キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

マキシマム ザ ホルモンとレペゼン地球の一件について、腹ペコとして思うこと

こんばんは、キタガワです。

 

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先日レペゼン地球がYouTubeに発表したとあるMVが、ネット上で話題になっている。


そのMVは『パワハラ ザ ホルモン』というタイトルで公開された。内容について触れると、レペゼン地球が炎上商法に踊らされたファンを嘲笑うと共に、パワハラやセクハラを肯定するような作りとなっている。


思えばNGT48の山口真帆が「運営とメンバーからのパワハラがあった」と内部告発したことを皮切りに、セクハラやパワハラに関する世間の目は厳しくなった印象を受ける。そして火は益々巨大化し、現在では日本というひとつの国の問題としてセクハラ・パワハラの根絶が叫ばれている。


そんな中公開されたこのPVは炎上しないわけがなく、発端となったレペゼン地球はもちろんのこと、その計画に荷担したホルモン側にも強いバッシングが浴びせられる事態に至った(ちなみに現在は騒動の大きさを受け、MVは削除されている)。


さて、今回はそんなレペゼン地球の動画騒動について、マキシマム ザ ホルモンのファンである腹ペコ視点の個人的見解を書き記したいと思う。


当ブログは音楽関係の記事を多く執筆している。よって共犯者であるジャスミンと首謀者であるレペゼン地球に対する意見は一旦置いておいて、当ブログにおいてはホルモンのみに焦点を絞って書き進める。その点ご了承願いたい。

 

 

MVの内容について

本題に入る前に、まずはMVの内容について語らねばなるまい。


動画削除前、動画が公開された直後、僕は今回の記事を書こうと思い、1番の歌詞のみ手入力でメモとして書き記していた。結果的に動画は削除されてしまったため再度見返すことは叶わないが、以下の歌詞を見ていただきその雰囲気だけでも感じ取ってほしい。

(A)
新人入ってきたよって
売りたい売りたい売りたい売りたい!
だけど(そう!) 俺らには(そう!)
売り出す(金がねえ!) 広告費なんて(ない!)
プロモーション費も(ない!)
テレビやラジオに出演させられるコネも(ない!ない!)
おっぱい出せばすぐ売れるよー?
馬鹿な男達食いつくよー?
お偉いさんに枕営業 してきて仕事取ってこい

 

(B)
どうすればいい!?混沌の闇 売るためにどうすればいい!?
どうすればいい!?混沌の闇 辿り着くアンサーは
我々にはこの方法しかない

 

(サビ)
炎上!炎上!炎上商法だ!
簡単(かつ!)無料(かつ!)話題性あり!
あれも!これも!全部プロモーション!
メディアは食いつき記事を書き 全国に配信してくれてる
アンチは喜びそれを拡散 馬鹿みたいに広告をお手伝い!
だけどファンには心配かけた
謝罪ヘドバン! スマン!スマン!スマン!

 

……以上が1番の歌詞である。


サビ部分の「スマン!スマン!スマン!」に関しては完全にホルモンの楽曲『F』そのままであり、青や赤、黄色と色付けしながらヘドバンを繰り出す光景などは『予襲復讐』のパロディー。この動画を見てしまうとむしろ、マキシマム ザ ホルモンが全編通して協力しているようにしか思えない作りだ。


更にラストではナヲがツイッター上で語っていた通り、マキシマム ザ ホルモンのメンバーが全員出演しての説教の後、レペゼン地球を全力で殴り飛ばすシーンがある。


……ここで問題なのは、ナヲが「セクハラやパワハラはダメ」と語っていたその口ぶりに笑みが含まれていること。そしてその後は亮が「俺実はレペゼンのファンなんだよね」と語りながらレペゼン地球に近付き、ダイスケはんに写真を撮らせる場面すらあるのだ。


この一部分だけを切り取ってみても「説教するならと出演した」というナヲの言い分は絶対に通らない。よってホルモン側も、動画の内容については事前に知っていたと見るべきだろう。

 

『予襲復讐』という楽曲について

にわかファンにとってはどうでもいい話だろうが、腹ペコ(ホルモンファンの総称)にとって『予襲復讐』という楽曲に対する思いは、そんじょそこらの楽曲とは大きく異なる。


『予襲復讐』は前回のアルバムから約6年ぶりと、長いスパンを経て発売された作品だ。そう。6年ぶりである。腹ペコの間でも「次のホルモンはどう動くのだろう」「もしかすると路線変更するかもしれない」という一抹の不安を抱えて発表されたアルバムなわけで、その全く変わらないサウンドと勢いを浴びることのできた喜びはひとしおだったのだ。

 


マキシマム ザ ホルモン 『予襲復讐』 Music Video


そんな絶大な人気を誇る『予襲復讐』であるが、実はライブで演奏されたことは片手で数えられるほどしかない。それどころか先日プロモーションされたもうひとつのホルモンである『コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)』においても、『予襲復讐』は決して演奏許可をおろさなかったほど。


理由は定かではないが、悲壮感や人生観を赤裸々に吐露し、亮が「特別な曲」と語っていることからも、演奏しないのは彼らなりの強い意思の元で決定されたのは間違いないのだ。


そんな大切な楽曲がレペゼン地球に使われたわけだ。なぜ大切な曲を使うのを許可したのか。なぜレペゼン地球に……。しかもそれが炎上商法となれば、それはファンが怒り心頭となるのも仕方ないと言える。

 

マキシマム ザ ホルモン像の崩壊

今回の騒動においてファンが最も怒り、落胆した部分こそ、この『マキシマム ザ ホルモン像の崩壊』という点だと思われる。


かねてよりホルモンは、現代社会の風潮に「No」を訴え続けてきた。以下の『え・い・り・あ・ん』では違法アップロード禁止を叫び、ライブでも「全員が助け合って楽しもう」「痴漢ダメ絶対!」と長尺で語り、今回の動画がアップされた前日にはライブで大麻所持で逮捕されたKenKenとJESSEに対し、友人と立場でありながらも「ほんまにダサい」と苦言を呈していた。

 


マキシマム ザ ホルモン "え・い・り・あ・ん"


そう。今回の事件はただの『ホルモンのミス』という一言では済まされない。パワハラ・セクハラをネタとして昇華し、また助長するようなMVに強力してしまったというのは、今までの熱いライブMCや他者を思いやる彼らの人間性、ひいては楽曲の持つメッセージ性にも陰りを落とす重大事件なのだ。


事実レペゼン地球の謝罪文には「面白かった」「さすがレペゼン!」という称賛の声が多かったのに対し、ホルモンの謝罪文には多くの批判の声が集まった。それは今までホルモンを信じ励まされてきたファンの期待が崩壊した瞬間であり、同時に「信じていたのに」という信頼の裏切りでもあった。

 

おわりに

今回の一件により、ホルモンから離れるファンは一定数はいるだろうと思う。


レペゼン地球に強力したこと、大切な予襲復讐を汚したこと、そして間接的ではあるにしろ、信じてくれたファンを裏切ったこと……。これらについてはいくら謝罪をしようが覆すことは不可能であるし、「こうした事件を起こしてしまった」という事実は腹ペコの心に深く刻み込まれるだろう。


今後彼らがやらなければならないのは、行動で返していくことしかない。人間誰しもミスはある。重要なのはそのミスから何を学び、二度と繰り返さないためのシミュレーションを描けるかだ。


そしてその行動を見届けるのは、我々腹ペコでなければならない。最も信頼していたファンだからこそ、彼らの誰よりも応援し、励ます義務がある。本当にファンを辞めるのは、彼らの全力の行いを観てからでも遅くない。がんばれ、ホルモン。