キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

突如解散→再結成が望まれる邦楽パンクの金字塔、B-DASHの『適当アドリブめちゃくちゃ語』な歌詞について

こんばんは、キタガワです。


時は2000年代。日本パンクシーン全盛期に位置するこの年代では、取り分けBEAT CRUSADERSやマスラヲコミッショナー、KEMURIら多数のパンクバンドがライブハウスを席巻していた。そんな中現れたB-DASHも例に漏れず、代表曲“ちょ”を筆頭としたナンバーが爆発的ヒットを記録した。GONGON(Vo.G)曰く絶頂期は月収500万円が数カ月間続いた(ニートtokyoインタビューより)とのことで、名実共にパンク代表株として成り上がるに至った。

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彼らの代名詞になっているのが、『適当アドリブめちゃくちゃ語』を頂点に据えた意味不明な造語の数々だ。以下の“M-11”と“目覚めよニッポン!”、“雑草くん”といった楽曲群が歌詞付きMVとしては特にその特異性が一目瞭然で、真意がどうにも掴みづらく、それでいてユニークな歌詞の数々を見ていると、B-DASHの不思議な魅力が分かるはず。なおこの一見謎すぎる歌詞制作の背景にあるのが『洋楽に似た発音の歌詞を目指そうとした結果』であることは多くのメディアで語られており、決して何も考えずに作られた訳ではない、ということは特筆しておきたいところ。

 

B-DASH - M-11 - YouTube


もちろん彼らの全ての楽曲がこうした言葉のみで構成されていることは無くて、その中には温かな雰囲気で魅せる“平和島”やしっかりとした英語詞で完結させた“ENDLESS CIRCLE”といった楽曲も存在。故に彼らのブレイクが歌詞のユニークさのみが評価されたものであるとは言い難いのだが、それでも。歌詞カードを見た瞬間に誰しもを驚愕させるめちゃくちゃ語の数々が、B-DASHを表す重要事項となっていたのは間違いない(ちなみにライブ映像では本当にアドリブで歌詞を変えているのも面白い)。

 

B-DASH - 目覚めよニッポン! PV - YouTube 

B-DASH - 雑草くん(Lyric Video) - YouTube


歌詞というのは基本的に、作者の思いをこれ以上なく体現するものとして用いられるため、改めてそう考えると確かにB-DASHの歌詞は異質なものであるようにも思える。しかしながら例えば我々が洋楽の歌詞の意味をほとんど分からないまま楽しんでいるのとB-DASHのそれは、然程違いがないようにも感じてしまうのだ。「ロックンロールはとても僕を元気にしてくれた。でも元気づけるような歌詞なんか無い。ロックは『お前に未来は無い』とか歌ってる。それを聴いて今日も頑張ろうって思うんだ」とは現ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトの弁だが、突き詰めてみれば音楽に歌詞は重要部として位置付けられないこともあるのだ。……良い意味でだが、それこそ血湧き肉躍るパンクロックは特に。


邦楽にしろ洋楽にしろ、音楽にはメッセージ性が絶対的に重要と言われる時代。翻ってB-DASHの奏でるパンクは言わば、言葉的なものを削ぎ落として動物的な衝動を駆り立てる荒々しさを携えている。歌詞の意味を度外視し、それでいて絶大な魅力をがくっつく彼らの再結成を解散から何年経っても望んでしまうのは、やはり我々自身が彼らのパンクに心踊らされた結果なのだ。