キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

ファンとの交流に見る、ビリー・アイリッシュが絶大な人気を博す必然性

こんばんは、キタガワです。


今も昔も、売れるアーティストには絶対に理由がある。しかしながらSNSやYouTubeが飛躍した現在では、まず楽曲の魅力から入ってそこからどんどん好きになる……という通例の形は少しばかり変化している印象を受けていて、元々ある程度の知名度を持っていたアーティストを何かのきっかけで好きになり、しかもそこには音楽をあまり媒介しないという新しいファン層も出来上がりつつある。最も分かりやすい例で言えばアイドルやYouTuber、俳優、インフルエンサーなどがそう。気になった人にすぐさまフォーカスを当てることが可能な現代において、アーティスト活動を元々の活動に上乗せするのは実は戦略としても非常に理にかなっている。

 

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https://www.universal-music.co.jp/billie-eilish/


ただ、海外における新時代のアイコンともなっているビリー・アイリッシュに関してはかなり特殊だ。遠い日本で暮らす我々でも少なくとも彼女の名前は知っているし、中には“bad guy”を繰り返し聴いてファンになった人も一定数いると推察する。けれども当時僅か15歳でファーストシングルをリリースしてそこから一気にスターダムへ駆け上がった前代未聞の歩みは、決して楽曲だけの魅力とも、はたまた所謂『顔ファン』的な認知とも異なっているように思う。にも関わらず、彼女は現在でも音楽シーンの第一線を走り続けているのは何故だろうと、ずっと疑問に感じていたりもした。

 

Billie Eilish - Happier Than Ever, The World Tour (Road to Opening Night) - YouTube


そうした「ビリーは何故人気を博しているのか?」との問いの重要な答えとなるのが、上記の動画である。この動画は最新アルバム『ハピアー・ザン・エヴァー』を携えて行われたビリー史上最大規模となる全国ツアーの模様を収めており、リハーサル風景から本番、ライブ後に至るまで完全密着型でカメラが回されている。なおビリーはこれまでTikTokやInstagramなどでプライベートの生活は既に明かしているので、言わば今回の動画が公開されたことにより『ビリー・アイリッシュ』というひとりの若きアーティストの全てが理解出来るのと同義だった。


動画は約12分。その中で全編を通して印象的な部分があるとすれば、それはビリーがいつも笑顔でいること。スタッフとのやり取りも良い意味で緊張感ゼロだし、ステージ裏でも最初の飛び出し演出について、日本で言うところの「マジ?」「ヤバい!」といった際どい若者言葉で笑いに変えている。これは単に彼女自身の精神面がポジティブだから笑顔でいるという訳では決してなく、若くしてスターダムへと足を踏み入れた弊害で様々な悲しい出来事を加速度的に体験してきた彼女だからこそ、全てのことに感謝して喜ぼうとする人間性を表している。ライブシーンに関しては、ひとたび『ビリー・アイリッシュ ライブ』と検索すれば有り得ないレベルでどんどん出てくるので、ここで詳しく記すことはしない。ライブ映像を観るとファン層の大半はティーンの女性で、ビリーの歌声を掻き消す程の大合唱が起きているのはもはや驚くことでもないが、これほどまでの熱狂を生み出す理由も、その後に明らかになっていく。


それこそが動画の7分・9分付近に見せる、ファンとの距離感だ。彼女はとにかくファンに寄り添う姿勢を貫いていて、動画内のファンとの交流のみならず、YouTubeを開いて自身のカバー動画をチェックしたり、Q&Aをしたり……。最近ではブラック・ライブズ・マターへの言及や大統領選挙に向けてのメッセージ、新型コロナの自粛呼び掛けなど多岐にわたる。面白いのが、その全てに自分と同じいわゆる『若者』の意見がリンクしている点。例えばファンとの交流に関しては「自分ももし好きなアーティストが目の前にいたら交流したいと思う」からやっている。新型コロナも「周りに自粛しろって言われるのウザいよね。分かる。でも今はやらなきゃ。私もやるから頑張ろう」と発信。そうした行動が結果として『若者にとっての大きな共感者=私たちのビリー』の図式になっているのだ。具体的な交流動画に関しては以下に複数貼り付けているので、気になった方は是非鑑賞を。

 

ビリー・アイリッシュがYouTube上のファンのカバーにリアクション | GQ JAPAN - YouTube

ビリー・アイリッシュが仔犬たちに囲まれながらファンの質問に答えるよ! Billie Eilish Plays With Puppies While Answering Fan Questions - YouTube


無論、今回取り上げたことは彼女の魅力のほんの一部だ。音楽も最高でパフォーマンスも最高なアーティスト、それがビリー・アイリッシュであることは確固たる事実であるとして、そんな中でも人間性的にも寄り添いの力を秘めた人物であるという事実も、声高に伝えていくべきだと思うのだ。先日公開された『グラストンベリー・フェスティバル2022』のラインナップでも史上最年少でヘッドライナーに選ばれたこのタイミングだからこそ、今記事が彼女の知られざる魅力に触れる契機となれば幸いである。