キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

開催が正式決定した『SUPERSONIC 2021』。来たる祝祭に向けて、現時点で分かっていること一覧

こんばんは、キタガワです。

 

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ようやっと、ようやっとである。コロナウイルスによるよもやの延期から1年、SUMMER SONIC(サマソニ)の番外編こと、我らがスパソニが帰ってきた。更には今回も海外アーティストを招致しての開催が進められていて、やれ変異株だ緊急事態宣言だと状況が悪化し来日公演が実質的に不可能となった今、もしも実現すれば間違いなくコロナ禍後における国内初の洋楽ライブの偉業を達成することになるというから興奮しきりだ。気になる開催日は9月18日、19日。東京と大阪の2日間。詳しい内容については公式がアナウンスした上記の熱いメッセージを是非とも読んでほしいと思うのだが、ともあれ。我々が望む祝祭の時はもうまもなくだ。


そんな中で参加者、ないしは音楽好きが誰もが気になるのはやはり『果たして海外アーティストは本当に来日出来るのか?』という一点に尽きることだろう。実際、スパソニの1か月前に開催される予定で動いているフジロックは海外アーティストの来日を全面的に断念。結果全日程を国内アーティストのみで固めて開催することを決定した訳で「じゃあスパソニはどうなの?」と考えるのは当然だ。そこで今回は現時点(5月31日現在)で判明していることを出来る限り列挙しつつ、アーティストが来日する可能性、そして長年サマソニに参加経験のある筆者個人が考える今年のスパソニについて記していく。少々厳しく書き記す部分もあるだろうが、どうかご容赦願いたい。

 

 


元々スパソニは昨年開催が発表されていたものの、コロナにより延期となった。故に今回のスパソニのラインナップは基本的に昨年発表されていた時点でのアーティストは受け継ぎ、ほぼほぼ昨年のラインナップのまま開催することを目指して動いていたが、まず大前提として「昨年発表していた海外アーティストは、ステージの縮小と来日人数の制限により半分以上は諦めざるを得ない中で見事な面々が残ってくれました」と代表の清水直樹氏がアナウンスしているように、未だ海外アーティストの来日は厳しいものがある。


確かに今はビジネス目的での来日は制限緩和されてはいるものの、未だ2週間の入国隔離措置については緩和されていないし、最近ではアメリカ国務省が日本に関する渡航情報を4段階で最も厳しい「渡航中止の勧告」に引き上げた。そうでなくとも日本は未だ緊急事態宣言が延長されたことを鑑みても状況が好転しているとは言い難く、これは東京オリンピックもそうだが、遠路はるばる片道8時間以上かけて海外の人々が変異株が蔓延する日本に来て、酒も飲まず観光もせずライブだけやって帰るというのはなかなか酷なものがあり、これだけで「今回は申し訳ないけど不参加で」とするアーティストは大勢いるようにも思える。


加えて気になったのは、公式アナウンスでの「東京は3日間を予定していましたが、開催実現のために来日アーティスト数を削減する必要があった為、残念ながら3日間での開催は断念致しました。この日予定していたアーティストは別の時期での来日実現に向けて動いてまいります」との一文。ここでの重要部は後半に記されている箇所で、つまりは3日目に出演する予定だった海外アーティスト(ポスト・マローン、ブラック・アイド・ピーズ、ウータンクラン等)は今回のスパソニには参加しないということ。この時点で3組のヘッドライナー枠のうち、ポスト・マローンは消失。残っているのはThe 1975とスクリレックスのみということになる。「加えてステージの縮小と来日人数の制限により半分以上は諦めざるを得ない」との文言から察するに、明らかにステージ上の楽器隊が多いアーティスト、ないしは国外移動時に大勢の人が動くアーティスト(=大物アーティスト)はかなり来日が厳しくなることが窺える。ちなみにトリ前に期待視されているリアム・ギャラガーについても、現状同日に別フェスへの出演が予定されているため望み薄だ。


