キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

【ライブレポート】氣志團万博2020 ~家でYEAH!~

こんばんは、キタガワです。

 

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氣志團万博、今年はオンラインで開催……。この一報を観た瞬間、心底喜んだ自分がいた。数々の夏フェスが軒並み中止となる中で開催に至ったのだから、喜ぶのも無理はないと言うものだ。無論コロナウイルスの影響により初のオンライン開催となった今年の氣志團万博は、今までの氣志團万博とは大きく趣を異にするものではあった。けれども会場に設置された30台以上のカメラ+ドローン、各アーティストの出番前に挟まれる声優・立木文彦のナレーションと厳選したライブ映像含むテレビ番組も真っ青の手の込んだ編集技術、そして何より画面越しであることを感じさせないアーティストたちの熱演でもって圧倒的な臨場感で魅せた氣志團万博2020は紛れもなく、野外ライブが軒並み消滅した最悪な夏に舞い降りた音楽好きにとっての、マスク続きの鬱屈した日常に出現した最高のオアシスだった。

 

 

森山直太朗(15:00~15:15)

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本編の開始は15時からではあるが、「早目に会場入りすると良い事あるかも?」との綾小路翔のツイートに釣られ、少し早めに再生画面にて待機。「今日は忙しいのに都合つけて、氣志團万博に来てくれてマジでありガトーショコラ!開演時間になったら、いよいよ画面が自動で切り替わるぜ。そのまま良い子で待っててくれよな!」との文面とキュートな綾小路が描かれた待機画面を暫し見詰めていると、瞬間“One Night Carnival”や“喧嘩上等”、“今日から俺たちは!”など氣志團におけるアッパーなナンバーの数々と共に、往年の熱狂の様子が備忘録のように映し出される。そして2019年……つまりは昨年の映像が長尺で流れると『氣志團万博2020 ~家でYEAH!~』との今年の氣志團万博のロゴが大写しになり、綾小路による氣志團万博開催に至るまでの経緯やライブへの思いを吐露するVTRが流されると、早くもオープニングセレモニーアクト・森山直太朗を呼び込むVTRへと遷移。


先んじて説明すると、このVTRは次なるアーティストの演奏直前に決まって流されるエンターテインメント性溢れる代物であったのだが、今回の森山直太朗についての紹介VTRはかねてよりの旧友である綾小路と森山の親密な関係性をつまびらかにするもので、「この氣志團万博も大きなプレッシャーに潰されそうになったことも多々ありますし、いろんなことがあって当日迎えて……。でも朝イチに直太郎があの糶から上がってきて発声してくれた瞬間に『俺今年もやれる』って思えるんですよね」と信頼を寄せる綾小路のトークが一転、「でもギャラは申し訳ないですけど大幅に下げさせてもらいました」という噴飯もののオチが挟まれる。さあ、エターナルボーイこと森山直太朗、凱旋である。


前述の綾小路の期待を裏切らず、糶上がりから登場した森山(何故かBGMはケツメイシの“さくら”)。するとおもむろに『氣志團万博と私』と題された手紙を懐から取り出し、真剣な表情で読み上げていく。一瞬カメラに収められた手紙の文面にはコロナへの思いとライブへの渇望、そして此度のオンラインライブの成功を願った文面がびっしりと書き込まれており、時折あからさまに涙を流すフリをして笑いを誘う点も、テレビ番組での歌唱等で真面目に映る彼とは違う綾小路の友人・森山直太朗としてのファニーな部分を垣間見ることが出来た。

 


森山直太朗 - 「最悪な春」


持ち時間15分という短い時間の中、歌われたのは誰もが知るところである“さくら”と、緊急事態宣言が発令された頃に歌詞を記したという新曲“最悪な春”の2曲。“さくら”の前半部では自身の歌声のみという完全なるアカペラで進行し、次第にフィンガースナップと足踏みでパーカッション的要素を追加するオンラインがもたらす静寂を最大限利用した試みで魅せ、続く“最悪な春”では森山による直筆の歌詞が画面右側に表示される中、卒業式の消失や無人のカフェといった、まさにコロナウイルスによって『最悪な春』となった今春のリアルを強烈に訴えた。そして最後はモノマネ芸人・コロッケを彷彿とさせるくしゃくしゃな変顔で「ありがとうございました……」と口パクで語りながらお辞儀をし、此度の氣志團万博の成功を願ってステージ袖へと消えていった。実際の彼自身がどのような思いでこの日を迎えていたのかについては想像に難くないけれども、全てのライブを終えた今分かるのは、今鳴るべき2曲でもって真摯に魅せる一面とフェスの幕開けを明るく飾るトップバッターとしての一面は、氣志團万博2020における自身の役割を十二分に理解したこれ以上ない折衷案にも思えてならなかった。

【森山直太朗@氣志團万博 セットリスト】
さくら
最悪な春

 

~開幕宣言~(15:15~15:20)

森山が去った後、ステージに神妙な面持ちで綾小路が登場。そう。氣志團万博恒例となる開幕宣言である。綾小路は此度の氣志團万博の開催理由を説明した後「わかっているのですか!あなたたちは、チケットを買ったんです。いいですか。あなたたちのしたことは、懸命に働く全バンダー(バンドマン)への愛に他ならない。ここに感謝をせずに、到底演奏することなど出来ません!」と語る。その口調こそ真面目ではあるものの、時折口をアワアワと震わせる誇張した表情を見ていると、不思議と笑いが溢れてしまう。


