キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼・執筆実績はこちらからお願い致します。https://www.foriio.com/kitagawanoblog

【ライブレポート】YOASOBI『HALL TOUR 2025 WANDARA』@米子コンベンションセンターBiGSHiP

思えばYOASOBIの全国ツアーが大々的に発表されたのは、昨年の12月のことだった。そこには東京や大阪といった様々な大都市圏の会場が当然ながら多かったが、その中にあった『鳥取県米子市』の文字に、やけに驚いたことを覚えている。今回のツアータイトルとなっている『WANDARA』はワンダーランド……つまりはこれまで訪れてこなかった場所に行くことで、その会場だけの特別な楽園を作る、というのが後のMCで語られたYOASOBIなりの計画である。今や日本一有名なアーティストになった彼らにとっての次なる挑戦こそ、今回のツアーなのだ。

当日会場に着くと、そこにはとてつもない倍率を勝ち抜いたファンが大集結。噂によると12月のファンクラブ先行の時点でチケットはほぼ完売だったといい、改めてYOASOBIの力に驚くばかりだ。また会場には『WANPAKU MATSURI』と題してカレーやレモネードといったオリジナル商品の販売の他、サントリー生ビールが買えたり、PlayStationのパネルや、ドームライブで実際に使われていた舞台装飾の展示、更には最新のGalaxy端末による高画質の写真撮影といった協賛スポットも点在。中でも驚いたのは、その倍率の高さからチケットが買えなかったファンに向けて、現地でのライブビューイングも敢行していたこと。やけに人が多いと感じてはいたがつまるところ、ここにはチケットがないYOASOBIファンも多数いた訳である。どこまでも異例づくしだ。

電話番号と身分証明書でのチェックという厳重なチケットもぎりを突破し、いよいよ内部へ。場内に多くのファンが詰め掛けているのはもちろんだが、その年代は小学生からそのお父さん世代まで幅広く、家族で参加している人も多々。年代的には20代が最も多い印象だ。この時点でステージに目を凝らしてみるも、照明は非常に暗く、その全貌は伺い知れない。しかしながらステージの上下に設置された大量の照明機材(これまで何度もこの会場でライブを観たが、それとは比較にもならない数)を見るに、かなりの準備が伺える。

また事前に発表されていた通り、今回のライブはスマホであれば写真撮影が可能(おそらく『#ライブ撮影ならGalaxy』のキャッチコピーで知られるGalaxyの協賛のため)。MC中も演奏中も全編撮影OKという極めて珍しい措置が取られており、この時点でスマホの充電を確認するファンも多かった。またサイリウムや双眼鏡の使用も許可されていて、こちらの操作を確認する人も。そして定刻の5分前になるとイマジン・ドラゴンズの“I Bet My Life”が流れ始め、手拍子で応えるファンたち。早くも「Ikuraちゃーん!」「Ayaseさーん!」と叫ぶ人もかなりの数おり、ぐんぐん熱気が高まっていく感覚に陥る。

ライブ開始予定の19時ジャストになり、遂に暗転。照明で照らされた会場に「ヨアソビ、ワンダラ!ヨアソビ、ワンダラ!」とリズミカルに鳴り響くSEに乗せて現れたのはAssH(G)、森光奏太(B)、鈴木栄奈(Key)、Hiroki Oono(Dr)らサポートメンバー4名。次いでステージ後方にはAyase(Syn.Key.Sampler)、前方にはIkura(Vo)が配置に着く。この時点ではまだステージは暗めで、感覚的には「おそらくいると思う」程度の感覚しか掴めないけれども、空気感でそこに立っている事実を感じられる。そして歓声が次第に落ち着き、一瞬完全に沈黙となったその時。爆音で鳴らされたサウンドと共にIkuraが《無敵の笑顔で荒らすメディア》と歌いはじめ、続く《天才的なアイドル様》とのフレーズを放った瞬間、ステージのライトが一斉に照らされてその全貌が明らかとなった。

現在においてもヒット曲を多数飛ばすYOASOBI。ゆえに「1曲目は何が来るんだろう?」と思いを巡らせていたファンも少なくなかったと推察するが、1曲目に選ばれたのはまさかの“アイドル”!背後の円状に形作られた特殊エリアにはAyaseが。そしてステージ中央にはまるで玉座のような豪華な黒い椅子に座ったIkuraが巨大なフラッグを持ちながら妖艶に歌唱し、ファンの視線を集めている。後方にはアニメ『【推しの子】』の主人公・アイがファンの前で歌唱する、まさに『アイドル』な一幕も挟みつつ、Ikuraは何度も客席に拳を掲げ、コールを要求。それに「オイ!オイ!」の掛け声で応える様は本当に感動的で、早くもとてつもない盛り上がりを記録。結果としてこの興奮はまだ序章に過ぎなかった訳だが、異常な程の興奮がそこにはあった。

