キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

突然の失踪・復帰で世間を騒がせたKANA-BOON飯田佑馬の明日はどっちだ?

こんばんは、キタガワです。

 

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少しばかり前の話になるが、6月19日にKANA-BOONのベース・コーラス担当である飯田佑馬(めしだゆうま・左から二番目)が、音楽活動を一時休止することを発表した。


これは個人的にはwowaka氏の逝去やNUMBER GIRLの再結成に次ぐ、2019年7月8日現在の日本ロックシーンにおいて最も重大なニュースとしてピックアップされるべき事件であると思っている。


僕がそう感じる理由はひとつ。彼が自身の意思で失踪したためである。


そう、彼は突然失踪した。バンドのメジャーデビュー5周年を記念したライブを直前に控え、ニューシングルの全国各地でのPR活動の最中、忽然と姿を消したのだ。


結果として5周年記念ライブは中止を余儀無くされ、その日を境にKANA-BOONは一切のメディアに姿を見せなくなった。最前線でのがむしゃらな活動が大事となる若手ロックバンドにおいて、これらの活動が頓挫したことは極めて大きな損失である。


そして問題なのは、これらが全て『飯田の失踪』という一個人の事情によって引き起こされたことだ。


前述したように、飯田は結果的に何事もなく帰還した。失踪の理由については音楽活動の中での個人的なプレッシャーの高まりであったとし、その後は精神病との診断が下されたことが決定打となり、当面の活動休止とする結果に至った。今後KANA-BOONはサポートメンバーを入れながら、飯田抜きでの活動を行うとしている。


さて、今回の記事ではそんな飯田佑馬の『明日はどっちだ?』と題し、今後の彼がどのような末路を辿るのか考えてみたいと思う。


いきなり結論を述べてしまうが、僕個人としては飯田は近いうちにほぼ間違いなく、KANA-BOONを脱退すると思っている。


そう考える理由はいくつかあるのだが、やはり『自分の意思で失踪して迷惑をかけてしまった』というのが何よりも大きな理由である。


例えば中止が発表されたKANA-BOON5周年記念を祝うライブ『KANA-BOONのOSHI-MEEN!』は、彼らを含め計4組のアーティストの出演が発表されていた。もちろん大多数の観客のお目当てはKANA-BOONである。


こんなことを書くと角が立つだろうが、他の3組にとってこの開催場所であるZepp DiverCityという会場はあまりに広い。実際ズーカラデル、ヒグチアイ、PELICAN FANCLUBの3組に関しては個人的にライブを観たことがあるが、500人のキャパでもソールドアウトは難しいほどの集客だったのを記憶している。


そんな中での今回のライブ。Zepp DiverCityのキャパは2500人のため、KANA-BOON含めた4組のアーティストは、さぞかし強い期待と熱量を持って挑む予定だったはずである。中にはKANA-BOONの楽曲をカバーするつもりのバンドもいただろうし、憧れの夢舞台に立つ感動を脳内でイメージしていた人もいるかもしれない。


……しかしその想像は叶わなかった。飯田ひとりの失踪という、あまりにも自己中心的な理由によって破綻してしまったのだ。


まずKANA-BOONは、そんな思いを抱いて出演する予定だったアーティストたちに対して、深い謝罪を行う必要がある。そのライブのために予定を組み、期待していたアーティストたちを裏切ったのだ。ある程度のお金と謝罪は不可欠である。ちなみにその場には療養中のため、当の責任者である飯田はいない。逆に残されたメンバーは「何で俺はあいつのために謝っているんだろう……」と思いながら、ペコペコと頭を下げ続けなければならない。


更にはチケットもソールドアウト。そのため必然的に集まる予定だった2500人分のチケット代は全てキャンセルになるため、KANA-BOONないしは所属事務所が代わりに支払う義務が生じる。その額はチケット代3500円とドリンク代600円、そこに2500人をかけると単純計算で1025万円となる。


ひいてはライブハウスへのキャンセル金やチケット販売会社への迷惑代、お金以外にもファンからのクレーム地獄や各種コンビニエンスストアの返金対応など、最終的な損害は多岐にわたる。


ここまでの迷惑をかけておきながら、いけしゃあしゃあと「すいませんやっぱり復帰します」は通らない。日本社会においては、何かしらの問題を起こした人物は制裁を受けるのが通例だ。政治家であれば辞職し、教師であれば強制異動。サラリーマンあれば減俸と、必ずそれ相応の対価を支払って然るべきなのだ。


そのため飯田が正常な人間であれば、自分から「脱退します」と明言するのが普通だ。というよりあれほど迷惑をかけ、飯田の代わりに各所に陳謝したメンバーとの絆が再修復するとは到底思えない。聞けば唯一オリジナルメンバーでないのが飯田らしく、高校も他のメンバーとは別であったと聞く。KANA-BOONの中で、果たして飯田が強固な人間関係を築いていたのかという面でも、疑問が残る。


総じて良心の呵責に苛まれ、自分から「脱退します」と明言するのが一番良い方向に収束すると思うのだ。サポートメンバーを加えて活動を継続すると語っており、今夏の大学祭にも出演が決定しているKANA-BOON。これからも一切歩みを止めるつもりがないことは、ファンも承知のことだろう。


思い返せば日本のロックシーンにおいて、失踪したメンバーはほぼ必ず脱退している。Kidori Kidoriのンヌゥ然り、the cabsの高橋國光然り、Base Ball Bearの湯浅将平然り。どのバンドも公式に発表された最初の報は「メンバーと連絡が取れません」。次は「無事戻ってきました」。そして最終的には「脱退します」だ。


これらの歴史に照らし合わせると、今の飯田は「無事戻ってきました」の状態で止まっている。ということは、次なるバンドの選択肢はひとつに絞られる。


飯田は一体どのような人生を辿るのだろう。それこそ前述したthe cabsの高橋はメインソングライティングを手掛けていたため、その後は別バンドを組むことが出来た。だが基本的に『失踪』という最悪の行動に及んでしまった人間は社会的イメージの悪さから、バンドシーンに帰還することはほぼ不可能だ。新たにバンドを結成することも、何かしらのサポートをするのも難しいだろう。


僕はKANA-BOONの音楽が好きである。だからこそ今後も彼らの音楽を聴き続けていたいと思うし、ライブにも足を運びたい。しかしながら眼前に飯田の姿が見えた瞬間「この人って失踪していろいろ迷惑かけたんだよなあ」と思ってしまうのも申し訳ないが、確固たる事実なのだ。


彼は良いミュージシャンだ。しかし今回の記事で書いた通り、脱退はほぼ避けられない。だからこそ、僕個人のもうひとつの気持ちとしては「現実にならないでほしい」とも思ってしまうのだ。


彼の今後の人生が華々しいものになることを、願ってやまない。

 


KANA-BOON 『眠れぬ森の君のため』Music Video