いつしかバックに半沢直樹のBGMが流れ出せば、「早割5500円。当日6000円ものチケットを購入したあなたたちは、もはやただのお客さんではない!日本のロックを……エンターテインメントを救った救世主だ!そしてあなたたちが買ったのは、チケットじゃない!この国の音楽の未来だ!私はやられたらやり返す。この借りは、必ず返します。今日中に全員まとめて、恩返しだ!氣志團万博、開催いたします!」と半沢とも大和田常務ともつかない変顔で宣言すると、長谷川町子や鳥山明、宮下あきらといった著名な漫画家のタッチで描かれた氣志團万博オリジナルの出演者のアーティスト写真が声優・立木文彦のアナウンスと共に次々と出現し、いよいよ本編最初のアーティスト、ももいろクローバーZ with our soulmate DMBのライブの幕が切って落とされた。

 

ももいろクローバーZ with our soulmate DMB(15:20~15:50)

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今年で何年連続出場なのか一瞬分からなくなってしまう程、長きに渡って氣志團万博を彩り続けてきたももクロ。開始前はソーシャルディスタンスの観点から、てっきりオケを流しながら4人のみが歌い踊るパフォーマンスに終始するだろうと思っていたが、実際はバックバンドを従えた完全なるバンドセットであり、後半では新体操選手や空手家、スイマー、レスラー等に扮した多数のダンサーもオンステージでステージを占領。セットリストに関してもライブ映えするももクロの楽曲群を、氣志團のカバー“BANG ON!”と“Don't Feel, Think!!”でサンドイッチするという予測だにしない30分となった。

 


【Momoclo MV】ももいろクローバーZ「stay gold」Music Video


ダンサブルなSEに乗せて制服姿でステージに歩み出たももクロ。その姿は可愛さ以上に大人びた雰囲気を感じさせる代物で、ある種艶かしいダンスを展開する開幕の“BANG ON!”では大人の色気を振り撒きつつ歌い踊るも、終了後のMCでは佐々木彩夏が「みんなに会えなくてマジぴえん」と語った瞬間、リーダーである百田夏菜子がすかさず「それは(年齢的に)無理があるってあーちゃん!」と突っ込むなど至って楽屋的な、肩肘張らない雰囲気で魅力していく。


前述の通り、ラストに披露されたのは氣志團の“Don't Feel, Think!!”のカバーだ。日々ネガティブな思いを抱える若者に向けて叫ばれる《感じるな 考えろ!!》との激励と、そうした鬱屈した精神を《あの頃の俺に似ている》とかつての自身に投影し、肩を叩く一面が優しく光る“Don't Feel, Think!!”。かつてはももクロのアウェーな空間として賛否両論が巻き起こった氣志團万博も、今年で9年目。今では称賛の追い風を受け、名実共に氣志團万博に欠かせないアーティストの一組となったももクロである。故にサビ部分の《感じるな 考えろ!!》と笑顔で熱唱する様は、何よりの勝利宣言として響き渡っていた。楽曲中盤ではメンバーがおもむろに制服を脱ぎ、その下に着ていた氣志團万博2020のオフィシャルTシャツをカメラにアピールしながらのパフォーマンスで氣志團とももクロの信頼を画面越しに届け、最後はステージの全員が合図と共にジャンプ。


高城れにによる「氣志團さん!キュンでーす!」とのメッセージを最後に、颯爽とステージを去ったももクロ。続いての東京スカパラダイスオーケストラのVTRに移行する前に一瞬マイクが拾った、遠方から観ていた綾小路による「すげー。マジすげー」との一言が、この日の彼女たちのライブを総括するかのように響いていた。

【ももいろクローバーZ with our soulmate DMB@氣志團万博 セットリスト】
BANG ON!(氣志團カバー)
MOON PRIDE
WE ARE BONE
stay gold
Don't Feel, Think!!(氣志團カバー)

 

東京スカパラダイスオーケストラ(15:50~16:20)

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ライブ前には是が非でもスカパラとのコラボレーションを果たしたいと願う綾小路に対し、結果としてaikoとの共作となった新曲の報を谷中敦(Baritone sax)がaikoとのコラボ写真を添付して綾小路の元へ送ったところ、下心の有無を問う下卑た返答が戻ってきた(谷中敦曰く「親切心が嫉妬心で帰ってきた」とのこと)という噴飯もののVTRが流れ、ライブへ移行。まずはスカパラ初のトリビュートアルバム『楽園十三景』にて“砂の丘 ~SHADOW ON THE HILL~”を氣志團が演奏したことへの敬意からか、同曲を高らかにドロップし開幕を飾ったスカパラ。


今回のセットリストは30分の持ち時間にアッパーな楽曲を敷き詰めた言わばフェス的な代物であったが、谷中の「今年は全く夏らしいこと出来なかったんでね。夏の締め括りに氣志團万博、あればいいなって思ってました」とするMCを鑑みるに、彼ら自身オンラインという特殊な環境下ではあれど、やはり重鎮のライブバンドとしてライブへの渇望は並々ならぬものがあったのだろうと推察する。

 


東京スカパラダイスオーケストラ 「Paradise Has No Border」(Live Ver. ゲスト:さかなクン)


