こんばんは、キタガワです。
去る第44回日本アカデミー賞授賞式で『とある作品』で主演を務めた草彅剛が、ステージで何度も口にしていた「マジすか……」の言葉が、今でも印象に残っている。『浅田家!』や『Fukushima 50』、『罪の声』ら多数の候補を退け、ある意味では大穴の最優秀賞に輝いたのは『ミッドナイトスワン』。草彅剛演じるバイセクシュアルの主人公が、家庭内暴力を受けるひとりの少女を保護したことで起こる心情の変化を描いたヒューマンドラマだ。
まず最初に断っておくと、今作に対する評価は真っ二つに分かれている。その理由については実際2時間をこの映画のために費やした人のみぞ知るというところなのだが、ざっくり示してしまうと、とにかく今作は様々な人との繋がりにフォーカスを当てるシーンが頻繁する、というのがまずひとつ。……話は完全に脱線するのだけれど、例えば他者が何かをアピールするとき「私は○○を頑張ってきました!」とひとつだけを語るのか、「私は○○と○○と○○を頑張ってきました!」と何個も語るのかでは、大いに印象が違ってくる。そしておそらく後者の方が、しっかりと人となりを伝える上では適した回答だろうとも思う。
ただ、これは話が何時間も続くから成立するものであって、それこそ面接だったり僅かな休憩時間だったりでこうした話をされると、正直冗長な印象は否めない。個人的にはこれと同じ感覚を、この映画には抱いてしまった。故に鑑賞後に「このシーン本当に必要か?」と感じる場面もかなり多く、これについては人それぞれなのだろうとも思ったりもするが、意図的に様々な方向に話をバラけさせた『ミッドナイトスワン』の在り方が個人的には刺さらなかった、というだけの気もする。
そしてもうひとつ、今作はやはり絶対的に『主人公に感情移入が出来るかどうかで評価が変わってしまう点』が挙げられる。例えば陽キャと陰キャが決して混じり合わないように、特にバイセクシュアルを扱う今作では共感するしないが如実に評価に反映されるのは必然で、それらが賛否両論の根本的な理由のようにも思う。それこそかつて当ブログで星5を付けた映画『新聞記者』は僕がどちらかと言えば左寄りの考えだったからというのもあるだろうし。元々感情移入しやすい人にはとてつもない刺さり方をする映画なのは疑いようもない。
なので、今作に関しては本当に自分が合わなかっただけな感想に落ち着いてしまうのだ。……2時間の尺を使うのに必要な場面があまりに多いこと、感動のラストに畳み掛けるための感情移入度が足らなかったこと。それらは全て個人的な感情欠如によるものなので仕方ないとして。当ブログは完全に個人が運営している関係上、レビューとしては若干厳し目に。総じて「難しい映画だなあ……」と僕個人としては感じたが、他の方々はどうか。是非とも実際に鑑賞してもらって、感想を教えてほしい。
ストーリー★★★☆☆
コメディー★☆☆☆☆
配役★★★☆☆
感動★★★☆☆
エンターテインメント★★☆☆☆
総合評価★★★☆☆