こんばんは、キタガワです。
『スノーマン』。字面だけを切り抜いて見れば、さながらRPGのザコキャラのようにも、ご当地のゆるキャラのようにも取れる、実に可愛らしいネーミングだ。「あ!スノーマンだ!スノーマーン!」とスノーマンに近付いてくる子どもが容易に想像できるレベル。
しかしてその『スノーマン』の実態は、殺人を繰り返すサイコパスである。しかもそのどれ殺人も首なし死体だの四肢切断だの、虐殺嗜好というのだからたちが悪い。前述した「スノーマーン!」と近寄る子どもがもしも存在するならば、間違いなく近日中に帰らぬ人となって発見されることだろう。
雪原地帯に暮らす主人公(ハリー・ホーレ刑事)は、度重なる殺人事件に関わっていく。その殺人事件というのがタイトルにある『スノーマン』が起こした事件であり、被害者の傍には必ず手作りの雪だるまが置いてあることから、その名が付けられたとされる。
主人公は早速操作を開始する。すると過去10年間の間、女性が失踪した未解決事件が明らかに多いことに気付く。しかし主人公が達した結末は予想だにしないものだった……。大まかなストーリーはこんなところか。
実はこの『スノーマン』は、全世界で累計2000万部を売り上げた書籍『ハリー・ホーレ』の第7作目を映画化したものである。僕自身も以前読んだことがあるが、ストーリー構成や風景描写に大層感動したのを覚えている。
……だがこの映画化、個人的にはあまり面白くなかったというのが正直なところだ。まず仕方ないことだが、雪一色で代わり映えのない風景は致命的なマイナスポイント。改めて映画の内容を思い出そうとしても、雪にまみれた場面が多過ぎて「あれってどこだったっけ……」となってしまう。
更にはラストのスノーマンの正体。小説であればその結末に至るまでの道筋や、伏線もはっきりしているため驚きに満ち溢れていたものだが、2時間の尺に収めようとしたからか、その人物に対してほとんど驚きは感じられなかった。
動機も不十分でお世辞にも共感できず、弱い。この手の映画は犯人の正体と動機が全てだと思うのだが、総じてそれらがかなりお粗末。全てが明らかになっても「はあ、そっすか……」と感じて終わってしまった。うーん。
悲しいかな今のご時世、『ミステリー作品の王道』はやり尽くされている。そのため観客に驚きを届けるには相当なアイデアと、それに向けたシナリオが必要になってくるはず。
そうした観測的希望を踏まえて今作を観てみると、良くも悪くも『並みのミステリー』といった印象で、諸手を挙げて「面白かった!」と絶賛するほどではなかった。
まあまあ、という感じ。だが安心してほしい。個人的なワースト1位作品である『リアル鬼ごっこ(監督・園子温バージョン)』と比べると100倍面白いので。
ストーリー★★☆☆☆
コメディー★☆☆☆☆
配役★★★☆☆
感動★★☆☆☆
総合評価★★☆☆☆
(映画.com平均評価・星2.5)