こんばんは、キタガワです。
本日9月11日、へきトラハウスが歌手デビューすることが発表されました。フィッシャーズのMステ記事の際、「Youtuberで次に歌手デビューするのははじめしゃちょー」だの、「次は水溜りポンドだ」だの書いていたのですが、まさかへきトラハウスが歌手デビューするとは思ってもみませんでした。
今回はこの『へきトラハウス歌手デビュー』について、僕の個人的な見解を自分勝手に書いていこうと思います。
大前提として僕はこの歌手デビュー、賛成か反対かと問われれば、反対寄りの意見です。
良い悪い、売れる売れないの話ではありません。要は「お前ら音楽やっていけんのか?」ということが言いたい。
9月18日にミニアルバム『搬送』をリリースすると報じられましたが、今回のアルバムは自主レーベルならともかく、パーフェクトミュージックというれっきとした音楽会社から発売されます。ということは、へきトラハウスはこの会社と長い期間の音楽契約を結んだ形になります。
音楽レーベルというのは収入が入らないと赤字ですから、おそらく今後は何年かに渡って「いつまでに曲を作れ」、「◯月にはアルバム出してツアー回る」などのスケジュールが組まされるのではと想像します。
そうなったときにひとつ引っ掛かることがあって、彼らはもう『職業=Youtuber』なんですよね。
毎日コンスタントに動画を撮影、編集、アップする中で、『音楽』という仕事がプラスでのし掛かってくるわけです。もちろん彼らクラスのYoutuberであれば本業以外にも雑誌の取材、企業との打ち合わせなども入っているはずですので、単純に相当な仕事量になります。
そうなってくると、Youtuberとしての活動を減らすか、音楽活動を減らすかしかの二択になってきます。もちろん広告収入で生活している身ですので、Youtuberを辞める選択はあり得ない。とすると、必然的に音楽活動のペースは落ちていくはずです。
なのでそもそもこの二足のわらじ、不可能なんですよ。
次に彼らの音楽について見ていきましょう。
今回のアルバム、神聖かまってちゃんのフロントマンであるの子氏が主導となって作られたものです。
『の子』と聞いてロックファンはなるほどと思ったことでしょう。彼は日本のロックバンドきってのYoutuberファンを公言しており、そんな彼が最も推していたYoutuberが、へきトラハウスだったのですから。楽曲提供も頷けます。
へきトラハウス 『だって笑ってんじゃないの』MV(Short Ver.)
曲もなかなか良いですね。ギターとピアノが先導し、少しセンチメンタルな気持ちにもさせてくれる最高のメロディーです。口ずさみやすく、耳にスッと入ってくる心地よさがあります。
ですがこの曲を聴いて、疑問に思ったことがあります。
それは『作詞作曲・の子』という点。
要はへきトラハウスは、歌ってるだけなんですよ。メンバーの誰かが少し編曲をしたわけでもないし、『嫌われ系Youtuber』という日本でも珍しい境遇のへきトラハウスの人生経験を、自分たちが作詞したわけでもないんです。
もちろん売れるとは思います。何万人ものチャンネル登録者がいますから、買ってくれる人がその中の何%かいれば、安定した販売数は見込めます。にわかファンでも、『へきトラハウスが曲を出したらしい』という流行に乗ろうと、軽い気持ちでダウンロードしてくれる人もいるでしょう。
でも、それだけ。
今回のアルバムのみなら万々歳ですが、今後シングル、アルバムと発売していくにつれ、確実に売り上げは減少します。こういうブレイクの仕方は一過性でしかないので、耳の肥えたリスナーなら即座に切り捨てるでしょう。3年も経てば売り上げは3分の1とかになってるんじゃないでしょうか。
だからこそ、少なくとも歌詞くらいはへきトラハウスが書いてほしかった。発達障害と診断されながらも我が道をひた走る相馬。元ひきこもりの経験や肌が弱いことで逃げたりせず、果敢に企画に挑むへきほー……。彼らが詞を書かずしてどうする!と思ってしまうのです。
そして今回はの子という助っ人が現れましたが、今後はどうするのでしょう。さすがに毎回の子が作曲するわけではないはずです。ですが『過激系Youtuber』である彼らに喜んで楽曲提供する人間が、あと何人残っているのか。『誰が作曲するか問題』も、かなり切実なものだと思います。
……思えば、ここ何年かで音楽活動をするYoutuberはぐっと増えました。清純派という部分で言えばHIKAKIN & SEIKINの『雑草』、フィッシャーズの『虹』などがブレイクし、Mステへの出演も果たしましたね。ではへきトラハウスはどうでしょう。
もちろんYoutuberとしての活動が活動ですから、ゴールデンタイムの音楽テレビ番組には絶対に呼ばれないでしょう。となると、『過激派Youtuberの音楽』としての売り方しかできないわけです。深夜のディープな番組に出たりとか。
ですがその売り方でも、絶対に成功しません。なぜならもう圧倒的成功を手にした先駆者がいるから。
そう、レペゼン地球です。
ヤリマン、ビッチ、セックス……。本来タブーとされるド下ネタで猛威を振るうレペゼン地球。ZEPPでのチケットを数分で完売させ、幕張メッセでのライブも控えている彼ら。彼らを玉座から引きずり落とさない限り、へきトラハウスの音楽での成功はあり得ません。そして、それは不可能です。
正確にはレペゼン地球はYoutuberではありませんが、『動画内では過激派。そして音楽もやっている』という意味では同じ。レペゼン地球とへきトラハウス。どう足掻いてもレペゼン地球には勝てない。
だからこそ僕は思うのです。「そもそも何で音楽やったの?」と。この先のビジョンが全く見えてこない。
例えば『自分たちのファンイベントで、音楽で盛り上げるコーナーをやりたい!そのために僕らの音楽を使いたい!』という思いで今回のアルバムが製作されたのなら、僕は大いに歓迎します。
ですが「知名度が出てきたから音楽やったら売れるだろう」などといったよこしまな気持ちが少しでも入っているのなら、僕は応援したくはないです。
ともあれこれからのへきトラハウスの音楽活動、目が離せません。陰ながら応援しています。