こんばんは、キタガワです。
やっぱり、何だかんだミステリーである。幼少期からスポーツに取り組んできた人がS-PARKを観るように、はたまたかつて読書好きだった人が小説を貪り読むように……。ミステリー作品を好んで鑑賞していた人間はこの幸福たる呪縛から逃れられないのだなと改めて痛感する。つい先日発売されたPS4・Nintendo Swith専用ソフト『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブ』、まだ数時間しかプレイしていないが、やはりかねてよりのミステリー好きとしてはその没入度は段違い。多くのミステリー好きに刺さった前作もたいへん面白かったが、こちらもなかなか良きだ。
以前当ブログでもプレイ時の興奮そのままに書き殴ったけれど、この作品は以前リリースされた同機種対応ソフトたる『AI:ソムニウムファイル』の正当な続編である。この作品では様々な人物が目玉がくり抜かれて殺害されるという奇怪な連続殺人事件を主人公が解決する形で進められ、後に自身が密接に知り合った関係者たちもが犯人の毒牙にかかるという衝撃的なシナリオで話題を呼び、そのグロテスクな描写を含め大きな反響を呼んだ。
PS4/Switch/PC『AI: ソムニウムファイル』ローンチトレーラー - YouTube
そんな中正当続編として発売された『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブ』は、現状シナリオがとてつもなく面白い。今回も同じく殺人事件が発生するのだが、その事件というのが人体切断系。野球のスタジアムの真ん中に右半身だけが残されている、という探偵学園Qにおける三郎丸豊事件的な流れでプレイヤーの興味を惹くと、そこからは『実は6年前には被害者のもう半身が見つかっていた』『けれども今回の半身の死亡推定時刻はつい先程』『現場は霜が張っていたが足跡は一切なかった』とするミステリー好きの心を動かす数々の経緯が語られ始め、どんどん話に興味を抱いていく。
加えて、操作途中で挟まれるおふざけ要素も魅力。例えば現場保全の警察官への『名前を聞く』コマンドひとつとっても、本人が名乗ったにも関わらず以降も何度も同じ質問を続けることが出来る。しかも「名前は何だっけ」→「◯◯ですよ!さっき名乗ったでしょ!」→「名前は何だっけ」→「そろそろ怒りますよ!◯◯です!」→「名前は何だっけ」→「もういいです……」となり、最終的には「謎の警察官がいる」などとテキストに表示される始末。もちろんこれは一例だが、シリアスな流れを敢えて破壊するあり得ない返答が頻発するのが、かなり面白かったりもする。
ちなみに、前作と比較すると対象年齢は18禁から15歳以上推奨まで大幅に引き下げられた。例のあのトラウマシーン(詳しくはAI:ソムニウムファイル グロシーンで検索)でコントローラーを投げた人々向けにややマイルドな表現になった形だ。それこそ愛着が湧けば湧くほど血液ドブシャアデッドでSan値がゼロになるのが前作の流れだとすれば、取り敢えずプレイ数時間後でも血は1滴も出ない、という意味では安心して取り組める1作。結構ツイッターなどを見ていても「あのシーンでプレイやめた」とする人もある程度はいたので、ある意味ではプラスかなと。
当然ながら、今作は登場人物を刺しても前作をプレイしていればより楽しめることは間違いない。ただそうでなくとも没入できる仕組みは確立されている印象だし、何よりこの『本格派ミステリー+謎のエンタメ』が内在する作品というのは日本全体を通しても稀有な訳で、飽和し尽くしたミステリー作品における特異点のような気もする。いろいろと敷居は高い作品ではあろうが、PV含め少しでも興味を抱いた人には浸ってほしいカオス世界。現在最寄りのゲーム関連店で好評発売中である。金銭的に難しい人は、制作側が完全に全編公開許可したゲーム実況動画でも!おそらくはイメージした以上に(様々な箇所が)ぶっ飛びまくった作品なので是非とも。