今回のライブの印象部は複数存在したが、特に印象的だったのは音がとてつもなく良かったこと。元々YOASOBIは打ち込みサウンド(PCで事前に作った音を流す手法)を多く取り入れるグループなのだが、対して多くのバンドは実際のライブで打ち込みをなかなか取り入れない傾向にある。その理由はサウンドの大小が生楽器と比べてブレやすいからなのだが、今回のパーカッションは心臓の奥まで届くような重さで響くし、ギターなどの生楽器も爆音ながら決して耳が痛くない、絶妙な計算で動いていた。……音が良いのは、言ってしまえばホール公演なので当然と言えば当然なのだが、そもそものスピーカーの数が異常に多いのである。音圧のデカさはもちろん、ハイもローもお手の物。個人的にこの会場で何度もライブを観てきてはいるが、間違いなくトップクラスの出音だったと思う。

驚くべきは、惜しみない金額が注ぎ込まれた圧巻のステージセット!詳しくは上の画像に詳しいが、一際注目を集めていたのはステージ後方にある『YOASOBI』の文字。この文字は楽曲ごとに色が変わる仕組みになっていて、“Watch me!”や“勇者”ではアニメのOP映像やMVを投影するなど、視覚的効果に一役買っていた。次にAyaseが立つ円状の場所だが、こちらはよく見るとドラムパッドやシンセパッド、シンバル、キーボードといった楽器が配置されたパーカッションセットである他、下部がモニターとなっており、緑や赤などに常に発色。主に先述の『YOASOBI』に映る映像の補完の意味合いを秘めていた。

そしてこのライブの大きなポイントとなっていたのが、ステージ各所に取り付けられた照明機材だ。今回のライブはとにかく照明が各所に配置されていて、ステージ下部、上部、背後や横側からも死角なく配置されていたのが印象的。その全てが楽曲中に様々な色に変化し、レーザービームを含むビカビカの照明群が、致死量レベルの物量で四方八方から襲い掛かって来るこれを、異次元体験と言わずに何と言おうか。これを東京などの数万人規模の会場でやるのはまだ分かるが、今回はキャパ約2000人の地方公演。にも関わらずここまでの設備でもって挑むあたり、間違いなくYOASOBIは様々なアーティストのライブの中でも圧倒的な物量を誇っていると実感。今でも『YOASOBI 米子』などとXで検索すると実際に参加したファンの写真が多く出てくるが、実際に体験した身としては写真以上に『体験』として凄まじいものがあり、本当に異次元にトリップする感覚があった。

”アイドル“が終わり、間髪入れずに慣らされたのは“祝福”。水色のレーザーが縦横無尽に動き回る中、Ikuraが「米子!」と何度も叫びながら盛り上げていく様は圧巻。続く新たなヒットソングとなった“UNDEAD”では、アニメ『化物語』のヒロインたちを描いたアニメーションが映し出される中、Ayaseはサンプラーを全体重を乗せて叩いて音像をプラス。この時点で既にとてつもない程の爆音の渦に乗り込まれる我々である。……ライブというのはゆったりした始まりから徐々に盛り上げていく、というのが通例だが、今回のライブはそれとは全く逆。前半をYOASOBIの中でも最も激しい楽曲で固めて100%まで一気に駆け上がるという、ことライブシーンにおいても非常に稀有な幕開けとなった。

圧倒的なスピード感で駆け抜けた3曲が終わると、この日初のMCタイムへ。まずは「ワンダラ鳥取公演、お越しいただきありがとうございます。もうね、まだ序盤だけど感慨深い気持ちになってる」と思いを語り、拍手を一身に浴びるAyaseである。

「俺は山口県の宇部市っていうところの出身で。昔組んでたバンド……今は解散してしまったんだが、そのバンドで中国地方をたくさん回らせてもらったのね。もちろんあの頃は売れてないから全然人は入らなかったんだけど、岡山でお世話になってるライブハウスが毎回『ノルマはいいよ』っつって出してくれたり、島根でも出雲アポロっていう場所で酒飲みの店長のスッスーさんっていう人が『お前ら来いよ』って言ってくれたり。でもその中で、鳥取だけにはどうしても来れなかった。鳥取に来れるだけの集客が、当時は最後まで集められなかった。そんな鳥取で今、一番大きい会場をソールドアウト出来ました。本当にありがとうございます」と感謝を述べる。

