こんばんは、キタガワです。
日本男児なら誰しも、幼少期に『鬼ごっこ』という遊びをやったことがあるはずだ。
20歳を超えた今改めて思い返すと、馬鹿馬鹿しい遊びである。タッチされた人は子を追いかけ回し、それをただ半永久的に繰り返すだけ……。
それだけならまだ可愛いが、ヒートアップすると何が何でも逃げよう、タッチしようとする闘争本能が開花し、半ば犯罪一歩手前の危険行為にまで無意識的に手を伸ばす。
僕自身も鬼ごっこを連日楽しんでいたクチだが、足が遅いことから何度も鬼にさせられていた。そこで苦肉の策として僕が行ったのは、足の遅さをカバーする悪どい行為だった。高所から飛び降り石をぶつけ、ブランコの座る部分を投げ付けた。僕は今24歳だが、よくここまで犯罪者にならなかったものだと思う。
今の御時世、最悪の場合少年院送りになること請け合いのこれらの行為だが、当時は「子どもだから」とお咎めなしに終わった。……若気の至りであるのは間違いないにしろ、今になって思えばなぜあれほど夢中になっていたのか皆目分からない。
あれから何十年もの月日が経ち、いつしか鬼ごっこは全く行わなくなった。これは僕だけの話ではない。おそらく20歳を超えた男は皆一様に、鬼ごっこの存在は記憶の彼方に忘却して然るべきなのだ。
……さて、前置きが長くなってしまった。今回鑑賞した『TAG タグ』のストーリーはたったひとつ。『大人版鬼ごっこ』である。
『鬼ごっこ』と言っても、感情に任せて動き回るだけで事が済んでいた子ども時代とは全く異なる。そう。主人公含めたメンバーは立派な『大人』である。会社に勤める役員であり、結婚式を控えた新郎であり、休日にバーに赴く放浪者。
そんな彼らの間には『毎年5月になると全力で鬼ごっこをする』という暗黙のルールが存在する。もちろん世間体は関係ない。不法侵入や深夜、恋人との情事の最中でもおかまいなしだ。
この120分の間には、大人たちのリアルで馬鹿なお遊びがたっぷり詰まっている。「ここまでやる!?」と驚くこと間違いなしの開始のゴングに端を発し、そこからはもうやりたい放題。ファニーでインタレスティングな鬼ごっこが幕を開ける。
映画らしくラストへの伏線もバッチリハマり、総じて海外らしいコメディ映画として完成されている。個人的には『ハングオーバー!』や『イエスマン』に次ぐ名作コメディだ。
あと、全国の子どもたち。絶対に真似しちゃダメだぞ。
ストーリー★★★★☆
コメディー★★★★☆
配役★★★☆☆
感動★★★☆☆
総合評価★★★★☆
(映画.com平均評価・星3.8)