“仮面ライダーヤイバー”で仮面ライダー特有の変身ポーズを再現する大森はじめ(Percussion)も、“Paradise Has No Border”でGAMO(Tenor sax)が「今日はどこの家庭が一番盛り上がってるんだー!」と叫ぶ場面も。それは彼ら自身がこの場を楽しんでいる何よりの証明であり、更にはそうしたバンド全体のハピネスな感情が回り回って画面越しの我々の興奮に直結するような無限構造さえ出来上がっている感もあり、グッと心を掴まされる。


ラストはもちろん、スカパラ屈指のライブアンセム“DOWN BEAT STOMP”でシメ。ソーシャルディスタンスを無視するが如く9人が演奏を繰り広げる中、アウトロでカメラに向かい「ウィーアー・東京スカパラダイスオーケストラー!」と叫んだ谷中の表情は、我々が良く知る屈託のない笑顔に溢れていた。

【東京スカパラダイスオーケストラ@氣志團万博 セットリスト】
砂の丘 ~SHADOW ON THE HILL~
5 days of TEQUILA
仮面ライダーセイバー
Paradise Has No Border
リボン feat.綾小路 翔
メモリー・バンド
DOWN BEAT STOMP

 

サンボマスター(16:20~16:50)

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ゴダイゴによる“Monkey Magic”というお馴染みのSEに呼び込まれたサンボマスター。サンボマスターのライブではCD音源の原型を留めないほどの突発的な語りを山口隆(Vo.G)が幾度も絶叫することで知られているが、それは氣志團万博という持ち時間30分の短いオンラインフェスの場でも健在で、1曲目“世界をかえさせておくれよ”の時点で「あれ?氣志團万博ではサンボマスター盛り上がらない協会の皆さんじゃないですよね?無観客とか関係ねえんすよ俺たちは!」と叫び、画面越しで観ている観客に対して「聴こえないんですけど皆さーん!」と無声の熱唱を要求。


「全員優勝!全員優勝!」との半強制的なコール&レスポンス、「準備いいすか?」「行きますよ?」に象徴される全曲のクライマックス感、「もっとすげえライブ、出来る人ー!」の煽り……。興奮に火に油を注ぐ勢いで幾度も焚き付けるその様は、もはや遠い思い出となってしまったサンボマスターの生身のライブにおけるどこまでも天井知らずの熱狂と「まだ行ける、まだ行ける」という山口の心中の渇きを体現するようでもあった。

 


サンボマスター / 花束 MUSIC VIDEO


ラストを飾ったのはコロナウイルスが猛威を震う渦中に配信リリースされた新曲“花束”。山口はこの日披露された様々な楽曲と同様に頻りに叫び倒し、ファンや氣志團、ライブ関係者に感謝の思いを具現化したそれを凄まじい熱量で届けていく。後半では演奏をピタリと止め「何が花束かって、決まってるでしょ。氣志團万博観てくれてるあなたが花束ですよ。氣志團万博主催してくれてる氣志團こそ花束ですよ。出てくれてるあなたこそ花束ですよ」と山口がカメラに向かって唾を吐かん勢いで捲し立てると共に、轟音の中「愛してる!」と絶叫。繰り返すが今回のライブはオンライン。故に観客はひとりもおらず、必然有観客時代の彼らのライブで頻発された、観客を指しての「良い顔してるぜ!」や「泣くんじゃねえぞ!」等の叫びは徹底してカットされていた。けれどもその興奮は間違いなく画面を通してでも多くのリスナーの心に伝わったろうし、ライブ自体も有観客と比べて遜色ないようにも感じられた、ロック然とした代物であった。天晴れ。

【サンボマスター@氣志團万博 セットリスト】
世界をかえさせておくれよ
忘れないで 忘れないで
できっこないを やらなくちゃ
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
花束

 

ゴールデンボンバー(16:50~17:20)

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続いての出演アーティストは唯一無二のエアーバンド・ゴールデンボンバー。VTRでは「氣志團万博のライブでは8回全裸になってる」というメンバートーク然り、股間のアップがやたらと多いカメラワーク然りある種の危惧を感じてはいたが、やはりというべきか。メンバーは股間に黒い前貼りを貼り付けただけのほぼ全裸の状態でステージに現れると、1曲目“#CDが売れないこんな世の中じゃ”に雪崩れ込む。


楽曲の求心性もさることながら、何より気になるのはポロリの危険性を孕む彼らの下半身。足を高く上げる、真横を向く等激しいダンスを繰り広げる様にはハラハラしっぱなしだが、そんな思いはどこ吹く風とメンバーのダンスはどんどんハイカロリーなものとなっていき、色々と目のやり場に困る。

 


ゴールデンボンバー「抱きしめてシュヴァルツ」Live 2012/6/10 大阪城ホール


ファンには周知の事実だが、彼らはライブの都度、MCにて散りばめられた伏線を次曲で回収することでも知られているが、今回も例に漏れず喜矢武豊(Gita-)が「最近(瑛人の)香水にハマってるんだよね」、樽美酒研二(Doramu)が「iPhoneって、難しくて使いこなせないですよね……。でも実はSiriって物凄く便利なんです」とのトークを繰り広げると、続く“抱きしめてシュヴァルツ”で喜矢武はかき氷に香水……もといシロップをかけて一気食い。樽美酒は尻を突き出したSiri風の衣装に身を包み、鬼龍院翔 (Vo-karu)が「ディズニーの熊のキャラクター何だっけ?」と問うと屁の音色が響き渡り、瞬間鬼龍院が「“プー”さんだー!」と喜びの声をあげるという抱腹絶倒の展開に。その後も氣志團万博印のバウムクーヘンを喉に詰まらせた喜矢武が『ドルガバ』と書かれた一升瓶をガブ飲みしたり、同じく「ロシアの大統領は?」との鬼龍院の問いまたも樽美酒が屁で返し、「“プー”チン大統領だー!」と突っ込んだりとやりたい放題。


