キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

花澤香菜 × ポルカドットスティングレイのタッグ曲“SHINOBI-NAI”を聴いた

こんばんは、キタガワです。


ポルカドットスティングレイ(以下ポルカ)はこれまで多くの媒体とコラボレートを手掛けてきた。記憶に新しいのは『NHKみんなのうた』に起用された“トゲめくスピカ”やサントリー+ラッコズのダブルタイアップの“SQUEEZE”だろうが、思えばメジャーデビュー以後、バンドの総指揮を担う雫(Vo.G)の目線はこれまで通り一貫してファンの元へ向けながらも、そこに企業側がポルカに寄せる思いを加わって一層認知が広がり、アルバム『何者』がリリースされる頃には収録曲の大半がタイアップという強い追い風吹く状況となるに至っていて、以降の活躍については何よりも我々が知る通りである。

 

f:id:psychedelicrock0825:20211105024051j:plain

https://hanazawa-kana.com/


そんな折、突如としてTLを駆け抜けた一報こそ、誰もが知る超有名声優・花澤香菜にポルカが“SHINOBI-NAI”を提供したニュース。これには多くのコラボを目撃したファンもさぞ驚いたに違いないが、何より驚いたのはその楽曲の完成度の高さだ。雫が作詞作曲を担っているため当然と言えば当然ながら、全体として滲み出る雰囲気は明らかにポルカのそれで、おそらくは「このサウンドに雫の歌声が乗れば爽やかなポップロックになるだろうな」と純粋に思う程の代物になっている。ただ今回疾走感のあるサウンドに乗っかるのは雫ではなく実際は花澤の歌声であって、彼女特有の透明感のある歌声が合わさった瞬間、ふわりとした印象に包まれるのは不思議の一言だ。……と同時に、無理矢理にジャンルを分けるとするならば雫の突き抜ける歌声はロックに、また花澤の歌声はどちらかと言うとポップに分類されるのだな、とも改めて感じ入ることが出来た。


ところで、MVを繰り返し鑑賞してひとつ疑問だったのが『何故花澤のMVにポルカメンバー全員が出演しているのか』という点だ。そもそも楽曲提供のセオリーに照らせば、最近のフレデリックが和田アキ子に提供した“YONA YONA DANCE”も、YOASOBIのAyaseが作曲したLiSAの“往け”も、制作者としての主張はあれどMV中にその作者が出てくることはまずない。しかもこの楽曲は“SHINOBI-NAI feat.ポルカドットスティングレイ”のような形でもないので、なおのこと不自然だ。更に双方のファン認知の観点からしても、確かに有名ではあれどポルカファンが花澤香菜を熟知している可能性は低いし、花澤→ポルカの図式も同様……なのだけれど、結果MV内でポルカと花澤はしっかり邂逅しているという、互いのファンであればあるほど疑問符が浮かぶ感も否めない。

 

花澤香菜「SHINOBI-NAI」Music Video - YouTube


そこで至った個人的な見解が、ズバリ『タイアップ的な起用』。つまりはこれまで様々な企業からの要望を100%の完成度で届け続けてきたポルカを見込んで、花澤サイドが熱烈なオファーでもって、ポルカに仕事を依頼したパターンだと踏んだ。そしてポルカに依頼をする判断はイコール、楽曲の素晴らしさは元より『4人でポルカ』の唯一無二さや話題性、雫のキャラクター性も含めてのことで、今回の“SHINOBI-NAI”に関しては総じて、これまでポルカが積み上げてきた実績がしっかりと評価された上に成り立ったものだったのではなかろうかと。


音楽活動10周年を目前として更なる飛躍を期待する花澤と、虎視眈々と未だ見ぬ売り込みを目論むポルカの両名が生み出した此度の名曲“SHINOBI-NAI”。このまま行けば1週間以内には10万再生は固いと思われる楽曲の求心力を察するに、来たる花澤のショーケースライブでもセットリスト入りするのはもちろん、今後ポルカのライブでもセルフカバー楽曲として披露されるかもしれない魅力たっぷりのこのナンバーを聴くタイミングは紛れもなく今しかない。