キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

昨今の音楽の広がり方、並びに「こうすれば売れる」という絶対的な方法論について

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去る6月某日の深夜1時に、僕は約30分間のラジオ放送を行った。500mlの本麒麟をかっ喰らいながら語り散らしたあの演説は最後まで誰にも目撃されることはなかったけれども、紛れもなく僕が常日頃感じているフラストレーションを体現したものであると言って良かった。だからこそ今回この『キタガワのブログ』を開設してから初となる、自分自身の肉声を白日の元に晒す決意を固めた次第だ。

前述の通り、僕自身が考える昨今の音楽の広がり方や、並びに「こうすれば売れる」という方法論について言いたいことは上記のラジオで全て語っている。ではそんな30分にも渡るラジオで僕は何に憤り、何を問題としているのについては答えはひとつで、それは「現代は世論に圧倒的に支持される音楽ばかりが消費される世の中になっている」ということだ。

既に周知の事実だろうが、Official髭男dismも、King Gnuも、世間的なバズが大いなる成功をもたらした成功例である。それだけではない。2019年の紅白歌合戦では米津玄師が作詞作曲を務めた楽曲がいくつも歌われた。TikTokに使われた音楽が売れた。ツイッターで何十万人ものフォロワーがいる人物が音楽活動を始めた。歌い手が歌った。MVが面白かった。みんなが聴いてるから……。今の音楽シーンにおいて広くバズをもたらした例を挙げれば、枚挙に暇がないほどだ。

実際今回のラジオでも幾度となく「そういう時代なんですよ」という話をしているけれども、やはり実際問題CDそのものの価値やアルバム全体を通して抱く感情、自分が本当に好きな音楽と出会った喜びというのは、最近の若者には少なくなっている。何故なら、1曲単位での消費に完全に慣れてしまったからだ。

ふいに訪れたCDショップでジャケ買いをしたり、アーティスト名の「あ行」から「か行」にかけてじっくりと吟味してCDを借りたりといった経験も、今の若者にはほとんどないのではなかろうか。無論そうした風潮を全て悪いとは言わないけれども、ジャケ買いで何万もの金を溶かした結果素晴らしい音楽に出会い、結果音楽に命を救われるに至った身としてはやはりある種の寂しさを感じてしまうし、何より現状売れていない、けれども奮起しながら音楽活動を行っているアーティストに一切のスポットが当たらないという今の風潮は、どうかしているとも思うのである。

そして逆に、絶対的に世間の好む音楽性ではないけれども、それでも本当に良い音楽を作り続けているアーティストが一切の成果もないまま30歳を過ぎ、友人らとのギャップ(収入格差や幸福度等)に悩んで音楽自体をドロップアウトしてしまうような光景も僕は今までに何度も見てきた。最近では主軸としている音楽活動の芽が出ないことからYouTuberとして活動したり、世間の流行に同調したメロディーの楽曲を作っているアーティストも目にしたことがある。『バズった』ことが一種のステータスとなる一方で『売れていない』アーティストは淘汰されてしまう。それこそが今の音楽シーンであり、日本に生きる人々が無意識的に行っている、音楽への触れ方なのだ。

そしてそうした風潮が続けば音楽シーンは、心底つまらないものになると思うのだ。だからこそ一石を投じたい。だが何の知名度も発信力もない今の僕に何が出来るかと思い立ったところで何も無かったがために、かくしてスタンドアローンのラジオ放送に至ったのである。

今一度、自分自身の胸に問い掛けてみてほしい。「あなたが聴いているその音楽、本当に好きですか?」

 

※ラジオ本編は、本日から約1週間の限定公開となります。