ラストは当然“女々しくて”。激しい歌唱で声が限界を迎えつつある鬼龍院と、ボンボンを手にチアダンサー風ダンスを踊るも遂に前貼りをペラリと捲ってしまい、違う意味で限界を迎えつつある喜矢武との対比(陰部に施された被せ物の恩恵によりギリギリセーフ)が常識はずれの笑いを生み出し、最後はお馴染みのポーズで大団円。結果として今回の彼らのライブは『日本一笑えるフェス』と豪語する氣志團万博の異名に最も即した代物となったのでは。

【ゴールデンボンバー@氣志團万博 セットリスト】
#CDが売れないこんな世の中じゃ
首が痛い
抱きしめてシュヴァルツ
かまってちょうだい///
女々しくて

 

BiSH(17:20~17:50)

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次いで出演するのは『楽器を持たないパンクバンド』こと、BiSH。もはや語るまでもないが、特に昨年~今年の活躍は目覚ましいものがあった。様々なメディアで数々の特集が組まれ(アメトーークのBiSHドハマリ芸人他)、今年発売のベストアルバム『FOR LiVE -BiSH BEST-』はオリコンランキングで自身初の1位を獲得、ライブの即日ソールドアウトは当たり前、等々……。今やBiSHは確固たる『ロックアイドル』として広く受け入れられていると言っても過言ではない。BiSHの氣志團万博出演は今回が3回目。であるからして、今回の氣志團万博の起用は言わばそんな彼女たちの挑戦的凱旋ライブとも称するべき形式だったが、蓋を開けてみればあまりに圧倒的で、一気呵成に猛然と駆け抜けた30分であった。


BiSHのパフォーマンスを称賛する綾小路のVTRを経て、袖から横並びでステージに現れ出たBiSH。ハシヤスメ・アツコが開口一番「こんにちは、BiSHでーす!BiSHは3年目も、氣志團一筋ですよー!」と笑顔で叫び、無数に存在する代表曲のひとつ“デパーチャーズ”でライブの火蓋を切った。背後に楽器隊はおらず、徹頭徹尾BiSHの6人のみに焦点が当てられるパフォーマンス。輝かしい照明効果もないため、演出としては控え目だ。しかしながらカメラに噛み付くが如くの獰猛なメンバーの一挙手一投足、そして眼前にオーディエンスの存在を錯覚してしまう程の渾身の熱唱でもって、ぐんぐんと興奮を底上げしていく。

 


BiSH/BiSH-星が瞬く夜に- [OFFICIAL VIDEO]


ラスト“BiSH -星が瞬く夜に-”ではハシヤスメが氣志團よろしく、学ランにサングラス、頭はリーゼントの出で立ちに衣装チェンジ。カメラを睨む、腰に手を当てるという馴れない一昔前のヤンキー的行動に全員が笑みを浮かべる中、ステージ前方へ歩み出ての歌唱やヘッドバンギングを行う通称『オラオラタイム』を含めた圧巻のパフォーマンスで魅了。演奏終了後は6人が「以上、私たちBiSHでした!ありがとうございました!」と感謝の思いを叫び、颯爽と去っていった。これほど素晴らしいライブを観てしまえば、BiSHの虜にならないはずがないと言うものだ。

【BiSH@氣志團万博 セットリスト】
デパーチャーズ
GiANT KiLLERS
スーパーヒーローミュージック
LETTERS
beautifulさ
BiSH ー星が瞬く夜にー

 

岡崎体育(17:50~18:20)

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ここまでロックバンド、エアーバンド、アイドルと、ノンジャンルなライブを展開してきた氣志團万博。次なる出演はフェスや対バンライブに引っ張り凧の唯一無二のソロアーティスト、岡崎体育である。「MOSSAI様こそが氣志團万博の全てを司っているということを、皆さんと一緒に体験しようじゃないか」との荒唐無稽なVTRを経てライブの幕が上げられた岡崎。話の内容を紐解くに、どれだけその名を知らしめようともメインステージであるYASSAI STAGEに出演すること叶わず昨年遂に3年連続のMOSSAI STAGE出演となった岡崎は、遂にMOSSAI STAGEの神・MOSSAI様として崇め奉られる存在へと神格化してしまったようで、宗教的な雰囲気を帯びた“MOSSAI様”のSEに乗せ、黒いマント姿でステージに歩み出たMOSSAI様こと岡崎体育。しばらくの間こそ厳かなムードに包まれていた会場だが、続く《YASSAI STAGEに出る予定の人 前日に×××がバレたらええのに》とするYASSAI STAGE出演者への嫉妬と《YASSAI STAGEでライブ観てる人 家の鍵とか失くせばええのに》とYASSAI STAGEばかりに目を向ける観客へのヘイトを具現化した“MOSSAI様の憂鬱”でもって、いつのもファニーな岡崎のライブに一転。


