キタガワのブログ

島根県在住。目標は音楽ライターであり、ブロガーではありません。

映画『サバイバルファミリー』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。


小説や漫画等における『もしも○○だったら』といった題材は、遥か昔から現在まで受け継がれるマスト・シチュエーションのひとつである。


思い返せば大ヒットを記録した『君の名は。』も「もしも男女が入れ替わったら」という題材が支柱に据えられていたし、現代小説家の登竜門とも称されるwebサイト『小説家になろう』では異世界転生系のストーリーが最も読まれるとされ、上位10位以内の小説のほとんどが「もしも○○になったら」といった題材で埋め尽くされていると聞く。

 

f:id:psychedelicrock0825:20190530234050j:plain


さて、今回鑑賞した映画『サバイバルファミリー』は、ズバリ「もしも日本から電気がなくなったら」をテーマに描かれるサバイバル映画である。


普段当たり前のように使っている電気。よくよく考えれば、電気なくしては絶対に日常生活は成り立たない。テレビや時計はもちろんのこと、スーパーのレジ、クレジット決済、ATM、自動車の給油、オートロック扉や自動ドア……。今このブログを読んでいるあなたのスマホもそうだ。


日中ならまだ良い。問題は夜だ。電気ストーブやハロゲンヒーター、クーラーや扇風機。気温を調節するありとあらゆる機械が停止する。更には受験勉強を余儀なくされたり、会社から〆切までの決算書類を持ち込んでいる人などはどうする?それこそロウソクの火を使う以外にないではないか。


……この映画はそうした『我々日本人がどれだけ電気に依存しているか』といった現状を、相当な高レベルでリアルに再現している。おそらく実際に電気が全国的に停止することはないだろうが、「もしも電気が使えなくなったら十中八九こうなるだろうな」というリアルを映し出している。ここまで強い社会風刺はそうそうない。


『サバイバルファミリー』では、電気が一切使えなくなった東京に取り残されたある家族を主として描かれる。仕事一筋のサラリーマンと専業主婦、そして常にスマホと共に過ごす娘と息子。元々が家庭崩壊一歩手前の状況の中、電気の消滅がきっかけとなり家族4人で必死に一日一日を生き延びる様は心を打つ。


確かに設定に無理があるのは分かる。世界中から電気が消える可能性自体まずないし、本編において何ヵ所か予定調和気味の描写も出てくる。しかしこの映画の描写ひとつひとつが、おぞましいほど圧倒的な現実味を帯びて襲いかかってくる。それだけで全部オーケー。オールライト。そうバッサリ切り捨てられるほど、エンターテインメントに溢れた傑作である。


今作は全編通して、スッキリ進む映画の教科書とも言うべき作品に仕上がっているがそれもそのはず、メガホンを取るのは矢口史靖。あの『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』を手掛けた名監督である。「最近映画観てないなあ」という人にも広くオススメできる、笑いあり涙あり、困難あり温かみありの作品。ぜひ。

 

ストーリー★★★★★
コメディー★★★★☆
配役★★★☆☆
感動★★★★☆

総合評価★★★★☆
(映画.com平均評価・星3.3)

 


サバイバルファミリー