キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

NOTバカッター。コンビニや飲食店で演奏するバンドのPV6選

こんばんは、キタガワです。


昨今『バカッター』の存在が大きな話題を呼んでいる。コンビニの商品を粗末に扱ったり、禁止区域に侵入したり……。そんな悪趣味な行動の数々は今や社会問題となり、連日ニュースで報道されるほどになった。


僕自身も上記の行動が取り沙汰されるたび「バカじゃなかろうか?」と思うし、擁護する気にもならないというのが本音である。


しかし、僕はあることに気付いてしまったのだ。「バンドのPVでもこういうの観たことあるぞ」と……。


さて。そんなわけで、今回のPV紹介の題材はズバリ『店で演奏するPV』である。コンビニや飲食店、コインランドリーや漫画喫茶に至るまで。街の様々な店の中で演奏するPVを集めてみた。


これらは『PV撮影』という免罪符なしに撮影すれば、大炎上必至の映像となっている。しつこいようだが、これらはバンドのPVである。断じてバカッターなどではないということだけご理解いただいて、書き進めていきたい。

 

 

ピント/スネオヘアー

f:id:psychedelicrock0825:20190217004128j:plain

2003年に発売されたアルバム『a watercolor』のリード曲。スネオヘアー屈指のライブアンセムとしても知られている。


冒頭ではコンビニでスネオヘアーが、次々と客を捌く様が描かれている。しかし時間が経つにつれてレジが込み出してしまい、ワンオペ状態のスネオヘアーはストレスを抱えていく。


そしてついに大爆発。客の商品を貪り尽くし、クビ覚悟の傍若無人な振る舞いへ変貌。仕舞いにはゲリラライブを敢行し、騒ぎを聞き付けた客によりコンビニはライブハウス状態となってしまう……。


もしも今公開されたら、いろいろな意味で炎上必至のPVである。公開されたのが15年前で良かった。


この楽曲においては、無機質に鳴り響くベースラインが最大の特徴。決して主張は激しくないが、楽曲全体を引っ張る重要な役割を果たしている。ベーシスト垂涎ものの楽曲と言える。


YouTube上のPVが消えてしまっていたため、今回のみニコニコ動画のURLを貼り付ける。観る際はこちらからどうぞ。


http://nico.ms/sm32542968?ref=share_others_spweb

 

釣った魚にエサやれ/MOSHIMO

f:id:psychedelicrock0825:20190217004147j:plain

3月発売のニューアルバムのリード曲から。今までのイメージを破壊するべく、初のハードロックに挑戦した今作だが、それに伴ってPVの内容も過激なものとなった。


ファミレスでの彼氏の言動がきっかけで、激昂する岩渕(Vo.Gt)。土足で机に上るや否や、怒りに満ちたバンド演奏がスタートしてしまう。いきなりぶちギレられ、目の前で「釣った魚にエサやれ!」と意味不明な歌を歌われた彼氏はこう思ったはずだ。「とんでもねえやつと付き合ってしまった」と。


「最近シフト増やされてんだよ。いつもバイトばかり」と語る彼氏に対し、「3回まわってワンと鳴け!」と憤る岩渕、どう考えてもヤバい。


ちなみにこの楽曲はMOSHIMO初のハードロック曲であることに加え、これまた初の試みとしてメンバー全員がボーカルを務めている。ファンも驚くMOSHIMOの新境地を見よ。

 


MOSHIMO「釣った魚にエサやれ」MV

 

 

ないものねだり/KANA-BOON

f:id:psychedelicrock0825:20190217004207j:plain

中華料理屋でギターリフを無表情でこなすバイト。まずこの時点で、間違いなくクビである。


この映像の後もよく見ると誕生日ケーキにジョウロで水をぶっかける、公園でタバコを吸う、タバコの吸殻を地面にばら撒く、公衆の場で突如バンド演奏をするなど、いろいろと炎上しそうな行動ばかり。


なお、後に公開された『1.2. step to you』のPVと今回の『ないものねだり』のPVは地続きになっている。このPVを見終わったら『1.2. step to you』を観てほしいと思う。ちなみに『1.2.~』でも、中華料理屋のテーブル付近でルームランナーに汗を流す、鮪(Vo.Gt)の姿を見ることができる。これも炎上案件。


余談だが、何度見ても当時の鮪(Vo.Gt)の髪が長すぎて笑ってしまう。ワックスで立たせた今の髪型の方が100倍良い。KANA-BOONは今でこそ若手ロックバンドの代表格だが、当時の彼らはまだ売れていなかった。このPVは彼らの闇の時代を垣間見ることができる、貴重な作品。

 


KANA-BOON / ないものねだり

 

