「あらあら豆助?殴られたいの?」という和風総本家のナレーター。
クリスマス。クリスマスである。あのクリスマスが、今年もやって来てしまった。
世間一般の成功者たちは、仕事が終われば一目散に帰路に着くだろう。そして、愛を育んできたパートナーと、しっぽりしけこむのだ。
はたまた、愛すべき子供が寝静まった頃、枕元にそっとラッピングされた物を置くに違いない。昔は「サンタさんがプレゼントを作ってるんだよ」などと馬鹿げた説明を聞きながら、「えー!ありがとうサンタさん!」と無邪気にはしゃいでいた。
今考えれば、なぜプレゼントが近所のデパートの袋に入れられているのか、なぜ不法侵入を平気でして警察に取り締まられないのかなど疑問視するはずだが、当時のお花畑状態だった僕の頭には、全く考えが至らなかった。
……と、前置きが長くなってしまった。
今回は、『僕がサンタの正体を知ったときの話』をしたいと思う。
僕は、サンタの存在を小学6年生まで信じていた。少なくとも、いてくれたら嬉しいなーくらいの気持ちではあった。
小学6年にもなると、周りの友人らは口々に言うようになる。
「サンタってお父さんだよ」と。
そのときの僕の気持ちは、何と言ったらいいのだろう。「でしょうね」という気持ちが半分と、一縷の望みが半分だったような気がする。
12月の20日。確かそれくらいだったと記憶している。僕はこの日、一大決心をした。
『父を問いただしてみよう』。そう思った。
家に帰るなり、僕は言った。
「あのさあ、サンタクロースってお父さんだよね?」
で、帰ったきた返事がこれだ。
「そうだよ」
そうだよ。肯定。Yes。はい。
え?そうなの?完全に冗談で聞いたのに?
しかも父は続けて言ったのだ。
「じゃあ今年からプレゼントいらんな」と。
プレゼントがいらないなどという選択肢は、僕にはなかった。いや、というか、おかしいじゃないか。なぜたった数秒のやり取りで、過去何年にも渡って渡されてきたプレゼント(もとい、父のボーナスで買ったデパートの商品)を逃さなければならないのか。
僕は、必死で抵抗した。拳で(嘘だ)。
まあ結論を言ってしまうと(書くのが面倒になったので)、プレゼントはもらえた。
びええと泣きじゃくる僕を見かねたのか、くれた。
そのとき思った。泣くって強いな、と。
時は流れ、2017年12月24日。今だ。
今、一緒に過ごす人がいなくて泣いている。
嗚呼、サンタさん。あわよくば、僕に最後のプレゼントをください。
そのプレゼントの名前は彼女といいます。是非に。