キタガワのブログ

島根県在住。極力誰とも関わりませんので悪しからず。目標は音楽ライターであり、ブロガーではありません。

映画『二重生活』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。


回りくどい言い方で恐縮だが、僕はこの世における人間関係の構築は全て、運命の集合体であると思っている。


例えば親友。毎日連絡を取るわけではないにしろ、ごく稀に電話をすれば楽しく時間が過ぎて行き、悩みも恋愛事情も腹を割って話せる気心知れた親友が、誰しも一人はいるだろう。


しかしながら何かひとつでも歯車が噛み合っていなければ、その関係は瞬時に破綻していたはずだ。もしあなたが頻繁に連絡を取りたい主義の人間なら。普段から誰にも心を開かない人間なら。そもそもスマホを持っておらず、ラインの登録すらしていない人間なら……。今の関わりは絶対にないはずだ。


いや、互いの性格どうこうという以前に、そもそも出会っていなかった可能性すらある。同じクラスでなければ。あのとき声を掛けていなければ。極論を言うならばこの世に生を受けていなければ、今の関係はなかった。


そう。普段当たり前に過ごしている『その人』と『あなた』との人間関係は、思っている以上に天文学的な確率により成り立っている。出会っては別れ、離れては繋がる人間関係の根底は、総じて劇的かつ奇跡的なバランスで形作られているのである。

 

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今回鑑賞した映画『二重生活』は、そんな人と人との際の際を描くミステリー作品である。


あらすじは以下の通り。

 

大学院に通う25歳の珠(門脇麦)は、19歳のときに遭遇したある出来事をきっかけに長い間絶望のふちをさまよっていたが、最近ようやくその苦悩から解放された。彼女は一緒に住んでいる恋人卓也(菅田将暉)と、なるべくもめ事にならないよう、気を使いながら生活していた。あるとき、珠は恩師の篠原(リリー・フランキー)から修士論文の題材を提示され……。


この映画では上記の最後の一文にある『修士論文の題材を提示される』というのが、一番の肝となる。


その題材とはズバリ『尾行』。見ず知らずの相手を尾行し続けることで、それを修士論文に活かせば新機軸の論文が出来るのではないかという恩師の判断が、主人公におけるある種の希望になっていくのだ。


そして至極当然に、物語は基本的に『尾行→帰宅→尾行→帰宅』の単純なループで進行していく。その間に描かれるのは『いかに人間は仮面を被って生きているのか』ということ。


冒頭で僕は『人間関係の構築は運命の集合体だ』と書いた。しかし人間関係を『嘘で塗り固めた自分』で作り上げたとしたらどうだろう。最初は相思相愛だったとしても、生活を重ねれば次第にボロが出る。本音でぶつかっていない人間は、必ず何かしらの綻びを生む。


この映画では、そんな偽りの仮面を割った先にある人間の醜悪な本性が、次々と出現する。『こんな男は嫌だ』というランキングがあるならば、おそらくはトップ5までの何個かは該当するレベルの醜悪さが顔を出す。だが人間というのは面白いもので、そうした醜悪な本性を持つ人間同士が惹かれ合うことも当然あるわけだ。そう考えるとこの映画の良さが理解できる。同時に「人間って怖いな」とも思ってしまうし、「こんな生き方もあるか」と納得する節もあったりする。


『尾行』という題材で物語が展開していくのは新鮮で良いと感じたし、終わり方もほぼ文句なしだった。しかしながら盛り上がりに差し掛かるまでが非常に冗長なこと、更には『尾行という行為』から想定される結末が個人的な予想を下回ったという点から、星4寄りの星3の評価とする。


ちなみに尾行をする側とされる側、どちらの視点で観るかで大きく評価が変わる映画だとは思うので、初見の場合はどちらかに感情移入しながら観ることをお勧めしたい。


ストーリー★★★★☆
コメディー☆☆☆☆☆
配役★★★☆☆
感動★★☆☆☆
エンターテインメント★★★☆☆

総合評価★★★☆☆
(2016年公開。Yahoo映画平均3.1点)

 


『二重生活』映画オリジナル予告編