キタガワのブログ

島根県在住。音楽ライター。酒浸り。

映画『Fukushima 50』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。

 

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2011年3月11日。東日本大震災および福島第一原子力発電所事故が発生したあの忌まわしき日の爪痕は、あれから数年間もの時を経たにも関わらず今なお多くの日本国民の心をざわつかせ、薄れることはない。


死者1万5899人、行方不明者2529人という未曾有の大災害の様相を呈したあの日の出来事は決して風化させてはならない事件であり、同時に後世に語り継ぐべき悲劇であった。この記事を書いているのは3月13日だが、11日も12日も、そして今日この日においても、テレビでは当時の震災の様子と今に生きる福島の住民へのインタビューがひっきりなしに流れている状態で、当時の福島がどれほど悲惨な状況であったのかを改めて感じ入る次第だ。


何故冒頭に長々と東日本大震災の話を述べたのかと言えば、それは今回鑑賞した映画『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』が福島第一原子力発電所をテーマとした映画であるためだ。


……『Fukushima 50』は当時の福島原発の現場で働いていた作業員にスポットを当て、どのようにして現状打破を図ったか、そしてあの場で何が起こっていたのかをつまびらかにした映画作品である。映画内では実際の津波発生時の様子や内部状況が事細かに描写され、まさに3.11の惨状を後世に残すという意味ではこれ以上ない映画であったと思う。


しかしながら僕は今作『Fukushima 50』は、あまり好意的には鑑賞できなかったというのが正直なところだ。具体的にはこれが19時、もしくは21時辺りの時間帯で放送される2時間の民放ドキュメンタリー番組であれば、僕は迷いなく100点を付けるだろう。けれども忘れてはならないのは、今作がひとつの『映画』であること。映画には起伏や重要ポイント、類い稀なるメッセージ性が必要不可欠だが、今作はそれが平均より下の水準で留まっているのだ。


まず大きなマイナス点として、全体のシナリオ進行。今作は基本的に「○○が破裂しました!」→解決→「○○の数値も低下しています!」→解決……との『ずっとヤバい状況』が連鎖的に発生する。例えば物語自体に何らかの起伏があれば許容できる部分ではあるが、今作は主人公らが陥っている状況が「絶体絶命の封鎖空間」であるため登場人物全員が常に気を張っている。そのためいささか冗長な感も否めなかった。


そして大きなひとつが気になると細かいことも気になってしまうもので、強引すぎる政府の言動(当時の総理大臣・菅直人とは似ても似つかない態度の悪さがある)や各種問題提起の薄さ、更には登場人物が多過ぎて一部空気化してしまっているなど、2時間構成の映画としてはお粗末な部分も散見された。


もちろん一概に「この映画は駄作だ」と激を飛ばすわけではない。原発現場で尽力する作業員の熱意も感じられたし、CGは作り込まれていたし、後半では心をグッと掴まれる部分もあった。けれども前述の通りひとつの『映画』として観る分には首を傾げてしまう箇所も多く、総じて「ちょっと微妙かなあ」との結論に至った次第である。


これも前述の通りだが、この映画は言わばドキュメンタリードラマなのだ。極端な話をしてしまえば、今作の端々にテロップとワイプで抜かれる芸能人、そして「この後、驚くべき展開が彼らを待ち受けていた……」とのナレーションとCMを挟むだけで、『Fukushima 50』は完全なるドキュメンタリー番組になる。ここで僕が声を大にして言いたいのは「じゃあそれって映画なの?」ということ。だからこそひとつの『映画』として評価した時、残念ながら低評価を下さざるを得ないのだ。


余談だが、今作は公開に至った直後辺りから、SNS上や新聞各紙で多くの批判が巻き起こっている。映画レビューサイトは賛否両論の嵐となり、中には「現政権への批判だ」といった意見や「福島県民の傷を抉っている」、「原発がまだ廃止に至っていないのに何故公開したのか」と被害者側に立って異を唱える者すらいた。


そうした風潮を踏まえて僕が思ったことは、「やはり実際に映画を観ないと何も分からない」ということ。事実僕は今作を観て「福島馬鹿にしてるのか」とは全く考えもしなかったし、政府批判と揶揄される箇所についても確固たる意図の元で作られていることは間違いなかった。どうか当記事を読んでくださる皆々様には、SNS上の評価だけを観て「微妙だ」とは思わないでほしいと強く願う。


僕はこの映画……微妙だったけれども……。


ストーリー★★★☆☆
コメディー★☆☆☆☆
配役★★☆☆☆
感動★★★☆☆
エンターテインメント★★☆☆☆

総合評価★★☆☆☆

 


映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)予告編