キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【インタビュー】島根県出雲市発、ライブで『おもろい』を体現するロックバンド・ジャパニーズモンタナ。その真の魅力に迫るメンバー全員インタビュー!

大小関わらず日々盛り上がりを見せる、全国的なライブシーン。そんな中で今島根県のライブハウスを中心に、コンスタントに活動するバンドがいる。その名はジャパニーズモンタナ。昨年結成と活動歴としては短いながらも、多くの音楽ファンに支持されるニューカマーだ。

そこで7月某日、彼らのことを知りたくなった筆者は居酒屋でのインタビューをオファー。多忙な中で快諾してくれた彼らとの元々の予定は2時間……だったのだが、大いに盛り上がった結果、彼らが行き付けのバー・LIBERATE(リベレイト)にも立ち寄っての計4時間、数にして約30杯のアルコールが消費された濃密過ぎる一夜となった。以下、現在進行系で自身初となるレコ発ツアーで全国を回る彼らの本質に迫る、貴重なインタビューである。

ジャパニーズモンタナ

しょーご(Vo.G 写真右)
やのゆー(Ba.Cho 写真左)

 


【開幕】

──本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます!

しょーご「ジャパニーズモンタナです。よろしくお願いします!」

やのゆー「お疲れ様です。今日はよろしくお願いします!」

──こちらこそです。じゃあ早速、生で乾杯を……。

(乾杯と同時にやのゆーがビールを一気飲み。しょーごは3分の2を消費)

やのゆー「(店員さんに向かって)すいません、生2 つで」

──開始2秒でビールなくなった!(笑)普段居酒屋では何飲まれるんですか?

やのゆー「僕はビールやレモンサワー、ハイボールとかですね。他は言われるがままっていうか、選んでる時間がないっていう」

──バンドマンの飲み会って、割とお酒の回転早いですもんね……。


【四星球のコピーから始まったバンド】

 

嘘でもええから!?四星球コピーしてみた!クラーク博士と僕 Mr.Cosmo - YouTube

 

──まず最初の質問なんですけど、結成の経緯ってどんな感じだったんですか?四星球のコピーバンドの『五星球(読み:ウーシンチュウ)』を組んでいたことは伺っていますが……。

しょーご「結成をどこから数えるかっていうところなんですけど、五星球から数えると6年目か7年目くらいで。ジャパニーズモンタナとしては去年の5月が初ライブです」

──ここで少し五星球時代の話を伺いたいんですが、元々は四星球が好きでコピーしてたっていう感じで?

しょーご「はい。四星球は昔から好きで。実は『コピーバンドをやってからオリジナルやろうよ』っていう話だったんです。で、何のコピーをやろうかなって思った結果、四星球が一番ハマりそうだなと。それでライブをしたら、ウケが良くて」

──ライブも盛り上がるし、笑いのエッセンスもあって。

しょーご「そうですね。それで四星球のコピーをずっとしてて、オリジナルに行けるタイミングはあまりなかったんですよ。それで『コピーで行けるとこまで行こう』ってなって、『コピーバンドとして四星球と対バンする』っていうのを目標にして5年間くらい……」

──凄いですよね。本家の四星球と対バンするっていうのがひとつのゴールで、しかも実現した。

しょーご「そうなんですよ。でもそこからすぐオリジナルに行けたら良かったんですけど、上手く行かなくて。それで去年の5月くらいにやっとオリジナルに行けたっていう」

──そこからジャパニーズモンタナを結成して。

しょーご「でも僕ら、初ライブが本当に最悪で。そのときのドラムが体調不良で出れなくなって。それでよくわからない弾き語りやって、土下座して終わったっていう(笑)」

──記念すべき初ライブが(笑) 


【影響を受けた音楽】

──個人的に思ったことで恐縮なのですが、ライブを拝見したときにサウンド的にはB-DASHを筆頭としたメロコアに影響を受けてらっしゃるんじゃないかなと思っていて。サウンド的に影響を受けた音楽って何があると思いますか?

しょーご「確かに、B-DASHはめっちゃ好きですね。僕が曲を作る上で参考にしてるのはB-DASHやBEAT CRUSADERSのような音楽が基盤で、それ以外はそのときに聴いた曲の『ここ良いな』って思った部分を。ジャンルは気にしてないです」

──なるほど。

しょーご「B-DASHは大人になってから聴き始めて。五星球のとき、メンバーとカラオケに行ったときにB-DASHを聴いて、その時に知ったんです」

──『何だあの歌詞!?』みたいな驚きもありますよね。

しょーご「そうなんですよ。聴いた瞬間『これだわ!』と思って。オリジナルをやるにあたって方向性は何個か考えてはいたんですけど、B-DASHと出合ったときにもう流れが決まった感じですね」