2ちゃんねる上で壮絶なレスバを繰り広げた果てに、人格権の侵害における損害賠償請求の主張や「知り合いに警察やってるやついるから」との書き込みにより岡崎が完全敗北を喫する新曲“Fight on the WEB”で爆笑の渦へと誘うと、終盤2曲は楽器隊を従えての緩やかな“龍”、お馴染みの「ちょっと、それ、どっちのえー!」との無音のレスポンスに次いでストリングスのサポートメンバーを招いて披露された新曲“Eagle”を披露。なお今まで一貫してサポートを入れず自分自身でPCの再生ボタンを押してライブを進行していた岡崎が今回楽器隊を率いた理由については、昨年行われたさいたまスーパーアリーナのワンマンが大成功に終わったことで、自身の新たな音楽表現の形を考えた結果であるという。故に今回のライブはエンタメ性という周知の部分で笑いを誘うものであったと共に、岡崎体育における第2章の幕開けを飾るライブでもあった訳だが、おそらく今回彼のパフォーマンスを刮目した全ての人間は、今年以降の彼は紛れもなく安泰であると確信したことだろう。それほどの力が、彼の此度のライブには宿っていた。

【岡崎体育@氣志團万博 セットリスト】
MOSSAI様(SE)
MOSSAI様の憂鬱(新曲)
Fight on the WEB(新曲)

Eagle(新曲)

 

瑛人(18:20~18:30)

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コロナウイルスに東京オリンピック延期に新首相誕生など、様々な変革があった2020年。中でもネガティブな意味で象徴的な出来事として映ったのは言うまでもなくコロナウイルスの存在で、無論音楽業界もその影響を強く受けた訳だが、新進気鋭のアーティストが突如として注目を集めるという素晴らしき図式だけは今までと何ら変わることなく、未曾有のコロナ禍における数少ない現実逃避の手段として垂直に立っていた。そうした中、SNSを中心に特に巨大なバズを巻き起こしたものこそが瑛人の“香水”であり、結果として現時点でのYouTube上で公開されたMVは1億再生の大台に乗り、ストリーミングも同様に爆発的再生数を記録している。

 


香水 / 瑛人 (Official Music Video)


ステージに現れたのは瑛人と、かねてより共に楽曲製作に携わってきた旧知の仲であるジュンちゃん(小野寺淳之介)。まずは“HIPHOPは歌えない”をしっとりと歌い上げ、続いては“香水”……と思いきや、瑛人が歌い始めると同時に森山直太朗と綾小路が乱入するという予想外の展開から、テーマなしのアドリブトークへと移行。トークでは瑛人がレーベル・セツナインターナショナルに所属するに至った契機が綾小路による「直太朗のとこがいいんじゃない?」との一言であったこと、瑛人は森山をプライベートでは『オジキ』と呼んでいること、香水がブレイクを果たした今、これからが最も大変な時期であるということ等が笑いを交えながら語られ、ラストは“香水”の生パフォーマンスに期待を寄せるふたりの思いに答えるように“香水”をしっとりとプレイ。ジュンちゃんによるギターの音色が鳴り止むと、瑛人はとびきりの笑顔でカメラを見詰めていた。

【瑛人@氣志團万博 セットリスト】
HIPHOPは歌えない
香水

 

HYDE(18:30~19:00)

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唯一神、再降臨……。日本ロック界における帝王としての注目を一身に浴びし風雲児・HYDE、またもや氣志團万博に出陣である。彼自身、2月後半から3月上旬にかけて4ヶ所を回るL'Arc~en~Cielのツアーが全公演開催中止に追い込まれ、更にはソロ名義で出演予定だった夏フェスも同じく中止となった。VTRで綾小路の口から「自粛期間中のHYDEは庭の芝刈りをしてたらしい」というそのイメージとは対極に位置する生活が白日のもとに晒されたが、今回のライブは自粛を余儀なくされたこの数ヵ月間に燻らせた猛りに猛った内なる炎を全放出するが如くの、まさに言葉の通り悪魔的な代物となった。


VTRが終わり映像がステージへと切り替わると、そこには膝を折り曲げ、アップで映し出されるHYDEが獲物を捉えるが如く、じっとこちらを見詰めていた。そして「今年はやっと木更津に行けると思ったんだけど、まさかこんなことになるとは思わなかったよね……。でもピリオドの向こうへは、こっからでも行けんだよね。さあ行こうか……」と静かに呟いたHYDEは、口紅が塗られた自身の唇を触り、左頬に向けてゆっくりと滑らせていく。その妖艶とも不穏ともつかない一連の流れからふいに立ち上がり、楽器隊に合流したHYDE。瞬間、マイナーコードを多用した重々しいサウンドが激しく鼓膜を震わせる。

 


HYDE - BELIEVING IN MYSELF


その圧倒的な存在感でもって、ロックの帝王たる所以を存分に見せ付けたHYDE。最終曲“BELIEVING IN MYSELF”ではステージ前方へと進み、慟哭とも咆哮ともつかない絶唱を幾度も繰り出しながら跳び跳ね続け、いつしか暗さを帯びた照明が微かに照らすダークな会場には、やりきった表情でカメラを見詰めるHYDEの姿が映し出されていた。「楽しい」や「最高」との端的な感情表現では到底説明し得ない、名状し難い雰囲気を携えて進撃した30分。画面越しに誰もが息を飲んだと言っても過言ではない、あまりに稀有な時間であった。

【HYDE@氣志團万博 セットリスト】
MAD QUALIA
SICK
ANOTHER MOMENT
AFTER LIGHT
LET IT OUT
BELIEVING IN MYSELF

 

