キタガワのブログ

島根県在住。極力誰とも関わりませんので悪しからず。目標は音楽ライターであり、ブロガーではありません。

[前編]辛い、死にたい、鬱状態の時のオススメ音楽10選

こんばんは、キタガワです。


世の中には様々な人がいる。盛り上げ上手な人や仕事をバリバリこなす人、持ち前のキャラクター性で可愛がられる人や何も考えていない人……。細かな違いはあるにせよ、しかし基本的にはポジティブな性格な人が多いだろう。


そしてそんな中、自ら表沙汰にはしないまでも『極めてネガティブな人間』というのも一定数存在する。


希死念虜に取り付かれ、日々鬱々とした感情で必死に生きる。誰にも相談せずに一人で抱え込むばかりのそうしたネガティブな人間は、前述したポジティブな人間とは対極に位置するものだ。


『人と違ってみんないい』と学んだのは遥か昔。しかし悲しいかな、今の世の中ではそういったネガティブな感情を抱くこと自体が、悪とされがちだ。「そんなに悩まなくていいじゃん」「こっちまで辛くなってくる」……。心無い言葉を言われ続け、偽りの仮面を被りながら社会生活を送っている人は多くいるはずなのだ。


前置きが長くなってしまった。今回は『辛い、死にたい、鬱状態の時のオススメ音楽』と題し、強いメッセージ性でもって社会的弱者を鼓舞する楽曲を集めた。


しかし一言に『死にたいときに聴きたい音楽』と言っても、別にポジティブな歌詞で無理矢理明るくさせようとか、お涙頂戴の心境に持っていこうとか、そういったものではない。今回紹介するのは死にたがりの人々に徹底的に寄り添い、クソッタレな人生を共に生きていこうとするものばかりだ。


今回の記事があなたの生活を照らす、一筋の光となれば幸いである。断言する。あなたはひとりではない。

 

 

あんたへ/amazarashi

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今日は 何にもやる気が起きねえから
一日中 テレビばっかり観ていたんだけれど
「この人達はなんて幸せそうなんだ」
って考え出したら 急に笑えなくなった

弱者への応援歌を歌い続けるamazarashi。その中でも随一の強いメッセージソングがこの『あんたへ』だ。


この楽曲ではあまりにもリアルな『生きる希望が皆無な人間の姿』が描かれるが、しかしてその実態はかつてのamazarashiのフロントマン・秋田ひろむ自身である。


売れないバンドマン生活を6年以上続け、肉体労働のアルバイトで日銭を稼ぐ日々。酒を飲まなければ外出出来ないほど心が限界に達した時期に作られたのが、この楽曲だという。


しかし楽曲中には当時の秋田氏の精神状態とは裏腹に、未来の希望を切望する姿が色濃く描かれている。それはこの楽曲自体が『今にも死にそうな自分を説き伏せるための最終手段』であったからに他ならない。秋田氏は作曲者でありながら、誰よりもこの曲に救われてきた人物なのだ。


だからこそこの楽曲は、同じように苦しんでいる人の心を打つのだ。友人らの薄っぺらい励ましや勇気付けの何倍も強く。この楽曲のみならず、amazarashiの楽曲は『そういったタイプの人』の心を雄弁に物語るものばかり。死にたいとき、辛いとき。あなたの心を押すのは、きっとこんな曲。


amazarashi 『あんたへ』

 

 

明日はきっといい日になる/高橋優

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悲しみはいつも 突然の雨のよう
傘も持たずに 立ち尽くす日もある
降られて踏まれて 地は固まる
そこに陽が射せば 虹が出る

シンガーソングライター・高橋優最大のヒット曲であり、同時に数々の人の心を救ってきたであろう名曲。


この楽曲では、タイトルにも冠されている「明日はきっといい日になる」というフレーズが繰り返し歌われる。不出来な仕事や壮絶なイジメが描かれる下記のPVでは「明日はきっといい日になる」と期待し、笑顔で去っていく描写で幕を閉じる。


そう。高橋優がこの楽曲で伝えたいことは、タイトルにもサビにも使われるあの言葉ただひとつなのだ。


amazarashiの『あんたへ』が未だ見ぬ希望の光だとするならば、高橋優のこの楽曲は遥かに近い将来。明日を見据えて歌われる応援歌だ。


席を譲って「大丈夫です」と断られたことも、傘を持たずに立ち尽くした日も、全ては過去。きっと明日は素晴らしい光景に満ち溢れているはずだと、そう渇望する希望的楽曲だ。シンプルでストレートな言葉の繰り返しは、素晴らしき言霊となって明日を切り開く。


高橋優初監督MV作品「明日はきっといい日になる」オモクリ監督エディットバージョン(Short size)

 

 

ヒッチコック/ヨルシカ

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「先生、人生相談です この先どうなら楽ですか
涙が人を強くするなんて 全部詭弁でした」