【OFFICIAL MUSIC VIDEO】ジャパニーズモンタナ - Dandy Fight!!! - YouTube


【縁の下の力持ち、やのゆーのベース】

──ライブハウスって、どうしても対バンだと初見の人が多かったりするじゃないですか。その中でもモンタナさんのライブは心から震える衝動みたいなものがあって。

しょーご「(やのゆーを指差して)こいつが引き込んじゃうんで」

やのゆー「どこがや!僕は打ち上げで死ぬ係なんで(笑)」

──でもマジでやのゆーさんの一挙手一投足って、めちゃくちゃ魅力的ですよ。“ASAKURA”でのアクション(注:この曲ではやのゆーがドラマのワンシーンを再現する場面がある。以下参照)とか。

やのゆー「ありがとうございまーす!」

ジャパニーズモンタナからお知らせ - YouTube

──そういえば、やのゆーさんは五星球ではピンボーカルでしたよね?

しょーご「(やのゆーとは)アポロで出会って、バンド始める?みたいな感じで。で、ドラムとベースは見付かったんですけど、ボーカルがいなくて。それで『じゃあやのゆーがボーカルね』って」

やのゆー「最後にボーカルが決まるパターンって珍しいですよね(笑)」

──ですね!じゃあジャパニーズモンタナがベース歴としてはほぼ初?

やのゆー「はい。特にピック弾きとかはモンタナが完全に初めてで、だからモンタナ歴=ほぼベース歴なんです」

──そうなんですか!……あとさっきから思ってたんですけど、皆さんめちゃくちゃ飲みますね!ちなみにツイッターでの、飲み潰れた八王子の飲み会ってどんな感じだったんですか?

やのゆー「あれはマジでヤバかったっす」

しょーご「八王子のライブハウス(八王子MatchBox)の打ち上げって、バーカウンターで聞いたことないコールが無限に出てくるんですよ。ひたすらイッキみたいな」

──すげえ。

しょーご「で、僕は遠くで見てたんですけど、よく見たらその輪の中心にこいつがいるんですよ(笑)」

──ハハハハハ!(笑)

やのゆー「テキーラをめちゃくちゃ飲んで。2日記憶飛ばしました」

しょーご「ライブハウスに、こいつ最初は長ズボンで行ったはずなんですよ。でも打ち上げが終わったらなぜか半ズボンになってて」

──それはヤバい(笑)


【サウンドを牽引するしょーごのギター&ボーカル】

──では次にしょーごさんどうですか?

しょーご「俺は右手の動きは負けんけど、左はウンコなんで」

──いやいや(笑)コードを弾く左手が重要なのかなと思ってたんですけど、ギターは右手が大事なんですね。

しょーご「右手の動きで、ギターの音がマジで変わるんですよ」

やのゆー「いろんなバンドマンに『島根でギター上手い人誰ですか?』って聞いたら、みんなこの人(しょーご)って言うんですよ」

──こう言われてますけど、しょーごさんマジですか!?

しょーご「(急に真面目な顔になって)……みんなでイッキしましょう」

──ハハハハハ!(笑)

やのゆー「逆に、みんなが褒める凄腕ギタリストと、初心者ベーシストが一緒にいるっていうプレッシャーを分かってほしい!」

しょーご「練習すればいいやん。1時間やって駄目だったら8時間やったらいいし」

やのゆー「……俺、今から闇金行ってきていいすか?働かんでいいように。その分練習するんで」

──ハハハハハ!(笑)でもやっぱりショーゴさんはフロントマン然としている印象があって。それこそボーカル面でも、ロックサウンドの中心を突き抜ける声というか。しょーごさんの声だからこそ成り立つような感覚というか。

しょーご「マジですか。ありがとうございます!」


【ライブバンド、その原動力】

──お二人はライブをとても大切にされている印象があります。お二人にとってライブって、どんなものなんですかね。

やのゆー「正直、僕はずっとライブがやりたかったんです。でもやりたくてもライブができなかった時期がけっこう長くて」

──それはコロナ禍でっていう意味で?

やのゆー「いや、単純にメンバーがいなくて。で、ようやく五星球でボーカルとしてライブに出たとき、お客さんの反応が嬉しかったんです。元々ベーシストに憧れてたんですけど、今はそれをさせてもらえてますし。演奏は下手だし音楽知識も少ないんですけど、めちゃめちゃ楽しいんですよね。ライブは飽きないです」

──自分たちの『楽しい』を具現化するひとつとして。しょーごさんは?

