キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

【お笑いライブレポート】『見取り図寄席in広島〜ぶちおもれぇライブじゃけぇのぅ!〜』@JMSアステールプラザ 大ホール

こんばんは、キタガワです。

 

会場に着くと、カバンに見取り図のステッカーを貼った人々や、キャリーバッグを転がすお笑いファンの姿にまず驚く。もちろんこれは日々舞台に立ち続ける見取り図の人気がもたらすところも大きいけれど、やっぱりここまでの豪華メンバーが一度に観られるとあっては、遠路はるばる遠征する気持ちも分かるというもの。かくして見取り図、モグライダー、かが屋、ロングコートダディ、カベポスター、kento fukaya、マユリカ、メンバー……。ただでさえ一組一組の人気が高い最高のお笑いライブ・『見取り図寄席in広島〜ぶちおもれぇライブじゃけぇのぅ!〜』は圧倒的な入りで始まったのだった。


『見取り図寄席まであと○秒』の興奮必至のカウントダウンが終わった後、スポットライトに照らされる形で見取り図のメンバー、盛山とリリーが登場。この時点で黄色い声が飛び交う中、盛山は「すみませんね皆さん、SixTONESと超特急がライブやってる中で……」と、この日偶然にも行われていた大規模ライブを引き合いに出してまず一笑い。対するリリーは唯一前乗りをして隣県・岡山市和気郡の実家に帰っていたというが、そこで自由奔放な姪っ子に「ねえねえ、アンタって(盛山と)寝てんの?」と言われたことを暴露。早くもこの日一番の爆笑となった会場を見ながら「ええわけないやろ!何やそいつ!」と強烈にツッコむも、リリーは「前乗りしたけど田舎やからさ、結果大阪から行くより今日時間かかったわ」としっかりとオチを付ける。


2人が「それでは見取り図寄席、スタートです!」と宣言すると、会場が暗転。華やかなBGMに乗ってステージに現れた1組目の芸人はマユリカで、まずは「マユリカが何で『マユリカ』ってコンビ名を付けたかご存知の方いらっしゃいますか?」という切り出しから、実際はそれぞれの妹の名前である『マユ』と『ユリカ』を繋げていることを語り、中谷は「ね?気持ち悪いでしょ」と一笑い。そこから雪崩れ込んだネタは結婚相談所で、女性役で希望の条件を提示する中谷と、全く希望と違う男性を紹介する阪本の掛け合いがどんどんおかしな方向に向かっていく様が面白い。初見のお笑い好きもきっと多かったことと推察するが、見事なネタで最高の滑り出しを飾ってくれた。

マユリカ【よしもと漫才劇場 7周年記念SPネタ】 - YouTube


続いてのコンビはぐんぐん頭角を現すコンビ・カペポスター。彼らにとってはお馴染みの「確かにお前の言うとおり〜」→「言うてないわ」のボケを入れつつ、ここで永見が「僕の妹がカベポで、彼の妹がポスターでカベポスターです」と先程のマユリカを引っ張ったボケで大爆笑を生み出す。「ポスターもヤバいけど何やカベポて……」と突っ込む浜田の低血圧な感じも、面白さに拍車をかけている印象だ。ネタは『大声コンテスト』で、1位を取った思い出を永見が1年目、2年目と回想していくネタながら、ラストに登場人物全員が一丸となってとある結末へ導くという、誰もが予想出来なかった伏線回収へ繋げる見事なネタ。現状どこにも公開されていないネタだけあり、完成度的にも今年のM-1用なのかなと思ったりもしたがどうだろう。

カベポスター【敗者復活戦ネタ】〈出番順10〉M-1グランプリ2021 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


ネクスト芸人はかが屋。この日の芸人の中では最年少だが、KOC含め数々の大会で頭角を現してきたコンビである。ネタは『ドSな先輩とドMな後輩の飲み会』で、長机と椅子のみで進行するミニマルなコントだ。開口一番、男の後輩役の加賀が「すいません……」。対して女性で先輩役の賀屋が「もっと大きな声で言いなさいよ男らしくないわね!」と怒る一見ハードなコント。だが話を紐解いてみると、先輩側は知人からの情報で後輩がドMだと知った上で接しているらしく、普段よりもあえて強い言動をしていることが判明。そして職場では物静かな先輩の本性(注:キャラ作りです)に驚いた後輩、さぞかし辛いだろうと思いきや実際彼はめちゃめちゃなドMであり、今の状況をとても楽しんでいる様子。もうこの時点で面白いのだが、見かねた店主が先輩をたしなめてから、後輩が「全然大丈夫です!というか今がベストな状態なんです!」と弁解するのが最高。ラスト、全力で怒鳴られた後輩が快感に浸る一幕は、早くもこの日の一番の笑いの爆発を生み出していた。

