こんばんは、キタガワです。
今年の音楽シーンの総決算。続いては『個人的音楽アルバムランキング2018』の15位~11位の発表だ。
・20位~16位はこちら
それではどうぞ。
15位
WAKE UP/エレファントカシマシ
2018年6月6日発売
昨年は結成30周年ということもあり、キャリア初の紅白歌合戦内定やベストアルバム発売、全国ツアーと、ノリにノっていたエレカシ。
そんな彼らの23枚目のアルバムは『WAKE UP』と名付けられた。目を覚ませ!という意味が込められたこのアルバムでもって、エレカシはまた一皮剥けたロックバンドとして成長した。
長髪がトレードマークである宮本浩次の髪をバッサリ切るPVが話題となった『RESTART』やCMソングとしても話題となった『夢を追う旅人』など、ライブ定番曲が数多く収録されているのも魅力。しかし最も衝撃的だったのは、やはり『Easy Go』だろう。
マシンガンの如く矢継ぎ早に言葉を発し続け、何度も絶唱するこの曲を聴いて、ビリビリきたのは自分だけではないはずだ。52歳になって初めてパンクと向き合った宮本。今のエレカシのモードは、それほどまでに自信に満ち溢れていることの証明なのだろうと思う。
ロックもパンクもバラードも詰め込んだ渾身の作品。エレカシを聴いたことのない人にも、ぜひ勧めたい1枚。
14位
The Now Now/Gorillaz
2018年6月29日発売
バーチャル覆面ユニット、ゴリラズ通算6枚目のアルバム。
昨年は日本中を歩き回った挙げ句に古の悪魔『マズー』を殺害したり、北朝鮮の浜辺に打ち上げられたり、国のマスコットになったりといろいろあったゴリラズ。今年はゴリラズのリーダーであるマードックが刑務所に服役してしまったため、新ギタリストとして友人のエースが加入した。あとギターのヌードルが可愛くなった。
……何を言っているかわからないと思うが、ファンもついていけてないから大丈夫だ。ゴリラズのメンバーは年を跨ぐごとに、サイボーグ化したり死んだり偽札作ったり記憶喪失になったりするから、いつものことである。もう慣れた。
さて、おふざけはここまでにして、アルバムについて語ろう。
昨年は1年を通してツアーまみれの年だったゴリラズ。そのため今年のアルバムリリースは不可能だと思っていたのだが、やってくれた。『The Now Now』というタイトルからもわかる通り、首謀者であるデーモン・アルバーンはツアー先のホテルで滞在中、暇をもて余してひとり作曲に勤しんだらしい。その時々で作った楽曲が、このアルバムの中心を担っているわけだ。
たったひとりで作ったからか、必然的に曲調は穏やかになり、楽曲にはその曲を作った滞在先である『Hollywood』や『Kansas』、『Idaho』といったタイトルが並ぶ。豪華なゲストを呼ぶこともなくなった。全体的にワチャワチャしていた前作とは180度違ったアルバムといっていい。
しかしどれだけスピードが遅くなっても、やはりゴリラズなのである。ボソボソと歌う様や楽曲のキラキラした雰囲気はどこを切ってもゴリラズだし『Tranz』途中のキーボードパートなんかは鳥肌が立ったほどだ。
最初にきいたときはあまりの変貌ぶりに面食らってしまったのだが、繰り返し聴くうちにどんどん味が出てくる。そんな大人なアルバムに仕上がっている。
……次のアルバムが出たときにメンバーがどうなっているかは、今は考えないようにしよう。
Gorillaz - Tranz (Official Video)
Gorillaz - Humility (Official Video)
13位
8 Letters/Why Don't We
2018年9月12日発売
『次世代のワン・ダイレクション』との呼び声も高い、平均年齢18歳のボーイズグループの初ミニアルバム。話題のシングル曲を網羅した、いわばベスト盤的存在だ。
楽曲はエド・シーランなど多数の有名作曲家が手掛けているのだが、とにかく良曲揃いで耳に残るのが第一。アップテンポ、バラード共に盛り上がるポイントを的確に突いてくる印象。
加えて彼らの歌声も若く「これぞアイドル」と言いたくなるほど“らしさ”溢れるものであり、楽曲を邪魔しない。かつ5人である利点を生かし、ハモりやコーラスをふんだんに取り入れた構成となっているのも○。
