キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

Festival Junkie Podcastから読み解く、現時点での『SUPERSONIC 2021』の行方

こんばんは、キタガワです。

 

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昨日7月20日、遂に我々はクリエイティブマン・清水直樹氏の口から直接、スパソニの動向を聞くことが出来た。その言質を取る決定的な場となったのは、自身を世界中の音楽フェスを旅する『Festival Junkie』と公言し、日本最大級の音楽フェス情報サイト「Festival Life」の代表を務める津田昌太朗氏司会のポッドキャスト番組での一幕である。こと日本では何かを発言する際には様々な制約が付き物だが、清水氏は自らが感じていること、またライブに際して現状どうなっているかなどをその時々で詳しく明言してくれるので、特に今がこうした状況下にあるのもあり、サマソニファンとしては嬉しいところだ。


この日の放送で清水氏が語ったこと……それは「都市部での感染拡大が深刻な状態にある中で、スパソニはどのような形で開催を目指していくのか」という我々が今知りたい情報の全てだった。今回のトークでも頻りに先々月辺りにrockin'on社で掲載されたインタビューを振り返っていたけれど、その当時とはまるきり状況が変わってしまったことに触れつつ、最終的に着地点がどこになったのかをしっかり語ってくれているので、是非とも以下の音声を聴いてみてほしい。

 

https://anchor.fm/festivaljunkie/episodes/92-OUR-FAVORITE-THINGS-reprise-e1447c3


そのトークの内容はと言えば、この放送を収録した僅か2日前に緊急ニュースとしてもたらされたロッキンの中止の報から「フェスはどう見られているのか」ということや、現在は出演アーティスト数を確定させた上で経産省と入国隔離措置等のやり取りを試みていること、また多くの制約の中でどう開催に向けての準備をしているのかといった内容が約30分間に渡って語られた訳だが、参加者である我々にとって大切になるのはそのラインナップだろう。ポッドキャストでも語られていたように、もし今回スパソニが実現すれば、コロナ禍後初の洋楽フェスが誕生し、約1年半ぶりの来日公演が行われることとなる。……しかしながらスパソニの身動きを封じようとする包囲網は未だ存在していて、ある意味では高額なチケット代をはたいたファンら「結局スパソニどうなの?」と感じてしまうのは自明だろうと思う。


まず重要なのは、主だったステージがオーシャンステージオンリーになる点。前述のrockin'onのインタビューでは「2ステージでやりたい」と清水氏は述べていたが、結果としてこのような形に変化せざるを得なかったようだ。その理由として大きかったのは主にふたつ。移動が増えることと入国隔離措置が大変であることで、関係各所……今回で言えば経産省だが、昨今の情勢を鑑みてフェス開催に必要不可欠な「我々はこういうフェスをやります。こういう形にするので感染の可能性は低いです」というアピールをする上で必要なのが最低限1ステージにする試みであって、更には入国隔離措置3日間という厳しい措置を取りつつギャラの高い海外アーティストを招致する意味でも1ステージが最も都合が良かったということなのだ。なおオーディション的な形として小さくではあるが、イチナナのステージも設立される予定はあるのでしっかりとフェスの規模感は出せるとのことなので安心だ。


そして何より重要なのは、今回のラインナップに関してだろう。第1弾の発表でも先日投稿したブログ記事にもあったように、今年のスパソニはロックフェスからEDMフェスへと変貌することが明らかになっているが、そのラインナップについても元々のアナウンスとは変わった形にシフトしているそう。具体的には、まずスクリレックスが出演キャンセル。これについてはスクリのマネージャーが退職した関係で、現在までの出演交渉如何に関してほぼスクリ本人(とエージェント)に委ねられ負担が大きいことが影響していて、スパソニもそうだが現状全てのフェス参加をキャンセルしているので、スパソニも仕方なく、といった形のようだ。なおEDMアーティストとの親和性の兼ね合いの関係で、ビーバドゥービーやトーンズ・アンド・アイら新進気鋭の女性アーティストも今年の出演は見合わせとなるようだ。しかしながら彼女らも含め、スクイッドやイージー・ライフといった若手アーティストは来年の『SUMMER SONIC 2022』に出演交渉をしているそうなので、期待して良さそうだ。


ここまで記してきたように、スパソニは1ステージ……出演アーティストにして現状9~10アーティスト程度を見込んでいる。……と考えると現状のラインナップでは少し足りないので、おそらくは各日4~5アーティストは追加されるだろうと見込んでいるのだが、今回清水氏の口から放たれた印象的な言葉は、よもやの「もしかしたらK-POPいるかもしれないね」。……元々BLACKPINKやSEVENTEEN、BTSといったK-POPを多数招致してきたのがサマソニだったが、もしかするとチケット代を加味してもお釣りが来るようなK-POPアーティストが来る可能性もある。となれば期待せずにはいられないし、チケットが取り合いになるような新星をここ日本で観ることが出来るチャンスでもあるのだ。


ポッドキャストの最後に、清水氏はこう締め括っている。「実は完璧なフェスティバルを目指していたんだけど、それを見せられないってことは心苦しいし、申し訳ないとは思ってるんですよ。ただ今年のスーパーソニックっていうのは、洋楽アーティストを日本にもう一回戻す。スタートするっていう。それを考えてのフェスティバルにするし、そうせざるを得なかった。そこで最善の交渉をして。そこに日本のアーティストも加わり、1日9~10アーティスト。しっかりフェスとしてのボリュームをもったものをみんなに提供できると思うので、まずはこの1年半の鬱憤を忘れて、また新しいフェスを体験してほしい。まずはその始まりをみんなと一緒に体験したいし、応援してもらいたいと思います」


この言葉から感じるのは、おそらく清水氏自身もこれが良しとは思っていないリアルと、それ以上に何とか開催しなければ洋楽シーンが終わってしまうという危機感だ。元々洋楽はニッチなジャンルと言われ続けているけれど、特にコロナ禍以後、邦楽アーティストはぐんぐんと勢いを伸ばしている裏で洋楽アーティストはかなり下火になってしまっている。その理由の一端を担っているのはやはりフェスであり、そもそも出合う機会が減ってしまったために起こってしまった悲しき現実だとも思う。そんな中でスパソニは必死に前を向き、どうあっても開催に漕ぎ着けようと希望を発信し続けている。ならば音楽を好む我々のすることはひとつ。スパソニが何にも邪魔されずに開催されることを、しっかりと願うことだ。……祝祭の時まであと2ヶ月。これからも変わらず、動向に注視していきたい。