EXIT(19:00~19:30)

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数あるお笑い芸人という枠組みにおいて、名実共に令和的ブレイクを果たした一組、EXITが氣志團万博初登場。氣志團万博は長い歴史で幾度となくオープニングセレモニーアクトと冠された朝イチの時間帯でお笑い芸人を起用してきた経緯があるため、今回のEXITの起用は一見、その枠に準ずるようにも思えるだろう。だが今回のEXITのライブは純然たる事実として、持ち時間のほぼ全てを楽器……つまりは『アーティスト・EXIT』としての時間に充て、漫才はおろかMCらしいMCもほぼなしという音楽に振り切ったパフォーマンスとなった。


2018年の後半を境に、ストリーミング配信やシングルリリースなど、いちアーティストとして多種多様な楽曲を世に送り出してきたEXIT。今回のライブでは原曲をフルサイズで投下することはせず、EDMのライブ等で行われるような、様々な楽曲をインターバルを挟まず繋げていく所謂『リミックス型』のパフォーマンスに終始。その都度多数のダンサーを率いた軽やかなダンスと、美声を駆使したふたりの歌唱で魅了していく。

 


EXIT×Da-iCE「I got it get it feat.Da-iCE」MUSIC VIDEO dance ver.


中でも抜群のエンタメ性を誇っていたのが、椎名林檎の“丸ノ内サディスティック”や8.6秒バズーカーのネタのひとつである『ラッスンゴレライ』、RADIO FISHの“PERFECT HUMAN”、そしてDJ OZMAの“アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士”を連続で披露したメドレー部分であり、“アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士”ではDJ OZMA……こと綾小路翔が乱入。クライマックスの《Bounce! Bounce! Bounce!》の一幕でダンサーを含めた全員がパンツ姿となり、暗転。暗闇に包まれたステージに「おあとがヒウィゴー!」とのりんたろー。の一言が反響する形で、EXITにおける長い芸人人生における大舞台は大団円で幕を閉じたのだった。

【EXIT@氣志團万博 セットリスト】
I got it get it feat.Da-iCE
ネオチャラ (フィーチャラリングDJ DEKKA)
ぴえんは似合わないぜ feat.スカイピース
丸ノ内サディスティック(椎名林檎カバー)
ラッスンゴレライ ~CLUB MIX~(8.6秒バズーカーカバー)
PERFECT HUMAN(RADIO FISHカバー)
アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士(DJ OZMAカバー)

 

女王蜂(19:30~20:00)

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EXITの華やかな照明から一転、ステージは一際ダークなムードに包まれる。続いては唯一無二の個性で人気を博すロックバンド・女王蜂が、氣志團万博に満を持しての初出演だ。


まずはテレビアニメ『どろろ』のオープニングテーマに抜擢され、広く女王蜂の名を知らしめた契機とも言える“火炎”からライブはスタート。今回のセットリストはとりわけ自身5枚目となるフルアルバム『Q』以降のアルバム楽曲を軸に練り上げられていて、以降はオートチューンを介したアヴちゃん(Vo)による“金星”、どことなくバブル時代を彷彿とさせるサウンドが特徴的な“ヴィーナス”、韻を踏んだリズミカルな発語で惑わせる“BL”と続いていき、その絶大な存在感とロック然とした楽曲の求心性でもって途中休憩もほどほどに駆け抜けていく。

 


女王蜂 『火炎(FIRE)』Official MV


観る者に絶大な印象を与えたのは間違いなく、元々アルバム『孔雀』に収録されていた“告げ口”にライブ的音像を加えて再構築した“あややこやや”だろう。歌われるのはイジメや性的行為、生徒に対する教師の凌辱といった口にするのも憚られるような事象の数々であり、ひた隠しにされてきたそれらの告発がおどろおどろしいサウンドと共に襲い来る様は、さながら恐怖体験とも言うべき代物。ステージの中心で一身に注目を浴びるアヴちゃんは少女の語りや泣き声はファルセット、教師への詰問等『ネガティブな事象』の発生を招いた張本人を追い詰める場面では低音と、声のトーンを事あるごとにスイッチし、気が狂わんばかりの怒りの全てをぶち撒ける。最終曲は昨年発売のアルバム『十』からミドルテンポな“Introduction”を送り出し、圧巻のライブはその幕を閉じた。バンド然とした興奮と異様な音像、背筋が凍る恐怖等、様々な感情をごった煮した稀有な体験が、そこにはあった。

【女王蜂@氣志團万博 セットリスト】
火炎
金星
ヴィーナス
BL
あややこやや
Introduction

 

渋谷すばる(20:00~20:30)

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時刻は20時。一等星が眩しく瞬く時は、刻々と近付いてきていた。そう。誰もが知る日本を代表するアイドルグループ・関ジャニ∞からの電撃的脱退から、ソロアーティストへと華麗なる転身を遂げた渋谷すばるが、氣志團万博に満を持しての参戦である。


今年の彼は『渋谷すばる LIVE TOUR 2020 「二歳」』と題された全国ツアーも当然の如く一般発売開始時点で全箇所が秒速でソールドアウトしたものの、国外公演についてはコロナウイルスの影響により中止を余儀なくされる事態に。故に彼のライブパフォーマンスを目撃すること自体が極めてレアな状況下となりつつある現在において、今宵の氣志團万博における彼のステージはいちファンにとっても必ずしもそうではない人々にとっても、あまりに貴重な瞬間でもあったのだ。

