キタガワのブログ

島根県在住。目標は音楽ライターであり、ブロガーではありません。

LiSAの最新インタビューから見る、弱さと強さ

こんばんは、キタガワです。

 

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皆さんはLiSAというアーティストについて、どのようなイメージを持っているだろうか。


試しに周囲の友人らに聞いてみたところ、『いつも笑っている』『ポジティブ』といった答えが返ってきた。いわゆる明るい側面がピックアップされて広まっているのは明白だった。


かく言う僕もそう思っていた。彼女は音楽雑誌のインタビュー、ツイッター、ライブ等において、一度も弱音を吐いたり表情に陰りが見えることがなかったからだ。「ああ、この人は底抜けに明るい人なんだなあ」と無意識に思っていた。いや、思い込んでいた。


個人的にだが、彼女への認識が少し変わった出来事が、今年ふたつあった。


ひとつは4月8日に開催されたツアー『LiVE is Smile Always~FUN & FANFARE~』豊洲Pit公演での出来事だ。


ライブ終了後、僕の目に飛び込んできたツイッターの情報は予想外のものだった。非常識な行動を取る観客がいたこと。最前列ではLiSAに暴言を吐く観客がいたこと。そしてLiSAがそれを注意し、問題を起こした観客は退場処分になったことが記載されていた。


ネット上においては、実際にLiSAがステージ上で声を荒げて注意したことが、大きな話題を呼んでいた。


僕はそのライブに足を運んでいないため、ネットの情報を鵜呑みにする形ではある。以前この件についてはブログで取り上げたことがあるのだが、繰り返すと、僕はLiSAサイドには全く問題はないと思っている。むしろ退場措置を取らなければ事態は悪化していたに違いないし、ライブを円滑に進める上では仕方なかったと。


問題なのはこの事件によってLiSAは一瞬ではあるが、自身の仮面を脱いでしまったことにある。LiSAではなく、“本体”の織部理沙が顔を出してしまったのだ。


僕はこれが悔しくてたまらなかった。LiSAはここ数年で、立つステージの規模が大きくなるにつれ、より多くの人に広まっていった。それによって辛いこともあっただろう。悲しいこともあっただろう。それらを全て飲み込み、ステージ上では『LiSAとしての人格』を完璧に作り上げ、自身は満面の笑顔を崩さず、ライブでは観客を笑顔にさせたり楽しませることに全力を注いでいたのだ。そんな彼女の負の一面を覗かせてしまったことが、何より許せなかった。


もうひとつの出来事は、6月15日に行われた武道館公演。

 

spice.eplus.jp


LiSAのキャリアでは3度目となる武道館公演。ここで彼女は新曲『Believe in ourselves』を歌い終えた後、大粒の涙を流した。今までどんな会場でも気丈に振る舞い、絶対に泣くことはなかったLiSA。


そんなLiSAが号泣したとの報を見たときは、正直驚いた。そして同時に、前述した豊洲Pitでのライブを思い出し、「LiSAにも弱い部分があるんだ」と再認識した。


このとき、初めて僕は反省した。LiSAの明るい一面しか見ていなかったと。どれほど有名になっても、ステージが大きくなっても。彼女は僕ら一般人と同じ、ひとりの人間なんだということを痛感したのだ。


そんな折。……本日2018年12月16日に、とあるインタビューが投稿された。それは『挫折だらけの半生とアニソンを通して知った「愛される」意味』と題されていた。思えばLiSAのインタビューといえば新作のCDやライブの感想について語るものがほとんどで、こうして自身の半生にスポットを当てたインタビューというのは、あまり見たことがなかった。

 

news.yahoo.co.jp


一読して、泣きそうになってしまった。これを見ていただければ、どれほど彼女が苦労して今の地位を勝ち取ったのか、鮮明に読み取ることができる。


歌手になる夢を追い求め、がむしゃらに頑張ったこと。結果が出ず、事務所との契約も切れてしまったこと。上京するも資金が底を尽き、朝から夜まで3つのアルバイトを掛け持ちしていたこと。バイトの合間を縫ってスタジオに入る生活をし、自分の部屋には布団1枚しかなかったこと……。


それらはおよそ輝かしいLiSAのイメージとはかけ離れたものだ。しかしLiSAの“本体”である織部理沙という女性は、こうして頑張ってきた。そしてそんな弱い一面は今まで隠し続けたまま、今までやってきた。それがどれほど辛い道のりだったのか、普通に生活する僕らには想像もつかない。


そして3度目の武道館で涙を流した件についても語っていた。理由は1度目の武道館の、苦い記憶にあったという。

 

「完全に精神的に怖くて。でも、みんなの前ではLiSAとして『期待しかしないでね』『デートに来てね』と言って。ニコニコやっていたからこそ、ヤバい、どうしようと自分にすごくプレッシャーを与えていて」


「LiSAという責任を背負ってステージに立っているのだから、どんなに嫌われても、がっかりされてもしょうがないと思ってました。与えられた今日をきちんとやり切らなければと、最後までやりました」


僕はてっきり、嬉しさのあまり落涙したのだとばかり思っていたが、実際は違っていた。彼女は1回目の武道館ライブの悔しさを抱えながら、これまで頑張ってきたのだった。そんな思いが結実した瞬間こそが3度目の武道館であり、ラストで涙を流すのも頷けるというものだった。


『有名になる人には理由がある』という言葉を、何かの本で見たことがある。一般人が知らないだけで、実際は血の滲むような努力と耐え難い経験を乗り越えた末の結果であると。そしてそれは見せないだけで、いざ人前に出た際は、そのキャラに自己投影しなければならないのだと。


LiSAにとってこの1年は、ある種の人間臭さが露呈した1年だったと思うのだ。偏見を持ち、離れていく人も少なからずいたのではないかと推測する。しかし僕はこの1年で、さらにLiSAが好きになった。きっとこの記事を読んでくれている読者貴君もそうだと思う。


今回僕らはLiSAの弱い一面を垣間見たが、同時に強い一面も知ることができた。そんな彼女だからこそ、第一線でアニソン界、ひいてはJ-POP界を引っ張っていく存在なのだろうし、ライブの動員も右肩上がりなんだなあと妙に納得した。


海外での活動も活発化し、よりパワフルになったLiSA。彼女はこれからも、最高の景色を見せてくれるに違いない。そして、僕らはそれを見届ける必要がある。