インターネット発、素顔非公開。新時代の音楽として今話題の謎バンド、それがヨルシカである。


特に昨年あたりから若者を中心とした音楽シーンでは、素顔を見せない匿名性を売りにしたアーティストが台頭している印象だ。しかしその中でもヨルシカの音楽性ははっきり言って一線を画している。


ヨルシカの楽曲には、必ず誰にも言えない心の闇が描かれている。それこそ今回紹介する楽曲が収録された『負け犬にアンコールはいらない』では、消えたい一心で爆弾を抱えたり、理解されること自体を諦めた少年が歌詞に多く出現する。


そしてそれは『ヒッチコック』でも同様だ。答えのない哲学じみた禅問答を繰り返し、生きる意味や真っ暗な未来を知ろうとする主人公はズバリ、今現在辛い境遇に置かれているであろうあなたとリンクする存在と言える。


この楽曲は、心に闇を抱えている人間に広く刺さるはずである。それは人間関係でも仕事関係でも、はたまた金銭面かもしれない。この楽曲で涙を流す人は千差万別だろうが、間違いなくその根底はそれぞれの『闇』なのだ。闇を晴らす曲とは言わないが、徹底して寄り添ってくれる曲だとはしっかりと断言できる。

 


ヨルシカ - ヒッチコック (MUSIC VIDEO)

 

 

黒い羊/欅坂46

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反対が 僕だけならいっそ無視すればいいんだ
みんなから 説得される方が居心地悪くなる
目配せしてる仲間には 僕は厄介者でしかない

世間一般では、欅坂46は『アイドルグループ』という括りで語られることがほとんどだ。紅白歌合戦には連続出場しており、握手会も頻繁に開催される。ライブではサイリウムを持った野太い声が飛び、その光景はアイドルグループの教科書のようにも思える。


そうした現状を踏まえて始めに断っておくと、僕は欅坂46はアイドルではないと考えている。むしろ日本におけるどんなバンドやポップスグループよりも、闇を内包したアーティストだとも。


その理由は以下のPVを観てもらえば一目瞭然。この楽曲において重要な点、それは歌詞と映像である。


タイトルの黒い羊とはつまり『除け者や厄介者、変わり者』という意味を持つ。白を貴重とした羊の集団。そんな中に一匹の黒い羊が潜んでいれば、それ相応の差別的視線に曝されるのは当然だ。


それはさながら、日本社会を象徴しているようでもあるとも思うのだ。コミュニケーションが取れない人、仕事が不出来な人、少し変わっている人、輪に入れない人……。そういった変わり者は、本人の意思や意向に関わらず、決まってハブられる傾向にある。しかしながら周囲にしてみればそれこそが正義。それこそが当たり前なのだ。


『黒い羊』は、そんな当たり前の世の中にNOの意思を強く突き付ける。「白い羊に迎合しろ」とは言わない。「黒い羊は黒い羊のままでいいのだ」と、背中を押す弱者のための楽曲なのである。


欅坂46 『黒い羊』

 

 

シーソーと消えない歌/それでも世界が続くなら

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死ぬ死ぬって言って 死なないつもりで生きてる
もしも「今日が最後」って知ってたら
君は今日を生きたかい?

ボーカル・篠塚の心情を如実に歌にするロックバンド。2018年に活動休止を発表するも、2019年2月に暫定的に活動を再開。5月現在もいつ再び終わるかも解らない、瀬戸際での活動を行っている。


彼らの楽曲は全てメンバーの生い立ち、イジメや虐待、家庭環境や病気といった経験により形成。同時にこれらの大半はボーカルである篠塚が実際に経験した、もしくは他者から聞いたストーリーが基盤となっている。なお彼らのCDの全ジャケットは、手首欠損、発達障害といった要因で長年に渡り闘病中のイラストレーター、おおはましのぶによるものである。


ツイッターにて文字数制限の140文字ギリギリに自身の感情を綴る篠塚を見ていると『苦しみながら日々を生きる人間の等身大の姿』を生々しく感じてしまうのだが、楽曲においてもそれは同様で、ポジティブな歌詞や明るい曲調の楽曲はほぼ皆無といっていい。


篠塚の声、メロディー、歌詞。それらはリスナーにある種の鬱々しい感情と、現代に生きるSOSを送り届ける。間違いなくリア充には刺さらない音楽であると同時に、闇を抱える人には抜群に刺さる。


どれだけ辛く死にたくとも、結果として人間は生きるしかない。“それでも世界が続くなら”ば、僕らは辛い感情を圧し殺す必要があるのだ。一定数いる弱い人間の最高のパートナーとして、彼らの音楽は鳴り響いている。


それでも世界が続くなら 『シーソーと消えない歌』 PV

 

 

……次回は後編。新たに5組のアーティストによる、珠玉の5曲を紹介したいと思う。乞うご期待。