ホワイ・ドント・ウィーの楽曲はボーカルグループということもあってか、総じて歌いやすく作られている。激しく捲し立てる部分もないから、歌唱の難易度は低い。要するに耳や口が、歌に馴染みやすいのだ。これはそれこそ日本人においては重要な点であると思っていて、本当に歌がスッと頭に入ってくる印象がある。あくまで個人的見解だが。
……8月にサマソニに参加した際、僕は彼らのステージにいなかったのにも関わらず、空気を伝わって女性の観客のドでかい歓声が聴こえてきたのを覚えている。おそらく今の海外音楽シーンでは、彼らの存在はかなり広まっているのだろう。このアルバムを聴くたびに、彼らのステージを観なかったことへの後悔が沸き上がってくるのだ。
Talk - Why Don't We [Official Music Video]
Hooked - Why Don't We [Official Music Video]
12位
じゃぱみゅ/きゃりーぱみゅぱみゅ
2018年9月26日発売
思えばきゃりーぱみゅぱみゅの全盛期は、それはもう物凄い盛り上がりだった。音楽番組のみならずバラエティー番組にも引っ張りだこで、『ファッションモンスター』や『つけまつける』など、出す曲は全てヒット。その余波は海外にも伝わり、『日本=きゃりーぱみゅぱみゅ』というイメージすら出来上がったほどだ。
あれから5年が経った。今では彼女の人気は下火になりつつあると思う。ライブの動員も振るわなくなったし、CD売上も下がった。
しかしCDを聴いて驚いた。以前のように『The きゃりー』ともいうべきキャピキャピした楽曲は鳴りを潜め、変わりに極上のJ-POPへ進化していたのだ。かつてのようなピンクに彩られたパブリックイメージは完全に払拭。今では高水準のポップシンガーになっていた。
キーボードやシンセサイザー、打ち込みの多用は今まで通り。前回取り上げたNeruも同様だが、こちらも生バンドでの再現はほぼ不可能で、壮大な音で奏でられている。
中でも和製アヴィーチーとも言える新機軸ソング『原宿いやほい』は必聴。このあからさまなEDMサウンドは今までにない、いわば露骨すぎるレベルで、自然に動かす魅力に包まれている。「これはズルいわ」と思わず笑ってしまうような感覚。こんなことされたらハマるしかない。
僕は普段きゃりーぱみゅぱみゅを好んで聴く人間ではないのだが、このアルバムだけは別。ほぼ前編に渡ってワクワクした気持ちで聴くことができる稀有なアルバム。
きゃりーぱみゅぱみゅ - 原宿いやほい , Kyary Pamyu Pamyu - HARAJUKU IYAHOI
きゃりーぱみゅぱみゅ - きみのみかた , KYARY PAMYU PAMYU - Kimino Mikata
11位
Toys Blood Music/斉藤和義
2018年3月14日発売
今作で19枚目のアルバムリリースとなる。タイトルこそ謎だが、一聴するといつも通りの曲だらけ。いつも安心して聴けるのはさすが斉藤和義と言ったところ。
実はこのアルバムに関してはあまり書くことがない。なぜなら『良いアルバム!』という一言で解決してしまうからだ。
今回アルバムごとに順位を付けてはいるが、個人的に良いアルバムの定義は『そういえば全部歌えるわ』と感じることだと思っている。それも1曲単位でなく、全体を通して。
『Toys Blood Music』は、気付けば全部歌えていたからこの順位にしたようなもので、何か別段驚きがあったとか、そういうものではないのだ。ただ全ての楽曲のクオリティが高く、耳馴染みがよく、知らず知らずのうちに毎日聴いていた。だからこの順位にした。
歌メロ全開の『青空ばかり』、ベースのサウンドが特徴的な『Good Luck Baby』。そしてラストはジャズテイストのインスト曲『Good Night Story』でシメる。……アルバム全体でひとつのストーリーになっているような感覚さえある。昔のファンも今のファンも、みんなまとめて抱き締めるだけの力が、このアルバムにはある。
斉藤和義 - Good Luck Baby [MUSIC VIDEO Short]
斉藤和義 - 青空ばかり[MUSIC VIDEO Short]
……さて、いかがだっただろうか。次回はついに10位~6位の発表です。お楽しみに。