キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

無いのはライブだけ

バイトを辞め有給消化期間に入ってから、早くも10日が過ぎた。未だにどう過ごすのが正解なのかは不明だが、これまではずっとダブルワークをしていたりもしてバイトバイトの生活だったので、取り敢えずは忙しさにかまけて今まで出来なかったことをやっている。積みゲーを消化したり、部屋を掃除したり。果てはフラっと30分くらい歩いた先にある公園に行って缶ビールを飲んで直帰したりもしていて、アラサーにしてある種の隠居生活的なグータラ生活を謳歌中だ。


対してこれまで生活の軸としてきた執筆活動については必然、その優先順位は少しずつ下がってきている。それは以前の記事でも記したように音楽ライターになる夢をほぼほぼ諦めたことが一番の理由で、向かうべき目標を失った今、文章と向き合う機会が減ってしまうのも仕方のないことではあろう。加えてもうこの4年近くそれこそゲームや掃除、ドライブなど文章以外の行動はなるたけ排除するよう心掛けていたため、今はこうした『何もない日々』がとても清々しく、楽しいのだ。夜になったらちょっと散歩して、酒を飲みながらアニメやマンガを観て、音楽を聴いて、眠くなったら寝る。たったこれだけのことも、1日数時間文章と向き合っていた頃にはあり得なかった。もちろん執筆を辞める訳ではないにしろ、かつての執筆で体験した編集者さんとのやりとりを思い出しながら、いろいろと感謝しながら日々を生きている。


なので特段不満もないのだけれど、思うことがあるとすればそれは「ライブに行きたい」との気持ちだけ。正直2年間も有給を使わなかった理由は収束後にライブに行きまくるためだったのだが、どこに行っても「最近県外行ってないですよね?」というような質問をされるので、流石にこの状況では難しく……。ただ数日後には元々チケットを取っていたヨルシカのライブが普通に開催されたりもするので、「もしも島根に住んでなかったら行ってたのになあ」とどこかやるせない気持ちが襲って来たりすることも時たまあるが。


と同時にはたと感じるのが「自分にとって文章は一体何なのか?」という自問自答である。……音楽は好き。ライブも好き。文章に関しても、これまでずっと部活やらハガキ職人時代の活動やらで培ってきて好きなことではある。ただ、それが何故『音楽ライターを目指して4年間やってきた』という事実に直結したのかは未だに謎なのだ。だからこそこの4年間を全ベットするに値する出来事を、この有給消化中にずっと探してもいた。


そうして思い当たった答えが『ライブ』。おそらく自分は『大好きなアルバムを聴いてライブに行く』、もしくは『ライブの後セットリストの中心を担っていたアルバムを聴き返す』ことが、何よりも好きなのだ。そう考えれば、広島で過ごしていたあの4年間取り憑かれたようにライブばかり行っていたり、音楽文でライブレポートばかりを執筆していたり、ライブにほとんど行けなかったこのコロナ禍に夢を諦めた理由もつく。自分が欲しているものは兎にも角にもライブ。ライブなのだ。


だからこそ、今ライブに行ける人が心底羨ましい。県外に遠征に行く人もそう。別に何万円払っても、最悪月収を全部ライブに費やしたって、好きなアーティストのライブが観られれば自分は多分満足する。人口の3分の1が65歳以上の高齢者である島根県に住んでいることを心底恨むこともあるけれど、それにしたって自分が選んだ道なのだ。確かに今は辛いが、来年あたりには素晴らしいライブ風景が広がっていることを願いながら、今日もくだらない1日を過ごす。これもまた幸せなのだろう。

 

星野源 – くだらないの中に (Official Video) - YouTube