熱いMCからバトンを受け取ったIkuraは「今日はここにいる皆さんと、最高の楽園……ワンダーランドを一緒に作っていきたいと思います。まだまだ盛り上がっていけますか鳥取!」と煽り倒す。ここからはミドルテンポな楽曲を多く披露する時間となり、《ララララ》のフレーズを全員が歌いながら腕を振った“ミスター”、アニメ『ウィッチウォッチ』のキュートなMVが視界を彩った“Watch me!”、イントロが流れた瞬間に歓声が沸いた初期曲“ハルジオン”を立て続けに披露。紛れもなく日本におけるポップ最前線を行くYOASOBI、その真髄を体現するかのようなポップチューンの連続に、誰もが体を揺らしていた。

そしてここからが、今回のツアーにおける最上のサプライズ!突如Ikuraが「米子でアコースティックセッションがやりたーい!」と叫び、次なる特別なサプライズの幕が上がる。内容としては『次の曲を選んでもらうファン』を今から挙手制にて決定(!)。そこで選ばれたファンはそのままステージ上に上がってIkuraに歌ってほしい曲を伝え(!!)、それをIkuraが目の前で生歌唱(!!!)するというとんでもない代物。もちろん「やりたい人、挙手!」の合図に合わせて大勢の手が挙がった訳だが、ここでなんと「それじゃあみんなの顔見に行っちゃおっかな」とIkuraとAyaseがステージを降りて客席へ突入!予想外のサプライズに、多くの困惑の声と歓声が挙がったのは言うまでもない。

都会はまだしも、地方都市に暮らしていて「芸能人を間近で見たことがある」という人は少ない。ただ今回は大好きなYOASOBIの顔を見られるとあって、異様な興奮に包まれる会場だ。YOASOBIは巨大なドームクラスでもライブが即完するクラスのため、そもそもこれほど間近で見られるのは今後絶対にない、レア過ぎる状況。しかも目の前まで来て一人一人の顔を見てくれるサービス精神の高さには脱帽だ。すぐ側にいた全公演通しで参加するというファンは「うわ近っ!近っ!」と叫びまくっていたので、よほど今回の米子は距離が近いのだろうなと推察する。なお客席を歩くその間は『Ayaseさんと生年月日が一緒』とのプラカードを掲げたファンに呼び掛けたり、子ども連れの家族に話し掛けたりと本当にゆっくりと、時間をかけてファンと触れ合うふたり。もちろん周囲はスマホのカメラを向けまくるファン多数で、本当に良い思い出になったなと思うのだが、Ayaseいわく「米子のみんなは大人しいね。他の会場では飛び掛かってくる人とかもいたから……」とのこと。

そうしてぐるりと回り、一度ステージに戻ってきたふたり。するとIkuraが「ビビっときた人いました!」と叫ぶと、再びAyaseと共に客席へ進んで目的のファンの元に。奇跡的な確率を勝ち取ったのは、前から9列目の4人家族。Ikuraが先頭になってステージへと案内するのをよそに、Ayaseは「じゃあ俺はここで見てよっかな」となんとその席に着席!近隣の席にどうもどうもと挨拶するAyaseの姿など、これまで一体誰が見たことがあるだろうか。当然ながら、周囲のファンが「やべー!」と半狂乱になっていたのが噴飯ものだった。

ステージに上がったのは、ご夫婦と男女の子ども(中学生くらい)の本田さんご家族。Ikuraがマイクを4人に向ける独占インタビューの結果、地元は米子であるとのこと。地元民との邂逅に嬉しくなるIkuraは「こちらから選んでもらっていいですか?」と紙に書かれた曲目を娘さんに選んでもらうと、ここから楽曲がスタート。選ばれたのは“ラブレター”で、アコースティックの調べと共にIkuraは本田さんご家族の前で、顔をじっくりと見つめながら歌唱。終了後、娘さんは「今日学校頑張って良かったです」と語り、奥さんは「感無量です」と号泣寸前。素晴らしい一幕となった。対して「席を暖めておきました」とステージから降りた本田さんご家族を出迎えたAyaseは「なんかグッと来たわ……」と一言。

ここでサプライズは終わりかと思いきや、なんとここからもう1周!再び会場を練り歩くふたりである。今回は「後ろの方とか行ってみようか」と後方列に狙いを定めている様子で、Ikuraが目を付けたのは一番後ろの席に座っていた若い男女。ステージに上がってもらったのは加藤さんという方々らしく、どうやら東京から遠路はるばる米子へと来てくれたそう。そこでIkuraは「お二人はどんなご関係で?」と尋ねると、ふたりは「婚約者です」と一言。その返答にIkuraは「うわー!婚約者!響き良っ!私もそうじゃないかと思ってたんですよ!」と大興奮で、次に選択してもらった曲を見て「ラブソングですねえ……」とポツリ。そうして披露されたのは初期曲の“あの夢をなぞって”。うっとりと聴き入るふたりの姿に、一気に祝福ムードに包まれた会場だった。

