キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

大成功に終わった『コーチェラ・フェスティバル 2022』について

こんばんは、キタガワです。

 

世界最大規模の音楽の祭典こと『コーチェラ・フェスティバル 2022』が先日終幕した。懸念されていた混乱も特になく、ビリー・アイリッシュがデーモン・アルバーンと共にゴリラズ曲をやったり、宇多田ヒカルが代表曲を披露したり、ザ・ウィークエンドがダークなステージで魅せたり、今年もどこを切ってもハッピーな雰囲気。チャットの動きも読めないほどYouTube上でも盛り上がっていて、大成功と言わざるを得ない3夜だったのではなかろうか。

さて。今回の配信を見て、ここ日本と異なるポジティブポイントが点在していたことは誰の目にも明らかだった。まず1つ目がコーチェラではマスク着用、ソーシャルディスタンス、発声制限といった規制がほぼ撤廃されていたこと。以下の公式動画に詳しいが、特に配信勢的には観客の喜ぶ顔がグワッと見えてとても嬉しい気持ちになった反面、もう2年以上もこうした『相手の表情』が分からないまま日本ではライブが繰り返されていることを思うと、やるせない気持ちになったり……。「日本はいつまで鎖国しているんだと言われることがあります」とはクリエイティブマン代表・清水直樹氏の弁だが、確かに日本が思うコロナとの共存と、海外の見方は大きく違うのだなと。

 

Harry Styles - As It Was - Live at Coachella 2022 - YouTube

第二に、ライブ配信の強みを見せてくれたのも大きな発見だった。その立役者こそが終始展開されていた何台ものカメラで、結果超激レア映像が無料で楽しめてしまう大盤振る舞いが実現した訳だが、それが回り回って広告収益として運営側に還元されていたのも嬉しい。具体的な金額については不明にしろ、あの加速度的なコメントの嵐から察するに、きっと金額の大部分をペイ出来るレベルには稼げているのだろう。まさしくWin-Winである。……特に昨年辺りはフジロック然りイベント然り、いろいろと生配信を導入する動きが広がっていた中で、結局今年は昨年程の盛り上がりは実はなかったりする。それは予算的な問題が浮き彫りになったのが原因のひとつ、という結論が出ているけれど『コーチェラクラスの大規模フェスだとほぼ無問題』というのは、かなりの好例なのでは。

 

Billie Eilish - OverHeated - Live at Coachella 2022 - YouTube

最後に、ここまでの幸福感・多数同接の希望を見せてくれたのは、やはりアーティストラインナップの強みに左右されたところも大きいと思う。初日のハリー・スタイルズ、2日目のビリー・アイリッシュ、3日目のザ・ウィークエンドらがおそらくはバズの筆頭だろうが、他のアーティストもグラミー賞を取っていたり、YouTube再生数1億超えが多数でどこを切っても元が取れる作りになっていたのは素晴らしい。しかもそれがフル&無料観られるというのだから最高だ。例えば先述の話で行くと、フジロック配信ではMAN WITH A MISSIONが出演した瞬間に同接が11万を超えたことがニュースになったし、何だかんだフェスは出演者の豪華さがマストなのだと実感。

実際のYouTube配信を観た人なら誰しもが共感することとして、今年のコーチェラが過去最高のフェスとなったのは間違いない。ただその理由を紐解いてみると、純粋なエンタメ的楽しさ以上に、様々な要素が複合的に絡み合った末の計画的成功であることが分かる。そしておそらくこうした前向きな思考は、今後の世界中のフェス運営全体を見てもこの上なくプラスのはず。完全にコロナ前の公演基準に舵を切ったフェス。日本も是非ともこの動きに続けられるよう、切に思うばかりだ。