 


渋谷すばる『ワレワレハニンゲンダ』 [Official Live Video]


セットリストは昨年リリースのデビューアルバム『二歳』と、来たる11月11日にリリースを予定されているセカンドアルバム『NEED』から満遍なくフィーチャーされる形を取っており、更に演奏面では関ジャニ∞時代と同様ギターをプレイ出来るはずの渋谷は一貫してブルースハープのみの演奏を試みていて、その無骨なスタイルが何よりも雄弁に漢・渋谷すばるのフロントマン然とした立ち位置を明確にさせていた。更にはマイクケーブルを首後ろにぐるりと回してマイクを握る様も粋で、そのボーカリストとしての決意すら感じさせる立ち振舞いには思わず惚れ惚れしてしまう。


「まだまだ安心できない日々が続くかもしれませんが、音楽、エンターテインメントと一緒にみんなで仲良く、楽しんで生きていきましょう。ありがとうございました。渋谷すばるでした」とのメッセージと共に、最後は希望的未来を切望する新曲“素晴らしい世界に”を首筋の血管が浮き上がる程の渾身の絶唱で魅せた渋谷。その表情は全てを力を出し尽くしたかの如く、どこまでも晴れやかだった。

【渋谷すばる@氣志團万博 セットリスト】
たかぶる(新曲)
ワレワレハニンゲンダ
来ないで
風のうた(新曲)
素晴らしい世界に(新曲)

 

Dragon Ash(20:30~21:00)

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時刻は夜の20時半を回った。本来の夏フェスであれば若干の疲労感を覚えつつ、最終アーティストのライブに臨んで然るべしな時間帯ではあるが、宴はまだまだ終わらない。最も、次なるアクトがロックバンド界の重鎮・Dragon Ashとなれば尚更である。


押し合い圧し合いで視界が斜めになるようなモッシュ・ダイブがそこかしこで巻き起こる激しいライブで知られる彼らがオンラインの環境下でのライブパフォーマンスの展開に期待が高まるのはもちろん、DRI-VとATSUSHIという2名のダンサーが去る9月4日に脱退し、新体制となってからは初のパフォーマンスとなる。

 


Dragon Ash「百合の咲く場所で (Live) -2014.5.31 NIPPON BUDOKAN-」


おそらくこれは彼らなりのかつての有観客ライブへの渇望を逆説的に唱える試みであると思われるが、コロナ禍における彼らは結成から今年に入るまでの数十年間、ほぼ例外なく組み込んでいた“Fantasista”を極力セットリストから外し、モッシュが頻発する楽曲以上に、緩やかな楽曲を多数披露する傾向にある。それはこの日も同様であり、終盤の“百合の咲く場所で”と“A Hundred Emotions”を除く楽曲はBPMの比較的遅めの楽曲に統一されていたのが印象深かった。


かつてのようなライブ体験が失われた今、彼らは何を思い、何を求めるのか……。その答えを痛烈に表したのは、最後に鳴らされた“A Hundred Emotion”であったのではなかろうか。《音楽は鳴り止まない/感情はやり場がない/日々を音楽が助け出すように(和訳)》と真摯な表情で歌いかけるKj(Vo.G)は、まるでやり場のない怒りとも寂寥ともつかない整理不能な心中を、無造作に吐き出しているようにも見えた。MCらしいMCはなし。かつて“百合の咲く場所で”で頻発されたKjによる導火線に点火するが如くの煽りもなし。セトリ然りパフォーマンス然り、ある意味ではDragon Ashらしくないとも言える熱演は、在りし日の興奮を改めて回顧させるものでもあった。

【Dragon Ash@氣志團万博 セットリスト】
静かな日々の階段を
Fly Over feat.T$UYO$HI
Ode to Joy
ダイアログ
百合の咲く場所で
A Hundred Emotions

 

米米CLUB(21:00~21:30)

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今年のセミファイナルを飾るのは、かつて氣志團万博のトリを務めた経験も持つ米米CLUB。なお今回のライブはブラスバンド、コーラス、ビッグホーン等を大勢引き連れた10人をゆうに超える大所帯で進行。故にロックフェスの一幕と言うよりは、巨大なホールで開会される大規模な歌謡ショーとも称すべき異次元体験となった。


まずはフェス環境下に相応しい“あそぼう”、“愛 Know マジック”を披露すると「こんなに素晴らしいコンサートをちっちゃなスマホで観てるきみ。本当に気の毒だ。こんなに楽しいのにね……」とカールスモーキー石井(Vo)がボソリ。次いで「ヒットメドレー行ってみましょうか。君がいるだけで……この頃は略して『君いる』とか言われちゃったりしてね。ちょっとムッとするこの頃なんですけど……」と語ると、誰もが知る米米CLUBのかの名曲“君がいるだけで”のイントロが流れ期待を煽る。しかしながら次の瞬間に披露されたのは「きみ!いる!」と叫ぶのみで秒速で終わってしまうその名も“君いる!”を投下。続く大ヒット曲“浪漫飛行”についても、楽曲披露前の石井は「ろまっ……こー!」や「ろっ……こおー!」と徹底してふざけ倒し、最後まで正式なタイトルを明言することはなかったが、その肩の力を抜いた独特の緊張感のなささえも今年結成38年目を迎える米米CLUBのベテランの風格を堂々と見せ付けるようで、格好良い。