しょーご「そうですね、ライブがなかなかできなかったっていうのは、僕の中でもデカいです。僕、出身が広島なんですけど、広島にいたときもコピーバンドを組んでスタジオで合わせたりはしてたんですけど、ライブをするっていうところまで至らなかったんです」

──なるほど。

しょーご「それがいろんなきっかけで出雲アポロでライブができるようになって、繋がっていってっていうのがあって。『ライブができる楽しさ』からずっと始まってる。そこは変わらないし、理由はないです。ライブができることが楽しいんです」

──その言葉で納得したんですけど、ライブのときに『楽しそうにやってるなあ』っていうのは凄く思います。

しょーご「できなかったときに比べたら、今は凄くたくさん出来てるし、そこに慣れそうになっちゃうんですよ、やっぱり。そこをいかに慣れんようにというか、いかに真面目にやり過ぎないかっていうので、楽しくしてる」

──以前ライブでモンタナさんの出番になったときに、お客さんがグワーっと前に来たのを観たんですよね。そのときにモンタナさんが培ってきたライブが、しっかりみんなの心を掴んでることを改めて感じました。

しょーご「ありがとうございまーす!」

やのゆー「有り難い限りですよ。本当に」

ジャパニーズモンタナ 1st single「UMA」トレイラー - YouTube


【初のレコ発ツアーに向けて】

──今月には自身ファーストシングルとなる『UMA』がリリースされ、シングルを携えた全国ツアーも決定しています。その意気込みについてもお二方にお伺いできればと。

やのゆー「リリースツアーっていうのをしたことがないから、めちゃくちゃ嬉しいですね。ジャパニーズモンタナを迎えてくれるライブハウスにも感謝してますし」

しょーご「シンプルに『大変だなあ』っていう(笑)でもツアーだからどうこうっていうのはなくて、いつも通りのライブをするだけです」

やのゆー「どういう感じなんだろう、っていうのはあるね」

しょーご「楽しみだし、初めて行くライブハウスもあるんで」

──ここからもっと景色が広がっていくの、最高ですね。

しょーご「やっと『バンドやってるなあ』っていう実感がありますね」

やのゆー「俺、ツアーバンドに憧れてたんですよ。お客さんが全然おらんでも、ツアバンで出雲アポロに来てくれたり、そんなバンドがめちゃめちゃ格好良くて。ずっとそうなりたかった。フライヤーに名前が載るのとか超嬉しいです」

しょーご「大きいところでライブをやる、その数字が重要なのも分かります。バンドの看板にもなるし。でもお客さんが……極端に言ったらゼロのライブハウスにも格好いいバンドはいるし、俺らはそれをリアルで観てきてるんで。バンドの格好良さと、お客さんの数は必ずしも比例せんってのもわかってます。だからそこには固執してないし、だから続くんです」

やのゆー「現場主義で。自分らがおもろくないと」

【OFFICIAL MUSIC VIDEO】ジャパニーズモンタナ - Dandy Fight!!! - YouTube


【今後の展望】

──アツい話も聞けたところで。今後のバンドの展望について、2人ともどうですか?

しょーご「俺はないです」

やのゆー「俺もないです」

──ハハハハハ!(笑)

しょーご「今が一番おもろいんで」

やのゆー「そう!」

──それ、バンドとして最強じゃないですか。

しょーご「今おもろいが続くのもそうだし、『こういうことやりたいよね』って言って、みんながそこに向かえるのもそうだし。今が楽しくないと楽しいことは起こらないと思ってるので」

──それがしっかりと結果として表れているのが今回の全国ツアーだと思います。成功を心から願ってます!

しょーご「ありがとうございますー」

やのゆー「絶対来てください!」


【おわりに】

今回彼らと直接話して分かったことは主にふたつ。そのうちのひとつは『この2人の絶妙な人間性が、ジャパニーズモンタナが愛される基盤を作っている』ということだ。会話にパスを出しながら、冷静に現状を見据えるしょーご。要望されたことの大半を肯定し、場の雰囲気に即座に順応するやのゆー……。一見対照的にも思える2人だけれど、ひとたび話せば胸襟を開いて、笑いも携えた絶妙なトークで場を作り上げてくれる。それは横の繋がりが次のブッキングに直結するライブシーンにおいて、大きな武器であるように思った。

そしてもうひとつは『彼らのライブに対する熱量』である。インタビューの後半でもしょーごが「今が一番おもろい」と語ってくれている通り、モンタナの原動力は至ってシンプルで、ズバリ『自分がやりたいからやる』という、本能的な要素が大部分を占めていた。彼らのそんな思いは現在敢行中の全国ツアーで遺憾なく発揮されることだろうけれど、バンドの未来を考える上でも今の彼らは無敵だと断言できる。

島根県発・出雲アポロをホームに全国的な活動に向かうジャパニーズモンタナ。ファーストシングル『UMA』のリリースを経て、きっと彼らはこれからもライブでフォロワーを増やしながら、最終的に大きな存在になっていくのだろう。脂の乗り切った彼らのサウンドに出会うべきは、絶対に今である。