キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

遂に復活した『SUMMER SONIC 2022』!第1弾出演アーティストを見ながら、サマソニの最高の祝祭に備えよう

こんばんは、キタガワです。


何しろコロナ禍を経て、3年越しのサマソニである。故に期待をしない方がおかしいというものだが、まだまだオミクロン株の予断を許さない状況は続いているし、正直なところ「出演アーティストのほとんどが日本勢になっても仕方ないな」と感じながらその時を待っていた。が、やはり流石我らがクリエイティブマン。海外の有名フェスと比較しても負けず劣らず……むしろそれ以上に洋楽ファンを唸らせる、錚々たる面々を集めてくれたのだから、もはやブラボーとしか言いようがない。

 

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まずは、気になる各日のヘッドライナーから見ていこう。今年のトリを飾るのは一昨年度に行われる予定だった『SUPERSONIC 2020』(後に新型コロナウイルスの影響により延期が決定)でも名を連ねていたThe 1975とポスト・マローンで、SUPERSONICから続いたバトンをガッチリと引き継いだ、感動的な起用である。彼らの詳細なバイオグラフィーについてはこの場で改めて綴るまでもないけれど、特にサマソニとの信頼関係という点でもマストなのは、The 1975の存在。何故なら彼らは2013年からサマソニの小さなステージから出演し続け、今年で5回目を数えるのだから。もちろんその間、彼らのリリースしたアルバムは全作品が全英初登場1位を含めた爆発的な売上を記録していて、日本も含めた音楽媒体のテキストで『今最も観るべきバンド』と記されていたのは何度見たか分からない程。更に先日はツイッター内にてニューアルバムリリースも示唆していたりもするし、2019年のサマソニではステージドリンクに日本酒を持ち込み破滅的なパフォーマンスを魅せてくれていたので、今年も本当に楽しみなところ。長らく来日が待ち望まれていたサマソニでようやく聴くことが出来るであろう、“Guys”における《初めて日本に来たときが人生で最高の出来事だった(和訳)》のフレーズを聴くのも、また楽しみだ。

 

The 1975 - Guys (Official Video) - YouTube


対してポスト・マローンはサマソニ初出演にしてヘッドライナーに抜擢された26歳のソロアーティスト。そんなポスト・マローンは説明するのも野暮レベルの知らない人はいない超ビッグスターで、ストリーミング成績、チャート成績、受賞歴を含め詳しくは多すぎて書ききれないので省くけれど、とてつもない異形を達成しているラッパー。長きに渡ってキープし続けてきたザ・ビートルズのチャート成績を、約54年ぶりに打ち破ったアーティストと言えば分かりやすいかもしれない。もちろんライブも圧巻の一言で、VJや演出を控え目に楽曲を届ける愚直さは格好良いし、たとえ彼の存在を深く知らない人であっても絶対的に「サマソニでポスト・マローン観た!」という経験は一生語り継げるものだと思うので、この機を逃す手はない。余談だが、彼は日本文化に精通した大の親日家としても知られていて、全身に彫られたタトゥーの中には犬夜叉の日暮かごめのイラストが描かれたものもあるとのこと。彼にとって日本でのライブはかなり久々だったりもするので、当日は是非ともそうした部分にも目を向けつつグンと盛り上がっていきたい。

 

Post Malone, Swae Lee - Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse) - YouTube


サマソニを彩るのは当然、ヘッドライナーだけではない。ジャンルや国、年齢を問わない広いレンジのブッキングもまた、サマソニが最高の都市型フェスと呼ばれる所以である。ここ日本でも“Call Me Maybe”や“Good Time”がCMソングとしてお茶の間に響き渡ったカーリー・レイ・ジェプセン。韓国で今大人気の女性ラッパーで日本語にも精通するCL。言わずと知れたロックの重鎮ことザ・リバティーンズ……。世界で最も影響力のある100人にも選ばれたミーガン・ザ・スタリオンのパフォーマンスにも期待だし、他にもパンクロックならほぼ誰もが通る道ことオフスプリングや、前回のサマソニではオケを流して単独でパフォーマンスしたセイント・ヴィンセント、プライマル・スクリームに至っては何とあの伝説的アルバム『スクリーマデリカ』の再現ライブらしき記述が!他にもクーラ・シェイカーやオール・タイム・ロウなど興奮は目白押しだというのだから嬉しい悲鳴を上げてしまいそう。

 

Carly Rae Jepsen - Call Me Maybe - YouTube


しかも、若手アーティストも最高過ぎるのだから今年のサマソニは本当に罪深い(良い意味で)。サブスクを中心に今のシーンを飛躍させる役割を担っているところでいくとヤングブラッドやビーバドゥービー、ロックの視点からすればマネスキンやイージーライフ、インヘイラー(ちなみにボーカルはU2のボノの息子さんです)あたりになるのだろうが、よくここまで素晴らしい若手アーティストを集めてくれたと改めて感動。間違いなくどの国のフェスでも取り合いになるアーティストたちばかりで、もしもタイムテーブルが発表されれば悩みまくること請け合いだ。当然人それぞれ観たいアーティストは違うことだろうけれど、特に注目すべきは個人的に、ツイッターのフォロワー数60万人を超えて今や世間をぶった切るメッセンジャーと化しているヤングブラッドと、『ユーロビジョン・ソング・コンテスト2021』でなみいるバンドを抑えて優勝を果たし、母国イタリアに31年ぶりのトロフィーを持ち帰ったマネスキン。サマソニと言えばロックのイメージが強いフェスだが、必ずや彼らのような最高の若手勢はボルテージを高めてくれるはずだ。

 

Måneskin - ZITTI E BUONI (Official Video – Sanremo & EUROVISION 2021 Winners) - YouTube


公式ホームページに掲載されている通り、今年のサマソニは単なる洋楽フェスではもはやない。このコロナ禍で失われてきた洋楽ライブを復活させるための、また音楽を愛し救われてきた我々にとって、絶対的に必要なフェスなのだ。……思えばこの2年間、洋楽のライブ市場は本当に窮地に立たされていて、今のところ2021年11月に行われたキング・クリムゾンのツアーがコロナが始まってからは約1年9ヶ月ぶりのライブ、それ以降は現状一度も洋楽アーティストの来日公演は行われていないと記憶している。つまりその間に本来企画されていた洋楽ライブは延期こそあれ、その大半が失われてきたのである。来日公演の主な主催を務めるクリエイティブマンとしても、どれほどの金銭的負担があったかは想像に難くない。けれど、彼らはこうした状況でも最高のアーティストたちを呼び寄せ、サマソニの開催を決断してくれた……。その思いを我々は強く噛み締めながら、今年のサマソニへの参加を決断する必要がある。


クリエイティブマン代表の清水直樹氏は公式コメントで「私達が目指すのは完全復活です」との姿勢を見せてくれていた。……そう。完全復活、完全復活なのだ。昨年の『SUPERSONIC 2021』が大反響の後終幕したように我々がルールを守り、全力で楽しみさえすれば。少なくとも洋楽シーンにとっての何かが変わる確信がある。約半年後に迫った祝祭の日まで我々が出来ることがあるとすれば、それは日々出演アーティストの音楽を聴いて気持ちを高め、次なる発表アナウンスに興奮しながら備えること。祈ろう。洋楽ライブの復活を。祈ろう。最高の時間の到来を。