そしてもうひとつ重要なのは、各国のワクチン接種について。頻りにテレビ番組でも報道されているように、今回出演が予定されている海外アーティストの大半は出国地がアメリカかイギリスであるため、おそらく『ワクチン接種してから来日する』という点ではオールクリアだ。しかしながら現状ワクチン接種を個人的に拒み続けているイアン・ブラウンを筆頭としたアーティストは実質的に来日キャンセルとなる可能性が高く、例えば宗教上の理由や家族間での協議の結果などから来日を取り止めるアーティストもいるだろう。特に今回はスパソニ開催直前になってキャンセルするアーティストも多くなると予想されるので、ブッキング側も「たくさん来日アーティストを起用するように動いているの?」と問われれば難しい状況にあるのではなかろうか。こと日本についても若者のワクチン接種は未だ医療従事者のみに留まっていて、スパソニが開催される9月にはようやく高齢者への接種が一段落。おそらくはそこから基礎疾患のある人々、50代、40代……と段階的に割り振られるため、スパソニの開催時に参加者の大半を占める20代にどれほど行き渡っているか、という問題もある。しかもそもそもオリンピックが開催される前例がなければ来日自体が難しくなるので、このままいけば感染拡大の観点から世間からの風当たりもキツくなりそうだ。


……さて、ここまでは極めてネガティブな要素ばかりを切り取ってきたが、ここからは前向きな現状について書き記していこう。まずは開催自体に目を向けると、今春に行われた『JAPAN JAM』や『VIVA LA ROCK』が「会場内でのクラスターの発生なし」という素晴らしい成功例を打ち立ててくれたお陰で、スパソニがまたも延期になったり、中止になる可能性というのはかなり低い。そうでなくてもスパソニは全会場が屋外なので三密も防げるし、各所のレギュレーションも屋内フェスよりは随分緩和されるはずだ。そこに更に例えば収容人数を減らす、アルコールを持ち込まない、場所取りの禁止といった現在フェスで行われているルールも適用すれば、これほど安全なライブもないだろう。


そして出演アーティストに関しても同様に、ネガティブな点があればポジティブな点も生まれて然るべし。そう。前述の「半分以上は諦めざるを得ない」という清水氏の言葉は去年参加する予定だったアーティストのみを指しているので、つまりは新たな来日アーティストがブッキングされる可能性も大いにあるということ。幸運(?)なことに昨年は来日公演が相次いで中止になったため、そこから日本好きなアーティストを引っ張りあげることも出来るだろうし(スクエアプッシャーとかサンダーキャットとかフィービー・ブリジャーズとか)、中には「憧れの日本でのライブ!しかもコロナ禍では初の洋楽フェスなんだって!」と逆境をポジティブに変換してくれるアーティストもいるだろう。

 


残す2組のヘッドライナーも、未だ希望は繋がれている。先々月に発売されたrockin.on社発行の洋楽紙に「ヘッドライナーの3組は、みんな予定を空けてくれている」とクリエイティブマン・平山善成氏の言葉で記されているように、2021年内のツアーを全てキャンセルした我らがThe 1975も、ラブジャパンな爆音兄貴・スクリレックスもまだ来日の可能性は残されているのだ。The 1975があの会場で“Guys”の《初めて日本に来たときが人生で最高の出来事だった(和訳)》を歌うことを考えただけで、号泣ものである。他にもオーロラも、ビーバドゥービーも、スクイッドもイージーライフもまだまだ来日の可能性はある。個人的にはたとえ海外アーティストが全体の1割程度であっても全然良いし、最悪邦楽アーティストのみになっても十分許容できる。それほどの魅力がサマソニにはあったし、それがスパソニであっても魅力は変わらないと思うから。


……ようやく開催実現の言質を取ることが出来た、記念すべき5月。今我々が出来るのは変わらず感染防止対策を徹底しながら日々を過ごすことしかないが、そこに「スパソニの第一段発表を心待ちにして日々を過ごすこと」が追加されるだけで、こうも心に余裕が出来るというか、期待しすぎて毎日出演予定のアーティストの動画見ちゃうというか……。まだ開催まで数ヵ月もあるにも関わらず、良くも悪くも罪な待機時間が発生してしまった。ならばその原因たるスパソニには、昨年以上の感動を与えてもらおう。「2021年は2年分の笑顔を約束させてください」……。クリエイティブマン代表の清水氏ははっきりそう綴った。その言葉は何があっても、現実のものにしてもらわなければ。繰り返す。祝祭の時は、もうまもなくだ。

 

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