……ここまでのファンサービスは、時間にして約30分。結果的には持ち時間の4分の1を、この企画にたっぷり充てた計算になる。ちなみにセットリストの数曲を削って行われた今回の試みは「応援してくれているファンとの距離を縮めたい」というIkuraの発案であるらしく、普段なかなか回らない小さいホールでのサプライズを考えた結果、この形に行き着いたそうだ。繰り返すが、今やYOASOBIは最もチケットが取れないアーティストである。そんな彼らをこれほどの至近距離で見られる機会は、ファンにとって一生の思い出になったに違いない。

以降は“モノトーン”で他者の痛みに触れ、“優しい彗星”でかつての記憶を思い起こす歌詞で琴線に触れると、アニメ『葬送のフリーレン』主題歌となった“勇者”では、サカナクションの“ルーキー”を思わせる緑のレーザーがステージを覆い尽くす幻想的な光景が広がっていく。……YOASOBIは元々の誕生経緯が『小説を楽曲化する』というプロジェクトによるもののため、現在でも大半の楽曲にタイアップが付いているのは周知の事実で、タイアップ先の作品自体が次々と起爆剤となってYOASOBIの認知へと繋がっている。今では「何かの主題歌と言えばYOASOBIだよね」というイメージが多くの一般層にあるのはやはり、彼らが大きいプレッシャーの中でも全力で作品と向き合い続けてきた、素晴らしい結末のようにも思えた。

とりわけタイアップ先との相乗効果を感じたのは、Ikuraがこの日唯一エレキギターを構えて鳴らされた“舞台に立って”。この楽曲は昨年のパリオリンピックのテーマソングとなったロック曲で、Ayaseがアスリートの悩みや葛藤に焦点を当てて制作したとされている。そんな“舞台に立って”を、Ikuraは激しいギターの音を響かせながら《そうだ夢見ていた景色の/目の前に立っているんだ》と力強く歌い上げていた。以前のMCでIkuraは「東京からこんなに遠く離れた場所にみんなが集まってくれる、そんな未来があるなんて当時は思ってもみませんでした」と語っていた。アスリートにとって夢の舞台はオリンピックだが、路上ライブで長らく活動してきたIkuraにとって、そして一度バンドで挫折を経験したAyaseにとっては、このライブこそが夢の舞台なのだと感じられ、思わずグッとくる。

とてつもない盛り上がりを見せる会場を見渡したAyaseは、「さっきも言ったんだけど、俺は鳥取に来れて本当に良かったと思ってて。街の雰囲気は故郷の山口に似てるし、鬼太郎空港も素晴らしかったけど、ライブはもっと楽しくて最高です。……今日から、ここを俺たちのホームタウンって呼んでもいいですか?」と嬉しい一言。更には「またこの場所に戻ってきます。ホームタウンなんでね。その時は今いるみんな、絶対にまた来てくれよ!」と叫ぶと「ウオオオ!」と声を上げる我々である。

良い意味でその言葉に浸る暇もなく、ここからは灼熱のキラーチューンの連続!まず口火を切ったのはダークな雰囲気たっぷりの超人気曲“怪物”で、凶悪に加工された電子音と真っ赤に染められたレーザーでもって、鼓膜と目をどんどんトリップさせていく様は圧巻。また続く“セブンティーン”でも同様なカオスさを見せ、曲中にはバァンと鳴るピストルや不協和音にも似たシンセサイザーが鳴り響くことで、天井知らずの盛り上がりへと突き進んでいく。驚きだったのは、尋常ならざる爆音にも関わらずその中心で歌うIkuraの歌う歌声が全くブレないこと。改めてボーカリストとしての力量も見せ付けた、格別のロックナンバー祭りだった。

「先に言っておくんだが、残りは2曲です」。一旦言葉を切って『だが』と続けるライブにおける口癖を用いつつ、Ayaseがそう語ったのは“セブンティーン”後のこと。当然「ええー!?」の声がそこかしこで上がる会場に、「ラスト2曲は、全員で歌って盛り上がる歌を用意してます。きっと知ってる人も多いと思う。だから最後は今まで以上に全力で動いて、喉が張り裂けるくらい叫んでくれますか!」と焚きつけ焚きつけ。そうして鳴らされた2曲は“群青”と”PLAYERS“。これまでライブで必ずセットリストに入っていたナンバーと、PlayStationのタイアップを勝ち取った新たなダンスロックという最良の組み合わせである。

