こんばんは、キタガワです。
毎月様々な作品が公開される映画業界。特にアニメ映画の興行収入は凄まじく、近年では『SLAM DUNK』や『すずめの戸締まり』、『ONE PIECE』といった作品がロングランを記録するなど、各劇場でも熱視線を送る重要なものとして位置。それぞれのオリジナリティーでもって勝負している。
そんな中で、今年最も稀有なマーケティングをした作品と言えば、宮崎駿のジブリ映画の最新版『君たちはどう生きるか』だろう。この作品は何と公あらすじはおろか、キャストや主題歌などその大半が非公開のまま上映。現在もその流れからネタバレ禁止が暗黙の了解になっている、過去に例のないジブリ映画なのだ。そのため今回は、あらすじ如何は一切省いてのレビューとなることをご了承いただきたい。
まず初めに、この作品は賛否両論がはっきり分かれる作品であることは明言しておくべきだろう。これには理由が2つほどあって、ひとつは作品全体の情報量の多さが挙げられる。というのもこの映画では場面場面で登場人物が移り変わって密な関係性を築いていくのだけれど、それぞれをじっくり観察していないと、最終的に意味が分からなくなる形になっているからだ。
そしてもうひとつは、抽象的表現の多用だ。今作品は『君たちはどう生きるか』のタイトルの通り、人間の誕生から終焉までを描くものである。しかしながら今作を全て観たとしても「このシーンは何を意味しているの?」という質問に100%の返答をするのは難しくなっている。例えば同じジブリ映画でも『となりのトトロ』のメイが実は死んでいてトトロは死神説、『千と千尋の神隠し』の油屋は遊郭説、など様々な説が噂されているけれど、それは作中で存在自体をあえて不明瞭にしているがゆえ。……そして今作はそうした抽象的部分が過去作と比べても多いので、脳内補完に秀でている人にとっては傑作に、そうでない人には「?」な作品になる。
繰り返すが、この作品は1度観ただけでは全貌の把握はほぼ不可能な、いわば『考察系作品』の極みのような映画だ。現在、大手映画レビューサイトでは平均★3と少し低評価多めなのだけれど、それは鑑賞した人々の理解度のバラつきが、そっくりそのまま高評価・低評価もバラける原因になっているように思う。実際、僕は今回友人と鑑賞して「これってどういう意味?」→「◯◯だと思う」→「なるほど!」的なやり取りを繰り返してようやく内容が分かった(それでも65%くらいだが)のだが、もしひとりで理解しようとするとほぼ無理だろうなと……。
なのであくまで個人的意見として、同じジブリ作品で言うところの『猫の恩返し』や『千と千尋の神隠し』などの直球型が好きなタイプなら割と低評価、対して『もののけ姫』や『風立ちぬ』などが好きなタイプなら高評価になる作品が今回の作品かなと。僕はスッパリ終わる系の作品の方が好みなので以下の評価だけど、様々な魅力もあるのは確か。あと、これは最後まで観て納得した部分だが、やっぱり劇場公開までネタバレなしで漕ぎ着けたのは正解だったように思う。ポスタービジュアルだけでは全然予想出来ないので驚くこと請け合い。ジブリファンは是非に……。
ストーリー★★★☆☆
コメディー★★★★☆
配役★★★☆☆
感動★★★☆☆
エンタメ★★☆☆☆
総合評価★★★☆☆(3.5)