キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

『SUMMER SONIC 2022』邦楽アーティスト再追加は、逆にサマソニらしい大英断だった

こんばんは、キタガワです。

 

f:id:psychedelicrock0825:20220414033810j:plain「今年は洋楽アーティストが例年に比べて少なくなる」というクリエイティブマン代表・清水氏の発言を裏付けるように、前回の追加出演者発表は基本的に邦楽が中心で、対して洋楽アーティストの起用は圧倒的に減少した。ちなみにこの理由については新型コロナウイルスの影響により全盛期の頃の100%のブッキングが不可能であるためで、言わば今年のサマソニは「またここから次に繋げていこう!」という決意を前面に押し出したフェスであることが分かる。けれども今回の追加ラインナップの邦楽勢を見て、落胆した人などまずもっていないだろう。何故なら正直ここまでの盤石の起用は邦楽フェスであっても難しいだろうから……。


各々好みのアーティストは異なって然るべきだが、今回の発表で抜群の印象度を誇るのはKing GnuとENDLICHERI、SPARKSの3組だろう。まずKing Gnuは言わずもがなの紅白出場も果たした国民的バンドであり、大舞台でのライブも多数経験済みのため満を持してと言ったところ。フロントマンである常田大希の別ユニット・millenium paradeとKing Gnuが昨年フジロックで驚愕のステージを見せてくれたことは記憶に新しいけれど、今年のサマソニは新曲も含め、また一味違ったパフォーマンスで魅了してくれるはず。対してENDLICHERI(読み:エンドリケリー)は国民的人物である堂本剛が自分の本当にやりたかった音楽を具現化したソロ名義であり、アイドルのKinKi Kids時代とは全く違うファンクサウンドが持ち味。筆者がかつて参加したサマソニでは黒人シンガーを有する総勢10名以上の編成、それでいて一番注目されるはずの剛は基本的にサングラスをかけて表情も分からず、更には「オー」「イェー」など歌うというよりは単音のグルーヴ強化の歌唱を試みていたことが印象深く、個人的にはこの日のサマソニで一番の衝撃を受けた程。これはKing Gnuにも言えることだが、注目されるアーティストには必ず大きな理由があって、それを体験する上でも今年のサマソニは大切な代物だと思う。

"ENDRECHERI TSUYOSHI DOMOTO" Live Digest Movie - YouTube


そして今回発表された洋楽勢は一組のみ。さあそれは誰だと期待していた我々の目にドカンと飛び込んできたのは、まさかのスパークスなのだから感動だ。全くスパークスを知らない人に対して端的に説明するならば、スパークスは『活動歴約50年以上の謎バンド』『リリースされたアルバム全てで曲調が違う』『ライブパフォーマンスがカオス』という、好奇心を刺激される要素ばかりが覆っている。これについては絶賛公開中の以下の最新映画PVを是非とも鑑賞いただきたいけれど、もはや長年のファンでさえその本質を知らないまま追い続けているバンド、それがスパークスなのだ。そんな彼らが数年ぶりにサマソニに出演することの意義は、きっと全てが終わった後に分かるはず。おそらくはライブ後もフワフワとした感情に襲われることだろうが、それすらも彼らの策略と言って良い。

【4月8日(金)公開】映画『スパークス・ブラザーズ』予告編 - YouTube


その他きゃりーぱみゅぱみゅやmilet、ゲスの極み乙女。など邦楽出演者が大盤振る舞い。名実共に、誰もが聴いたことのある名物アーティストが一堂に会する祝祭である。…。確かに洋楽フェスとして知られるサマソニではあれどその実『洋楽を観るためだけにサマソニに行く』という人は全体を見ても少ないため洋楽も見つつ新たな邦楽の良さも見付けていくのは日本で開催される洋フェスの強みだろう。とするなら、今年のサマソニはむしろ現状の最適解。超著名なアーティストを含めて本来チケット代6000円は下らない邦楽アーティストもまとめて観れるフェスはどれだけ考えても破格だ。贅沢を取るも良し。自分の好きな音楽性を取るのも良し。全く周囲に左右されない楽しみ方が出来るのも、サマソニの強みである。なお今月にはまた新たなアーティスト発表、加えてステージ割りも出る予定なので、今後も発表にアンテナを張りながら待ち続けていきたい。