キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

全員社会の奴隷だ!日本マドンナ、6年ぶりの新曲を聴いた。

こんばんは。パンクバンド好き、キタガワです。


日本マドンナが再結成。なんとも嬉しいニュースだ。これほど心踊る再結成は本当に久々な気がする。

f:id:psychedelicrock0825:20180504031705j:plain


日本マドンナは2009年~2013年まで活動していた女性パンクバンドである。


僕が最初に彼女たちの存在を知ったのは、某動画サイトで観た『生理』という曲だった。


日本マドンナ「生理」


望んでもいないのに周期的に発生し、世の女性たちを苦しめ続けるそれは、決して大っぴらにできる言葉ではない。少なくとも僕は女性から「私生理なんだよねー!」などといった話はされたことがないし、常に存在をひた隠しにされるべきものなのだ。


しかし彼女らは、そんな本来言えないことを、全力で歌ってのけた。


〈ああ 女はいつでも 男に散々負けてきた〉


〈でもこんな生理があるうちは 負ける気がしない〉


音質は悪いし、演奏もうまいとは言えない。だが、赤裸々な感情を吐き出し、どしゃめしゃな音の塊でぶん殴る姿は、僕の耳に大きなインパクトを残した。


こんな野性的な音楽を鳴らすガールズバンドは、現代にどれだけいるだろう?


他にも彼女らが高校生時代(!)に作った代表曲『幸せカップルファッキンシット』、痛烈に皮肉る『死ねと言われて安心した』など、独創的な楽曲を数多く発表したが、2013年のラストライブを持って、4年間のバンド活動に終止符を打った。はずだった。


そんな彼女たちが5年の時を経て再結成。その最初の第一歩が、新曲『社会の奴隷』のPVだった。


めでたい。めでたいのだが、正直不安だった。


バンドを解散し、一度は社会に出た彼女たち。歌詞も丸くなり、ポップな路線に変わった可能性も十分にある。そんな一抹の不安を抱えたまま、再生ボタンを押した。

 


日本マドンナ「社会の奴隷」


〈月火水木金土働く 私は社会の奴隷だ〉


〈上から言われりゃハイハイ聞いて 会社は燃えりゃしないぜ〉


いやいや、全然変わってない。それどころか数年間の社会人経験を詰んだことで、社会に対する怒りはとんでもなく大きくなっていたようだ。歌詞はより直接的になり、鋭さを増している。恐れ入った。


先日ボーカルのあんなは、自身のブログにて「ニッコリ騙して生き延びるより中指立てて死んだほうがマシだし、不幸や苦しみは飾るもんじゃなくてエネルギーにしてやる」と語っていた。


人間誰しも、本当の自分を出せないものだ。特に会社という組織ではそれが顕著で、みな偽りの仮面を被り、媚びへつらう。『チームワーク』というのは逆に言えば、足並みを揃えられない人間は淘汰されるという意味に等しい。


だから上司の理不尽な命令にも耐えるし、つまらない仕事にも身を粉にして働く。社会の中で自分を殺して生きている人の、なんと多いことだろう!


だが日本マドンナは違う。内心では辛い、苦しいと悩んでいる人に対して「お前は悪くない!社会なんてクソ食らえ!」と背中を押してくれる。かなりひねくれてはいるが、僕は『社会の奴隷』は最大級の応援ソングだと思うのだ。


と、ここまで書いたが、じゃあ自分はどうだと振り返る。明日は朝からバイト、しかも棚卸しで残業が確定らしい。うん、立派な社会の奴隷だ。畜生め。

 

※先月、今回取り上げた『社会の奴隷』も収録されたニューアルバム『ファックフォーエバー』がリリースされました。こちらも是非。

 

日本マドンナ公式ホームページはこちら
https://2daysrecord.wixsite.com/nippon-madonna