以降はもうひとりのボーカル・ジェームス小野田(Vo)がステージに降り立ち、メインボーカルを引き受ける。山本リンダのカバー曲“どうにもとまらない”とアッパーなファンクロック“Shake Hip!”を鳴らすと、ラストは石井と小野田以外の全メンバーがステージを降り、徹頭徹尾ふたりだけの悪ノリ一歩手前のアカペラ歌唱で“アバンギャルド”を高らかに歌い上げ、友人との飲み会の帰路を思わせる自然な雰囲気でもって互いの肩を抱きながら去っていった。

【米米CLUB@氣志團万博 セットリスト】
あそぼう
愛 Know マジック
君いる!
浪漫飛行
どうにもとまらない(山本リンダカバー)
Shake Hip!
アバンギャルド

 

氣志團(21:30~22:10)

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事前VTRと開幕宣言を除いたアーティストの演奏時間だけを考えても、時間にして7時間以上にも及んだ今回の氣志團万博のトリを飾るのはもちろん、我らが氣志團だ。早乙女光(Dance.Scream)が繰り出すキャッチーなダンスと楽器隊が織り成すメロディー、そして綾小路翔(Dragon Voice.mc.G)による直接的かつ不良風の歌詞は、誰もが1度聴けば某かが印象に残る程にキャッチー。


持ち時間は最長の40分……つまりは他の出演者の中では唯一、10分程度長い時間が与えられたライブであった訳が、そのプラスに与えられた10分の大半はMCに消費。その結果としてかなりの長尺となったMCではしきりに「オーラーイ!」と叫んだり「聞こえてんだ、お前らの声が……」と呟くなど、観客との双方向的なレスポンスを試みていたが、発語の後に必ず沈黙が支配してしまう稀有な環境下では当然やり辛い思いも存在していたらしく、綾小路は「翔やん?配信だよー。そのコール&レスポンス頑張らない方がいいよー」「準備してるんじゃなかったら、そのくだり止めたほうがいいよー」と画面越しのオーディエンスの声を代弁しての自虐を展開。果ては「今んなって気付いたよ。失笑って嬉しかったんだなって」と有観客ライブを回顧。後のMCにて、彼は人々の笑顔が見たいがためにバンドを始めたこと、そんな自分の生き甲斐である音楽活動が不要不急の扱いを受けたこと、普通と思っていた日常が普通ではなかったこと等の思いを真摯に伝え、最後にポジティブな思考変換として、コロナ禍を経た今後は「更にいろんなことを今まで以上にいとおしく思えるようになる」と締め括った。

 


氣志團 / No Rain, No Rainbow (Short Ver.)


そして《俺んとこ こないか?》を《俺んとこ GoToキャンペーン》に変化させるタイムリーな開幕から鳴らされた“One Night Carnival”、氣志團万博2020の公式テーマソングとしてこの日の様々な場面で流れていた“No Rain, No Rainbow”を立て続けに鳴らすと、最後は楽器隊が自身の武器を降ろし、志村けん&田代まさしとだいじょうぶだぁファミリー(原曲はハナ肇とクレージーキャッツ)の“ウンジャラゲ”をメンバー全員が踊りを交えてパフォーマンス。全てが終わった後「という訳で氣志團万博、ご苦労様でした!」との閉幕宣言が綾小路の口から発せられたのを契機に、氣志團万博はあまりにも天晴れな大団円と相成ったのだった。

【氣志團@氣志團万博 セットリスト】
房総魂
鉄のハート
スウィンギン・ニッポン
愛 羅 武 勇
One Night Carnival
No Rain, No Rainbow
ウンジャラゲ(ハナ肇とクレージーキャッツカバー)

 

もはや言うまでもないけれども、今年はコロナウイルスの影響でアーティストをアーティストたらしめるライブ活動は元より、音楽好きにとって非日常の象徴たる夏フェスもその規模の大きさに関わらず、ほぼ全滅となった。しかしながら絶望的な渦中でも音楽市場は決して希望を捨てず、緊急事態宣言の発令から半年が経過した今では感染予防対策ガイドラインを遵守したライブ活動やオンラインライブ等、緩やかにではあるが再生への道を歩み始めている。


ただ今回の氣志團万博2020のようなアーティストの豪華さ然りライブの雰囲気然り、実際の夏フェスの熱狂を出来る限りパッケージングし、ここまで夏フェスさながらの長時間ライブを敢行する試みはコロナ禍において初と言って良いし、今回の森山直太朗やももいろクローバーZの熱いMCに顕著だが、氣志團と親交のあるアーティストにとって『氣志團万博』という夏フェスがどれほど一年の一大イベントとして確立しているのかという事象についても、しみじみと感じ入った次第だ。


開演時のVTRにて、綾小路翔は“One Night Carnival”の一節を用いて「来年こそは俺んとこ来ないか?でも今は俺んとこ来ないで、お前ん家で会おう」と清らかな笑顔で語っていた。そう。今年の氣志團万博はとどのつまり、氣志團万博の連続的継続……ひいては輝かしき来年度への布石なのだ。氣志團万博2021は是が非でも野外での開催に漕ぎ着けてほしい思いと共に、誰よりも彼自身の口から発せられる、あの日あの場所で幾度となく聞いた「俺んとここないか?」のフレーズを再び耳にしたいと強く願って、此度の1万7000字にも及んだ氣志團万博2020のレポートの締め括りとする。来年は必ず、あの野外の袖ヶ浦海浜公園で会おう。