キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

サマソニにYOASOBIがヘッドライナーとして出演する素晴らしさについて

こんばんは、キタガワです。

 

https://www.summersonic.com/news/220524-2/

『YOASOBI』のユニット名がツイッターのトレンドに上がったのは、これで何度目だろう。去るライジングサン、ロッキン、フジロックの発表に加えて今回のサマソニ出演により、YOASOBIは国内4大夏フェス制覇の快挙を成し遂げてしまった。中でもサマソニに関してはまだ結成3年にも満たない状況でのトリという高スロット。しかもよくよく考えれば彼らの実質的な初ライブは昨年12月だった訳で、YOASOBIサイドからの「今年はライブの強みをどんどん見せていこう!」とする決意すら感じた次第だ。

 

そんな今や稀代のヒットメーカーとなったYOASOBI。しかしながらサマソニ大阪への起用には、一定数の疑問の声が上がったのも事実だ。その声の理由の大部分はおそらく出演ステージのラインナップにあり、実は彼らが今回出演するのは往年のロックバンドが名を連ねる超パンクゾーン。一例を挙げると一時代を築いたオール・タイム・ロウ、1984年結成の爆音風雲児オフスプリング、言わずと知れた伝説的パンクロッカーken Yokoyama……。対してYOASOBIは繰り返すが活動歴3年以内。ライブ経験も昨年が初なので、活動歴もジャンル的にも圧倒的に異なる彼らが並みいるパンクバンドたちを抑えて一気にヘッドライナー、という図式には些か疑問が残るのでは、という具合である。もっと言えば、YOASOBIを観たい純粋なファンにラウドなバンドをぶつけてしまう心配とか。

 

YOASOBI「大正浪漫」Official Music Video - YouTube

確かにロック好きのライブキッズ視点であれば、今回の一連の流れはなかなか理解し難い部分もあると思う。ただこの状況を今の日本の音楽シーン全体として考えたとき、今回のYOASOBIヘッドライナーの形はとても理にかなっているとも思考変換することが出来る。

 

そもそも今回の起用、遡ってみればその根幹の部分は『昨今の洋楽シーンと日本国内のズレ』が大きいと思う。そもそも洋楽市場は年々下降線を辿っており、リリース的にも振るわないことからCDショップ等でも規模縮小が叫ばれていたりする。それこそいち洋楽ファンとしては今年のサマソニのブッキングは最高の極みで、一例を挙げればビーバドゥービーやヤングブラッドらは今観るべき若手アーティストだし、他にもリナ・サワヤマやミーガン、更にはポスト・マローンとThe 1975まで一緒に観ることの出来るフェスは本当に稀有だと感じているはずだ。しかしながらそのブッキングに心の底から興奮しているのは言葉は悪いが『洋楽に日々親しんでいる人だけ』であり、あまり洋楽に触れない一般層的にはビリー・アイリッシュやBTS、INIといった国内でも知名度のあるアーティストがブッキングされて初めて「それならギリ行ってもいいかな」と一回考えてみるような、そんな市場。

 

対してフェス側は、何としてでも結果を出さねばならない。特に今年はコロナ禍を経ての復活の意味合いを込めているサマソニなら尚更だ。じゃあ何をもって最高の結果とするのか、と言えば単純な答えは『全日程のチケットが売り切れる』こと。であれば、今最も期待されているであろうアーティストを中心部に据えるのは言わば運営としての最善手。翌年へ絶対に繋げていこうとする、決意の現れとも取れる。そして一度好意的に観れば、他にも「King Gnu→YOASOBI行けるじゃん!」といった邦楽重視のタイムテーブルを構築することも出来るし、「YOASOBIを観る大きなチャンスかも!」とも解釈することも可能。今後は間違いなく単独ライブのチケットがプレミア化するYOASOBIがサマソニの会場で観られるのは、確かにレアなのだから。

 

これから出演者がどんどん増えていく夏フェスシーズン。もちろん期待の声が大多数を占める中で、タイムテーブル被りとか出演者が自分と合わないとか、どうしてもフェスへの不満は噴出する。それは参加者として仕方ない感情であることはひとまず置いておいて、こんな時代だからこそ一度前向きに捉え、少なくとも公式へのネガティブなリプライなど視覚的に他者の心を変えてしまうような行動だけは、どうか控えてほしいと願っている。今我々が出来るのは、今後も素晴らしいフェスが継続できるよう尽力することしかない。それ以外のことはいろいろ考えてしまう中でも今は絶対に不必要だ。