キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

『M-1グランプリ2021』準決勝動画配信を観て、「何故この9組に決まったのか」との疑問が氷解した話

こんばんは、キタガワです。


記念すべき『M-1グランプリ2021』の決勝進出者が発表されたのは、12月2日。結果はご存知の通りインディアンス、真空ジェシカ、モグライダー、ゆにばーす、ロングコートダディ、オズワルド、錦鯉、もも、ランジャタイら芸風も経歴もバラバラな9組が選出され、来たる12月19日に芸人人生の集大成を大舞台で見せ付ける。

f:id:psychedelicrock0825:20211203020327j:plainそんな中、素朴な疑問として浮かぶのは『何故この9組に決まったのか』というもの。というのも、今回の準決勝には見取り図やニューヨークを筆頭としたM-1決勝常連組、更には金属バットやカベポスターなど、今年こそは行けると目されていた本命コンビも出場するとあって、始まる前から大混戦が予想されていたためである。……そこで真実を確かめるべく筆者は2500円の配信チケットを購入。惜しくも落選してしまった出演者を含む全組のネタを鑑賞し『何故この9組に決まったのか』を洗い出すことにした。


準決勝のネタは基本的にそのまま決勝に持ち越される関係上、ここでネタに触れることは敢えてしない。ただ今回の準決勝の配信で判明したのは、この9組のネタが圧倒的にウケていたということだった。確かに見取り図やニューヨークも圧巻だったけれど、正真正銘『会場がひっくり返って笑う』流れを形成していた芸人9組がはっきりと選ばれた印象である。あまり知られていない事柄ではあるが、M-1グランプリ決勝では大物芸人が審査するのに対し、準決勝の審査員は構成作家とお笑い関係者。故にこうした会場ウケを審査の重要点としていることには、M-1グランプリという国内最大級のお笑い番組を失敗させないようにウケた芸人のみを起用するスタンスが理由なのだろう。ともあれ特にモグライダーやももなどほとんどテレビ経験のないコンビも光を浴びた、結果忖度無しのガチ審査になったことは好感が持てる。

 

決勝進出者発表の瞬間ノーカット版【M-1グランプリ2021】 - YouTube

 

今回の9名が全く異なる漫才スタイルなのも面白い。漫才を地で行く者、昨年のマヂラブのようにステージ全体を利用する者など様々で、その振り幅の大きさも楽しめそう。ちなみに今年も出番前にクジを引く→そこに書いてあった漫才師から即ネタを行う『笑神籤(えみくじ)』システムは健在。例えばランジャタイや真空ジェシカら『カオス枠』は絶対に後半にネタをやりたいだろうから、特に今年はその順番が大きな鍵となりそうな予感も。そもそも本番はこれまでお笑いライブにほとんど足を運ばない一般のお客さんの笑い声の量が爆発に影響するので、これが一体どうなるか。個人的にはロコディともも、ランジャタイ辺りが出順が中盤かつ、お客さんにハマればデカいと思うのだが、全ては笑神籤次第というのもまたニクい。

 

いろいろと綴ってはしまったが、今年の選考はお笑いファン視点からしても、M-1史上最も納得出来た代物だったように思う。本当にウケたコンビだけが勝ち上がり、少しばかりウケが足りなかったコンビが問答無用で落とされたことには当然ながら批判の声もあったろうが、少なくとも準決勝動画を観た人なら、誰しもが理解出来るに違いない。そして『面白ければ何でも良い』……。M-1をはじめR-1、KOCなどお笑いコンテストの基本的な考え方として位置しているこの言葉が、ここまで似合う大会は今年のM-1を置いて他にはないはずなのだ。去年も『漫才じゃない論争』など何かと槍玉に挙げられることの多いM-1の今年度にどのような評価が下されるのかは全く読めないけれど、どんな結果になろうとも来年のブレイク芸人はここから数組生まれる……。その記念すべき瞬間の観測者となることが出来るその日を、今から心待ちにしたい。