映画館で映画観るたびに映画泥棒が逮捕されているが、軽く10回は再犯している計算になるので、もし裁判したら情状酌量の余地無しで懲役20年くらいか。
続きです!
10位
WAVES/Yogee New Waves
波に乗りどこまでも行け、ヨギー!
今、日本の音楽シーンが変わりつつある。
BPMを上げて、キャッチーなメロディーが続き、サビで大爆発……。日本の若手バンドが売れるための必須項目がこれだ。そのため、スローテンポな楽曲やシティポップの曲は、盛り上がり前提の夏フェスの観点からか、はたまた若者の音楽離れからか、敬遠されていた。
しかし、2016年から流れが少し変わってきた。きっかけはSuchmos『STAY TUNE』の大ヒットだろう。ここから、一貫してスローテンポを貫き外国のエッセンスを詰め込んだ、比較的異端とされてきたnever young beach、Nulbarich、MONO NO AWAREなどの若手バンドが、次々とシーンに進出した。
その中の1組が、Yogee New Wavesである。
スペースシャワーTVのパワープッシュに選ばれた『Climax Night』のヒットから、一気に知名度を上げたヨギー。今年発売のアルバム『WAVES』では、恐ろしい変化を遂げている。
前作『PARAISO』はリラクゼーションミュージックのような、聞き流すことも可能な音楽性だった。だが今作は、決して聞き流すことができない。勝手に体が動き出す、ロック色強めの作風に仕上がっているからだ。
中でもイチオシは『World is Mine』。はっきりと分かるレベルの転調が使われているのも驚きだが、2本のギターが主張し合うロックも、このバンドにしては珍しい。「街を背に走るシトロエンに乗って この街をさらってゆきましょう」と語る角舘健悟(Vo.Gt)、絶好調である。
その他にもバンド史上最高BPM『Dive Into the Honeytime』、真夏のフェスにピッタリの『Fantasic Show』など、名曲揃い。
今年遂にメジャーデビューを果たしたヨギー、波に乗った今がチャンスだ。音楽シーンを引っ掻き回してもらいたい。
Yogee New Waves / World is Mine(Official MV)
Yogee New Waves / Like Sixteen Candles(Official MV)
9位
As You Were/Liam Gallagher
暴君、完全復活!ロックは死んだ?大丈夫、まだリアムがいる。
とある歌手の、初のアルバムが発売される。ただこれだけのありふれたニュースで、こんなにも心踊ったことはないと断言できる。
言わずと知れたoasisのボーカリストである弟リアム・ギャラガーと、ソングライティングを担う兄ノエル・ギャラガー。二人の天才(暴君)の世紀の大ゲンカにより、バンドが解散したのは2009年のこと。
月日は流れ、ノエルは新バンド『ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライングバーズ』を結成。自身がボーカルとなり、精力的に活動を行っていた。
そして、ファンはこう思うのである。
「え?リアムは何やってんの?」と。
実際、リアムは解散してからの空白期間が長かった。相変わらず世間に対してボロクソに批判し、話題には事欠かなかったわけだが、楽曲を制作しているという情報は一切なかった。
だが2017年、突如アルバム発売が決定したわけだ。
奇しくも今年は、ノエル3枚目のフルアルバム、そしてリアム初のアルバムが同時期に発売されるという、oasisファンにとっての大事件が起きてしまった。
で、今回のアルバムランキング、僕としてはリアムを推したいところなのだ(ノエルのアルバムも最高だったが……)。
〈俺を見ろ 生きる奇跡だ("You Better Run")和訳〉
〈これだけは分かってくれ 俺の時代が来たんだ("All My People/All Mankind")和訳〉
自分大好き人間のリアムらしい歌詞に、まずホッとする。
そして曲。最高のロックンロールなのだ。実はリアム自身が1から10まで作ったわけではない。楽曲提供された曲も多いわけだが。シンプルに鳴らされるロックは口ずさみやすく、しかも何故かoasisらしさも見てとれる(こんなことを言うとリアムにキレられそうだが)。今作ではっきりと宣言した。リアム、完全復活であると。
だがやはり、ファンとしてはoasisの再結成を願っている。が、Twitterを見たところ、前と変わらずリプライでお互いをディスったり、「俺が一番だ!」、「何だと?俺が一番だ」みたいなことを延々と繰り広げていた。
えーっと……まだ再結成、無理みたい。
8位
地方都市のメメント・モリ/amazarashi
もしも歌詞に心撃ち抜かれたなら、amazarashiの一生のファンになる。
12月13日、発売日初日に初回限定盤を購入。急いで聴きまくり、アルバムランキングに滑り込みでギリギリ間に合ったamazarashi。
amazarashiに関しては、ツイッターを見ている方はご存知の通り、僕はガチガチのファンクラブ会員なので、贔屓目になっているかもしれない。
閑話休題。
