キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

映画『孤狼の血 LEVEL2』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。

 

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飛び散る血飛沫。響き渡る怒鳴り声。乱発されるチャカ。見渡す限り一面の死体……。ヤクザ映画の何たるかを今一度想起させる問題作にして、当時多数の受賞候補が名を連ねる中2019年の日本アカデミー賞にて最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞を獲得したヤクザ映画『孤狼の血』。ほぼ誰にも注目されていなかったダークホースでありつつ受賞を総なめにしてしまった衝撃もさることながら、当ブログでも数少ない★5の満点レビューとなったかの作品から2年。遂にその続編に位置する『孤狼の血 LEVEL2』が封切りとなった。


当然ながら今作『孤狼の血 LEVEL2』の鑑賞に当たっては前作の理解度がある程度必要になってくることは間違いないし、R15のレーティングからも分かるように特に殺害描写は凄惨を極めていて、思わず目を背けてしまいそうになった場面もある。他にも全編通して訛りに訛った広島弁が蹂躙すること、ダークな雰囲気、そもそもヤクザ映画であることなど様々な敷居の高さはある。けれどもこの『孤狼の血 LEVEL2』には流行りのイケメンアイドルを抜擢して注目を集める恋愛映画よりも、「これを出せば売れるだろう」と安易に制作された実写作品らと比較すると、改めて2時間規模の恍惚……もとい映画の素晴らしさを感じられる最高峰の続編であると思う。


物語は前作の結末からおよそ3年後の未来が描かれている。前作のとある事件を経て一匹狼に変貌した冷酷な刑事(松坂桃李)は、彼にしか成し得ない過激なやり口を武器にゴロツキを次々検挙。問題解決能力は高いが方法に難ありと、警察内でも賛否両論のどちらかと言えば浮いた立ち位置にいた。そんな折、ヤクザ同士の抗争が沈静化したと見られていた広島・呉市に、長きに渡る模範囚(特に過激な行動をせず模範的な服役をしていた囚人)として刑期を終えた極道(鈴木亮平)が降り立つ。しかしながらその実彼は決して模範囚ではなく、刑務所内でも自身の思いに従って破壊の限りを尽くし、様々な手段を用いて不当に『模範囚』とされ刑期満了とされた生粋のワルだった。そして組に戻ってきた鈴木は敵味方隔てなく殺害を繰り返し、いつしか冷静状態にあった抗争を再度勃発させる主要人物として君臨、それを見かねた松阪は再び起こった抗争を止めるべく、鈴木と対峙する決意を固める……。大まかなあらすじとしてはこのような感じだろうか。


この映画で印象的だったのはやはりテンポの良さ。警察とヤクザという、異なる組織が相対する関係上場面が変遷することも多いのだけれど、そのどれもがスムーズで、かつ「おいおいこの先どうなるんだ……」と興奮する最中に次のシーンが挟まれるので、良い意味でのお預け感。例えば漫画などでは教科書的に、ページをめくった瞬間に衝撃的な描写を存在させれば印象に残るべきとされているが、まさしく『孤狼の血 LEVEL2』では上記の例えで言うところのページをめくる直前で本棚に仕舞われるような、言わば「早く続き見せてくれ!」とのハラハラした思いが何個も点在するいじらしい展開のオンパレード。ヤクザ映画はただドンパチすれば良いと考える人間も決して少なくはないと推察するが、この映画はしっかりとエンタメの基本を守り、ヤクザ映画に溶け込ませる形を取っているのは本当に素晴らしい。


加えて、冒頭で前作の理解度について記したけれど『観ていなければ絶対にストーリー展開が分からない』ような形にしてないのも嬉しいし、ヤクザ映画どうこうより、映画という2時間の娯楽をフルに生かして誰もが楽しめる重厚なストーリーを生み出しているのも有難いところ。中でも極めつけは鈴木の怪演で、サイコパスな役どころをしっかり演じ、映画館で観ている人々をひとり残らず震え上がらせるその傍若無人ぶりは必見。まだ今年はあと4ヶ月近くあるが、現時点で最優秀助演男優賞を受賞するのは確実……。「あまりに怖かったから共演NG出そうかと思った」とは試写会でのケンドーコバヤシの一幕だが、確かにそう思ってしまうほど、圧倒的な熱演だった。


つまらない日常をたった2時間で覚醒させる、暴力という名の絶頂映画“孤狼の血 LEVEL2”。この衝撃は是非劇場で。なお繰り返し綴っているように、精神的にダメージを受ける場面もあるので、鑑賞の際は重々ご注意を……。


ストーリー★★★★☆
コメディー★☆☆☆☆
配役★★★★★
感動★★☆☆☆
エンターテインメント★★★★☆

総合評価★★★★☆

 

映画『孤狼の血 LEVEL2』本予告①/8月20日(金)公開 - YouTube