中でも”PLAYERS“はYOASOBIの現在地を見せ付ける上でも、非常に力のある楽曲として印象に残った。先述の通りこの楽曲はPlayStationのタイアップになっている関係上、ゲームとの親和性を楽曲としてどう捉えるかが鍵。そこでAyaseが選んだのがエレクトロサウンドであり、結果として”PLAYERS“は冒頭からキラキラとした音が縦横無尽に響く形で完結した訳だが、これがとてつもなくライブ映えする代物で……。会場全体で《Play! on! You and me!/Set on the Legacy!》のフレーズを叫びまくる最高の空間もまた、素晴らしいエッセンスとして位置していたように思う。そしてラスサビに向かった瞬間には、なんとステージ上部から大量の紙吹雪が投下!ワックスを付けた頭や、歓喜に踊る子どもたちに色とりどりの紙吹雪が付着していく様子に視線を預けながら、いつの間にか終わっている”PLAYERS“……という現実も含めて、あまりにも凄まじいハイライトだった。

しばらくしてアンコールを求める手拍子に誘われ、再びステージに姿を見せたYOASOBI。ちなみにメンバーの服装もグッズ着用のものに変化していて、イメージがガラリと変わった感も。そうしてひとしきりグッズ紹介を終えると「アンコールは2曲やります。さあアンコールの曲は何でしょう?」とIkuraが問い掛ける。どうやら今回のツアーはアンコール楽曲が固定ではないらしく、代表曲以外の楽曲も披露される可能性があったそう。そこでIkuraの「せーの」の合図と共にファンが楽曲名を予想して叫ぶも、全員の声はバラバラ。Ikuraはそんな我々に爆笑しつつ「いま”三原色“って言った人いた!」と予想外のセトリ予想にツッコミ。そして「正解は……”夜に駆ける“!」と叫んで雪崩れ込んだのは全ての始まりとも言える楽曲であった。もちろんそんな誰にとっても思い出深い”夜に駆ける“が盛り上がらないはずはなく、MVが流れるモニターを見つめつつ、これまで何度も歌い続けたフレーズを口ずさむ我々である。Ikuraも《そんな顔が 嫌いだ》の一幕でファンのひとりの顔を指差したりと、楽しさで溢れている様子。

「俺たちはまだまだいろんなことやっていきたいし、もっとビッグな存在になります。『あの時鳥取で観たよ』って自慢出来るようになるくらい、これからも頑張って行くので付いてきてください!」とAyaseが語り、最後に披露された楽曲は”アドベンチャー“。楽曲が鳴らされた瞬間、ステージから投げられたのは色とりどりの巨大風船!なおこの時点で客電はほぼ点いた状態で、ファンが地面に落ちそうになる風船をポンと飛ばし、また別のファンに導かれていく様が見れるという、まるでアミューズメントパークのようなクライマックスだ。《いつもの一日から抜け出して 目が覚めるような冒険の舞台へ/回る地球儀を目印に さあ今会いに行こう 特別な一日に》……。これは楽曲の始まりを告げる歌詞だけれど、この楽曲を最後に配置することで今回の祝祭感に加え、次なるアクションへの期待も感じさせる。画面にはIkura画伯のワンダライラストや、ポップな色彩が広がる映像が流れ、本当に素晴らしいラストとなった。

ライブ終了後、改めて感謝を伝えるAyaseと投げキッスを飛ばしまくるIkuraの姿を見て、本心から「今年一番のライブだったんじゃないか?」と思った。楽曲の持つ求心力と本人たちの熱量はもとより、サウンドの重厚さと映像技術がギュッと詰まった今回のライブは、本当に非の打ち所がない感動的な代物だった。本文でも記したが、どんな会場でも必ずソールドアウトさせるYOASOBIが今回地方都市に来たという事実は、奇跡にも近い確率だったからこそ、選ばれたファンのために全力で魅せる姿勢も強く感じたし、我々的にも本当に素晴らしい思い出になったと思う。いつでもあの光景を思い出せるレベルの、最高なライブだった。

【YOASOBI@米子 セットリスト】
アイドル
祝福
UNDEAD
ミスター
Watch me!
ハルジオン
ラブレター (Acoustic ver.)
あの夢をなぞって (Acoustic ver.)
モノトーン
優しい彗星
勇者
舞台に立って
怪物
セブンティーン
群青
PLAYERS

[アンコール]
夜に駆ける
アドベンチャー