勝し、時間の関係で1曲しか出来なかった過去を語っていたの子(Vo.Gt)。ラストは当時もやったという『ロックンロールは鳴りやまないっ』。

 


神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まないっ」


イントロの瞬間に空に金テープが舞うという粋な演出もありつつ、アウトではロ喉が張り裂けんばかりに何度も絶叫。ギターをぐちゃぐちゃに掻き毟り、異音とノイズにまみれた壮絶な演奏も加わり、カオス状態へ。


ラストはマイクを地面にゴツンと落とし、ギターをスタッフに手渡して去っていった。何というか、台風が過ぎ去ったような感覚。


余談だが、アニメ好きで音楽に興味がない友人は、アニメ版『進撃の巨人』の主題歌にもなった『夕暮れの鳥』という曲が聴けてえらく感動していた。ちなみに終演後は、「ピエロいなかったね」などと話しており、よくよく聞いてみるとSEKAI NO OWARIと完全に勘違いしていたようだった。


いや、セカオワが無料ステージなんかに出たら炎上しそうだし、セカオワはあんな狂気的なライブしないから……。

 

 

さて、以上でサマソニは完全終了。ヘトヘトの状態で帰路についた。2019年のサマソニも絶対に参加する。その際はまたレポートとして書き記す所存だ。


それでは。

 

→大阪前乗り編のレポートはこちら

→1日目のレポートはこちら
→サマソニ2019のヘッドライナーの話はこちら

欅坂46『黒い羊』から見る、社会的弱者の思いとは

こんばんは、キタガワです。

 

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先日欅坂46の公式サイトにて、2月27日に発売予定の新曲『黒い羊』のMVが公開された。

 

www.keyakizaka46.com


事前に発表された『黒い羊』なる重々しいタイトルから、ダークな曲調になることや、今まで以上にメッセージ性を重視した楽曲であることはある程度予想できていた。しかしながら一聴し、予想の遥か上を行く作りに驚いた。ここまで振り切った楽曲であるとは、誰が予想しただろう。


〈黒い羊 そうだ 僕だけがいなくなればいいんだ〉

〈そうすれば止まってた針はまた 動き出すんだろう〉

〈全員が納得するそんな 答えなんかあるものか〉


『黒い羊』には、まるでダークサイドに堕ちたかのような思いが渦巻いている。そこには『アンビバレント』や『不協和音』で見せた、力強いシュプレヒコールはほとんどない。あるのは自分のイレギュラーな立場を自覚しながらも誰とも交わらない、アイドルらしからぬ絶望の姿だ。


ワンカメラで製作されたPVでは、メンバーが所謂『普通の人間』に痛め付けられる様が描かれる。イジメや叱責、家庭環境……。辛い境遇に耐えきれず、メンバーはみな疲弊し、倒れ込んでいる。そんな中、センターを務める平手友梨奈はメンバーを助け出そうと努力するものの、更なる社会的弱者である平手の正義感は、悉く拒絶されてしまう。


PVのラストでは、普通の人間らと共に、蔑まれていたはずのメンバーが結託。『平手を拒絶する者たち』としての連帯感をより強めていく。ただひとり残された平手は注目を浴びる的となり、絶望と悲壮感、怒りを内包した壮絶な踊りでもって、悪目立ちしたままフェードアウトする……。そんな内容だ。


気付けば画面を凝視していた。歌詞のひとつひとつを、人物描写を噛み砕きながら見入っている自分がいた。5分37秒の偶像劇が終わった後には、まるで濃密な映画を見終えた時のような満足感があった。


思えば欅坂46は結成当初から、徹底して世間に牙を剥いてきたアイドルだった。同調圧力を強める社会に向けて、その輪に入ることができない人間の心の内を代弁し、吹けば飛ぶような主義主張を展開した。結果的に今では異端者であったはずの彼女たちは世間に受け入れられ、アイドル界を引っ張る存在となっている。


だからこそ今、欅坂46はこの曲を歌わなければならない。鬱屈したどす黒い思いが秘められた『黒い羊』を欅坂46が歌うことには、大きな意味がある。


断言するが、この楽曲は間違いなく2019年を代表するメッセージソングになる。もちろん今までと同様に売れると思うし、街中で流れる機会も増えるだろうが、この楽曲が広まれば、何かが変わる気がするのだ。個人の価値観や凝り固まった一般論を破壊するような、そんな一石を投じる作品になると期待してしまう。


〈白い羊なんて 僕は絶対になりたくないんだ〉

〈そうなった瞬間に 僕は僕じゃなくなってしまうよ〉

〈周りと違うそのことで 誰かに迷惑かけたか?〉


信じる道を突き進む欅坂46。日本の未来を担う彼女たちは今年、どんな景色を見せてくれるのだろうか。

 

→欅坂46『アンビバレント』についての記事はこちら

映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』レビュー

こんばんは、キタガワです。


昨年のアニメ映画界は、正直あまり話題にならなかった印象が否めなかった。比較するのも申し訳ないが、それこそ数年前の『君の名は。』や『この世界の片隅に』のような、映画業界全体を引っ張っていくような作品には巡り会えなかった印象が強い。


しかしながら、大々的には認知されていないながらも、特定の層にピッタリ食い込んだ作品は多かった。その中のひとつが今回紹介する『さよならの朝に約束の花をかざろう』であると思う。

 

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この映画は昨今のアニメブームの火付け役となった『あの花』の監督がメガホンを取ったことで話題になった作品だ。感動を売りにした展開は元より、もちろんオリジナルストーリー。全国の映画館で公開されるや否やヒットを記録し、評価も高かった記憶がある。


……というわけで、後れ馳せながら鑑賞することに。


結論から先に語ると、僕は泣けた。予告編でも言われていたが、確かに『あの花』や『ここさけ』の流れを汲む感動映画だったと思う。


大まかなストーリーを書くと、不老長寿の種族エオルフが赤ん坊を拾い、懸命に育てる過程が描かれる。その中では種族間における差別や困難、反抗期を迎えた子との確執といった難題が待ち受けているのだが、主人公は筆舌に尽くしがたい努力を重ね、育児に励む。その姿に、気づけば心打たれているのだ。


この映画のキーワードは、『不老長寿』と『育児』のふたつ。そのキーワードを見ると到底120分の尺に収まらないような感覚もあった。やはり思い返せば脈絡のない場面や「ん?」と疑問に感じる箇所もいくつかはある。しかしながら、補って余りあるほどのストーリー展開に、胸を捕まれるのである。間違いなく映画館で観たら号泣していた。


加えて、ここまでハードルを上げたにも関わらず軽々飛び越える作りはさすがで、全ての映画の基本とも言うべき事柄を網羅し、完璧な感動巨編に仕上げている。


ぜひあなたの大好きな人と一緒に観てもらいたい。見終わった後、あなたは何を感じるだろうか。

 

ストーリー★★★★☆
コメディ★☆☆☆☆
感動★★★★★
驚き★★★☆☆
配役★★★★☆
母は強し度★★★★★

総合評価★★★★☆

 


映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』予告編