かが屋『合コンの誘い』 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)

 

この日の芸人の中では唯一のひろしまよしもと所属のメンバーも負けてはいない。ステージに上がっても一向に鳴り止まないBGMに一瞬「機材トラブルか?」と思ったが、彼らのネタはBGMに合わせて展開するリズムネタの『Ah!』。「カッ」や「すぃーんだ」、「Break Down」といった音を上手くボケとツッコミに入れ込んだ全く新しい漫才に、会場が一体となって盛り上がる様は痛快だ。しかもよく見ると上手い具合にフリも効いているので音ネタというより確かにこれは漫才で、ジャンルレスな楽しさがある。メンバーが歌ネタ王決定戦でブレイクしたのは記憶に新しいが、彼らが売れた理由をはっきりと示す、そんな一幕だったように思う。

メンバー 歌ネタ 「Ah!」 - YouTube

 

と、ここで一旦ネタはブレーク。ここからはこれまでの出演芸人勢揃い、盛山が司会を務める見取り図寄席恒例のミニコーナーである。ここで最も盛り上がったのはクイズコーナーで、問題として広島出身アーティストのイントロクイズ(奥田民生“さすらい”やPerfume“チョコレイト・ディスコ”など)が大盛りあがりとなった中、一際爆笑を生み出していたのは『広島の球場の正式名称は?』の問題。これ、おそらくはほとんどの人が『マツダスタジアム』だと思っていたし実際間違いではないのだけれど、盛山に渡されていた回答は『A MAZDA Zoom-Zoomスタジアム』という地元民でもほぼ覚えていない名称で、なおかつ何かの誤りなのか、何故か頭に『A』が付いている。もちろん盛山はそれを正式な回答として見なしていたため、しっかり広島住みます芸人のメンバーが「マツダズームズームスタジアム!」と答えても「Aが入ってない」との理由で不正解にされたりし、会場は大爆笑。他にも自分の陣地に風船を入れるゲームで汗だくになったり、目隠しをして2番目に立ち上がった人が回答権を得られるクイズでは、ひとり目が立ち上がった瞬間に観客のひとりが「ああ……」と言ってしまい盛山がゲーム中断したりと、どこを切り取っても最高な雰囲気である。


早くも折り返し地点に突入した後半戦。まずは『R-1グランプリ』での活動も記憶に新しいkento fukayaのターンだ。彼といえばフリップネタのイメージが強いが、今回はフリップなし、広いステージにたったひとりきりという、よもやのしゃべくりスタイルでの登場だ。気になるネタは『共感を得ていく』。具体的にはfukayaが我々に「あるある」と思わせるようなとある人物像を提示し、全員でそれを『あるあるfukaya』か『ないないfukaya』にを判断するというものだが、その内容がギリギリ共感できないレベルを攻めていて、意図的な失笑を買っていく。しかもその後に披露されるfukayaのリアルなエピソードトークはハチャメチャに面白いという対比も楽しく、「ウケてるウケてる!じゃあこの流れで行くよ!……大学の授業で隅っこにいる人は、居酒屋に行くときは絶対鳥貴族。どう?」と言って絶妙な失笑を見ての「……ないないfukaya。ちょっとみんなー!」のくだり、最高。何というか、愛されている彼の人柄を強く感じた。

【R-1グランプリ2022】kento fukaya〈決勝ネタ〉ネタ順1 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


続いてはKOCとM-1で注目株となったロングコートダディ。ネタは『万引き犯とスリル』で、万引きをした主婦(堂前)と、スーパーの店長(兎)とのやり取りが続いていく。最初こそシリアスな雰囲気だったのだが、流石はロコディ。話は堂前が「スリルがたまらなくて……」→「すみません奥さん、スリルってなんですか?」のやり取りから一転。次第に兎が堂前にスリルとは何ぞやを詰問する、大爆笑の展開に。どうやら兎演じる店長はスリルという言葉を聞いたことがなかったらしく、堂前の「ジェットコースター乗ったときスリル感じるとかあるじゃないですか」「スリルを“味わえる”から万引きしてた」という発言がまたややこしくしてしまい、兎は「えっ?じゃあジェットコースター乗るのと万引きするのってイコールなんですか?」「味わう?えっ?スリルって食べ物なんですか?」ともっとマズい方向に。最終的には兎が「今日はお帰りください。奥さん面白いんで……。おめでとうございます脱獄成功です」と帰らせるオチ。これ、今年のKOCでやらないかな。