 

踊れ引きこもり/忘れらんねえよ

f:id:psychedelicrock0825:20190217004514j:plain

『踊れ引きこもり』というタイトルからも分かる通り、鬱屈した生活を送っている所謂『陰キャ』へのメッセージソングとなっている。


映画『カメラを止めるな!』へのリスペクトを込めたPVであり、最初から最後までワンカメラかつ一発撮りで進行していく。特にコンビニシーンにおいては、著作権をガン無視したアニメキャラ描写、雑誌をビリビリに破く従業員など、突っ込みどころ満載で休む暇がない。


よく見るとお湯を入れたカップ麺がちょうど3分後に出来上がっていたり、友人であるロックバンドが多く出演していたりと無駄に凝っている。某ライブに参加した際、このPVの撮影秘話として「めちゃくちゃ時間がかかった」と述べていたが、その発言も頷ける出来だ。


楽曲に関しては、童貞は風俗で捨てて何十年も彼女がおらず、女性と話すことすら満足にできないと語る柴田らしい歌詞に心打たれる。彼は結成当初から一貫して、社会的弱者への応援歌を歌い続けている。気になった方は他のPVもぜひ。そしてライブへGO。

 


忘れらんねえよ - 踊れ引きこもり【Music Video】

 

 

テレキャスター・ストライプ/ポルカドットスティングレイ

f:id:psychedelicrock0825:20190217004532j:plain

今やチケットは軒並みソールドアウト、7月には武道館公演も決定したポルカだが、ポルカが有名になったきっかけは間違いなくこのPVである。


性急なギターが暴れ回る四つ打ちロックサウンド。まるでロックバンドの教科書の如きサウンドは、聴いているだけで踊り出したくなる魅力に溢れている。


さて、PVの話に移ろう。このPVでは特に、ポルカのフロントウーマンである雫(Vo.Gt)に焦点が当てられている。バニーガールに扮したり髪型を変えたりと様々な格好にスイッチする雫は、とても美しく、格好いい。


だからこそ、冒頭のコインランドリーのくだりが一層面白く感じてしまうのだ。格好いい。格好いいのだけれど、なぜコインランドリーなのか……。中盤ではランドリーの中に頭を突っ込むという、「誰かに写真撮られたら絶対炎上する」シナリオとなっている。格好よさと謎加減のギャップが素晴らしい。


最後に少し宣伝紛いなことをさせてもらうと、この楽曲と、別のライブ定番曲、そして完成度の極めて高い楽曲たちを詰め込んだCD『骨抜きe.p.』は、タワーレコードにて約1000円という超低価格で発売中である。

 


ポルカドットスティングレイ「テレキャスター・ストライプ」MV

 

 

あいどんわなだい/銀杏BOYZ

f:id:psychedelicrock0825:20190217004550j:plain

銀杏BOYZの代表曲。今ではバンドの絶対的フロントマンである峯田は俳優として名を馳せており、「峯田和伸って朝ドラの人でしょ?」としか思っていない人も多いはず。そんな人はこのPVを見てぶったまげてほしい。ライブキッズにおける峯田像は決して『俳優』ではない。日本最強の『ヤバいボーカリスト』である。


銀杏BOYZのPVは長尺であることで知られているが、例に漏れずこのPVも長尺。とある青年(ドラムの村井)が、漫画喫茶という名の異次元空間にトリップする様が描かれる。


その内容もアホの極みで、勃起したりディープキスしたりとやりたい放題。まるで男性の内なるリビドーを解放したかのようなPV。ずっと観ていると確実に気が狂う。


ちなみに、このPV内では『あいどんわなだい』というタイトルだが、アルバムリリース時には形を変え、正式名称を『I DON'T WANNA DIE FOREVER』としている。サウンドもシンセサイザーと打ち込み、ノイズを多用したサイケデリック・サウンドと化しており、もはや全く別物である。

 


銀杏BOYZ - あいどんわなだい(PV)

 

 

さて、いかがだっただろうか。


世界各国にPVは数えきれないほどある。しかし実際の店で撮影をし、更にはバカッター紛いの行動を取るPVなどほとんどない。


今回紹介したPVは、安全面の配慮や各所への了承を得て撮影されたものだ。そのためバカッターではないにしろ、一歩間違えば『バカッター』のレッテルを貼られかねないPVであることもまた、否定できない。


だがひとつのエンターテインメントとして観れば、これほど面白いPVもないと思うのだ。100個PVがあったとして、その中の1つくらいはこういった特異なPVもあって良いのではないだろうか。


今回紹介したPVを観たあなたたちが、まだ見ぬアーティストと出会うきっかけとなったならば幸いである。


それでは。