キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

TRICERATOPSと奥田民生の事件に見る、アーティストがステージ上で酒を飲むことについて

こんばんは、キタガワです。

 

TRICERATOPSの和田唱のツイートを見た瞬間、これまで特段触れられてこなかったナイーブな部分に、遂にバッと火が燃え移ってしまった感覚があった。先日のとある春フェスで発生した不測の事態。後輩であるトラセラ和田が大御所である奥田に真っ向からNOを突き付ける衝撃のツイートは瞬く間に拡散され、そこからツイッター上にはほぼ半々の割合で『奥田民生』『和田唱』の2名に対する擁護の声と批判の声が入り乱れる、よもやの議論の場となってしまった。

奥田から直接の謝罪があったとして、現在和田は該当のツイートを全て削除している。故にその内容について詳しく記すことは敢えてしないけれど、抽象的に言えばトリのTRICERATOPSのステージに酩酊した奥田がゲストで出演、終演後和田が「泥酔してステージに立つのはいかがなものか」と苦言を呈した、という具合。ただ今回の一件は奥田と酒がどうこうとする話ではなく、一番の問題はやはり『ステージ上で酒を飲むことをどこまで許容して良いのか』の線引きによるところが大きいものと推察する。

まず今回の話の大前提として、我々一部の音楽好きが過剰に反応するのはナンセンスだ。その理由は単純に『TRICERATOPSのファン』と『奥田民生のファン』どちらに自分が属するかによって、最終的な自己意見が片方に寄るためである。それこそ和田がどれほどライブに神経を尖らせているかはファンなら分かるし、逆に奥田が酒を飲みながらフラっとライブをする姿も長年のファンは既知のこと。そのため人物的な話に関しては、あまりこの話題に持ち込むべきではないのかなと。あと、普段酒を飲んでいる人とそうでない人の考え方とか。

 

ZAZEN BOYS - 泥沼 @ ボロフェスタ2013 - YouTube

 

次に、ステージ上のアルコールの是非について。これについては個人的にはアリ。そもそも我々ファンもエンタメとしてライブに参加している以上、口を挟むのは野暮というもの。例えばZAZEN BOYSの向井秀徳、a flood of circleの佐々木、トリプルファイヤーの吉田らは実際にアルコールがライブの必需品として固定されている訳で、それによる突発的なパフォーマンスにまた我々も興奮したり……といった循環も起こるので、全く問題ないと思う。夏フェスやライブハウスで普通にアルコールが振る舞われていることもあるし、我々だけはOKで演者はダメとの道理もない。別の切り口として「じゃあお前は会社で上司が酒を飲んでても良いのか!」とする意見もツイッターで見たが、これも『音楽アーティスト』として仕事をしている以上、あまりツンケンし過ぎるのも良くない。

しかしながら、TRICERATOPSが思いを滾らせたステージで、最大限まで酔い潰れた奥田がステージに立ったことには些か問題があるのでは。今回奥田は言わば特別ゲストとして『招かれた側』の立場だ。そこでメインアーティストが不快な思いをしてしまったことは、やはり謝罪を行って然るべき……なのだが、奥田が『謝罪』を後に直接和田に対して行った時点で、この話題は終わりにすべきでもある。総じて元々難しい問題ではあれど、ツイッターという媒体を介してしまったことで更に火が燃え上がったひとつの事件が、今回の件だった。

日本は何かと問題が起きれば再発防止に厳しく動く。ことライブシーンに関しても、これまで何度もメディアに悪い意味ですっぱ抜かれたライブが多くの非難に晒された結果、ガチガチのルールを設けざるを得なくなったりもしている。僕が危惧しているのは、この一件をきっかけにステージで酒を飲むアーティストが少なくなること。繰り返すが節度を守って飲む分にはアルコールは良い効果をもたらすので、一概に禁止するのはおかしいと思う。ただこの話題が拡散されてしまったことで、ステージでの飲酒による風当たりは明らかに悪くなったのだ。誰が悪いとも言えない事件が本当に招いたのは、もしかすると我々のネットリテラシーそのものなのかもしれない。感情に任せていろいろ綴ってはしまったが、とにかくこの件で今後悲しい思いをするアーティストがひとりでも減るよう、願うばかりである。