今作で4枚目のフルアルバムとなる。タイトルは『地方都市のメメント・モリ』。メメント・モリとは「自分がいつか死ぬことを忘れてはならない」という意味だそうだ。要は、秋田ひろむ(Vo.Gt)の故郷、青森県に焦点を当てた作品になっている。
散弾銃のように言葉を吐き出しまくるポエトリー・リーディング、『ワードプロセッサー』からの衝撃的なスタート。
かつての叙情的表現は控えめに、ストレートな言葉で思いを伝える曲が多くなっているのが特徴か。
〈死ぬ気で頑張れ 死なない為に 言い過ぎだって言うな もはや現実は過酷だ なりそこなった自分と 理想の成れの果てで 実現したこの自分を捨てることなかれ("フィロソフィー")〉
〈夢、希望も恨み辛みも 「君に会いたい」も「くたばれ」も 詰め込んだ火炎瓶で 世界ざまあみろ 空洞空洞 みんな死んだ焼野原で めでたしめでたしで終わり("空洞空洞")〉
〈もしも僕が生まれ変われるなら もう1度だけ僕をやってみる 失敗も後悔もしないように でもそれは果たして僕なんだろうか("たられば")〉
ネガティブな自分を痛めつけるように、ポジティブな歌詞を絞り出すかの如く紡ぐ秋田ひろむ。
曲を聴くと自然と涙が溢れるのは、僕が熱烈なファンだからなのか、はたまた。
ちなみに『僕のヒーローアカデミア』OP曲の『空に歌えば』、そして『たられば』に関しては、僕のブログで4000文字に渡って思いの丈を吐き出しているので、それを見ていただければと思う。
amazarashi、まだまだ化けるぞ。
7位
青春のエキサイトメント/あいみょん
現実はこんなにも絶望的で、美しい。
「あなたの両目をくりぬいて 私のポッケに入れたなら あなたの最後の記憶は私であるはずよね?」と、前作のリード曲で彼女は歌っている。
両手を切り落とし、心臓を抉り取り、唇を縫い付け……。それでも付き合わない人には「死ねー!」と絶叫する。ちなみにこれがサビだ。
最終的に語る言葉は「私はどこかおかしいですか?」。狂気の塊のような歌詞の羅列が続く。
この超過激な恋愛ソング『貴方解剖純恋歌~死ね~』から1年半。メジャーデビューを果たした22歳の才能は、留まることを知らない。
今作のタイトルは『青春のエキサイトメント』。CDジャケットは、日用品の数々が真っ赤な色に彩られている。ヤバい予感しかしない。
特筆すべきは、リード曲『生きていたんだよな』だ。
少年少女の自殺と、それを是としない社会の在り方に鋭く斬り込む、会心の一撃。
とにかく聴いてみてほしい。この曲で心を抉られるような感覚に陥った人こそ、アルバムはハマるはずだ。
逆に「うわ何これグロいだけじゃん」と感じる人には、絶対にこのアルバムはハマらない。三代目J Soul Brothersとかを聴いとけ。
恋愛を主なテーマとしつつも、徹底して歌われているのは『どうあっても目をそらせないリアル』である。
①憧れのロックスター、②歌手、③男性の現在=①死亡、②メジャーを辞めた、③ブタ箱の中……。リアルを突きつける『憧れてきたんだ』あり。
岩に齧りついても生きることを推奨するあいみょん的応援ソング『いつまでも』あり。
そして『漂白』で、希望に満ちた未来を歌って、アルバムは終わる。
誰かを励ますアルバムでは決してない。メンヘラの音楽と言われても仕方がないだろうと思う。
だが、こんな歌手がいてもいいじゃないか。いや、いないとダメだ。特に今のクソみたいな世の中には。
一体、どんな人生を送ってきたのだろう。あいみょんは。
あいみょん - 生きていたんだよな 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
あいみょん - 君はロックを聴かない 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
6位
集団行動/集団行動
音楽業界は真部脩一の才能に嫉妬せよ。
突如現れた無名のダークホース、集団行動。
まずは一曲目『ホーミング・ユー』を聴いてもらいたい。なんとなく、既視感を感じるはず。
それでもダメなら2曲、3曲と聴いてほしい。『東京ミシュラン24時』を聴く頃には、頭の中にひとつのバンドが浮かぶはずだ。
そう。相対性理論である。
とある雑誌では「全てのロックバンドは相対性理論前と後に分けられる」とまで言わしめた。その中心人物であった、真部脩一が作詞作曲を担当している。
〈互い違いにしてやるよ 永い誓いにしてやるよ("ぐるぐる巻き")〉
〈真夜中タクシーに乗って 爆心地まで("バックシート・フェアウェル")〉
など、キラーフレーズの宝庫。
意味が分かるような分からないような、摩訶不思議な歌詞を、誰でも口ずさめるメロディーにのせるのは、さすが真部マジック。
相対性理論はやくしまるえつこという神がかり的なボーカルが存在したが、集団行動のボーカルはまさかのミスiDのファイナリストを起用。しかも音楽には全く興味のなかった23歳というから驚きだ。
……と言っても、正直まだ認知度は低い。メンバーは未だ募集中だし、若手バンドの1枚目にありがちな、初期衝動的な部分がはっきりとうかがえる。
しかし、だ。この1stミニアルバムの荒削りな部分が良いのだ。断言してもいい。2018年。アニメタイアップ、爆発的PV再生数……。集団行動を取り巻く環境は、絶対に変わる。
それまではこのアルバムで我慢。今後はまだ見ぬ景色へ、ファンのみんなを集団で連れていってくれるだろうから。
次はいよいよトップ5!頑張って書きます!