【コント】井上さん/ロングコートダディ - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


楽しい時間は過ぎるのが早いもので、気付けばライブの出順は残すところモグライダーと見取り図のみに。満を持してステージに上がるのは、昨年のM-1グランプリトップバッターにしてトップ史上歴代最高特典を叩き出したモグライダーだ。「広島っていろんな有名人らいりゃますよね!」と盛大に噛んだともしげにまず笑いつつ、ネタは広島出身の吉川晃司をフィーチャーした『吉川晃司に飯食わせよ』。そこからはお馴染みの半アドリブで、決まったアクションで誘う芝と、何度も失敗するともしげの対比が面白い。それこそ昨年のM-1でネタの手法は分かっているが、それでも生で見る彼らのネタは緊張感もあって更に研ぎ澄まされている印象。後半は「ベイベベイベー」やシンバルキックのくだりもあり(以下動画参照)、トップギアの盛り上がりで終了。まだまだ見たいと思わせる確かな実力、流石である。

モグライダー『吉川晃司に飯食わせよ』 - YouTube


そして遂にこの時間がやってくる。激しいBGMに乗せて、最後に出演するのはもちろん盛山とリリーのこのふたり。見取り図だ。ネタは『同窓会』で、おそらくはこちらも今年のM-1用に各地で仕上げているネタなのかなと。内容は盛山が次々に過去の同級生に話しかけられ、リリーがその相手役として話す見取り図らしいネタなのだが、久々に出会った友人が予想外の変貌を遂げていたり「一緒に会場を抜け出しましょう」と囁くのが担任教師だったりと笑いの波状攻撃が続く。加えて印象的だったのは、見取り図がここまでの人気を得ているからか、お客さんもかなりアットホームな雰囲気だったこと。まるで彼らの一言を全員が待っているかのような、そんな素晴らしい空気感を味わうことが出来たのも、今回の見取り図のネタを見て抱いた最高の感覚だった。

見取り図【敗者復活戦ネタ】〈出番順4〉M-1グランプリ2021 - YouTube(※動画内のネタは当日とは別ネタです)


全てのネタが終わり、ここからは本日2度目となる特別コーナーへ。kento fukayaとロコディ、モグライダーと見取り図が揃う総変わりしたメンバーで行われるのは、連想ゲームやアンケート調査結果発表、ミニゲーム等。ここでも連想ゲームで『ギター』のお題に対し、数字の6をちょっと右に曲げたものをフリップに書いてそれを上下に弾くというルールを逆手に取った行動などが笑いを誘った中、とてつもなく面白かったのがアンケート調査。これは開幕前に事前に参加者から募ったアンケートの集計結果を発表するものなのだが、まず「部屋が一番汚そうなのは?」に盛山が2位に選ばれる(ちなみに1位はともしげ)。そして次に「一番カワイイと思う芸人は?」が始まり、全員が「盛山は絶対ない!」と盛山をガン無視し、ともしげやkento fukaya、兎といった人物を予想していくが、結果何と1位は盛山!発表された瞬間会場がぶっ壊れるレベルで爆笑する中、盛山はお立ち台に立ちつつ「俺この中で一番汚くて一番カワイイってどういうこと!?」とどんどん爆笑へと繋げていた。


最後に行われたのは再びアグレッシブな運動系コーナー。ただ具体的には『羽子板でピンポン玉を繋げ→兎が広島カープメガホンでそれをキャッチ→兎がバランスボール3つを腹這いで移動→芝がボールを蹴る→堂前がボールを装置に置いて『広島』の文字が出る』というとてつもなく難易度の高いものでもあり、1回ミスするとまた最初からの鬼畜設定もあってメンバーは大苦戦。中でも難関なのは当然兎のメガホンキャッチ→連続バランスボールで、都度「うおおお!」と雄叫びを上げながらバランスボールで移動して失敗、ステージに倒れたその足ですぐメガホンに移動しなければならないハードさに会場は大盛り上がり。しかも挑む兎の表情が本気(マジ)で、ほぼ不可能であろうそれを全力でやり抜こうとする姿勢に更なる爆笑が生まれていた。最後は時間の都合上芝と堂前の行動のみで終わらせる形で、無事(?)に『広島』の文字を出すことに成功。かくして約2時間に及んだライブは予定より30分オーバーする興奮でもって、その幕を降ろしたのだった。


見取り図主催のお笑いライブ。それは単純に見取り図のライブを広島で観ることが出来る意義も大きいものだったけれど、それ以上に『何故見取り図が愛されるのか』、その理由に迫るライブだった。観客も芸人も、誰もがその人間性に惚れ込む存在が彼らなのだなと、この日改めて実感した次第だ。……それこそ、これほどの豪華メンバーは見取り図だからこそ集められたところもあるだろうし。内容についてもバラエティに富んでおり、大満足で言うことなし。個人的には本格的なお笑いライブ参加は7年ぶりだったが、本当に大満足の2時間だった。またいつか、あわよくばこの広島で見取り図寄席が開催されることを期待しながら、今回の出演者たちの動画を改めてYouTubeでチェックしていきたいと思う。